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蜜
四
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「えっ?」
戸川が俺の方に顔を向ける。
思わず笑いそうになった。
こんな間抜けな顔をしている戸川を見たことがない。
「先生と生徒だよ。あんたと俺みたいな」
「いや、笑わせんなよ」
頭をわしゃわしゃと掻き乱されれば、誤魔化されたような感じがした。
「経験の差が全然違う」
「なんの経験?」
色んな、と言われればはぐらかされたような感じがして今度は俺が戸川の腕を引っ張ってやった。
いきなりのことで驚いている戸川の顔が面白い。
やり返してやった感じがして気持ちが良かった。
しかしすぐに戸川は自分の掴まれた腕を引いて、椅子に座りなおした。
「女の経験?」
「とか。色々だよ、ほんとに色々」
落ちそうになったプリントを机の上に置き直す。
そんな様子を見ながら俺はもうプリントなんてどうでもいいなんて思ってしまっていた。
「もしかして男の経験も?」
「さぁな。ってかなんでそういう経験限定なんだよ。社会経験だったり、もっと他の経験あるだろ」
あ、俺ってばそういう経験ばっかり聞いていた。
「あ、ごめん」
「ごめん、なさいな?」
どうでもいいことを訂正されてイラっときたが、それどころではない。
「なぁなぁ、」
あと1つだけ気になることがある。
それを聞いて、質問は終わりにするし、古典のプリントもちゃんとやる。
......多分。
「あんたは、俺のことありか?」
しばらく沈黙が続いた。
あれ、俺変なこと言ったっぽい!
「あ、もちろん冗談!っていうか、ありかなーって聞いただけ!本気にすんなよ?」
苦し紛れの言い訳というか、一生懸命弁解するが、戸川はガチで捉えていた。
まぁ俺もガチで聞いたつもりだったけど。
ってか今日の俺なんかいつもより変じゃね?
めっちゃ変なこと聞くし変な行動とるし、変じゃね?!
「さっきからそういう質問してきたりするけど、なに、俺のこと気になってんの?」
「ち、ちげーよっ、そういうわけじゃ......」
じゃあなに?と聞かれれば言い返せず、気まずさのあまり下を向いた。
「最近お前の様子が明らかに変だし、今日も変なこと聞いてくるし、腕も引っ張ってくるしどうしたの?」
いつもよりなんだか戸川の声が優しい。
「腕を引っ張ってくるのはお前もだろ......っ」
「そうだったな。ごめんな」
優しく頭を撫でられれば、一瞬で全てを許す気になってしまう。
「責任取れよ」
俺もいつもより甘えた口調になっていた。
「好きにさせたのはお前だから責任取れって?」
黙って頷く俺を見て、戸川は可愛い、とだけ一言言った。
それから、
「目瞑って」
と言われ、言われた通りにした。
え、なに言われた通りにしちゃってんの、え、キスされちゃうんじゃないのこれ、はぁ?!
まさかの急展開に俺は困惑している。
でもそんな場合ではなくて......
目を閉じていても、気配で戸川が近くにいることはわかった。
相手の息がかかる。
もうだめじゃないか......?
俺は強く目を瞑った。
戸川が俺の方に顔を向ける。
思わず笑いそうになった。
こんな間抜けな顔をしている戸川を見たことがない。
「先生と生徒だよ。あんたと俺みたいな」
「いや、笑わせんなよ」
頭をわしゃわしゃと掻き乱されれば、誤魔化されたような感じがした。
「経験の差が全然違う」
「なんの経験?」
色んな、と言われればはぐらかされたような感じがして今度は俺が戸川の腕を引っ張ってやった。
いきなりのことで驚いている戸川の顔が面白い。
やり返してやった感じがして気持ちが良かった。
しかしすぐに戸川は自分の掴まれた腕を引いて、椅子に座りなおした。
「女の経験?」
「とか。色々だよ、ほんとに色々」
落ちそうになったプリントを机の上に置き直す。
そんな様子を見ながら俺はもうプリントなんてどうでもいいなんて思ってしまっていた。
「もしかして男の経験も?」
「さぁな。ってかなんでそういう経験限定なんだよ。社会経験だったり、もっと他の経験あるだろ」
あ、俺ってばそういう経験ばっかり聞いていた。
「あ、ごめん」
「ごめん、なさいな?」
どうでもいいことを訂正されてイラっときたが、それどころではない。
「なぁなぁ、」
あと1つだけ気になることがある。
それを聞いて、質問は終わりにするし、古典のプリントもちゃんとやる。
......多分。
「あんたは、俺のことありか?」
しばらく沈黙が続いた。
あれ、俺変なこと言ったっぽい!
「あ、もちろん冗談!っていうか、ありかなーって聞いただけ!本気にすんなよ?」
苦し紛れの言い訳というか、一生懸命弁解するが、戸川はガチで捉えていた。
まぁ俺もガチで聞いたつもりだったけど。
ってか今日の俺なんかいつもより変じゃね?
めっちゃ変なこと聞くし変な行動とるし、変じゃね?!
「さっきからそういう質問してきたりするけど、なに、俺のこと気になってんの?」
「ち、ちげーよっ、そういうわけじゃ......」
じゃあなに?と聞かれれば言い返せず、気まずさのあまり下を向いた。
「最近お前の様子が明らかに変だし、今日も変なこと聞いてくるし、腕も引っ張ってくるしどうしたの?」
いつもよりなんだか戸川の声が優しい。
「腕を引っ張ってくるのはお前もだろ......っ」
「そうだったな。ごめんな」
優しく頭を撫でられれば、一瞬で全てを許す気になってしまう。
「責任取れよ」
俺もいつもより甘えた口調になっていた。
「好きにさせたのはお前だから責任取れって?」
黙って頷く俺を見て、戸川は可愛い、とだけ一言言った。
それから、
「目瞑って」
と言われ、言われた通りにした。
え、なに言われた通りにしちゃってんの、え、キスされちゃうんじゃないのこれ、はぁ?!
まさかの急展開に俺は困惑している。
でもそんな場合ではなくて......
目を閉じていても、気配で戸川が近くにいることはわかった。
相手の息がかかる。
もうだめじゃないか......?
俺は強く目を瞑った。
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