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【第二部】あの日の戀の形代の君。

二-11 秘めた望みをあらわに*

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「後は予定通り、金胡きんうからの使節のもてなしを終えるだけだ」

 繍菊しゅうぎく殿でんから椒桂しょうけい殿でんへと引き上げてきた燎琉りょうりゅうは、そのまま正堂おもやへ戻ると、ひとつ、うん、と、伸びをした。

「といっても、俺たちにとっては、それこそが当初どおりの、一番の大役なわけだけどな」

 無事に歓待役をこなせる状況になるまでにまさかこれだけの大事が起ころうとは、まったく予想しないことだった。が、当の使節の正使であるウルラ王女とはすでに面識を得たし、この先のことについては、おそらくそつなくやりきることができるだろう。そう思うから、瓔偲えいしは、ええ、と、燎琉の言葉に、そう短く応じてみせた。

 別に、なんの他意もないつもりだった。

 ところが燎琉は、ふと、眉を寄せた。

「――……さっきから、お前……なにか怒っているか?」

 ながいすに腰掛けた燎琉に言われたのは、瓔偲にとって、思いも寄らなかったことだ。それで瓔偲は、え、と、驚いて目を瞬いた。

「繍菊殿からの帰り道も、ずっと、黙ってたろ」

 相手は、ふう、と、嘆息する。

「それは、ただ……ほっとして、気が抜けたと申しますか……」

 瓔偲はそう言って、ちいさく笑う。自分では普通に振る舞ったつもりだった。

 けれどもどうも、その笑みすらも曖昧あいまいなものになっていたらしい。燎琉はますます問い詰めるような眼差しを、じっと瓔偲のほうへ向けてきた。

「怒ってなど……」

 はっきりしない口調でつぶやきつつも、瓔偲の言葉は、そこで出てこなくなった。瓔偲はうつむいて、くちびるを引き締める。

 すると燎琉は、はあ、と、またひとつ大きく溜め息をついた。

「お前は感情をおもてに出すのが下手というか、あまり顔に出さないけどさ、それでも、感情が動かないわけではないんだよな。上手に押し隠してるだけだって……これでも、ある程度わかってるつもりではあるんだ。俺はお前の夫で、つがいなんだから。――怒ってるだろ? ……いや、というよりも、何か不愉快に思ってるとか、機嫌がよくないとかかもしれないが」

「そんな……」

 瓔偲は顔を上げ、ふるふる、と、ちいさくかぶりを振った。

「どうしてわたしがそのような……」

 何かに腹を立てる理由も、機嫌を損ねるような理由も、瓔偲にはありはしないではないか。だから燎琉の考えすぎだ、ほんとうになんでもないのだ、と、そっと微笑しながら、瓔偲は燎琉の憂いを打ち消そうとした。

 が、燎琉のほうが先に口を開いた。

「俺は鵑月けんげつどのの匂いに反応した」

 言われて、瓔偲ははっと息を呑む。

 それはべつに、と、言おうとしたが、くちびるはわななくだけで、言葉を紡ぐことは出来なかった。強いて浮かべていた笑みは顔から消え、そのまま、うつむいてしまう。

「……すみ、ません」

 額を押さえ、くちびるを噛む。言い当てられたのが恥ずかしくて、情けなくて、瓔偲は両の手で自らの顔を覆った。

「申し訳、あり、ません……わたし……」

 声がふるえた。

 傍にいられるなら、めかけでも構わないと、瓔偲は燎琉に先日
そう言ったばかりだ。誰か別の、燎琉の立場をたしかにしてくれるような妃を娶る必要が出てきたなら、そうしてくれて構わないと思っていた。そのほうがいい、と、それは瓔偲の真実の考えだったはずだ。

 それなのに、心は、なんとままならぬものなのだろう。

 燎琉が鵑月の発情を感じ取り、わずかとは言え呼吸いきを乱したとき、瓔偲の身のうちに湧き起こったのは、紛れもなく、嫉妬だった。誰にも燎琉を取られたくない、と、この人が誰か自分以外の者を見詰めるのはいやだ、と、瓔偲はあの刹那、たしかにそう思った。

 だから咄嗟に――燎琉を奪われまいとでもするかのように――彼の身を抱きもした。

 口では寛容なことを言っていても、瓔偲の心は、燎琉に添う他者を許容できないと叫んだのだ。浅ましく、慾深く、燎琉を独占したがっていた。

 それを自覚したからこそ、どうしていいか、わからなかった。ましてや燎琉にまで見透かされてしまっては、身の置き所がない。

「すみません……殿下」

 瓔偲が繰り返すと、燎琉がむっとくちびるを引き結んだ。

「ああっ、もう……! なんでお前のほうが謝るんだ。詫びるなら、この場合、俺のほうだろうが? ……悪かった。お前にいやな思いをさせた」

 燎琉が瓔偲のほうに手を伸ばし、こちらの手をそっと握る。鳶色の眸に真摯に見詰められ、瓔偲は、ふるふる、と、首を振った。

「わたし、が……身勝手な、だけです」

「ちがうって」

「でも……」

「ほら、おいで、瓔偲」

 燎琉が瓔偲の手をそっと引く。促されるままに、瓔偲はながいすに掛けている相手の隣に座った。するとすぐさま燎琉の腕が伸びて、こちらの身体を包み込む。

「見苦しい言い訳だと思うならののしってくれていい……が、いちおう、弁解だけさせてくれるか?」

「殿下……?」

「たしかに鵑月どのから発情時独特の匂いは感じたけど、でも、いい匂いだとかは、ぜんぜん、思わなかったからな。多少息は上がっても、理性が飛んで我を失うような感じはなかったし……お前と、したとき、みたいには」

 でも悪かった、と、燎琉は再び詫びの言葉をくちにする。瓔偲は燎琉の腕に抱き込まれながら、強くかぶりを振った。

 燎琉は悪くない。それえは瓔偲の心のほうの問題なのに、彼に謝らせるのは、ひどく申し訳ない気がした。

 けれども同時に、燎琉がそうやって瓔偲を真剣に宥めようとしてくれるのが、心ふるえるほどに嬉しくもある。

「……殿下」

「ん?」

「殿下」

「うん。――お前、いま、すごくいい匂いがしてる。百合みたいな……瓔偲の、匂いだ。俺を狂わせる、唯一の、香り……だめだ、俺、とろけそう……発情期、近かったか……? いや、薬、ずっと飲んでるよな……」

 燎琉は独り言のようにつぶやきつつ、瓔偲の顔をのぞき込んだ。その眸は熱っぽく、呼吸は落ち着かなくなっていて、表情もどこか、ぼう、と、している。

 けれどもいま燎琉が言ったとおり、瓔偲は発情を抑制する薬の処方を受け、ずっとそれを飲み続けていた。だから、本来ならば、発情して、燎琉を惑わせるはずなどなかった。

 つがいを得たばかりで、体質も変わり、薬が効きにくくなっているのだろうか。それとも、と、瓔偲もまた、燎琉の身から漂いだした甘ったるい桂花きんもくせいの香りに、ふぅ、ふぅ、と、吐息を熱くしながら考える。

「わ、たし、が……殿下を、きつけ、たくて……」

 燎琉の首に腕を巻き付けながら、瓔偲は恍惚とした口調で言った。

「あなた様を、独り占め、したく、て……だから……」

 だから、つがいである燎琉を否応なく、問答無用に、強制的に、惹きつけてしまえる匂いを、この身はいま、無意識に放っているのかもしれない。

 瓔偲は燎琉の肩に、甘えるようにひたいこすりつけた。ちら、と、燎琉を上目遣いに見詰めると、熱に油膜が張ったような燎琉の眸が間近だった。

 どちらからともなく、くちづける。接吻はすぐに、舌を絡め合う、深いそれになった。

「ん……う、ん……ふ」

 ちゅく、くちゅ、と、音を立てながらねっとりとくちづけられて、瓔偲はうっとりした。頭の中が、じん、と、しびれ、思考は、ぼう、と、かすんでくる。本能が剥き出しになっていく。

 そうだ。どんなに物わかりのいい振りをしてみたところで、瓔偲だってほんとうは、燎琉を独占したいと望んでいた。自分以外の誰も傍になど置かないでほしかった。

 突発的で不可抗力の事故のようなものであってさえ、燎琉が鵑月を見詰めた刹那は――……ちりり、と、胸が痛かった。

 そしていま、燎琉をいっそ籠絡ろうらくしてしまいたいがごとく、心も身体も乱れはじめている。

「あ……っ、ふ、ぅ……燎琉、さま……」

 瓔偲は燎琉の腰をまたぐように、彼の身に乗り上げた。頭を抱え込むようにしながら、夢中で口づけする。燎琉もまた熱に浮かされたような表情で、瓔偲の身体をまさぐりはじめた。

「こん、な……はしたな、い……っ」

 恥ずかしくて消えてしまいたいのに、でも、欲しい気持ちは滾々こんこんと湧いてくる。瓔偲が身をよじると、燎琉がとろりと目を細めて笑った。

「べつに、いいじゃないか。どうせこんなお前、俺しか知らない。俺だけが知ってるの、俺だけに見せてくれるの、うれしいよ……瓔偲」 

「殿下……あ、あぅ、ん……」

 あわせを割られ、素肌を剥き出しにされて、首筋や鎖骨、肩口、胸と、燎琉は瓔偲の肌に口づけを落とした。すりすり、と、胸の飾りを指の腹でやさしくいじりながら、もう片方に、ちぅ、と、吸いつく。舌で転がされ、くにくに、と、もてあそぶようにされて、瓔偲はそれだけで、下腹の奥が甘くうずくのを感じた。

「あ……アッ……ふぅ……ん、ん……」

 軽く甘噛みされ、その後は宥めるようにやさしく舐められ、また吸われて、息が乱れる。ふぅ、ふぅ、と、涙目になって喘ぐこちらを、燎琉は頬を染めつつ、熱く見詰めた。

 脇腹から腰をなぞった手指は、今度はすそを割り、下衣をたくしあげるようなかたちで、瓔偲の太腿を顕わにしてしまう。口づけされながら、するする、と、そこを撫でられ、瓔偲は、ひくん、と、ちいさくふるえた。

 否応なく、期待が高まる。桂花のうっとりするような香りに、なにも考えられなくなってくる。

 跨がっている燎琉の腰に熱が溜まっているのも、まざまざと感じていた。喉が鳴る。

「殿、下……」

 燎琉の指が、瓔偲の後ろを探った。そのまま中に入れられ、慣らし、広げるように動かされる。ぬち、ぬちゅ、と、濡れた、粘度の高い音が身体を通して響いて、瓔偲をたまらない気持ちにさせた。

「あ、あ……や……」

「……いや?」

「ちがっ、あ、あん……っ、やめ、な、ぃ、で、くださ、っ……あぅ、ん……もっと……もっと……」

 とろ、と、燎琉を見詰めた。

 はぁ、はぁ、と、熱い吐息をもらしながら、瓔偲は相手の着物の襟に手を掛け、もどかしく剥ぎにかかる。燎琉が瓔偲の動きに合わせるように、袖から腕を抜いてくれる。引き締まった身体があらわになると、瓔偲は燎琉の身を抱きしめ、肩や胸にくちづけた。

 目が合うと、また深く接吻をする。ちゅう、ちゅ、と、くちびるをまれ、舌を吸われて、ますます性感は高まっていった。

 くちびるを離した後、ほう、と、息をついた瓔偲は、燎琉の前をくつろげる。たくましいたぎりに手を添えると、自ら腰を浮かせ、濡れた昂りの先端を、こちらもとろとろと蜜をこぼしている蕾に押しあてがった。

「あ……あ……っ」

 ゆっくりと腰を落としていく。

「っ、むり、するな」

 燎琉が瓔偲の腰に手を添えつつ、切なげに眉根を寄せて言う。瓔偲は燎琉に抱きついた。

 自重の助けも借りて、ゆっくりと燎琉の熱を飲み込んでいく。けれども、はやくほしい、奥まで、と、身体の訴える慾は際限がなかった。

「殿下……あ……殿、下ぁ……すき、あ、すき、です……わたし、わたし……ああ、あ、あ……燎琉、さま、ぁ」

 瓔偲が切なく燎琉を呼んだときだった。それまでゆるゆると腰を使っていた燎琉が、唐突に、く、と、息を詰めた。

 はぁ、はぁ、と、乱れた呼吸の中で瓔偲が相手を見ると、燎琉はどこか凶暴な熱を宿した眸でこちらをまっすぐに見る。

 ぞく、と、背筋が粟立った。

 くる、と、甘い予感にうっとりとした次の刹那だ。燎琉は瓔偲を思い切り掻き抱くようにして、ぐん、と、力強く下から突き上げていた。

「アァ――……ッ」

 瓔偲は思わず仰け反り、悲鳴じみた細い嬌声をあげる。ちかちか、と、目裏まなうらで光彩が弾けるのを感じた。

「あ、あ……あん、ん、アッ……ア、アァ、アンッ」

 容赦のない律動を送り込まれる。とん、とん、とちゅ、とちゅん、と、燎琉は瓔偲を膝に乗せたままで、奥を激しく突いた。そのまま体勢を返され、ながいすに横たえられたかと思うと、下肢を抱え上げられて、ぐちゅ、ぐち、ぐちゅん、と、何度も出し入れされる。

 弱いところを擦り立てられ、奥を抉るように攻められて、止めどなく寄せる快楽の波に、瓔偲は身を委ねるしかない。ただ、あ、あん、あぁ、と、揺すぶられるたびに、切なく甘く喘いだ。

 最後にはうつ伏せられ、腰を抱えられるようにしながら、後ろから突かれる。ひだを力強く掻き分け、ぐ、ぐ、押し込まれた。

 ぐりり、と、こじるように刺激されるそこが、燎琉の種を受けとめるべきところのいりぐちなのだと意識した途端、きゅん、きゅん、と、肚がうずき、きゅぅん、と、切なく相手の熱を締め上げてしまった。

「う……くっ」

 燎琉が低く呻く。

「あ、殿、下……なか、なかに……ほし……っ」

 首を捻るようにして後ろを見て、そう、ねだる。舌っ足らずに瓔偲が言った次の刹那、ぐる、と、唸るような声をあげた燎琉が、瓔偲のかみに咬みついた。

 桂花が強く香る。

 全身を、心まで包み込まれて、恍惚うっとりとする。

 びくびく、と、瓔偲は身体をふるわせて絶頂を見た。とぷ、と、自らの花茎が蜜を吐き出したときには、くぅ、と、息を詰めた燎琉もまた、瓔偲の肚の中で快楽を極め、果てたのを感じていた。



「あの……すみま、せん……」

 あれから、燎琉は瓔偲を牀榻ねままで運んでくれたが、臥牀しんだいに横たわった後もねだってしまって、気づけばもう宵をとっくに過ぎている。それでも、椒桂殿の侍者、侍女が誰も夕餉ゆうげの声かけもしてこなかったところを見ると、自分たちが房間へやに籠もって何をしていたのか、わかっていて気を遣われたのに違いなかった。

 まだ明るい刻限からとんでもないことをしてしまった、と、瓔偲ははずかしくて消えてしまいたい。

「謝るなって。――お前が求めてくれて、俺はうれしい」

 救いなのは、燎琉の機嫌がいいことだろうか。

 瓔偲は、そ、と、息をつくと、燎琉に身を添わせるようにした。

「此度のことで……」

 身体はまだふわふわと熱の余韻を引き摺っていて、だからいつもよりすこしだけ素直になれるような気がして、瓔偲はそう口を開いた。

「想う方に添えることが、どれほど得難い幸福であるか、あらためて知った気分です……わかっていたはずなのに……殿下のお傍にいられる、この、さいわいを……」

 瓔偲がそっと言うと、燎琉は吃驚びっくりしたように目をぱちくりさせた。

 瓔偲はそんな燎琉を、正面からじっと見詰める。

「わたしは、しあわせです……殿下の、つがいになれて……殿下に、もったいないほどに大切にしていただけて……殿下を、あいすることができて……とても、しあわせ、です」

 いつもならどう良いかわからず呑み込んでしまう言葉を、いま、瓔偲はひとつひとつ丁寧に告げた。

 しばらくは目を瞬いていた燎琉が、やがて、くしゃ、と、相好を崩す。それはどこか泣きそうな表情にも見えた。

「うれしい……俺も、しあわせだよ、瓔偲」

 ぎゅう、と、抱きしめられ、やさしい桂花の香りに包まれながら、瓔偲はそっと息をつき、それからふわりと微笑んだ。
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