15 / 49
第一章
15 意地悪
しおりを挟む
「……月光くん、翔にすごく心配かけてたんだよ?最近病気がちだしもう辞めちゃおうよ。僕も翔もその方が安心するし」
ね?と、そっと頭を撫でる。月光を学校に通わせたいなんて誰も思っていないし望んでもいないことを知らせたいが、敢えて遠回しな言い方を選んだ。
「……学校は、行かせてください。卒業まで、あと1年と少しだから」
月光の通っている定時制高校は四年まである。だから、18歳である月光が卒業するにはあと一年も通わなければならない。
「そっか。じゃあせめて身体が健康な状態に戻るまでは休学しよう?あ、バイトはもう禁止。分かった?」
学校にも行かせるつもりはない。だが、今はこれで月光と翔の双方を納得させる。
「……はい」
これで、しばらくの間月光を部屋から出さない口実が作れた。翔に目を向けると目が合い、ありがとう、と口パクで伝えられて美颯は頷く。
翔はきっと、自分が犯罪の手伝いをさせられているなんて夢にも思わないだろう。
元々、二人の両親が健在だった頃、翔は月光を軟禁していた。美颯がストーカーをし始めた頃にはすでに、月光は軟禁されていた。月光が中学生になったばかりのころ、月光が必要な時以外に外へ出ようとすると、翔は月光を押し入れに閉じ込めて、次の日の登校の直前まで押し入れに入れたままにしているのを窓越しに何度も見たことがある。
お金を沢山稼げるようになって月光を外に出さずに安全な場所で過ごさせてやりたい、と、意訳すれば、監禁したい、とも捉えることが出来る言葉を平然と言ってのけた翔は、少し狂っているのかもしれない。…すでに人を殺したことのある人間が言えたことではないが。
「ん、いい子だね」
正しい返事だと伝えるために抱きついて頭を撫でてあげた。
「そろそろご飯食べる?」
「はい」
「錬も翔も今食べるよね?……買ってきたものしかないけど」
食べるよね?と尋ねたが、返事を聞く前に月光を抱えてリビングに向かった。
☆
なんとなく、美颯と翔の距離が近くなっているような気がする。先程買ってきたという夕飯をのんびりと食べながら、何故だろう、としばらく考えて、翔が美颯に敬語を使っていないことに気づいた。
そして、お互いを呼び捨てにしていることにも同時に気がついた。
「月光くん、大丈夫?ご飯もういらない?」
ぼんやりし過ぎていたようで、同じ椅子に座っている美颯が心配そうに顔を覗いてくる。
「違います。……翔と美颯さん、仲良くなったなって考えてただけで」
まだご飯食べます、と白米を口に入れた。
「仲良くなったって……元々仲いいよね?翔」
楽しそうに美颯が笑う。
「ああ、そうだな」
「あ、月光くんも名前だけで呼んでいい?」
「はい!」
「ありがとう。じゃあ、月光は僕のこと、美颯お兄ちゃんって呼んでよ」
「……翔は美颯って呼んでました」
「月光にはお兄ちゃんって言って欲しいのー」
「……み……、みはや、おにいちゃん……やっぱり美颯さんのほうが呼びやすいです」
恥ずかしさで、頬が赤らむのが自分でもわかる。
「可愛い~!月光、今までよく無事に生きてられたね!?」
美颯の言葉に、曖昧に頷く。自分の行動力や静奈と翔の武力のおかげで、どうにか無事に生きてこれたが、本当に死を覚悟したことは何度もある。
昔から、自分の容姿が大嫌いだ。
ふと、初めて拉致された時のことを思い出してしまって、振り払うように首を大きく振った。
夕飯を食べたあと錬と翔は片付けを始め、その間に月光は薬を飲んでから美颯と一緒にお風呂に入った。
「可愛い~!」
服を脱いで浴室に入るとすぐ、美颯に抱きつかれた。
「ほんとに男の子だったんだー。でも柔らかいね」
筋肉ない、と美颯が笑いながら月光の体に手を這わせる。しばらくして、胸やお腹を触っていた手が性器に触れた。
「わっ、あ、やめてください!」
後ろから抱きつかれているため押しのける事ができず、月光は美颯の腕を掴んで手を離させようとした。
だが、美颯は笑うだけでやめようとしない。
「可愛過ぎない?あ、月光って精通まだだよね?今教えてあげる」
「ゃ、やだ!やめてっ……みは…、……うぁ……」
月光の訴えを無視して美颯が手を上下に動かし始めた。
「可愛い~、もう少しだから頑張って」
美颯の腕を押し離したいのに足に力が入らなくなって、気付けば縋り付くように腕を掴んでいた。
「ふぁっ……ゃ、あ……うっ」
初めて性器から白い液体を出した。なんだこれ!?と一瞬、思考が停止したが、しばらくすると冷静になってきて、美颯が目の前で先程の液体がかかった手を舐めていることに気づき、慌てて美颯の手にシャワーの水をかけた。
「うわっ冷た!ちょ、月光やめて!」
冷水に驚いた美颯が急いで水を止めた。
「いじわる!やめてって言ったのに!」
泣きそうになりながらも美颯を睨んだ。
「ごめんね、そんなに嫌だった?でもこれはちゃんとしないと身体に悪いから」
ぎゅっと抱きしめて頭を撫でられ、月光は首を傾げる。
「……そうなんですか?」
「そうだよ。中学生くらいから男の子は皆これしてるんだけど……知らなかった?」
「……知らなかった……ごめんなさい、水かけちゃった……」
「そっか、知らなかったから怖かったんだよね?僕もごめんね、知ってると思ってたから……。でも学校で習わなかった?」
月光はしばらく考えてからこくりと頷いた。
「そうなの?普通は保健の授業でするんだけど、もしかして寝てた?」
「保健……わからないです」
実際は翔が性についての授業だけ受けさせないようにしていて、ストーカーをしていた美颯は休んでいたと知っているが、月光は何も知らない。
「……さっきの、美颯さんもするの?翔も?錬も?」
「うん、でも月光は手が小さいから次からも僕がしてあげる」
「……」
礼を言うべきなのかと少し悩んだが、恥ずかしくて俯いたまま何も言えなかった。
「月光、今日からここで一緒に住むことになったけど、何か僕に知っててもらいたいことってある?あ、好きな食べ物と嫌いな食べ物はもう知ってるからそれ以外で」
体を洗ってもらい、美颯も体を洗い終えて二人で浴槽に浸かっていると、美颯が親切にそう尋ねてきた。
「知っててほしいというか……お願いしたい事ならあります」
「なに?」
「今、定時制に通ってて……ぼく、大人になったらお金は返すので、全日制に通いたいです」
図々しいだろうか…。美颯の表情が曇る。
でもバイトをしなくていいなら、月光が定時制に通う理由がない。
「……もう学校もバイトも行かなくていいって言ったよね?」
「ぼくの体調が治るまではですよね?」
「……あー……確かに言ったね」
美颯は、自分が言ったことを今思い出したようだ。
「……じゃあ学校通うなら沢山ルール決めないと」
「ルール……?」
「ルール。今言っても忘れると思うからお風呂上がってから言うね」
一回聞いただけでは忘れてしまうほど沢山あるのだろうか。
自分の足元を見ていた顔をあげると、美颯がニコリと笑って頭を撫でてくれた。
「そんな不安そうな顔しなくても簡単な事しか言わないから大丈夫だよ」
「……はい」
──じゃあ何で言わないの?
簡単な事すら覚えれないほどの馬鹿だと思われているのだろうか…。
「ところで月光はお風呂で遊ばないの?アヒルのおもちゃとかもって入ってくると思ってたんだけど。…あ、翔が荷物に詰めるの忘れちゃったとか?」
「……持ってません。おもちゃなんて買うのお金もったいないし、……ぼく子どもじゃないから」
──美颯さん、ぼくのこと馬鹿にしすぎ……。
「えー、遊ぼうよ。明日買ってくるから」
楽しそうにニコニコと笑っている美颯が、正面で体育座りをしている月光を抱き寄せた。年齢を忘れられている気がした月光は、ぼくは18歳です、とつぶやいてみるが美颯には聞こえていなかったのか、効果はなさそうだ。
「あの、一人で入れるから、明日からは一人で入らせてくだい」
「ここの浴槽深いから溺れちゃうよ?」
確かに以前住んでいたアパートの浴槽に比べれば深いが、溺れる程ではない。
「溺れません。ほんとに大丈夫なので、明日は一人で入らせてください」
ふにふにと体に触れてくる美颯から少し身を離したが、すぐに距離を詰めて抱きしめられた。
──美颯さん、いい人だけど……
幼稚園児を相手にしている様な対応はできればやめてほしい。言わないと通じないだろうか…否、言っても通じない気がする。
「月光っていつも一人で入ってたの?」
「……急いでる時は翔と入ってたけど、基本一人で入ってました」
これ以上子供扱いされたくなくて少しだけ嘘をつく。
本当は、喧嘩しているときだけ一人で入って、基本翔と二人だった。
「そうなんだ。一人で入れるんだね」
すご~い、とまたもや子供扱い。
「……当然です」
──高校生相手に何を言ってるんだこの人は……。
「じゃあ明日は一人で入らせてあげる。……熱い?お風呂もういい?」
月光の顔を覗き込んだ美颯が心配そうに尋ねてくる。
「はい」
「逆上せちゃう前に上がろっか」
そう言われて脱衣場に出た。
ね?と、そっと頭を撫でる。月光を学校に通わせたいなんて誰も思っていないし望んでもいないことを知らせたいが、敢えて遠回しな言い方を選んだ。
「……学校は、行かせてください。卒業まで、あと1年と少しだから」
月光の通っている定時制高校は四年まである。だから、18歳である月光が卒業するにはあと一年も通わなければならない。
「そっか。じゃあせめて身体が健康な状態に戻るまでは休学しよう?あ、バイトはもう禁止。分かった?」
学校にも行かせるつもりはない。だが、今はこれで月光と翔の双方を納得させる。
「……はい」
これで、しばらくの間月光を部屋から出さない口実が作れた。翔に目を向けると目が合い、ありがとう、と口パクで伝えられて美颯は頷く。
翔はきっと、自分が犯罪の手伝いをさせられているなんて夢にも思わないだろう。
元々、二人の両親が健在だった頃、翔は月光を軟禁していた。美颯がストーカーをし始めた頃にはすでに、月光は軟禁されていた。月光が中学生になったばかりのころ、月光が必要な時以外に外へ出ようとすると、翔は月光を押し入れに閉じ込めて、次の日の登校の直前まで押し入れに入れたままにしているのを窓越しに何度も見たことがある。
お金を沢山稼げるようになって月光を外に出さずに安全な場所で過ごさせてやりたい、と、意訳すれば、監禁したい、とも捉えることが出来る言葉を平然と言ってのけた翔は、少し狂っているのかもしれない。…すでに人を殺したことのある人間が言えたことではないが。
「ん、いい子だね」
正しい返事だと伝えるために抱きついて頭を撫でてあげた。
「そろそろご飯食べる?」
「はい」
「錬も翔も今食べるよね?……買ってきたものしかないけど」
食べるよね?と尋ねたが、返事を聞く前に月光を抱えてリビングに向かった。
☆
なんとなく、美颯と翔の距離が近くなっているような気がする。先程買ってきたという夕飯をのんびりと食べながら、何故だろう、としばらく考えて、翔が美颯に敬語を使っていないことに気づいた。
そして、お互いを呼び捨てにしていることにも同時に気がついた。
「月光くん、大丈夫?ご飯もういらない?」
ぼんやりし過ぎていたようで、同じ椅子に座っている美颯が心配そうに顔を覗いてくる。
「違います。……翔と美颯さん、仲良くなったなって考えてただけで」
まだご飯食べます、と白米を口に入れた。
「仲良くなったって……元々仲いいよね?翔」
楽しそうに美颯が笑う。
「ああ、そうだな」
「あ、月光くんも名前だけで呼んでいい?」
「はい!」
「ありがとう。じゃあ、月光は僕のこと、美颯お兄ちゃんって呼んでよ」
「……翔は美颯って呼んでました」
「月光にはお兄ちゃんって言って欲しいのー」
「……み……、みはや、おにいちゃん……やっぱり美颯さんのほうが呼びやすいです」
恥ずかしさで、頬が赤らむのが自分でもわかる。
「可愛い~!月光、今までよく無事に生きてられたね!?」
美颯の言葉に、曖昧に頷く。自分の行動力や静奈と翔の武力のおかげで、どうにか無事に生きてこれたが、本当に死を覚悟したことは何度もある。
昔から、自分の容姿が大嫌いだ。
ふと、初めて拉致された時のことを思い出してしまって、振り払うように首を大きく振った。
夕飯を食べたあと錬と翔は片付けを始め、その間に月光は薬を飲んでから美颯と一緒にお風呂に入った。
「可愛い~!」
服を脱いで浴室に入るとすぐ、美颯に抱きつかれた。
「ほんとに男の子だったんだー。でも柔らかいね」
筋肉ない、と美颯が笑いながら月光の体に手を這わせる。しばらくして、胸やお腹を触っていた手が性器に触れた。
「わっ、あ、やめてください!」
後ろから抱きつかれているため押しのける事ができず、月光は美颯の腕を掴んで手を離させようとした。
だが、美颯は笑うだけでやめようとしない。
「可愛過ぎない?あ、月光って精通まだだよね?今教えてあげる」
「ゃ、やだ!やめてっ……みは…、……うぁ……」
月光の訴えを無視して美颯が手を上下に動かし始めた。
「可愛い~、もう少しだから頑張って」
美颯の腕を押し離したいのに足に力が入らなくなって、気付けば縋り付くように腕を掴んでいた。
「ふぁっ……ゃ、あ……うっ」
初めて性器から白い液体を出した。なんだこれ!?と一瞬、思考が停止したが、しばらくすると冷静になってきて、美颯が目の前で先程の液体がかかった手を舐めていることに気づき、慌てて美颯の手にシャワーの水をかけた。
「うわっ冷た!ちょ、月光やめて!」
冷水に驚いた美颯が急いで水を止めた。
「いじわる!やめてって言ったのに!」
泣きそうになりながらも美颯を睨んだ。
「ごめんね、そんなに嫌だった?でもこれはちゃんとしないと身体に悪いから」
ぎゅっと抱きしめて頭を撫でられ、月光は首を傾げる。
「……そうなんですか?」
「そうだよ。中学生くらいから男の子は皆これしてるんだけど……知らなかった?」
「……知らなかった……ごめんなさい、水かけちゃった……」
「そっか、知らなかったから怖かったんだよね?僕もごめんね、知ってると思ってたから……。でも学校で習わなかった?」
月光はしばらく考えてからこくりと頷いた。
「そうなの?普通は保健の授業でするんだけど、もしかして寝てた?」
「保健……わからないです」
実際は翔が性についての授業だけ受けさせないようにしていて、ストーカーをしていた美颯は休んでいたと知っているが、月光は何も知らない。
「……さっきの、美颯さんもするの?翔も?錬も?」
「うん、でも月光は手が小さいから次からも僕がしてあげる」
「……」
礼を言うべきなのかと少し悩んだが、恥ずかしくて俯いたまま何も言えなかった。
「月光、今日からここで一緒に住むことになったけど、何か僕に知っててもらいたいことってある?あ、好きな食べ物と嫌いな食べ物はもう知ってるからそれ以外で」
体を洗ってもらい、美颯も体を洗い終えて二人で浴槽に浸かっていると、美颯が親切にそう尋ねてきた。
「知っててほしいというか……お願いしたい事ならあります」
「なに?」
「今、定時制に通ってて……ぼく、大人になったらお金は返すので、全日制に通いたいです」
図々しいだろうか…。美颯の表情が曇る。
でもバイトをしなくていいなら、月光が定時制に通う理由がない。
「……もう学校もバイトも行かなくていいって言ったよね?」
「ぼくの体調が治るまではですよね?」
「……あー……確かに言ったね」
美颯は、自分が言ったことを今思い出したようだ。
「……じゃあ学校通うなら沢山ルール決めないと」
「ルール……?」
「ルール。今言っても忘れると思うからお風呂上がってから言うね」
一回聞いただけでは忘れてしまうほど沢山あるのだろうか。
自分の足元を見ていた顔をあげると、美颯がニコリと笑って頭を撫でてくれた。
「そんな不安そうな顔しなくても簡単な事しか言わないから大丈夫だよ」
「……はい」
──じゃあ何で言わないの?
簡単な事すら覚えれないほどの馬鹿だと思われているのだろうか…。
「ところで月光はお風呂で遊ばないの?アヒルのおもちゃとかもって入ってくると思ってたんだけど。…あ、翔が荷物に詰めるの忘れちゃったとか?」
「……持ってません。おもちゃなんて買うのお金もったいないし、……ぼく子どもじゃないから」
──美颯さん、ぼくのこと馬鹿にしすぎ……。
「えー、遊ぼうよ。明日買ってくるから」
楽しそうにニコニコと笑っている美颯が、正面で体育座りをしている月光を抱き寄せた。年齢を忘れられている気がした月光は、ぼくは18歳です、とつぶやいてみるが美颯には聞こえていなかったのか、効果はなさそうだ。
「あの、一人で入れるから、明日からは一人で入らせてくだい」
「ここの浴槽深いから溺れちゃうよ?」
確かに以前住んでいたアパートの浴槽に比べれば深いが、溺れる程ではない。
「溺れません。ほんとに大丈夫なので、明日は一人で入らせてください」
ふにふにと体に触れてくる美颯から少し身を離したが、すぐに距離を詰めて抱きしめられた。
──美颯さん、いい人だけど……
幼稚園児を相手にしている様な対応はできればやめてほしい。言わないと通じないだろうか…否、言っても通じない気がする。
「月光っていつも一人で入ってたの?」
「……急いでる時は翔と入ってたけど、基本一人で入ってました」
これ以上子供扱いされたくなくて少しだけ嘘をつく。
本当は、喧嘩しているときだけ一人で入って、基本翔と二人だった。
「そうなんだ。一人で入れるんだね」
すご~い、とまたもや子供扱い。
「……当然です」
──高校生相手に何を言ってるんだこの人は……。
「じゃあ明日は一人で入らせてあげる。……熱い?お風呂もういい?」
月光の顔を覗き込んだ美颯が心配そうに尋ねてくる。
「はい」
「逆上せちゃう前に上がろっか」
そう言われて脱衣場に出た。
0
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
今世ではあなたと結婚なんてお断りです!
水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。
正確には、夫とその愛人である私の親友に。
夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。
もう二度とあんな目に遭いたくない。
今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。
あなたの人生なんて知ったことではないけれど、
破滅するまで見守ってさしあげますわ!
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。
そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。
そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。
クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです
珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。
老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。
そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる