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文化祭準備はてんてこまいです
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『ふぉお・・・!凄い・・・!』
水族館に入った僕達は、大きな水槽の中で泳いでいる色々な魚を見ていた。
何故か人が少なく、見るスペースが充分に確保できる状況にホッとしつつ目の前を優雅に泳ぐ大きなサメをキラキラと瞳を輝かせながら視線で追いかける。
『颯汰、凄いよ、大きいよ!』
袖をクイクイと引っ張りながらそう言うと、優しく微笑んでそうだねって頭を撫でてくれた。
えへへ、と笑いながら颯汰から水槽に視線を戻すと、突然つぶらな瞳とアヒル口の可愛いお顔が視界いっぱいに広がり、驚いてビクリと肩を震わせ颯汰の腕にしがみついてしまう。
『う、わぁ!びっ、くりしたぁ・・・!』
「あはは・・・っ!エイの裏側だね。顔に見えるの可愛いよね」
腕にしがみついている僕の腰に手を回して嗜めるようにポンポン、としてくれた颯汰は、驚いた僕を見つめながら楽しそうに笑う。
『コレ、顔じゃないの?裏側?』
水族館なんて縁が無かった僕はエイの裏側を見たのも初めてで、お顔だと思い込んでたからびっくりして目をまんまるにしたまま颯汰を見ると、また楽しそうに教えてくれた。
「そうだよ。あの目に見える所は鼻なの。目は表についてるからね」
『そうなんだ・・・!知らなかったぁ。颯汰凄いねっ!』
「妹が海の生物が好きでさ、よく図鑑一緒に見させられてたんだ。だから本物は見た事なくても知識だけはちょっとあるかな」
『そうなんだ!妹ちゃんがいるんだね。颯汰みたいなお兄ちゃん、自慢だろうなぁ』
「いやー・・・、どうかな?俺の妹、癖が強いからなぁ」
ちょっと苦笑しながらそういう颯汰の顔は、なんだかんだすごく優しい顔で、兄妹仲が良いんだなぁってちょっとほっこりしちゃう。
「あ、遥、あっちでペンギン見れるみたいだよ。行ってみよう?」
『ペンギン!行く!!』
颯汰に腰を支えられたまま促されるようにペンギンの元へ向かうと、たっくさんのペンギンが直立不動で首だけキョロキョロしていたり毛繕いみたいに体をクイクイと嘴?で突いている様子にキョトンとしてしまう。
・・・・・・びっくりするくらい首しか動かない。ジッと見つめていると、1番近くに居た子がよちよちとこちらに歩いてきた。
歩き方めちゃめちゃ可愛い!
そう思いながらあの子はどこに行きたいんだろうって視線で追っていると、何故か僕の目の前でピタリと止まって、チョンチョンと嘴でガラスを突きはじめた。
へぁ?
何してるんだろう?って首を傾げていると、颯汰が肩を震わせながら笑いを堪えていた。
『颯汰?どうしたの?』
「いや・・・・・・、ごめ、ふふっ、は、はるの魅力はペンギンにも通用するのかと思ったら、ちょっと、面白く・・・ふはっ!」
『何それぇ。コレ、ペンギンさんに好かれてるの?どっちかっていうと舐められてるんじゃ・・・?』
少ししょぼんとしながらそう言うと、颯汰が僕の手をそっと取り、ペンギンさんが突いているガラスに手を連れていかれる。
「いや、絶対好かれてるよ。ほら、ペンギンさんも嬉しそうだ」
そう言って颯汰が楽しそうに笑うから何だか本当にそんな気がしてきて僕もふふって笑ちゃった。
そうだったら良いなぁ、なんて笑いながらそのまま指を絡ませ次の場所へ手を引かれる。
こんなふうにルート通り進んでいると、他の場所より薄暗い空間にたどり着いた。人も全然見当たらないこの奥まった場所に、ライトアップされた水槽が間隔を開けて何個か置いてある。
『綺麗・・・』
「・・・そうだね、すごく綺麗だ」
ライトアップされた水槽には、ふよふよと優雅に浮かぶクラゲがたくさん居てとても綺麗だった。
思わず溢れた言葉に颯汰が反応してくれたので颯汰の方に視線を向けると僕をジッと見つめていた瞳とパチリと視線が合う。
水槽のライトが颯汰の黒い瞳に映り込んでゆらゆらと揺れているのがすごく綺麗で、思わずそのまま瞳に見惚れてしまう。
ぼぅっと見つめていると、いつの間にか颯汰の瞳がブレるほど近付いていた。
あれ?っと思った瞬間、柔らかい感触が頬にそっと触れた。
ちゅ、ちゅ、と続けて両頬にキスを落とした颯汰は、続けておでこや鼻先にもキスを落としていく。
『ふふ・・・っ、颯汰、どうしたの?擽ったいよ』
クスクスと笑いながらそう言うと、僕を観察するみたいにジッと見つめていた颯汰の瞳にグッと熱が篭り、僕の唇に、そっと熱が落とされた。
ちゅ、と一瞬だけ触れた唇にキョトンとしていると、少し眉を下げた颯汰にぎゅっと優しく抱きしめられた。
「また、俺とデートしてくれる?」
少し苦しそうに耳元でそう囁く颯汰に、首を傾げつつももちろんだよ、とコクリと頷くとホッとしたように息を吐き出しゆっくりと体を離された。
本当に急にどうしたんだろうとキョトンとして颯汰を見ていると、ふっと苦笑した颯汰にまたサラリと手を取られ指が絡んだ。
その日はそのまま指を絡ませたまま過ごし、門限ギリギリで寮に帰ったんだ。
ーーー・・・寝る準備を済ませた僕はベッドに入り今日の事を思い返す。
今日は本当にすごく楽しかったなぁ。メイド喫茶も水族館も初めてだったし、すごく新鮮だった。
メイドさん、僕もあんなふうに出来るかな?練習しなきゃだよね。
でもあんなミニスカ履くのはちょっとやだなぁ・・・。僕、男の子だし似合わないと思うんだよね。
水族館、また行きたいなぁ。あ、動物園にも行ってみたい。次の長期休みでもみんなの事誘ってみようかな?
それにしてもみんな、遊ぶことデートって言うよね。流行りなのかな?
なんて事をつらつらと考えながら、ゆっくりと微睡んでいく。
今日はたくさん動いたから明日は1日、絶対にゆっくりしようって決めたあたりで、深い眠りに落ちていった。
水族館に入った僕達は、大きな水槽の中で泳いでいる色々な魚を見ていた。
何故か人が少なく、見るスペースが充分に確保できる状況にホッとしつつ目の前を優雅に泳ぐ大きなサメをキラキラと瞳を輝かせながら視線で追いかける。
『颯汰、凄いよ、大きいよ!』
袖をクイクイと引っ張りながらそう言うと、優しく微笑んでそうだねって頭を撫でてくれた。
えへへ、と笑いながら颯汰から水槽に視線を戻すと、突然つぶらな瞳とアヒル口の可愛いお顔が視界いっぱいに広がり、驚いてビクリと肩を震わせ颯汰の腕にしがみついてしまう。
『う、わぁ!びっ、くりしたぁ・・・!』
「あはは・・・っ!エイの裏側だね。顔に見えるの可愛いよね」
腕にしがみついている僕の腰に手を回して嗜めるようにポンポン、としてくれた颯汰は、驚いた僕を見つめながら楽しそうに笑う。
『コレ、顔じゃないの?裏側?』
水族館なんて縁が無かった僕はエイの裏側を見たのも初めてで、お顔だと思い込んでたからびっくりして目をまんまるにしたまま颯汰を見ると、また楽しそうに教えてくれた。
「そうだよ。あの目に見える所は鼻なの。目は表についてるからね」
『そうなんだ・・・!知らなかったぁ。颯汰凄いねっ!』
「妹が海の生物が好きでさ、よく図鑑一緒に見させられてたんだ。だから本物は見た事なくても知識だけはちょっとあるかな」
『そうなんだ!妹ちゃんがいるんだね。颯汰みたいなお兄ちゃん、自慢だろうなぁ』
「いやー・・・、どうかな?俺の妹、癖が強いからなぁ」
ちょっと苦笑しながらそういう颯汰の顔は、なんだかんだすごく優しい顔で、兄妹仲が良いんだなぁってちょっとほっこりしちゃう。
「あ、遥、あっちでペンギン見れるみたいだよ。行ってみよう?」
『ペンギン!行く!!』
颯汰に腰を支えられたまま促されるようにペンギンの元へ向かうと、たっくさんのペンギンが直立不動で首だけキョロキョロしていたり毛繕いみたいに体をクイクイと嘴?で突いている様子にキョトンとしてしまう。
・・・・・・びっくりするくらい首しか動かない。ジッと見つめていると、1番近くに居た子がよちよちとこちらに歩いてきた。
歩き方めちゃめちゃ可愛い!
そう思いながらあの子はどこに行きたいんだろうって視線で追っていると、何故か僕の目の前でピタリと止まって、チョンチョンと嘴でガラスを突きはじめた。
へぁ?
何してるんだろう?って首を傾げていると、颯汰が肩を震わせながら笑いを堪えていた。
『颯汰?どうしたの?』
「いや・・・・・・、ごめ、ふふっ、は、はるの魅力はペンギンにも通用するのかと思ったら、ちょっと、面白く・・・ふはっ!」
『何それぇ。コレ、ペンギンさんに好かれてるの?どっちかっていうと舐められてるんじゃ・・・?』
少ししょぼんとしながらそう言うと、颯汰が僕の手をそっと取り、ペンギンさんが突いているガラスに手を連れていかれる。
「いや、絶対好かれてるよ。ほら、ペンギンさんも嬉しそうだ」
そう言って颯汰が楽しそうに笑うから何だか本当にそんな気がしてきて僕もふふって笑ちゃった。
そうだったら良いなぁ、なんて笑いながらそのまま指を絡ませ次の場所へ手を引かれる。
こんなふうにルート通り進んでいると、他の場所より薄暗い空間にたどり着いた。人も全然見当たらないこの奥まった場所に、ライトアップされた水槽が間隔を開けて何個か置いてある。
『綺麗・・・』
「・・・そうだね、すごく綺麗だ」
ライトアップされた水槽には、ふよふよと優雅に浮かぶクラゲがたくさん居てとても綺麗だった。
思わず溢れた言葉に颯汰が反応してくれたので颯汰の方に視線を向けると僕をジッと見つめていた瞳とパチリと視線が合う。
水槽のライトが颯汰の黒い瞳に映り込んでゆらゆらと揺れているのがすごく綺麗で、思わずそのまま瞳に見惚れてしまう。
ぼぅっと見つめていると、いつの間にか颯汰の瞳がブレるほど近付いていた。
あれ?っと思った瞬間、柔らかい感触が頬にそっと触れた。
ちゅ、ちゅ、と続けて両頬にキスを落とした颯汰は、続けておでこや鼻先にもキスを落としていく。
『ふふ・・・っ、颯汰、どうしたの?擽ったいよ』
クスクスと笑いながらそう言うと、僕を観察するみたいにジッと見つめていた颯汰の瞳にグッと熱が篭り、僕の唇に、そっと熱が落とされた。
ちゅ、と一瞬だけ触れた唇にキョトンとしていると、少し眉を下げた颯汰にぎゅっと優しく抱きしめられた。
「また、俺とデートしてくれる?」
少し苦しそうに耳元でそう囁く颯汰に、首を傾げつつももちろんだよ、とコクリと頷くとホッとしたように息を吐き出しゆっくりと体を離された。
本当に急にどうしたんだろうとキョトンとして颯汰を見ていると、ふっと苦笑した颯汰にまたサラリと手を取られ指が絡んだ。
その日はそのまま指を絡ませたまま過ごし、門限ギリギリで寮に帰ったんだ。
ーーー・・・寝る準備を済ませた僕はベッドに入り今日の事を思い返す。
今日は本当にすごく楽しかったなぁ。メイド喫茶も水族館も初めてだったし、すごく新鮮だった。
メイドさん、僕もあんなふうに出来るかな?練習しなきゃだよね。
でもあんなミニスカ履くのはちょっとやだなぁ・・・。僕、男の子だし似合わないと思うんだよね。
水族館、また行きたいなぁ。あ、動物園にも行ってみたい。次の長期休みでもみんなの事誘ってみようかな?
それにしてもみんな、遊ぶことデートって言うよね。流行りなのかな?
なんて事をつらつらと考えながら、ゆっくりと微睡んでいく。
今日はたくさん動いたから明日は1日、絶対にゆっくりしようって決めたあたりで、深い眠りに落ちていった。
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