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体育祭はお祭り騒ぎでした
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単純な僕は律と話してるうちにさっきの怒りは頭から抜けて、次の競技の事とかを楽しくお話ししながらテントへと戻ると、隆が駆け寄ってきてくれた。
「律、遥、お疲れ。2人とも1位すげぇな。はい、これスポドリ。今日暑いから飲んどけよ」
1本ずつ渡してくれたペットボトルを受け取る。律はさっき何か飲んでたみたいだからそのまま話を続けていたけど、僕は何も飲んでなかったから律が話している間に喉を潤してから口を開いた。
「ありがとー!出たくなかったけど出るからには1位取りたくて頑張ったよね。衣装ガチャも運が良かったから吹っ切って爆走できた」
「隆、ありがと!僕は最初衣装見て嘘でしょって思ったけど、外出たら吹っ切れたかな。律が頑張って1位になったのに、僕が足引っ張るわけにはいかないからねっ!でもパンの高さが思ったより高くて焦ったよぉ~」
「ふはッ!律のスモッグ、似合ってたぞ。クク……ッ」
「律のスモッグは本当可愛かったよねぇ~!」
「笑うなよぉ~……。遥までそんなこと言って。ミニスカよりはましだろ!」
笑いを噛み殺しながらそう言った隆は、不服そうな律を見て、それはそうだな、って笑いながら言い、笑いを落ち着かせるように一度深呼吸をしてから僕の方に視線を向けた。
「遥は着替えブース開けた瞬間綺麗に固まったから、何が当たったんだとヒヤヒヤしたな。チャイナ、クソ可愛かった、けど、寮に帰ったらスリットで爆走した件についてお話ししような」
「へ……?」
「え?遥、あのスリットで爆走したの?」
「そう、あれは何も気にしてなかった」
「それはギルティ。諦めて隆のお小言を聞きなされ」
「え、え??ダメだったの?だって競争だよ??なんでぇ?」
えっ?えっ?と隆と律を交互に見ながら混乱してると、隆に後でな、って頭をポンポンってされた。解せぬ。
「そういえば颯汰と雪兎は?居なくね?」
律がキョロキョロするのにつられて僕もキョロキョロとあたりを見回したけど、そういえば見かけない。近くに居たら雪兎の大きい声は絶対聞こえてくるはずだから、近くにも居なさそうだ。どこ行ったんだろ?首を傾げていると、隆が選手が集合するゲートを指さした。
「2人はあそこ。次、綱引きだからもう集合なんだってよ。2人が帰ってくるのギリギリまで待ってたけど、もう時間無かったから後で絶対話すんだって言い残して向こうに行ったよ」
なるほど、2人は綱引きに出るんだ。颯汰は体が大きいし、普通に力も強いから選ばれるのも納得。雪兎は僕と同じ背格好なのに、何故かめちゃめちゃ力が強いんだよね。だから綱引きも強いのかも。あの馬鹿力、どこから出てるんだろ?
雪兎の馬鹿力を改めて不思議に思いつつも、そうなんだ、応援しなきゃね、って返事をした。
「水瀬様!1位おめでとうございます!凄かったです!」
隆たちとの会話がひと段落したのを見計らったように、クラスメイトの人達が口々におめでとうを言ってくれた。普段全然話しかけてくれないのに、体育祭って凄いんだなぁ。
「ありがとう。嬉しい」
そんな風にクラスメイトさんの言葉に受け答えしている間、律と隆は何か話しているみたい。何話してるかは分からないけど、あの2人は中等部から同じクラスみたいだし、なんだかんだ仲良しだよね。
「でも意外だな。律ならスリット無視で爆走したのも美味しいとか言い出すかと思ってたわ」
「あー……いや、腐男子的には確かに美味しいのか」
「……律、最近遥での妄想、口にする事減ったよな」
「そっかなぁ……。言われてみればそうかも。なんでだろ。なんかモヤるから?うーん……?」
「ふーん、無意識なんだな……。ま、遥の事が大事なんだろ」
「うん、それはそう。遥は大事な友達だよ。あ、それで言おうと思ってた事思い出した。さっき会計の親衛隊の奴が遥に突っかかってきて暴言吐きやがった。遥と同じコース走って彼シャツ着てたやつ。遥がスパッと叩き切ってたけど、逆恨みしてそう。会計の親衛隊、一部は過激派らしいから隆も気を付けて見てて。何なら風紀でも共有しといたほうがいいかも」
「あ゛?遥に暴言とかふざけてんな。彼シャツ……正直遥しか見てなかったから覚えてねぇな。誰だ?……とりあえずわかった、サンキューな。この前の新歓の事件から、委員長たちもお前らと遥の事気にしてくれてるし、共有しとく。そいつの名前も風紀で確認しとくよ」
「おう、頼んだ。俺も口ぶりから会計の親衛隊って事しか分からなかったけど、1回遥が会計と一緒に居る所を見られてるみたいだったから、それで逆恨みしてるんじゃねぇかな。……内容は妄想だらけの幼稚な罵倒ばっかりだったけど、腹立ちすぎてあいつの口、縫ってやろうかと思った。思い出しても腹立つ」
「そんなにか。今はあれだから後で詳細聞かせろ。それも含めて風紀で共有しておく」
「りょーかい」
そんな会話が2人の間でされていた事なんて露知らず、僕は慣れないクラスメイト達との会話でちょっと疲れていた。
「皆様お待たせいたしました!点数の集計が終了いたしましたので、発表に入りますっ!」
……助かった!あんなにお友達欲しかったけど、実際に人に囲まれると疲れるもんなんだなぁ。
「律、遥、お疲れ。2人とも1位すげぇな。はい、これスポドリ。今日暑いから飲んどけよ」
1本ずつ渡してくれたペットボトルを受け取る。律はさっき何か飲んでたみたいだからそのまま話を続けていたけど、僕は何も飲んでなかったから律が話している間に喉を潤してから口を開いた。
「ありがとー!出たくなかったけど出るからには1位取りたくて頑張ったよね。衣装ガチャも運が良かったから吹っ切って爆走できた」
「隆、ありがと!僕は最初衣装見て嘘でしょって思ったけど、外出たら吹っ切れたかな。律が頑張って1位になったのに、僕が足引っ張るわけにはいかないからねっ!でもパンの高さが思ったより高くて焦ったよぉ~」
「ふはッ!律のスモッグ、似合ってたぞ。クク……ッ」
「律のスモッグは本当可愛かったよねぇ~!」
「笑うなよぉ~……。遥までそんなこと言って。ミニスカよりはましだろ!」
笑いを噛み殺しながらそう言った隆は、不服そうな律を見て、それはそうだな、って笑いながら言い、笑いを落ち着かせるように一度深呼吸をしてから僕の方に視線を向けた。
「遥は着替えブース開けた瞬間綺麗に固まったから、何が当たったんだとヒヤヒヤしたな。チャイナ、クソ可愛かった、けど、寮に帰ったらスリットで爆走した件についてお話ししような」
「へ……?」
「え?遥、あのスリットで爆走したの?」
「そう、あれは何も気にしてなかった」
「それはギルティ。諦めて隆のお小言を聞きなされ」
「え、え??ダメだったの?だって競争だよ??なんでぇ?」
えっ?えっ?と隆と律を交互に見ながら混乱してると、隆に後でな、って頭をポンポンってされた。解せぬ。
「そういえば颯汰と雪兎は?居なくね?」
律がキョロキョロするのにつられて僕もキョロキョロとあたりを見回したけど、そういえば見かけない。近くに居たら雪兎の大きい声は絶対聞こえてくるはずだから、近くにも居なさそうだ。どこ行ったんだろ?首を傾げていると、隆が選手が集合するゲートを指さした。
「2人はあそこ。次、綱引きだからもう集合なんだってよ。2人が帰ってくるのギリギリまで待ってたけど、もう時間無かったから後で絶対話すんだって言い残して向こうに行ったよ」
なるほど、2人は綱引きに出るんだ。颯汰は体が大きいし、普通に力も強いから選ばれるのも納得。雪兎は僕と同じ背格好なのに、何故かめちゃめちゃ力が強いんだよね。だから綱引きも強いのかも。あの馬鹿力、どこから出てるんだろ?
雪兎の馬鹿力を改めて不思議に思いつつも、そうなんだ、応援しなきゃね、って返事をした。
「水瀬様!1位おめでとうございます!凄かったです!」
隆たちとの会話がひと段落したのを見計らったように、クラスメイトの人達が口々におめでとうを言ってくれた。普段全然話しかけてくれないのに、体育祭って凄いんだなぁ。
「ありがとう。嬉しい」
そんな風にクラスメイトさんの言葉に受け答えしている間、律と隆は何か話しているみたい。何話してるかは分からないけど、あの2人は中等部から同じクラスみたいだし、なんだかんだ仲良しだよね。
「でも意外だな。律ならスリット無視で爆走したのも美味しいとか言い出すかと思ってたわ」
「あー……いや、腐男子的には確かに美味しいのか」
「……律、最近遥での妄想、口にする事減ったよな」
「そっかなぁ……。言われてみればそうかも。なんでだろ。なんかモヤるから?うーん……?」
「ふーん、無意識なんだな……。ま、遥の事が大事なんだろ」
「うん、それはそう。遥は大事な友達だよ。あ、それで言おうと思ってた事思い出した。さっき会計の親衛隊の奴が遥に突っかかってきて暴言吐きやがった。遥と同じコース走って彼シャツ着てたやつ。遥がスパッと叩き切ってたけど、逆恨みしてそう。会計の親衛隊、一部は過激派らしいから隆も気を付けて見てて。何なら風紀でも共有しといたほうがいいかも」
「あ゛?遥に暴言とかふざけてんな。彼シャツ……正直遥しか見てなかったから覚えてねぇな。誰だ?……とりあえずわかった、サンキューな。この前の新歓の事件から、委員長たちもお前らと遥の事気にしてくれてるし、共有しとく。そいつの名前も風紀で確認しとくよ」
「おう、頼んだ。俺も口ぶりから会計の親衛隊って事しか分からなかったけど、1回遥が会計と一緒に居る所を見られてるみたいだったから、それで逆恨みしてるんじゃねぇかな。……内容は妄想だらけの幼稚な罵倒ばっかりだったけど、腹立ちすぎてあいつの口、縫ってやろうかと思った。思い出しても腹立つ」
「そんなにか。今はあれだから後で詳細聞かせろ。それも含めて風紀で共有しておく」
「りょーかい」
そんな会話が2人の間でされていた事なんて露知らず、僕は慣れないクラスメイト達との会話でちょっと疲れていた。
「皆様お待たせいたしました!点数の集計が終了いたしましたので、発表に入りますっ!」
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