黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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入学したら未知の世界でした

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 なんとか受付を終えて講堂に入ると、既に席がほぼ埋まっていた。


「前の方全部埋まってるね。さすが進学校だねぇ。僕は後ろの方が良かったから助かったけど」

 ホッとしながらそう言うと、隆が苦虫を噛み潰したような顔になり、そんないい理由じゃねぇと思うぞ。と呟くから、どういうこと?と聞き返そうとした時

 きゃああああーーー!!!!!

 と、耳をつんざくような悲鳴があちこちから上がった。

 ビクリと肩が震え、思わず耳を抑えながら何事かと周囲を見回すと、皆の視線は舞台の上に出てきた生徒らしき人達に向かっていた。

「神宮寺様ぁああああ!!!!格好良いですぅうう!!」
「早乙女様ー!今日もお綺麗ですー!素敵ぃぃぃぃ!!」
「桐生様ー!今日も男らしい!ついて行きますー!!!」
「九條様~!!!抱いてくださいぃぃいい!!!」
「朝陽様、夕陽様、今日もお可愛らしいですうぅぅぅ!!!」

 思わずポカンと叫んでいる人達を見ていると、隆が耳元に口を寄せて。

「生徒会のやつら。あいつらに近くで会いたいから前が埋まってたんだよ」

 って教えてくれた。え?芸能人か何か?




「黙れ」




「⋯⋯⋯⋯っ!」

 赤髪のとっても目立っている人がマイクを持ち、低めのよく通る声が講堂に届いた瞬間、水を打ったように辺りが静まり返った。え、本当に何事?と目を白黒させていると、赤髪の人が銀髪の眼鏡美人さんにポイッとマイクを渡した。

「えー⋯⋯、今から入学式を執り行います。皆様、その調子でお静かにお願い致します。まず、生徒会から一言ずつ挨拶をさせていただきます」

 銀髪の人はニッコリと仮面のような笑顔を貼り付けてる人だなぁって思ったけど、それでもとっても美人さんだからちゃんと笑ったらもっと綺麗なんだろうなぁ。

「まず私、生徒会副会長を務めさせて頂いております、2年の早乙女 琉唯さおとめ るいと申します。皆様入学おめでとうございます。3年間、いい子にお過ごしくださいね。次は桐生、お願い致しますね」

「僕⋯⋯せ⋯とかい⋯しょ、き。にね、ん⋯⋯きりゅ、や⋯ま、と。よ⋯⋯しく。⋯め、でと」

「はいはぁ~い!このでっかいワンコは書記の桐生 大和きりゅう やまと先輩でぇ~、2年生だよぉ~。俺はぁ~1年の九條 湊くじょう みなとだよぉ~。今年から会計する事になりましたぁ。ちわわちゃん達ぃ、よろしくねぇ~っ!」

「「次は僕達~!」」
「1年の月城 朝陽つきしろ あさひと」
「1年の月城 夕陽つきしろ ゆうひでーす!」
「「僕達は~双子で生徒会庶務をしまーす!」」
「「みーんなっ!よろしくねぇ~」」

「はい、ありがとうございました。最後にバ会長。一言お願いします」

「バ会長っつーなっての!⋯⋯ったく。2年、生徒会長神宮寺 慧じんぐうじ けいだ。お前ら俺に迷惑かけないように。程々に楽しめ。以上」






 ・・・・・・きゃああああああああああああぁぁぁ!!!







 生徒会の人達が話し終えた瞬間、一際大きい歓声が響き渡った。


 その声にまた驚いてビクリと震えてしまった。慣れる気がしない。

 でもきっと生徒会の人達は昨日隆が教えてくれた学園のアイドルってやつなんだな、って気付いた。顔がイイって凄いね。

「大丈夫か?」

 隆が心配そうにこっちを伺っていたので、ん、と頷いて

「なんだか生徒会の人達ってキャラが濃いんだね⋯⋯。僕はちょっと怖いかもしれない」

 そう、コソッと耳打ちした。

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