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第一章
39 安堵
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「ただいま~」
「ただいま」
部屋に戻ってどのくらい経ったのか分からないが、美颯と翔が帰ってきた。
「おかえり。静姉は元気だった?」
月光はくまのぬいぐるみを抱えてベッドで寝転んだまま少し頭を動かして目だけ二人に向けて尋ねる。
外に出たのがバレることは絶対にない、と錬が自信満々に言っていたので、根拠はわからないが錬を信じることにした。
「月光、起き上がっていいよ」
月光の額に手を当てて体温を確認してから、美颯は月光を起き上がらせてくれた。
「よかった、熱は下がってるね」
そう言われて、朝は熱が出ていたんだった、と思い出す。
朝は少し体が怠く寒気もしていたような気がするが、いつからか体調は治っていて、今も美颯に言われるまですっかり忘れていた。
美颯が離れると、今度は翔が近づいてきて抱きしめてくれた。
「翔、おかえり」
「……いい子にしていたか?」
「……うん」
疑うように見つめてくる翔と向かい合うように膝に乗せられる。
嘘をつくのは少し苦しい。でも、外出したことを知られれば錬まで怒られてしまうから、嘘だと悟られないように笑顔で言った。
月光の返事に翔が嬉しそうに微笑む。そして、白いビニール袋が月光に渡された。
「これ、静姉が月光に買ってくれた」
袋を覗くと、中には板のチョコレートが入っていた。
「……静姉から?ぼく、もらっていいの?」
「ああ。月兄板チョコ好きだろ?」
静姉からもらったものがこの部屋には一つもない。だからこのチョコを食べ終えたらアルミと紙の部分は捨てずにしまっておこう。
「うん、やったぁ!でも翔のは?ないなら一緒に食べよ?」
「冷凍庫にある」
翔はアイスクリームが好きだ。冷蔵庫にあるということはチョコではなくアイスクリームを買ってもらったのだろう。
「じゃあこれ一人で食べていい……?」
「ああ。良かったな」
「うん!次はいつ会うの?ぼくも行きたい!」
お礼を言いたいし、一緒に買い物も行きたい。
「……ああ。次は一緒に行こう」
心做しか翔の表情が暗くなった気がして月光は首を傾げた。
「月光、そのお菓子今は食べちゃダメだよ」
もう夜ご飯の時間だから、と言って美颯が手を伸ばしてきた。渡せという意味なのだろう。でも渡したくない月光は、両手で握って少し力を込めた。
「はい。……あの、食べないから持ってていい?」
「持ってると食べたくなるでしょ?明日のお昼ご飯の後で返してあげる」
月光が返事をするより先に、板チョコを強引に取り上げられてしまった。
「あ……」
「明日返してあげるからそれまで我慢しよう?」
「……はい」
いい子~と月光を褒めてから、美颯はチョコを持ったまま部屋を出て行った。
「翔、静姉と何してきたの?」
月光を寝かせようとしているのか、翔は自分の体に凭れかからせて月光の背中をトントンしている。
「静姉と裕太さんのご飯を2人で作った」
「いいなぁ。ほかは?……静姉と何かあった?」
帰って来てからなぜかいつもより少しテンションの低い翔にそう尋ねると、翔の手の動きが一瞬止まった。
「……なんでもない。……少し、疲れただけだ」
翔の手が再びリズム良くトントンと動きはじめる。
「そっか……」
嫌なことがあったのか、逆に静奈と離れたくなくなるほど楽しかったのか分からないが、どちらにしろ聞かれたくないのだろう。
そう思ってこれ以上は何も尋ねないことにした。
「月光ー、ご飯食べようねー」
ウトウトしてきだしたところで美颯がご飯を持って部屋に入って来た。
「月兄、起きてるか?」
「寝ちゃった?」
寝ていることにしたいが、それをすれば翔も美颯も部屋から出ていってしまうからやめた。
「……ねてないです」
「あ、起きてた。ご飯持ってきたから食べよう?」
「はい」
美颯がテーブルに食べ物を置き、翔が椅子に月光を運ぶ。
自分で歩けるのに、と言いたくなるが、翔がそうしたいならと何も言わず翔の好きにさせることにした。
「美颯、俺は錬さんのところ行って来る」
そう言って翔が月光から離れた。
「うん、ありがとう。月光が食べ終わったら僕も行くねー」
「わかった。準備しておく」
翔が部屋から出て行き、美颯が月光の隣にあった椅子に座る。
買い物から帰ったあと、錬は急いで作ったのだろう。今日の献立は月光でも作れそうな簡単なものばかりだった。
錬が言っていたとおり、今日錬が買った人参やネギなどの月光の嫌いな食べ物は、どこにも入っていなかった。
「はい、口開けてー」
美颯が手に持っていたスプーンでスープを月光の口元まで運ぶ。
「美味しい?」
「……はい」
「月光はハム好き?」
「好き。……おいしいから」
「そっか、じゃあまた買って来てもらっとくね」
「はい……ありがと、ございます」
二口目は野菜サラダに入っていたハムだった。月光は口を開けて一口サイズに切られたハムを口に入れてもらった。
「月光、今日は何してた?」
「……今日?」
唐突に尋ねられたが、食べ物が口からなくなるまでは応えず、口をもぐもぐと動かしながらどう答えるべきか考えた。
「……今日は、……今日も、ずっとここで寝てました」
退屈だった、と俯いて呟く。
でも実際は、全く退屈ではなかった。美颯と翔の帰りがもう少し遅くてもよかった。
「へえ、……にしては楽しそうだね」
「え……?」
「何かいいことあった?」
「え、っと……」
──気づかれてる……?
もしそうなら正直に言ったほうが怒られないはずだ。でも、当てずっぽうで言っているだけかもしれない。
いつもなら美颯は月光がしたことを言い当てるのに今日は月光に自分から言わせようとしているから、気づいているのではなく、ただ疑っているだけということもある。
「……ないです。ずっとここにいるから何もない」
「……」
「……美颯さん……?」
「……」
月光は、何も言わずじっと見つめてくる美颯を不安になりながら見つめ返す。
「……あの……」
「……そっか。じゃあ僕の気のせいかもね」
その言葉に、月光はほっとしてうなずないた。
「ただいま」
部屋に戻ってどのくらい経ったのか分からないが、美颯と翔が帰ってきた。
「おかえり。静姉は元気だった?」
月光はくまのぬいぐるみを抱えてベッドで寝転んだまま少し頭を動かして目だけ二人に向けて尋ねる。
外に出たのがバレることは絶対にない、と錬が自信満々に言っていたので、根拠はわからないが錬を信じることにした。
「月光、起き上がっていいよ」
月光の額に手を当てて体温を確認してから、美颯は月光を起き上がらせてくれた。
「よかった、熱は下がってるね」
そう言われて、朝は熱が出ていたんだった、と思い出す。
朝は少し体が怠く寒気もしていたような気がするが、いつからか体調は治っていて、今も美颯に言われるまですっかり忘れていた。
美颯が離れると、今度は翔が近づいてきて抱きしめてくれた。
「翔、おかえり」
「……いい子にしていたか?」
「……うん」
疑うように見つめてくる翔と向かい合うように膝に乗せられる。
嘘をつくのは少し苦しい。でも、外出したことを知られれば錬まで怒られてしまうから、嘘だと悟られないように笑顔で言った。
月光の返事に翔が嬉しそうに微笑む。そして、白いビニール袋が月光に渡された。
「これ、静姉が月光に買ってくれた」
袋を覗くと、中には板のチョコレートが入っていた。
「……静姉から?ぼく、もらっていいの?」
「ああ。月兄板チョコ好きだろ?」
静姉からもらったものがこの部屋には一つもない。だからこのチョコを食べ終えたらアルミと紙の部分は捨てずにしまっておこう。
「うん、やったぁ!でも翔のは?ないなら一緒に食べよ?」
「冷凍庫にある」
翔はアイスクリームが好きだ。冷蔵庫にあるということはチョコではなくアイスクリームを買ってもらったのだろう。
「じゃあこれ一人で食べていい……?」
「ああ。良かったな」
「うん!次はいつ会うの?ぼくも行きたい!」
お礼を言いたいし、一緒に買い物も行きたい。
「……ああ。次は一緒に行こう」
心做しか翔の表情が暗くなった気がして月光は首を傾げた。
「月光、そのお菓子今は食べちゃダメだよ」
もう夜ご飯の時間だから、と言って美颯が手を伸ばしてきた。渡せという意味なのだろう。でも渡したくない月光は、両手で握って少し力を込めた。
「はい。……あの、食べないから持ってていい?」
「持ってると食べたくなるでしょ?明日のお昼ご飯の後で返してあげる」
月光が返事をするより先に、板チョコを強引に取り上げられてしまった。
「あ……」
「明日返してあげるからそれまで我慢しよう?」
「……はい」
いい子~と月光を褒めてから、美颯はチョコを持ったまま部屋を出て行った。
「翔、静姉と何してきたの?」
月光を寝かせようとしているのか、翔は自分の体に凭れかからせて月光の背中をトントンしている。
「静姉と裕太さんのご飯を2人で作った」
「いいなぁ。ほかは?……静姉と何かあった?」
帰って来てからなぜかいつもより少しテンションの低い翔にそう尋ねると、翔の手の動きが一瞬止まった。
「……なんでもない。……少し、疲れただけだ」
翔の手が再びリズム良くトントンと動きはじめる。
「そっか……」
嫌なことがあったのか、逆に静奈と離れたくなくなるほど楽しかったのか分からないが、どちらにしろ聞かれたくないのだろう。
そう思ってこれ以上は何も尋ねないことにした。
「月光ー、ご飯食べようねー」
ウトウトしてきだしたところで美颯がご飯を持って部屋に入って来た。
「月兄、起きてるか?」
「寝ちゃった?」
寝ていることにしたいが、それをすれば翔も美颯も部屋から出ていってしまうからやめた。
「……ねてないです」
「あ、起きてた。ご飯持ってきたから食べよう?」
「はい」
美颯がテーブルに食べ物を置き、翔が椅子に月光を運ぶ。
自分で歩けるのに、と言いたくなるが、翔がそうしたいならと何も言わず翔の好きにさせることにした。
「美颯、俺は錬さんのところ行って来る」
そう言って翔が月光から離れた。
「うん、ありがとう。月光が食べ終わったら僕も行くねー」
「わかった。準備しておく」
翔が部屋から出て行き、美颯が月光の隣にあった椅子に座る。
買い物から帰ったあと、錬は急いで作ったのだろう。今日の献立は月光でも作れそうな簡単なものばかりだった。
錬が言っていたとおり、今日錬が買った人参やネギなどの月光の嫌いな食べ物は、どこにも入っていなかった。
「はい、口開けてー」
美颯が手に持っていたスプーンでスープを月光の口元まで運ぶ。
「美味しい?」
「……はい」
「月光はハム好き?」
「好き。……おいしいから」
「そっか、じゃあまた買って来てもらっとくね」
「はい……ありがと、ございます」
二口目は野菜サラダに入っていたハムだった。月光は口を開けて一口サイズに切られたハムを口に入れてもらった。
「月光、今日は何してた?」
「……今日?」
唐突に尋ねられたが、食べ物が口からなくなるまでは応えず、口をもぐもぐと動かしながらどう答えるべきか考えた。
「……今日は、……今日も、ずっとここで寝てました」
退屈だった、と俯いて呟く。
でも実際は、全く退屈ではなかった。美颯と翔の帰りがもう少し遅くてもよかった。
「へえ、……にしては楽しそうだね」
「え……?」
「何かいいことあった?」
「え、っと……」
──気づかれてる……?
もしそうなら正直に言ったほうが怒られないはずだ。でも、当てずっぽうで言っているだけかもしれない。
いつもなら美颯は月光がしたことを言い当てるのに今日は月光に自分から言わせようとしているから、気づいているのではなく、ただ疑っているだけということもある。
「……ないです。ずっとここにいるから何もない」
「……」
「……美颯さん……?」
「……」
月光は、何も言わずじっと見つめてくる美颯を不安になりながら見つめ返す。
「……あの……」
「……そっか。じゃあ僕の気のせいかもね」
その言葉に、月光はほっとしてうなずないた。
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