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第一章
42 知識
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食器の片付けを終えると、錬は二人が風呂から出てくる少し前に、隣に借りている自分の部屋に帰って行った。
その後月光達が風呂を上がり月光が部屋に戻ったのを確認し、翔は交代で風呂に入った。
風呂を上がって、眠そうに翔を待っていた月光を寝かせていると、美颯の部屋に呼ばれた。
部屋に入り、美颯の正面にある椅子に座る。美颯はパソコンを触っていたようだが翔が座ると電源を切ってパソコンを机の端に寄せた。
用件を尋ねると、最近の月光の様子で何か変わったことはないかと聞かれた。
時々外出をせがまれるくらいで特に変化はない。だから正直にそう答えた。
ほかにも月光のことをいろいろと聞かれ、最近月光がほぼ毎日夢精していることや、月光が中高生の時に毎回保健の授業を休ませていて、月光に性知識が全くないことを伝えた。
「毎回授業休ませるのはむりでしょ。そんなことできる?」
「親は無干渉だったし、月光は真面目に授業を受けてたから先生もサボりだなんて思わなかったんだろうな」
精通は、知識がなければ体験しないものというわけでもないことは当然分かっていたが、月光には幼いまま、何も知らずにいてほしかった。
勉強もしてほしくなかったから、月光が中学生になってからは月光の宿題を翔が静奈に教えてもらいながらして、授業以外では一切勉強をさせなかった。
月光はバカなままでいいのだ。その分翔が勉強もほかのことも頑張って、月光を一生養うから。
「そっかぁ。でもどうするつもりだったの?」
「今まで通り、俺が毎朝月光の下着を変えるだけで月光が知らずに過ごせるならそのままがいい。……できれば、ずっと教えたくない」
「そういう訳にもいかないのは翔も分かるでしょ?いつか絶対知ることなんだから月光が自分で対処できるようにしてあげないと」
「そう……だけど、……」
ずっと今の月光のままでいて欲しい。非力で臆病な月光のまま、声変わりだってしてほしくないし、性に関する知識なんて一生聞かせたくない。
「翔が言いたくないなら、明日にでも僕から教えるよ」
「……」
「……いい?」
「……わかった」
翔は渋々頷いた。
本当は嫌だが、養ってくれている美颯に言われれば頷くしかない。
「……嫌?」
美颯が苦笑しながら見つめてくる。
☆
本当はもう教えてしまったなんて、不服そうな顔をする翔に言い辛い。だから今から教えるということにした。
「嫌なら翔が教える?」
月光の成長を見たくない翔はおそらく拒否するだろうと予想しつつ尋ねると、案の定翔は首を左右に振った。
「……そっか、じゃあ僕から教えとくね」
そう言うと翔は少し間を開けてから、ありがとうと呟いた。
「月光もだけど翔も礼儀正しいよね。ご両親の育て方が良かったんだね」
行儀が良いと思ったのは事実だ。だが翔達の両親の育て方があまり良くなかったことはストーカーをしていたので知っている。
「……俺はあの人達のこと、あまり好きじゃなかった。月兄はあの人達に懐いてたから嫌われないように行儀よくしてたんだろうな」
「そうなの?」
「ああ。俺は月兄の真似がしたいだけ」
「そういうとこは月光がお兄ちゃんなんだ」
そう言って笑うと、翔も嬉しそうに微笑んで頷いた。
その後月光達が風呂を上がり月光が部屋に戻ったのを確認し、翔は交代で風呂に入った。
風呂を上がって、眠そうに翔を待っていた月光を寝かせていると、美颯の部屋に呼ばれた。
部屋に入り、美颯の正面にある椅子に座る。美颯はパソコンを触っていたようだが翔が座ると電源を切ってパソコンを机の端に寄せた。
用件を尋ねると、最近の月光の様子で何か変わったことはないかと聞かれた。
時々外出をせがまれるくらいで特に変化はない。だから正直にそう答えた。
ほかにも月光のことをいろいろと聞かれ、最近月光がほぼ毎日夢精していることや、月光が中高生の時に毎回保健の授業を休ませていて、月光に性知識が全くないことを伝えた。
「毎回授業休ませるのはむりでしょ。そんなことできる?」
「親は無干渉だったし、月光は真面目に授業を受けてたから先生もサボりだなんて思わなかったんだろうな」
精通は、知識がなければ体験しないものというわけでもないことは当然分かっていたが、月光には幼いまま、何も知らずにいてほしかった。
勉強もしてほしくなかったから、月光が中学生になってからは月光の宿題を翔が静奈に教えてもらいながらして、授業以外では一切勉強をさせなかった。
月光はバカなままでいいのだ。その分翔が勉強もほかのことも頑張って、月光を一生養うから。
「そっかぁ。でもどうするつもりだったの?」
「今まで通り、俺が毎朝月光の下着を変えるだけで月光が知らずに過ごせるならそのままがいい。……できれば、ずっと教えたくない」
「そういう訳にもいかないのは翔も分かるでしょ?いつか絶対知ることなんだから月光が自分で対処できるようにしてあげないと」
「そう……だけど、……」
ずっと今の月光のままでいて欲しい。非力で臆病な月光のまま、声変わりだってしてほしくないし、性に関する知識なんて一生聞かせたくない。
「翔が言いたくないなら、明日にでも僕から教えるよ」
「……」
「……いい?」
「……わかった」
翔は渋々頷いた。
本当は嫌だが、養ってくれている美颯に言われれば頷くしかない。
「……嫌?」
美颯が苦笑しながら見つめてくる。
☆
本当はもう教えてしまったなんて、不服そうな顔をする翔に言い辛い。だから今から教えるということにした。
「嫌なら翔が教える?」
月光の成長を見たくない翔はおそらく拒否するだろうと予想しつつ尋ねると、案の定翔は首を左右に振った。
「……そっか、じゃあ僕から教えとくね」
そう言うと翔は少し間を開けてから、ありがとうと呟いた。
「月光もだけど翔も礼儀正しいよね。ご両親の育て方が良かったんだね」
行儀が良いと思ったのは事実だ。だが翔達の両親の育て方があまり良くなかったことはストーカーをしていたので知っている。
「……俺はあの人達のこと、あまり好きじゃなかった。月兄はあの人達に懐いてたから嫌われないように行儀よくしてたんだろうな」
「そうなの?」
「ああ。俺は月兄の真似がしたいだけ」
「そういうとこは月光がお兄ちゃんなんだ」
そう言って笑うと、翔も嬉しそうに微笑んで頷いた。
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