黒猫ちゃんは愛される

体育祭はお祭り騒ぎでした

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「……えーっと、副会長様、熱烈な愛の告白、でしたね。俺も未だ衝撃が収まりませんが、これ以上話を続けると抹殺されそうなので実況に戻りたいとおもいます！！Ａ組30点！おめでとう！！大丈夫！君には君だけを見てくれる彼がきっと現れますよ！！！ということで次にゴールされた方のお題を確認させていただきたいと思います！！」

　実況さんは気の毒そうにA組の彼を慰めてから2位の人のお題を聞きにその場を離れた。2位の人はガタイの良いＥ組の人で、一番仲のいい人っていうお題だったみたい。なにやら小柄な可愛らしい子をお姫様抱っこしてゴールしてた。抱っこされてる子は恥ずかしそうに赤くなってる。本当に仲良しなんだなぁ。こいつは俺のだって言ってるＥ組くんに、実況さんが興奮してる。あ、なるほど？このお2人はカップルなんですね。実況さんの解説でやっと分かる僕には、やっぱり色恋を察するのは苦手なのかもしれない。

　……あれ？さっき琉唯先輩に告白した子、涙目で実況さんを熱く見つめてるんだけど。あれれ……？さっきまでその目、琉唯先輩に向けてなかったっけ？……うーん、でも僕、色恋を察するのが苦手だってさっき思ったばっかりだし？思い違いかな？そんなすぐに好きな人が変わるなんてないよね？

　……なんか混乱してきた。だめだめ、次は僕も走らないといけないんだから。プルプルっと頭を振って余計な思考を追い出した。

「遥？どうした？」

「んーん、何でもない。それより次のレースだから緊張してきた」

「なるほど。変なのが当たらないように俺も祈ってるから大丈夫だって」

「りつぅ～……！ありがとう！僕も律のレースの時、変なの当たらないように祈っとくぅ～！！」

「続きまして第2レースの方、前へお願いしま～す！……お！第2レースは氷姫の出場です！！さて、どんなお題が引かれるのか！楽しみです！！」

　よし！たくさん大丈夫って言ってもらったんだ、頑張るぞっ！！
　律にバイバイって手を振ってからスタート位置に向かう。自分を落ち着かせるようにフーッと息を吐いてクラウチングスタートの準備をした。

　しかしなんでこんなにざわざわしてるんだろ？

「いやー……なぜクラウチングスタートをしているだけなのに、見てはいけないものを見ている感じがするのでしょうか。えー……気を取り直して、では！位置について～よ～い……ドンッ！」

　実況さんが何か言ってた気がするけど、正直心臓バクバクしてて聞いてなかった。スタートの合図だけは聞き逃さないように、合図に合わせて飛び出した。

「氷姫やはり早い！障害物競争の時も思いましたが、走り姿は可憐なのに俊足です！50ｍ走、1位通過！さてどのお題を引くのか！！天は俺たちに見方をしてくれるのかぁ～？！当たりこぉおおおおおおい！！！！！」

　えーと。迷う時間ももったいないよね。目の前の紙を引こうっ！

「氷姫、目の前の紙を手に取って開いたぁあああ！！！！目の前にあるものをそのまま取る潔さ！意外と男前です！！！おぉっとお！何やら紙を見つめて考え込んでいるー！！！一体何を引いたのか？氷姫に選ばれる幸運な野郎はどいつだぁああああああ！！！！！！」