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【3.あのときからずっと 】「イヤな私」
「イヤな私」(9)
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同時に彼女に手を伸ばす相手の姿も露わになった。
「あっ!」
思わず叫んだのは、そこにいたのが一昨日までの憧れの存在だったから。
繊細な風貌。絵の具がこびりついた指先。
一昨日見たときとは掛けている眼鏡が異なっているのは、星歌にも身に覚えがあった。
「呉田先生っ!」
名を呼ばれ、明らかにビクリと背を震わせたその人物は、恐る恐るといったふうにこちらを振り返る。
「うっ、白川先生の変人の姉!」
眼鏡を強奪して放り捨てられたという白昼夢のような出来事が脳裏に焼き付いているのだろう。
やむを得ない反応だ。
だが、仮にも告白──らしいモノ──をしてきた女性に対して、その美術教師は実に露骨に顔を顰めてみせた。
その隙に、石野谷ケイは星歌の元へと走ってくる。
背に庇う──まではしなかったが、おいでおいでと手招きしてから星歌はストーカー呉田に向かって一歩、足を踏み出す。
──び、美少女が私に助けを求めている! 何このシチュは!?
意識するわけではないが、何とも微妙な高揚感に包まれる。
「あっ!」
思わず叫んだのは、そこにいたのが一昨日までの憧れの存在だったから。
繊細な風貌。絵の具がこびりついた指先。
一昨日見たときとは掛けている眼鏡が異なっているのは、星歌にも身に覚えがあった。
「呉田先生っ!」
名を呼ばれ、明らかにビクリと背を震わせたその人物は、恐る恐るといったふうにこちらを振り返る。
「うっ、白川先生の変人の姉!」
眼鏡を強奪して放り捨てられたという白昼夢のような出来事が脳裏に焼き付いているのだろう。
やむを得ない反応だ。
だが、仮にも告白──らしいモノ──をしてきた女性に対して、その美術教師は実に露骨に顔を顰めてみせた。
その隙に、石野谷ケイは星歌の元へと走ってくる。
背に庇う──まではしなかったが、おいでおいでと手招きしてから星歌はストーカー呉田に向かって一歩、足を踏み出す。
──び、美少女が私に助けを求めている! 何このシチュは!?
意識するわけではないが、何とも微妙な高揚感に包まれる。
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