黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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体育祭はお祭り騒ぎでした

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 控室に入ると、まだあまり人が集まっていなかったけど、隆が人が少ない間に着替えておいた方がいいって言うので、小柄組が着替える予定で確保しておいたらしい隣の教室へ移動してさっさと着替える。こないだ汐先輩にサラシの巻き方を教えてもらったから1人でも着替えられるのだ。僕、成長した!

 ちゃんと着替えて教室に戻るとなぜか隆に前のボタンを全部留められた。こないだ大和先輩にもいきなり前ボタン留められたなぁ。

 ・・・・・・デジャヴ?

 なんでみんなそんなに僕の学ランの前ボタン留めたがるんだろ?自分は全開なのに。変なのぉ。

「遥!午前中はお疲れさまでした。2種目とも1位なんて本当に俺の天使は凄いです。チャイナも最高に似合っていましたよ」

「ハル、おつ、かれ。がんば、て、いー、こ。・・・・・・おれ、チャイ、ナ、もっかい、みた、い」

「はーちゃん凄かったのー!」

「かっこいいのに可愛かったのー!」

「「やっぱりなんでも似合っちゃうはーちゃんは女神だよね!!」」

「遥くん、借り物競争お疲れ様。俺、遥くんに借りられてもいいように待機してたからちょっと残念だったけど、1位おめでとう」

「……S組の優勝に貢献したな。よくやった。……は、はははは、る」

 大人しく隆にボタンを留められていると、扉がガラリと開き、生徒会役員さん達が一気に入ってきたから静かだった教室が急に賑やかになった。

 皆少しずつツッコミ所がある気がするんだけど・・・・・・それよりも会長さん、最後なんて言ったんだろ?はははは?愛想笑い、なわけないよね?うーん?

 コテンと首を傾げつつも、お疲れ様です、と声をかけた。

「あの、すみません・・・・・・会長様、最後聞こえなくて。何て仰いましたか?」

「おおおお俺か?!!べっべつに名前を呼ぶのに緊張しすぎてどもったとかじゃないぞ!!!笑った・・・・・・そうだ!笑っただけだ!!!」

 なるほど、よくわかんない。けど会長様が笑っただけって言うなら笑っただけなんでしょう、うん。

 ちょっと腑に落ちないながらも、なるほど・・・・・・?と言って首を傾げている僕となんだかばつが悪そうな会長様を見て、琉唯先輩が頭を抱えてたんだけど、大丈夫かな?この後応援合戦なのに頭痛くなっちゃったのかな?

「琉唯先輩、頭痛いんですか?大丈夫ですか?」

 失礼します、とペコリと会長様にお辞儀をしてから琉唯先輩の方へ駆け寄ってそう尋ねると、疲れたような顔で頭を撫でてくれた。

「いえ、ちょっとあまりにも小学生のような反応に頭を抱えてしまっただけですので、大丈夫ですよ。普段はカリスマ性があってトップにふさわしい、なんて言われてる癖になんであんなにポンコツになるんだか・・・・・・。副会長として情けない。しかしライバルが減るのは良いことなのかもしれませんね。・・・・・・遥は俺の事を心配してくれたんですか?俺の天使は本当にいい子ですね。ありがとうございます」

 言ってる事の半分は何の事を言ってるのか分からなかったけど、優しく撫でられてぽーっとしてしまう。琉唯先輩が大丈夫って言うなら大丈夫なんだ、きっと。撫でられるたびに思うんだけど、琉唯先輩、撫でるの上手だからいつも頭働かなくなっちゃう~。

 頭を撫でられ、気持ちよさに目を閉じてしまっていた僕は、僕の後ろで項垂れている会長様に向かって琉唯先輩がドヤ顔をしているのには気付けなかった。


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