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【3.あのときからずっと 】ないしょのはなし
ないしょのはなし(9)
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中にはビーズが詰まっていた。
子供の小指の爪よりずっと小さなそれを一粒一粒つまんで、街灯の灯かりに透かす行人。
「なにしてるの? それ、宝石なんかじゃないよ?」
「ん……。ほとんど丸いんだけど、この中に星型のがいくつか混ざってるんだ。欠陥品だって、お母さん言ってた。でもキレイだから好きなのって」
「でも……」
玄関をチラッと見やる星歌。
行人のお母さんということは、お義父さんの前の奥さんになるわけで。
そうすると、なんとなく母に申し訳ないのではないかという気持ちが押し寄せる。
「あった!」
行人が声をあげた。
この子のこんな大きな声を聞いたのは初めてで、驚きのあまり星歌の中のモヤモヤした気持ちも弾け飛ぶ。
金平糖のような、いびつな星のかたちをした白い小さなビーズ。
行人の手の平で、それはキラキラと輝いている。
「きれい。ほんとのお星さまみたい……」
玄関灯の光を受けて、それはニセモノの輝きかもしれない。
でもそのとき、星歌は行人の手に小宇宙を見た。
子供の小指の爪よりずっと小さなそれを一粒一粒つまんで、街灯の灯かりに透かす行人。
「なにしてるの? それ、宝石なんかじゃないよ?」
「ん……。ほとんど丸いんだけど、この中に星型のがいくつか混ざってるんだ。欠陥品だって、お母さん言ってた。でもキレイだから好きなのって」
「でも……」
玄関をチラッと見やる星歌。
行人のお母さんということは、お義父さんの前の奥さんになるわけで。
そうすると、なんとなく母に申し訳ないのではないかという気持ちが押し寄せる。
「あった!」
行人が声をあげた。
この子のこんな大きな声を聞いたのは初めてで、驚きのあまり星歌の中のモヤモヤした気持ちも弾け飛ぶ。
金平糖のような、いびつな星のかたちをした白い小さなビーズ。
行人の手の平で、それはキラキラと輝いている。
「きれい。ほんとのお星さまみたい……」
玄関灯の光を受けて、それはニセモノの輝きかもしれない。
でもそのとき、星歌は行人の手に小宇宙を見た。
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