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どうやら僕は転生してしまったらしい
side:セオドア⑤
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ノアの記憶が無い、と?そんな事が本当に起きえるのか?
今までとは違いすぎる様子に、記憶がないとなれば確かに辻褄は合うのか、とも思う。今だってぽやんとした顔で美味しそうにレモン水を飲んでいる。俺の前でこんなに無防備になるなんて、それこそここ最近のノアでは有り得ない事なのだ。
もし本当に記憶が無いのだとしたらどんなに心細いだろうか。気付いたら知らない人に囲まれていて、自分が誰かもわからないなんてきっととても恐ろしい事だろう・・・・・・。
可愛いノアがそんな思いをしているなんて、と思わずノアに再度確認をとってしまった。
すると先ほどまで気を抜いてぽやんとしていた顔がしょぼんと悲しそうな顔になってしまったのだ。やはりとても不安だったのだろう。今までの記憶が無くなってしまっているのなら、きっと俺のノアへの対応も余計に不安にさせてしまっていたのではないだろうか・・・・・・。
ノアを不安にさせるなど言語道断だ。
しかし確認は必要だ。ここで俺が調子に乗ってノアの名前を呼んで、深層心理のようなものが働き、今のノアにとってはよく分からないが何故だか嫌な気持ちになって戸惑う事だってあるかもしれない。例え記憶が無くなっていたとしてもノアはノアだ。そのような事も起きる可能性がある。
だから俺は確認したのだ。本当にノアの名前を呼んでもいいのか、と。
するとなんとノアは戸惑いながらも俺に名前を呼んでもらいたいと、そう言ってくれたのだ。
俺は再度神に感謝を捧げたい気持ちを抑える事ができなかった。
ノアの記憶が無くなってしまったことはとても心配だ。しかしノアが俺を遠ざけず、むしろ仲良くなりたいとでも言うような挙動をしてくれるのだ。神が俺にもチャンスを下さったのかもしれない。
記憶が無くなってしまったノアはこれからたくさん大変な事があるだろう。しかし俺はノアを支え、今まで同様・・・・・・いや、今まで以上にノアを護ると改めて神へと誓った。
こうして神へ感謝を告げていると、サミュエルにノアが戸惑っていると指摘されてしまった。
確かに急に兄が神へと感謝を捧げ始めたら戸惑ってしまうかもしれない。しかも大切な話の途中なのに、だ。これは反省しなければならない。俺が今一番にしなければならない事は、ノアの希望通り名前を呼ぶ事なのだから・・・・・・!
それに気付かせてくれたサミュエルへありがとう、と気持ちを込めて一瞬視線を投げた後、ノアへと謝った。可愛いノアを戸惑わせてしまうなんて不覚だった。
よし、ノアの名前を呼ぶのだ。
本人を目の前にして名前を呼ばせてもらえるなんていつぶりだろうか。心の中ではいつも呼んでいたのだが、いざ久しぶりに口に出そうとするとなんだか照れ臭いものだな、と体温の上昇を感じながらも息を吸い込んだのだが。
・・・・・・やってしまった。勢い余って大声を出してしまった。ノアの大きな瞳がさらに大きくまんまるになるほど驚かせてしまったのだ。
反省して謝って呼び直そうとしたところ。ノアがそれはそれは嬉しそうにふにゃりと笑ってくれたのだ。
ノアが成長してからこのような笑みを向けてもらったことなど皆無な俺は、それは見事に心臓をブチ破られた。この花が綻ぶような笑顔の破壊力は凄いぞ。本当に、凄いぞ。
早鐘を打つ心臓に、思わず胸元をグッと掴むとノアに心配されてしまった。不謹慎ではあるが、心配そうに眉を垂らすノアも魅力的だ。
しかしノアが悲しそうなのはよろしくない。そう思い先ほどの挙動の理由を説明し、あわよくば幼き頃のようにセオにぃ様と呼んではもらえないかと提案をしてみた。
・・・・・・調子に乗ってしまっただろうか。さすがに愛称は嫌がるだろうか。先ほどとは違う意味で心臓が早鐘を打つ。
が、そんな俺の心配は杞憂であったのだ。何故ならノアはそれはそれは嬉しそうに俺の愛称を呼んでくれたのだ!
俺の弟はなんと可愛らしいんだろうか。聞こえないと思ったのか一度小さな声でセオにぃ様と呟いていたのもとても!とても!愛らしかった!
再度心臓をブチ抜かれた俺のことを心配してくれたノアが、俺が持病持ちじゃ無いかと心配し、トマスに本当にセオにぃ様は大丈夫なのかと聞きに来たのだと聞いたときには、その愛らしさにまた心臓をブチ抜かれてしまったのだ。
・・・・・・ノアを心配させないよう、どのようなことがあっても動揺しない強い心も必要だ。心とはどうやって鍛錬するべきか、などと色々試行錯誤しているのだが、ノアの愛らしさに打ち勝つのは難しそうだ。
今までとは違いすぎる様子に、記憶がないとなれば確かに辻褄は合うのか、とも思う。今だってぽやんとした顔で美味しそうにレモン水を飲んでいる。俺の前でこんなに無防備になるなんて、それこそここ最近のノアでは有り得ない事なのだ。
もし本当に記憶が無いのだとしたらどんなに心細いだろうか。気付いたら知らない人に囲まれていて、自分が誰かもわからないなんてきっととても恐ろしい事だろう・・・・・・。
可愛いノアがそんな思いをしているなんて、と思わずノアに再度確認をとってしまった。
すると先ほどまで気を抜いてぽやんとしていた顔がしょぼんと悲しそうな顔になってしまったのだ。やはりとても不安だったのだろう。今までの記憶が無くなってしまっているのなら、きっと俺のノアへの対応も余計に不安にさせてしまっていたのではないだろうか・・・・・・。
ノアを不安にさせるなど言語道断だ。
しかし確認は必要だ。ここで俺が調子に乗ってノアの名前を呼んで、深層心理のようなものが働き、今のノアにとってはよく分からないが何故だか嫌な気持ちになって戸惑う事だってあるかもしれない。例え記憶が無くなっていたとしてもノアはノアだ。そのような事も起きる可能性がある。
だから俺は確認したのだ。本当にノアの名前を呼んでもいいのか、と。
するとなんとノアは戸惑いながらも俺に名前を呼んでもらいたいと、そう言ってくれたのだ。
俺は再度神に感謝を捧げたい気持ちを抑える事ができなかった。
ノアの記憶が無くなってしまったことはとても心配だ。しかしノアが俺を遠ざけず、むしろ仲良くなりたいとでも言うような挙動をしてくれるのだ。神が俺にもチャンスを下さったのかもしれない。
記憶が無くなってしまったノアはこれからたくさん大変な事があるだろう。しかし俺はノアを支え、今まで同様・・・・・・いや、今まで以上にノアを護ると改めて神へと誓った。
こうして神へ感謝を告げていると、サミュエルにノアが戸惑っていると指摘されてしまった。
確かに急に兄が神へと感謝を捧げ始めたら戸惑ってしまうかもしれない。しかも大切な話の途中なのに、だ。これは反省しなければならない。俺が今一番にしなければならない事は、ノアの希望通り名前を呼ぶ事なのだから・・・・・・!
それに気付かせてくれたサミュエルへありがとう、と気持ちを込めて一瞬視線を投げた後、ノアへと謝った。可愛いノアを戸惑わせてしまうなんて不覚だった。
よし、ノアの名前を呼ぶのだ。
本人を目の前にして名前を呼ばせてもらえるなんていつぶりだろうか。心の中ではいつも呼んでいたのだが、いざ久しぶりに口に出そうとするとなんだか照れ臭いものだな、と体温の上昇を感じながらも息を吸い込んだのだが。
・・・・・・やってしまった。勢い余って大声を出してしまった。ノアの大きな瞳がさらに大きくまんまるになるほど驚かせてしまったのだ。
反省して謝って呼び直そうとしたところ。ノアがそれはそれは嬉しそうにふにゃりと笑ってくれたのだ。
ノアが成長してからこのような笑みを向けてもらったことなど皆無な俺は、それは見事に心臓をブチ破られた。この花が綻ぶような笑顔の破壊力は凄いぞ。本当に、凄いぞ。
早鐘を打つ心臓に、思わず胸元をグッと掴むとノアに心配されてしまった。不謹慎ではあるが、心配そうに眉を垂らすノアも魅力的だ。
しかしノアが悲しそうなのはよろしくない。そう思い先ほどの挙動の理由を説明し、あわよくば幼き頃のようにセオにぃ様と呼んではもらえないかと提案をしてみた。
・・・・・・調子に乗ってしまっただろうか。さすがに愛称は嫌がるだろうか。先ほどとは違う意味で心臓が早鐘を打つ。
が、そんな俺の心配は杞憂であったのだ。何故ならノアはそれはそれは嬉しそうに俺の愛称を呼んでくれたのだ!
俺の弟はなんと可愛らしいんだろうか。聞こえないと思ったのか一度小さな声でセオにぃ様と呟いていたのもとても!とても!愛らしかった!
再度心臓をブチ抜かれた俺のことを心配してくれたノアが、俺が持病持ちじゃ無いかと心配し、トマスに本当にセオにぃ様は大丈夫なのかと聞きに来たのだと聞いたときには、その愛らしさにまた心臓をブチ抜かれてしまったのだ。
・・・・・・ノアを心配させないよう、どのようなことがあっても動揺しない強い心も必要だ。心とはどうやって鍛錬するべきか、などと色々試行錯誤しているのだが、ノアの愛らしさに打ち勝つのは難しそうだ。
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