65 / 81
62話 菜緒虎、張僚の実力を垣間見る
しおりを挟む
62話 張僚の模擬戦
海の上をキャラベル船が快走している。
その甲板の上では、激しい模擬戦が繰り広げられていた。
バシッ
竹を縦に8分割し、うち4本の竹片を合わせて作った竹刀と呼ばれる修練用の武器が空高く舞い上がる。
「一本それまで。環寧は10分間の休憩を」
菜緒虎が、持っていた白い手旗を上げる。
尻もちをついて倒れたほうき頭でガラの悪い三白眼の男、環寧に上半身裸の猫耳細マッチョ男、張僚が手を差し伸べる。
環寧は苦笑いしながら、手を取り立ち上がた。
「次は負けねぇ」
そういうと、環寧はカラカラ笑いながらスケルトンやスケルトンソルジャー、そして環寧の部下たち観戦者の輪の中に戻る。
無論、その輪の中に菜緒虎も胡坐を組んで座って戦いを眺めている。
肌が日に焼けないようにか、大きな傘をさしたスケルトンが菜緒虎の後ろに立っていた。
ちなみに船が港を出てすぐ、菜緒虎は張僚に、自分たちがスケルトン・・・アンデットを労働力として使役していることを告げていた。
隠したところで、すぐにバレると菜緒虎は判断したからだ。
もっとも、告げたところ、張僚はへぇーで流していた。
おそらく、筍幾によって事前にレクチャーされていたのだろう。
「次戦」
上半身が人間の骸骨で下半身が蛇の骸骨の魔物悪夢の骸骨が甲板中央に進み出る。
鶏冠のような飾りを付けた兜に、硬皮の胴鎧を装備し、右手に竹刀、左手に木盾を持っていた。
「始め」
菜緒虎が、両手を交差させる。
張僚が、竹刀を右手に悪夢の骸骨に突っ込む。
バシッ
張僚と悪夢の骸骨の竹刀が一度大きくぶつかり、立て続けに2度3度とぶつかる。
悪夢の骸骨が木盾で張僚を押し返し、間合いを取って上段から竹刀を振り下ろす。
これを張僚はバックステップで躱す。
が、下がった位置に悪夢の骸骨の尻尾が襲い掛かる。
この攻撃で、足元を掬われて床に転がった張僚に挽回する術はもうなかった。
バン
スケルトンナイトメアの竹刀が張僚の肩にめり込む。
「一本それまで。張僚殿は10分間の休憩を」
菜緒虎が持っていた赤い手旗を上げる。
「次戦」
菜緒虎の声に、3人のゴブリンが棍棒を手に進み出てくる。
明らかなハンデ戦である。
「いや強いね」
打たれた所をさすりながら、張僚はドカッと菜緒虎の隣りに座る。
菜緒虎の側に控えていたスケルトンが、木のコップをそそくさと差し出す。
「合格かね?」
張僚は、最後に戦った悪夢の骸骨眺めながら尋ねる。
「問題ありません」
菜緒虎は小さく答えを返す。
悪夢の骸骨に一本取られたとはいえ、スケルトン、スケルトンソルジャー、生きた鉄像、環寧を相手に張僚は快勝していた。
菜緒虎としても張僚が帯同することに異論はなかった。
「やりあった後に聞くのもあれですが、俺と最後に戦った魔物はなんていう名前なんです?」
張僚は、次の挑戦者である3人のゴブリンと打ち合っている、いままで見たことも聞いた事もないアンデットに興味深い眼差しを向ける。
「悪夢の骸骨というアンデットです。ああ見えても性格は秩序-善なんですよ」
それを聞いた張僚が、飲んでいた水を思いっきり噴き出す。
性格の秩序-善。秩序は法を順守し善は他人を尊重するという意味だ。
張僚を含む魏府国の人間の常識として、アンデットの生者を憎む性格で秩序とか善といったものではない。
「アンデットとはいえ、某が使役している魔物ですよ?法を順守して、使役者を第一に行動するのは当然です」
菜緒虎の言葉に、張僚の顔が納得したようなものになる。
「使役者が邪悪だったり使役者のいない野良だったり、自我がある場合はその限りじゃないから注意は必要ですけどね」
菜緒虎の注意に、再び張僚は頷く。
「ところで菜緒虎殿は、死霊使いなのですか?」
「某は侍ですよ」
菜緒虎は笑ったが、張僚の顔は値踏みするようなものに変わった。
海の上をキャラベル船が快走している。
その甲板の上では、激しい模擬戦が繰り広げられていた。
バシッ
竹を縦に8分割し、うち4本の竹片を合わせて作った竹刀と呼ばれる修練用の武器が空高く舞い上がる。
「一本それまで。環寧は10分間の休憩を」
菜緒虎が、持っていた白い手旗を上げる。
尻もちをついて倒れたほうき頭でガラの悪い三白眼の男、環寧に上半身裸の猫耳細マッチョ男、張僚が手を差し伸べる。
環寧は苦笑いしながら、手を取り立ち上がた。
「次は負けねぇ」
そういうと、環寧はカラカラ笑いながらスケルトンやスケルトンソルジャー、そして環寧の部下たち観戦者の輪の中に戻る。
無論、その輪の中に菜緒虎も胡坐を組んで座って戦いを眺めている。
肌が日に焼けないようにか、大きな傘をさしたスケルトンが菜緒虎の後ろに立っていた。
ちなみに船が港を出てすぐ、菜緒虎は張僚に、自分たちがスケルトン・・・アンデットを労働力として使役していることを告げていた。
隠したところで、すぐにバレると菜緒虎は判断したからだ。
もっとも、告げたところ、張僚はへぇーで流していた。
おそらく、筍幾によって事前にレクチャーされていたのだろう。
「次戦」
上半身が人間の骸骨で下半身が蛇の骸骨の魔物悪夢の骸骨が甲板中央に進み出る。
鶏冠のような飾りを付けた兜に、硬皮の胴鎧を装備し、右手に竹刀、左手に木盾を持っていた。
「始め」
菜緒虎が、両手を交差させる。
張僚が、竹刀を右手に悪夢の骸骨に突っ込む。
バシッ
張僚と悪夢の骸骨の竹刀が一度大きくぶつかり、立て続けに2度3度とぶつかる。
悪夢の骸骨が木盾で張僚を押し返し、間合いを取って上段から竹刀を振り下ろす。
これを張僚はバックステップで躱す。
が、下がった位置に悪夢の骸骨の尻尾が襲い掛かる。
この攻撃で、足元を掬われて床に転がった張僚に挽回する術はもうなかった。
バン
スケルトンナイトメアの竹刀が張僚の肩にめり込む。
「一本それまで。張僚殿は10分間の休憩を」
菜緒虎が持っていた赤い手旗を上げる。
「次戦」
菜緒虎の声に、3人のゴブリンが棍棒を手に進み出てくる。
明らかなハンデ戦である。
「いや強いね」
打たれた所をさすりながら、張僚はドカッと菜緒虎の隣りに座る。
菜緒虎の側に控えていたスケルトンが、木のコップをそそくさと差し出す。
「合格かね?」
張僚は、最後に戦った悪夢の骸骨眺めながら尋ねる。
「問題ありません」
菜緒虎は小さく答えを返す。
悪夢の骸骨に一本取られたとはいえ、スケルトン、スケルトンソルジャー、生きた鉄像、環寧を相手に張僚は快勝していた。
菜緒虎としても張僚が帯同することに異論はなかった。
「やりあった後に聞くのもあれですが、俺と最後に戦った魔物はなんていう名前なんです?」
張僚は、次の挑戦者である3人のゴブリンと打ち合っている、いままで見たことも聞いた事もないアンデットに興味深い眼差しを向ける。
「悪夢の骸骨というアンデットです。ああ見えても性格は秩序-善なんですよ」
それを聞いた張僚が、飲んでいた水を思いっきり噴き出す。
性格の秩序-善。秩序は法を順守し善は他人を尊重するという意味だ。
張僚を含む魏府国の人間の常識として、アンデットの生者を憎む性格で秩序とか善といったものではない。
「アンデットとはいえ、某が使役している魔物ですよ?法を順守して、使役者を第一に行動するのは当然です」
菜緒虎の言葉に、張僚の顔が納得したようなものになる。
「使役者が邪悪だったり使役者のいない野良だったり、自我がある場合はその限りじゃないから注意は必要ですけどね」
菜緒虎の注意に、再び張僚は頷く。
「ところで菜緒虎殿は、死霊使いなのですか?」
「某は侍ですよ」
菜緒虎は笑ったが、張僚の顔は値踏みするようなものに変わった。
0
お気に入りに追加
11
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる