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第2章「甘苦い二人暮らし」
お高いシャワー。
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そう言うと、水野くんはその場を後にしてリビングに行ってしまった。
………やっぱり、いきなり二人暮らしなんて無茶だよ。
そんな水野くんの背中を見ながらそう思うけれど、でも今更そう思ったってもう遅い。
あたしは小さくため息を吐くと、部屋の荷物を片付けるため自分の部屋に戻った。
…―――そして、その夜。
無駄に広いお風呂場でシャワーを使っていると…
「…あれ?」
そろそろシャワーのお湯を止めたいのに、何故かそれが止まらなくなった。
え?何コレ。
どこ触ったら止まるんだっけ。
そう思って色んな場所を弄ってみるけど、シャワーは出続けたまま止まらない。
慣れないそれに若干イラつきながらも、仕方ないからあたしはお風呂場についている通話ボタンで、水野くんを呼んだ。
このボタンを押すと、どうやら水野くん曰くリビングにいる人と通話が出来るらしい。
本当にスゴイよね、世の中の電化製品って。
そして呼び出すと、水野くんの声が聞こえてきた。
「…どした?」
「ねぇ助けて。シャワーが止まらない」
「左のやつ回して、レバーを下げるんだって」
「左、レバー…ええ、わかんないよ」
あたしはそう言うと、独り口をとがらせる。
そんな簡単に操作出来たら、いちいち通話ボタンなんか押さないっての!
そう思いながら、
「ねぇ、どこ弄ればいいの?」
あたしがそう問いかけたら、水野くんが言った。
「……口先だけじゃ伝わらないなら、今そっち行く」
……………えっ!?
水野くんがそう言った直後、プツリと通話が途切れる。
その瞬間、あたしは…
「っ…マズイ!!」
今の状況を瞬時に把握して、急いで脱衣場に出た。
そしてそのまま脱衣場の鍵を閉めると、慌てて体を拭く。
そうしている間に水野くんが脱衣場のドアの前まで来て、言った。
「入ってもいい?」
「だ、ダメ!」
「……あ、なんだ。鍵かかってんのか」
「ちょ、ダメだって言ってんじゃん!」
あたしがそう言うと、ドアの前の水野くんが「早く~」ってあたしを急かす。
服を着ようかと思ったけどまだお風呂に入ってる途中だし、仕方ないからバスタオルを体に巻こうかと考えるけど……いや待って。恥ずかしすぎて死ぬ!
でも、そんなことをしていると……
「………マスターキー持ってるから、鍵開けちゃうよ?」
水野くんがそう言って、ドアの鍵穴にそれをさし込んだ。
「わ、わかった!あと10秒待って!」
「…じゅー、きゅー、はち、なな……」
水野くんがカウントをしている間に、あたしは仕方なく体にバスタオルを巻いた…。
………やっぱり、いきなり二人暮らしなんて無茶だよ。
そんな水野くんの背中を見ながらそう思うけれど、でも今更そう思ったってもう遅い。
あたしは小さくため息を吐くと、部屋の荷物を片付けるため自分の部屋に戻った。
…―――そして、その夜。
無駄に広いお風呂場でシャワーを使っていると…
「…あれ?」
そろそろシャワーのお湯を止めたいのに、何故かそれが止まらなくなった。
え?何コレ。
どこ触ったら止まるんだっけ。
そう思って色んな場所を弄ってみるけど、シャワーは出続けたまま止まらない。
慣れないそれに若干イラつきながらも、仕方ないからあたしはお風呂場についている通話ボタンで、水野くんを呼んだ。
このボタンを押すと、どうやら水野くん曰くリビングにいる人と通話が出来るらしい。
本当にスゴイよね、世の中の電化製品って。
そして呼び出すと、水野くんの声が聞こえてきた。
「…どした?」
「ねぇ助けて。シャワーが止まらない」
「左のやつ回して、レバーを下げるんだって」
「左、レバー…ええ、わかんないよ」
あたしはそう言うと、独り口をとがらせる。
そんな簡単に操作出来たら、いちいち通話ボタンなんか押さないっての!
そう思いながら、
「ねぇ、どこ弄ればいいの?」
あたしがそう問いかけたら、水野くんが言った。
「……口先だけじゃ伝わらないなら、今そっち行く」
……………えっ!?
水野くんがそう言った直後、プツリと通話が途切れる。
その瞬間、あたしは…
「っ…マズイ!!」
今の状況を瞬時に把握して、急いで脱衣場に出た。
そしてそのまま脱衣場の鍵を閉めると、慌てて体を拭く。
そうしている間に水野くんが脱衣場のドアの前まで来て、言った。
「入ってもいい?」
「だ、ダメ!」
「……あ、なんだ。鍵かかってんのか」
「ちょ、ダメだって言ってんじゃん!」
あたしがそう言うと、ドアの前の水野くんが「早く~」ってあたしを急かす。
服を着ようかと思ったけどまだお風呂に入ってる途中だし、仕方ないからバスタオルを体に巻こうかと考えるけど……いや待って。恥ずかしすぎて死ぬ!
でも、そんなことをしていると……
「………マスターキー持ってるから、鍵開けちゃうよ?」
水野くんがそう言って、ドアの鍵穴にそれをさし込んだ。
「わ、わかった!あと10秒待って!」
「…じゅー、きゅー、はち、なな……」
水野くんがカウントをしている間に、あたしは仕方なく体にバスタオルを巻いた…。
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