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解①
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会議室で互いに向き合う識と朝倉は、資料を見つめていた。
あの襲撃者の男については、取り調べの進捗を署員が伝えに来てくれるとの事だ。そのため、資料を見直して改めて整理しようという事になったのだ。
(視点を変えれば、また新しい発見がある可能性も……調査ってのはそういうもんだし。捜査も似てはいるのかもな?)
「ん?」
「どうされました? 進藤さん。何か気になる事が?」
「先程見せて頂いた二人の人物についてですが、華奢な方はおそらく地毛だと思います。ただ、もう片方はカツラではないかと」
「ふむ。その理由を伺っても?」
識は映像を画像にした二つの書類を朝倉の方へ向けて見せる。比較しやすいようにしながら。そうして見比べながら、識が告げる。
「防犯カメラとはいえ、光の映り方くらいは分かりますよね? この画像、華奢な方は髪の反射が自然です。ですが、もう片方は不自然です」
「言われてみれば確かにそうですね? では、このガタイの良い方は変装だと仮定しましょう。問題は何故そうしたか? ですね」
「そこなんですよね……姿を隠したいならともかく、この違和感しかない姿は意味があっての事としか思えません」
「意味があるとして、問題はこの二人の接点ですねぇ」
朝倉の言う通り、この謎の人物達について判明している事はほとんどない。その現状に識は歯がゆい思いになる。そもそも、華奢な人物……おそらくは女性であろう人物が、洋壱とどういう関係だったのか? そこすら見えてきていない。
(せめて、この女が何者なのかが分かれば……)
「進藤さん」
「なんでしょうか?」
「良ければですが、進藤さんのここまででの見立てを伺っても?」
「見立てですか……?」
「そうです。無理にとは言いませんがね?」
識は少し考えた後、答える事にした。今までの情報からの見立てを。
「まず、この女性です。俺の見解になりますが、洋壱のストーカーで間違いないかと。そして、この変装している人物はその関係者ではないか? そう思います。もっとも、全て素人考えになります」
「いえ、大変参考になりますよ。ありがとうございます」
「そうですか? ……朝倉刑事はどう思われているんです?」
「私ですか? ほぼ同意見ですが、一つだけ。この女性は今どこで何をしているのかが気になりますねぇ」
「言われてみれば……確かにそうですね」
この女性がどこの誰で今何をしているのか? それによって、今まで見えていなかったものが見えて来るかもしれない。その可能性に期待しつつ、識と朝倉の二人は進捗を待つしかなかった。
あの襲撃者の男については、取り調べの進捗を署員が伝えに来てくれるとの事だ。そのため、資料を見直して改めて整理しようという事になったのだ。
(視点を変えれば、また新しい発見がある可能性も……調査ってのはそういうもんだし。捜査も似てはいるのかもな?)
「ん?」
「どうされました? 進藤さん。何か気になる事が?」
「先程見せて頂いた二人の人物についてですが、華奢な方はおそらく地毛だと思います。ただ、もう片方はカツラではないかと」
「ふむ。その理由を伺っても?」
識は映像を画像にした二つの書類を朝倉の方へ向けて見せる。比較しやすいようにしながら。そうして見比べながら、識が告げる。
「防犯カメラとはいえ、光の映り方くらいは分かりますよね? この画像、華奢な方は髪の反射が自然です。ですが、もう片方は不自然です」
「言われてみれば確かにそうですね? では、このガタイの良い方は変装だと仮定しましょう。問題は何故そうしたか? ですね」
「そこなんですよね……姿を隠したいならともかく、この違和感しかない姿は意味があっての事としか思えません」
「意味があるとして、問題はこの二人の接点ですねぇ」
朝倉の言う通り、この謎の人物達について判明している事はほとんどない。その現状に識は歯がゆい思いになる。そもそも、華奢な人物……おそらくは女性であろう人物が、洋壱とどういう関係だったのか? そこすら見えてきていない。
(せめて、この女が何者なのかが分かれば……)
「進藤さん」
「なんでしょうか?」
「良ければですが、進藤さんのここまででの見立てを伺っても?」
「見立てですか……?」
「そうです。無理にとは言いませんがね?」
識は少し考えた後、答える事にした。今までの情報からの見立てを。
「まず、この女性です。俺の見解になりますが、洋壱のストーカーで間違いないかと。そして、この変装している人物はその関係者ではないか? そう思います。もっとも、全て素人考えになります」
「いえ、大変参考になりますよ。ありがとうございます」
「そうですか? ……朝倉刑事はどう思われているんです?」
「私ですか? ほぼ同意見ですが、一つだけ。この女性は今どこで何をしているのかが気になりますねぇ」
「言われてみれば……確かにそうですね」
この女性がどこの誰で今何をしているのか? それによって、今まで見えていなかったものが見えて来るかもしれない。その可能性に期待しつつ、識と朝倉の二人は進捗を待つしかなかった。
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この感想を書いている時点で事件の真相は明らかになっていないため、まだ何とも言えないが、久川の死因は異能でもない限り無理ではないかと思うようなものである。
それ故、主人公の進藤は、事件が起こる前の久川の言葉も相まって、不思議がる。そこに現れた刑事、朝倉がこの話の肝のように思える。
事件を解決するために動く探偵の進藤と刑事の朝倉のコンビは、文字だけ見ると華麗に事件を真相に導くように思えるが、進藤は探偵とは言え事件についてほとんど思い当たる事は無く、朝倉にほぼ言われるがままに捜査協力をすることになる。一方で朝倉も、進藤に対しあまり情報を明かさぬまま動いていく。
不思議過ぎるこの事件を2人はどう解決していくのか。それを進藤と共に追っていくのが面白い。
感想ありがとうございますー!
色々考えてはありますので、更新を待って頂ければと思いますー!