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1.20歳~21歳
曜日感覚どころか四季の感覚もわからない
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何かに真剣に取り組むほど、人はスランプにぶち当たる。
それは何も、スポーツや芸術だけに限った話ではない。
人生そのものにも、低迷期があると思う。
人生にはモテ期が三度来る、と言うが、
ほとんどの人はこう思うはずだ。
「一回もねぇよ!!」
もしくは
「少なくとも三回以上は確実だろ」
そもそもモテ期の定義がわからないし、仮にあったとしても、全体のモテ期を足して人数で割ったいわゆる平均値が「三回」なのではないか。
だが私にとってみれば、どうしようもない男にモテても嬉しくない、それより生まれてこの方ずっと人生の低迷期な私を誰か救ってくれ。
・・・他力本願、上等である。
忌々しい過去の話はさておいて、ついでに人生の低迷期もそこらへんに転がしておく事にして、まずは目の前のスランプと向き合わなければならない。
物心ついた頃には紙とペンで毎日落書きをしてきた。
漫画やアニメ、ゲームに触れる機会が多くあったのは、もし生まれ変われたらなんてありふれた妄想の中でも最優先で引き継ぎたい項目である。
しかしながら、天性の才能も無ければ努力の仕方もよくわかっていない私に、イラストが描けないスランプという物は、それこそ冗談抜きで体調を悪くするほどの大問題だった。
より効率よく抜け出す方法は知っている。
ちゃんと見て考えて描く手をとめなければそのうち抜けられる。
ただ、スランプの時はそれすら苦痛でしかない。
ふと、数年前の自分を振り返った。
まだ高校生の頃だ。
とある生放送サイトを知り、見事にハマり込んで学校へ行く事も忘れていたアホな青春時代。
過去の話はさておいてといいつつ、いきなり振り返ってしまっているが、私の人生には常に二言も三言もアリだ。
自分でも放送をしていたが、他人の放送も良く見ていた。
知り合った放送主にイラストを頼まれれば、喜んで描いていた。
そうだ、今の私に足りないのは、私の絵を必要としてくれるオーナーだ。
元来の貢グセは、今思えば随分と昔から根付いていたようで、そのくせ安請け合いするものだから依頼が三桁にまで膨れ上がった事もある。
その時の私は、全てを捨てて蒸発した。
クズここに極まれり。
確かアカウントはまだ残っていたはず。
私の記憶は正しかった。
数年も前からあらゆるサイトで同じアドレスに同じパスワードを使っていたのが幸をなした。
セキュリティ的な面では完全にアウトだが。
ざっと入っていたコミュニティを見るが、さすがに年数が経っている。
現役のコミュニティはほとんど残っていない。
何より、どのコミュニティでも依頼を受けたまま逃げた記憶しかなく、今さらどの面さげて会話なんぞ出来ようか。
仕方なく、新着一覧を見る事にする。
全体的に過疎化が進んでいるとは聞いていたが、確かに少ない。
リアルタイムで放送している数も減っているし、どれもこれも興味をそそられるようなタイトルはない。
半ば諦め気味で、F5を連打していると、ようやく惹かれる放送が出てきた。
何に惹かれたのかはわからない。
強いてあげるなら、「眼鏡男子」の文字が見えた事か。
再生していた音楽を止め、イヤホンを刺す。
後の可哀想な・・・いや、完璧彼氏である長尾くんとの初エンカウントは、私の直感で押した左クリックから始まった。
それは何も、スポーツや芸術だけに限った話ではない。
人生そのものにも、低迷期があると思う。
人生にはモテ期が三度来る、と言うが、
ほとんどの人はこう思うはずだ。
「一回もねぇよ!!」
もしくは
「少なくとも三回以上は確実だろ」
そもそもモテ期の定義がわからないし、仮にあったとしても、全体のモテ期を足して人数で割ったいわゆる平均値が「三回」なのではないか。
だが私にとってみれば、どうしようもない男にモテても嬉しくない、それより生まれてこの方ずっと人生の低迷期な私を誰か救ってくれ。
・・・他力本願、上等である。
忌々しい過去の話はさておいて、ついでに人生の低迷期もそこらへんに転がしておく事にして、まずは目の前のスランプと向き合わなければならない。
物心ついた頃には紙とペンで毎日落書きをしてきた。
漫画やアニメ、ゲームに触れる機会が多くあったのは、もし生まれ変われたらなんてありふれた妄想の中でも最優先で引き継ぎたい項目である。
しかしながら、天性の才能も無ければ努力の仕方もよくわかっていない私に、イラストが描けないスランプという物は、それこそ冗談抜きで体調を悪くするほどの大問題だった。
より効率よく抜け出す方法は知っている。
ちゃんと見て考えて描く手をとめなければそのうち抜けられる。
ただ、スランプの時はそれすら苦痛でしかない。
ふと、数年前の自分を振り返った。
まだ高校生の頃だ。
とある生放送サイトを知り、見事にハマり込んで学校へ行く事も忘れていたアホな青春時代。
過去の話はさておいてといいつつ、いきなり振り返ってしまっているが、私の人生には常に二言も三言もアリだ。
自分でも放送をしていたが、他人の放送も良く見ていた。
知り合った放送主にイラストを頼まれれば、喜んで描いていた。
そうだ、今の私に足りないのは、私の絵を必要としてくれるオーナーだ。
元来の貢グセは、今思えば随分と昔から根付いていたようで、そのくせ安請け合いするものだから依頼が三桁にまで膨れ上がった事もある。
その時の私は、全てを捨てて蒸発した。
クズここに極まれり。
確かアカウントはまだ残っていたはず。
私の記憶は正しかった。
数年も前からあらゆるサイトで同じアドレスに同じパスワードを使っていたのが幸をなした。
セキュリティ的な面では完全にアウトだが。
ざっと入っていたコミュニティを見るが、さすがに年数が経っている。
現役のコミュニティはほとんど残っていない。
何より、どのコミュニティでも依頼を受けたまま逃げた記憶しかなく、今さらどの面さげて会話なんぞ出来ようか。
仕方なく、新着一覧を見る事にする。
全体的に過疎化が進んでいるとは聞いていたが、確かに少ない。
リアルタイムで放送している数も減っているし、どれもこれも興味をそそられるようなタイトルはない。
半ば諦め気味で、F5を連打していると、ようやく惹かれる放送が出てきた。
何に惹かれたのかはわからない。
強いてあげるなら、「眼鏡男子」の文字が見えた事か。
再生していた音楽を止め、イヤホンを刺す。
後の可哀想な・・・いや、完璧彼氏である長尾くんとの初エンカウントは、私の直感で押した左クリックから始まった。
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