198 / 222
文化祭はなんだか凄いです
8
しおりを挟む
屋台の食べ物をたくさん買った僕と隆は設置してあったベンチに隣り合って座った。
『たくさん買ったねぇ!どれから食べる?』
「だなぁ。ポテトは絶対冷めてない方が美味いから先に食べちゃおうぜ」
隆が持っている袋の中からポテトを取り出して1本僕の口元に差し出してくれたから、それをパクリと口に含んでコクリと頷く。
僕がモグモグと口を動かしてる間に隆は自分の口にポテトを放り込み、僕が飲み込むとまた口元にポテトを運んでくれる。僕、自分で食べれるよって言ったけど隆がしたいからさせてくれって。なんだか隆、楽しそうだしそれならまぁいっかって食べさせてもらう事にしたんだ。
でも色々食べ物があるのにポテトだけ食べ続けるのもなんだか勿体無い気がしたから、同じく温かい方が絶対美味しいであろう唐揚げを袋から取り出してみた。
『隆、唐揚げも食べよ?はい、あーん』
隆の口元に唐揚げを持っていくと、嬉しそうに大きなお口を開けてひと口で唐揚げ頬張っちゃった!結構大きい唐揚げだったからひと口は難しいかなって思ってたのに。やっぱり唐揚げを挟むのは正解だったみたい。隆喜んでくれたみたいだし。僕も1個食べよって思って唐揚げにかぶりついたけど、やっぱりひと口じゃ頬張れなくてふた口になっちゃった。隆ってお口も大きいんだなぁ。美味しいものたくさん頬張れそうで羨ましい。
そんなふうに食べさせっこしながら腹ごしらえをして、食べ物を買い漁ってる時に見つけた射的の屋台に行ってみる事にした。
「氷姫とナイト・・・!お2人が来店してくださるなんて光栄です・・・!コレ、サービスです!是非使ってください・・・!」
射的の店番をしてる子が何故か瞳をキラキラさせながらそう言って射的に使うコルクを10個もくれたんだけど・・・コレ、普通は何個なんだろう?
コテリと首を傾げて隆を見上げると、くれるもんは貰っとこうって。そんなものかぁってコクリと頷いて店番の子にお礼を言って隆と半分こして使う事にした。
どれ狙おうかなって景品見てみたら、大きい黒猫のぬいぐるみが置いてあった。折角だったら残るような大物取れた方が思い出に残るかな?って思ってそれを狙う事にして頑張ってみたんだけど、1発も掠らなくて自分のセンスの無さにションボリしてしまった。
僕割と運動神経は良いはずなのにこういうのは苦手みたい。
「遥が狙ってたの、あの猫?」
『え?うん、そうだよ。残るような大物の方が思い出に残りそうだし、あの黒猫のつぶらな瞳可愛くない?』
「確かに可愛いな。おっけ、分かった」
ニヤって笑った隆はそのまま銃を構えてパンッて撃ったんだけど、それが黒猫に大当たり!ストンって落ちて僕びっくりしすぎて目が零れ落ちちゃいそうなくらい見開いちゃった。
驚く僕に驚く店番くん。景品を受け取るためにいつも通りのスンッとした表情のまま手を差し出す隆。
ハッとした店番くんが慌てて落ちた黒猫のぬいぐるみを隆に手渡したところでやっと僕の感情が追いついて、思いっきりテンションが上がって瞳がキラキラ輝く。
『うっそぉ!え!?隆、落ちた!猫ちゃん落ちたよ!!1発!1発だったぁ!!』
「ん。はい、遥にあげる」
当たり前のように僕に黒猫を差し出す隆にキョトリとする。隆が取ったのになんで?
『コレ、隆が取ったから隆のだよ?折角取ったのに僕にあげちゃっていいの?』
「遥の為に取ったんだから貰ってくれた方が嬉しいよ。この黒猫、俺らの部屋で大事にしてくれるか?」
『そうなの・・・?本当にいいの?嬉しい・・・!ありがとう、すっごく大事にする!』
「ん、遥が喜んでくれて俺も嬉しいよ」
黒猫をぎゅって抱きしめて笑う僕を見て隆も優しく笑んでくれる。
「てぇてぇなぁ~・・・」
店番くんが何か呟いてたみたいだけど、なんて言ってたんだろう?
「水瀬様!大神様!こちらにいらっしゃいますか!?」
2人でそんなふうにホッコリしてた時、急に僕と隆の名前を必死に呼びながら縁日の教室に入ってきた見知らぬ生徒さんに驚く。あんなに慌てて何かあったのかな?
「俺らはココっすけど。何すか?」
隆が僕を庇うようにスって前に出て見知らぬ生徒さんに向かって声をかけると、必死の形相だった生徒さんの顔がパァッと一気に明るくなった。
「こちらにいらっしゃいましたか・・・!良かった見つかって!急いでください!間に合わなくなってしまいます!」
間に合わなくなる?何に?
何も心当たりが無い僕はキョトリとしながら隆を見上げたけど、隆も訝しげな顔をしてるから心当たり無さそう。人違い?こんな名指ししといてそんな事ある?
『あの・・・何に間に合わないんですか?』
隆の後ろからヒョコリと顔を出してそう聞いてみると、見知らぬ生徒さんは何言ってんだよぉって感じの表情で当たり前のように言った。
「ミスターコンとミスコンに決まってるじゃないですか!エントリーしていただいてるんですから急いでください~!間に合わなかったら俺が部長に叱られちゃいます!」
「いやしてねぇけど」
『いやして無いですけど』
ハモった僕と隆の言葉に、見知らぬ生徒さんはキョトン、とした後またいい笑顔に戻って言い放った。
「いえ、間違いなくエントリーいただいてますよ!他薦も受け付けていますからね!今から棄権は不可能です!って事で移動をお願いします!」
思わず隆と顔を見合わせてしまったけど、これはもう行くしか選択肢が無いやつっぽい。
折角文化祭楽しんでたのにぃ~!!!
『たくさん買ったねぇ!どれから食べる?』
「だなぁ。ポテトは絶対冷めてない方が美味いから先に食べちゃおうぜ」
隆が持っている袋の中からポテトを取り出して1本僕の口元に差し出してくれたから、それをパクリと口に含んでコクリと頷く。
僕がモグモグと口を動かしてる間に隆は自分の口にポテトを放り込み、僕が飲み込むとまた口元にポテトを運んでくれる。僕、自分で食べれるよって言ったけど隆がしたいからさせてくれって。なんだか隆、楽しそうだしそれならまぁいっかって食べさせてもらう事にしたんだ。
でも色々食べ物があるのにポテトだけ食べ続けるのもなんだか勿体無い気がしたから、同じく温かい方が絶対美味しいであろう唐揚げを袋から取り出してみた。
『隆、唐揚げも食べよ?はい、あーん』
隆の口元に唐揚げを持っていくと、嬉しそうに大きなお口を開けてひと口で唐揚げ頬張っちゃった!結構大きい唐揚げだったからひと口は難しいかなって思ってたのに。やっぱり唐揚げを挟むのは正解だったみたい。隆喜んでくれたみたいだし。僕も1個食べよって思って唐揚げにかぶりついたけど、やっぱりひと口じゃ頬張れなくてふた口になっちゃった。隆ってお口も大きいんだなぁ。美味しいものたくさん頬張れそうで羨ましい。
そんなふうに食べさせっこしながら腹ごしらえをして、食べ物を買い漁ってる時に見つけた射的の屋台に行ってみる事にした。
「氷姫とナイト・・・!お2人が来店してくださるなんて光栄です・・・!コレ、サービスです!是非使ってください・・・!」
射的の店番をしてる子が何故か瞳をキラキラさせながらそう言って射的に使うコルクを10個もくれたんだけど・・・コレ、普通は何個なんだろう?
コテリと首を傾げて隆を見上げると、くれるもんは貰っとこうって。そんなものかぁってコクリと頷いて店番の子にお礼を言って隆と半分こして使う事にした。
どれ狙おうかなって景品見てみたら、大きい黒猫のぬいぐるみが置いてあった。折角だったら残るような大物取れた方が思い出に残るかな?って思ってそれを狙う事にして頑張ってみたんだけど、1発も掠らなくて自分のセンスの無さにションボリしてしまった。
僕割と運動神経は良いはずなのにこういうのは苦手みたい。
「遥が狙ってたの、あの猫?」
『え?うん、そうだよ。残るような大物の方が思い出に残りそうだし、あの黒猫のつぶらな瞳可愛くない?』
「確かに可愛いな。おっけ、分かった」
ニヤって笑った隆はそのまま銃を構えてパンッて撃ったんだけど、それが黒猫に大当たり!ストンって落ちて僕びっくりしすぎて目が零れ落ちちゃいそうなくらい見開いちゃった。
驚く僕に驚く店番くん。景品を受け取るためにいつも通りのスンッとした表情のまま手を差し出す隆。
ハッとした店番くんが慌てて落ちた黒猫のぬいぐるみを隆に手渡したところでやっと僕の感情が追いついて、思いっきりテンションが上がって瞳がキラキラ輝く。
『うっそぉ!え!?隆、落ちた!猫ちゃん落ちたよ!!1発!1発だったぁ!!』
「ん。はい、遥にあげる」
当たり前のように僕に黒猫を差し出す隆にキョトリとする。隆が取ったのになんで?
『コレ、隆が取ったから隆のだよ?折角取ったのに僕にあげちゃっていいの?』
「遥の為に取ったんだから貰ってくれた方が嬉しいよ。この黒猫、俺らの部屋で大事にしてくれるか?」
『そうなの・・・?本当にいいの?嬉しい・・・!ありがとう、すっごく大事にする!』
「ん、遥が喜んでくれて俺も嬉しいよ」
黒猫をぎゅって抱きしめて笑う僕を見て隆も優しく笑んでくれる。
「てぇてぇなぁ~・・・」
店番くんが何か呟いてたみたいだけど、なんて言ってたんだろう?
「水瀬様!大神様!こちらにいらっしゃいますか!?」
2人でそんなふうにホッコリしてた時、急に僕と隆の名前を必死に呼びながら縁日の教室に入ってきた見知らぬ生徒さんに驚く。あんなに慌てて何かあったのかな?
「俺らはココっすけど。何すか?」
隆が僕を庇うようにスって前に出て見知らぬ生徒さんに向かって声をかけると、必死の形相だった生徒さんの顔がパァッと一気に明るくなった。
「こちらにいらっしゃいましたか・・・!良かった見つかって!急いでください!間に合わなくなってしまいます!」
間に合わなくなる?何に?
何も心当たりが無い僕はキョトリとしながら隆を見上げたけど、隆も訝しげな顔をしてるから心当たり無さそう。人違い?こんな名指ししといてそんな事ある?
『あの・・・何に間に合わないんですか?』
隆の後ろからヒョコリと顔を出してそう聞いてみると、見知らぬ生徒さんは何言ってんだよぉって感じの表情で当たり前のように言った。
「ミスターコンとミスコンに決まってるじゃないですか!エントリーしていただいてるんですから急いでください~!間に合わなかったら俺が部長に叱られちゃいます!」
「いやしてねぇけど」
『いやして無いですけど』
ハモった僕と隆の言葉に、見知らぬ生徒さんはキョトン、とした後またいい笑顔に戻って言い放った。
「いえ、間違いなくエントリーいただいてますよ!他薦も受け付けていますからね!今から棄権は不可能です!って事で移動をお願いします!」
思わず隆と顔を見合わせてしまったけど、これはもう行くしか選択肢が無いやつっぽい。
折角文化祭楽しんでたのにぃ~!!!
51
お気に入りに追加
2,579
あなたにおすすめの小説
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
眠り姫
虹月
BL
そんな眠り姫を起こす王子様は、僕じゃない。
ただ眠ることが好きな凛月は、四月から全寮制の名門男子校、天彗学園に入学することになる。そこで待ち受けていたのは、色々な問題を抱えた男子生徒達。そんな男子生徒と関わり合い、凛月が与え、与えられたものとは――。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる