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【3.あのときからずっと 】大切
大切(7)
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再度の電子音。
手の中で機器を躍らせ、星歌は力の入らない指先で電話マークに触れる。
「ゆっ、行人……?」
「あのっ! 白川先生のお姉さ……星歌先生ですかっ?」
名前呼びで良いと言われたことを途中で思い出したのか、慌てて言い直したその声は、細くて高い女のものであった。
行人の声ではない。
全身が粟立ったのは、行人のスマートフォンから女が電話をかけてきているという事実に対する嫉妬の念であろうか。
「ああ……ケイちゃん、だよね」
ことさらにゆっくりと応答する。
『あのっ、白川先生の携帯をお借りして……。あのっ『姉』がアドレス帳の一番上にあったので』
「ああ、そうなんだ……」
あいつ、私のことを『姉』と登録していたのかと、頭の芯が痺れるように軋む。
「それで? 緊急の用事かな。私、仕事中なんだけど」
八つ当たりが半分、見栄を張ったのが半分。
ジトッっと見上げてくる翔太の視線が痛いのは事実。
手の中で機器を躍らせ、星歌は力の入らない指先で電話マークに触れる。
「ゆっ、行人……?」
「あのっ! 白川先生のお姉さ……星歌先生ですかっ?」
名前呼びで良いと言われたことを途中で思い出したのか、慌てて言い直したその声は、細くて高い女のものであった。
行人の声ではない。
全身が粟立ったのは、行人のスマートフォンから女が電話をかけてきているという事実に対する嫉妬の念であろうか。
「ああ……ケイちゃん、だよね」
ことさらにゆっくりと応答する。
『あのっ、白川先生の携帯をお借りして……。あのっ『姉』がアドレス帳の一番上にあったので』
「ああ、そうなんだ……」
あいつ、私のことを『姉』と登録していたのかと、頭の芯が痺れるように軋む。
「それで? 緊急の用事かな。私、仕事中なんだけど」
八つ当たりが半分、見栄を張ったのが半分。
ジトッっと見上げてくる翔太の視線が痛いのは事実。
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