越中富山の九田部さん

池田ラテ雫

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一章 立山に白鷹は舞い降りる

7話 山頂・そして白鷹は立山に舞い降りる

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 阿弥陀ヶ原を抜けて歩くと鳥居が見えてくる。
大きな石がごつごつと積み上げられ鳥居から勾配が急になる。
その先に小さく立つ祠。立山の山頂だ。
私は先ほどからちょっと気まずくなっていた九田部さんを置いてダッシュで
岩場を駆け上がるが、それは気まずさを紛らわせるというより山頂にもうちょっとでたどりつく
と言う体育会系というかまだこどもというかおそらくその両方だろう。

きがつけば一気に山頂についてみおろせば先ほどまで感情の固かった九田部さんの顔色は
顔面蒼白でひいひいいいながら匍匐前進してる。

 立山という名前が突出して有名であるが実は立山たてやまというい山は存在しない。
立山連峰たてやまれんぽうとは読んで字のごとく(峰の連なりみねのつらなり)であり
立山本峰、若しくは立山三山と呼ばれる(雄山、大汝山、富士ノ折立)の雄山が社があることから
狭義で立山という場合もあれば
立山七十二峰八千八谷と謳われる総てを立山と呼ぶ場合もある。
その峰の連なりは万里の長城のようにつながってもいる。

その尖った細き道の様な連なりの一つに雄山のお社が立つ
山の先端に立っているので大きさは小さな祠程度だ。

周りには立山本峰以外の連峰、剣岳(不動明王)系・大日岳・薬師岳など神様に関した山脈が一望できる
そこに佐伯 まおはたどりついた。

空には鷹が旋回をしていて・・・・していて・・・よく見たら自分の急接近してくる。
佐伯 まお「うわうわ・・・うわわわ!」
鷹は急接近したかと思うとお社の屋根に降り立つ、その身体はホワイトタイガーのように純白の白
をし、太陽が近いせいか後光があるような神々しさがある。

 白鷹「はじめまして、佐伯 まおさん」
佐伯 まお「えぇ!喋った!」
冬の立山で他に人は居なく他人がしゃべったと思うような思考には至らない。
どうみても白鷹が喋っている。

 佐伯 まお「ひょっとして・・九田部さんが言っていた神様ですか?」
流石におずおずと尋ねるまお
白鷹「ふふ・・・そうですね、そう呼ばれているもの・・という認識であっています」
佐伯 まお「私に何か大変なこと・・・やらせようとかしてます?・・」
いくらかみさまとはいえ居候がふえてさらに厄介毎をたのまれるのはごめんこうむりたい。
出来ることなら拒否できる段階のうちにお断りしておきたい。

白鷹「心配無用です・・いま日本に・・というか世界中に災いがまん延しているので」
  「少しでもその役にたちそうなくたべを下界におろしただけですので」
佐伯 まお「あ、そうなんですね」


白鷹「まぁ・・・彼が人間に協力する気になるかは人間次第かとは思うんですけどね?」
佐伯 まお「私のぽじしょんめっちゃ重要ですやん!?」
おもわず神様に素の突っ込みを入れしまった。

白鷹「別にそれほど難しい話ではありません、昔と変わらず人間が神や妖怪に経緯を」
  「はらってくれればあのこは喜んで協力しますよ」
  「人間同士でもありがとうを言わぬ隣人に手を貸そうとは思わないでしょう?」

もっともな話だ。
佐伯 まお「まぁ・・・そういう事でしたら・・」

白鷹「私たちの立場を理解してくれてありがとうございます、ついでに貴方に護身獣を祝福をつけましょう」
佐伯 まお「え、そんな危ない話なんです!?」
白鷹「万が一にもご迷惑をおかけしないためですよ」
人間の姿をしていないため表情がよみとれない、本当とも一服もられてるんじゃないかともとれてしまうが
最初に引く受ける流れを作ってしまった故、明確に迷惑な話だと断言できない流れを自分で作ってしまった。
明確な反対をださない私をみて白鷹は鳴いて何かを呼ぼ寄せる。

鳥「ピー!」
よばれたのは手のひらに乗るほど小さな(雷鳥らいちょう)がまおの目の前にホバリングをしている。
思わず両手を水を救い上げる様に差し出すと雷鳥は降り立つ。

白鷹「その子を護身獣とし・・」まお「いえ、絶滅危惧種なので飼ってたら私が逮捕されちゃいます!」
食い気味に反論する、そんなことで警察さんのお世話になるわけにはいかない。

白鷹「・・・」
まお「・・・」

白鷹「じゃ・・じゃぁ・・見た目は手乗りインコかなにかに変化させますので・・」
まお「あ、それなら・・・はい・・・」
意外とアドリブきかない感じのかみさまなのかな
と声にはださないで思う。

白鷹「あとは・・まおさんが名付け親に・・・」
佐伯まお「雷の獣だからピカち・・」白鷹「きゃっかああああああ」
今度は白鷹さんにくいぎみに突っ込まれてしまった。

佐伯 まお「じゃぁ・・・安易にぴーちゃんで」
名前が決まると雷鳥はドロンと煙をだしたかと思うとぴーとないとインコの姿になる。
その横で白鷹さんが著作権問題にならないことの安堵のため息をついている。

白鷹「なにか困ったときはその子が助けてくれるでしょう、あ、あとこれはいろいろ困ったこと応じて唱える」
  「マニュアル集です・・」
そういって本を空間から取り出してまおに渡す。

佐伯 まお「なるほど、自動でいろいろ守ってくれたりはしないんですねー・・」
白鷹 「魔法無詠唱とかそこまで異世界よりではないので・・・」
なるほど中々俗っぽいかみさまなのは理解した・・

白鷹 「では私からの用事はこれだけです・・では・・・」
そういって 白鷹は大空に消えていった

そのころやっと山頂にぜいぜい息を吐きながらついた九田部さん。

佐伯 まお「九田部さん?用事終わったからそろそろ下山しよっか?」
ぴーちゃん「ぴー!」

その一言で「九田部さんの青い顔は更に真っ青になった」



九田部 麒麟「ちょ・・ちょっとだけ・・・やす・・・ま・・・せて・・・バタッ」







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