異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ

軍事会議

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 集結したクリード家諸侯軍に魔法付与された武器を配ったり、暇だったので開発のお手伝いをしながら過ごすこと1週間、ようやく王宮から会議の招集がかかった。

 よめーずのことをウルトとジェイドに任せ単身聖都屋敷へ転移、そのまま王城へと向かい会議に参加した。

 アンドレイさんの口からまず語られたのは教国と王国の大まかな戦力。
 教国はおよそ5万、王国は12万とのことだ。
 倍の戦力差があるが、ここに帝国軍2万が加勢してくれるそうだ。
 帝国軍3万、数は一見すると少ないが、教国や王国の大半の兵士が徴兵された一般人なのに対し帝国軍は専業兵士。
 その差は農民兵3人がかりでようやく帝国兵1人と互角だと言う。

 それでもまだ戦力差はあるが、俺、ジェイド、フィリップの3人で1万は無理でも5000くらいならイケる気がするし、あとは地の利とやらでなんとかしてもらおう。

 ウルトを走らせれば1対10万でも蹴散らせそうだけど、さすがにそれをやるのは人としてどうかと思うから黙っておく。

 現在、戦場となる草原では急ピッチで進められているようだ。
 王国がどれくらい準備を進めているのかにもよるが、開戦はおよそ2ヶ月後を想定しているらしい。

 2ヶ月か、それならサーシャとソフィアの出産に立ち会えるかな?
 良かった良かった。

 というかそんなに時間空くんだ……それなら領民集めたり避難したりするのを急ぐ必要は無かったかもしれない……

 すぐに開戦する考えでいたけど、車も飛行機も無いこの世界で移動に時間がかかるのは当たり前。
 情報伝達速度も遅いのでむしろ2ヶ月なら早いくらいだそうだ。

 普段移動はウルトか転移、情報伝達も【思念共有】で行っている俺には盲点だった……

 まぁやってしまったことは仕方ない。この期間を利用して領都クリードの街の開発を一気に進めてしまおう。

 それから大まかな陣形、各貴族の配置などへと話が進んでいく。
 そこでアンドレイさんから王国陣営に勇者が居ると参加貴族に伝えられた。
 もちろんこれは俺からアンドレイさんに伝えてあったことである。

「勇者ですか……」
「まさか……」

 と、場が騒然となる。
 当然だろう。魔王に対する人間の最終兵器となる勇者が人間同士の戦争に介入してくるかもしれないのだ。

 まぁ教国側にも俺という勇者が居るわけだけど、それはまぁ棚に上げておこう。
 居る勇者を使うのではなく、戦争の為に新たに召喚することが問題なのだ。

「勇者が出てきた場合、対処はクリード侯爵家に一任する」
「御意に」

 国王が俺に任せると発言するが、俺以外には無理だろうね。
 1対1で戦う場合、勝てる見込みがあるのは今のところ俺、ジェイド、リンの3人だけだろう。

 ソフィアとアンナ、フィリップが協力すれば勝てる可能性はあるのだが、リンとソフィアは戦えない以上俺とジェイドで何とかするしかない。

 まぁ勇者が出陣して来れば即座にウルトを召喚して物理的にぶつけるけどね。

 その他いくつかの伝達事項を確認して会議は終了。
 俺もウルトを伴って陣地作成に協力するか聞いてみたが、不要とのことだ。

 どうも俺は功績が多すぎるらしく、これ以上俺にばかり頼る訳にはいかないんだって。
 その辺は貴族のプライドとかそっちの話なので俺にはよく分からない。
 使えるやつは使えばいいのに。

 その後はアンドレイさんにサーシャの様子を尋ねられたので現状を教えるとやはり固まってしまった。

 娘が一度囚われた魔王城に匿われているというのはやはりなんとも言えない気分なのだろう。
 だけど最終的にはそれが一番安全だと納得して貰えたので助かった。

 一通り聖都でやることも済んだので領都へと転移、マークとダニエル、それからゲルトを呼び出して会議の内容を伝える。

「2ヶ月後ですか、かしこまりました」
「集めるのが少し早かったかな?」
「いえ、王国が初めから戦争をするつもりなのであれば御館様の領地にちょっかいを掛けてくる可能性はかなり高いと思われますので、早いということはないと思います」
「そっか、ならいいか。ゲルト、諸侯軍の出陣は1週間後だ。聖都まではウルトで輸送する」

 ここから国境までは歩兵だと1ヶ月近くかかってしまう。
 馬に乗ってもそれなりにかかるので、それなら馬を聖都で準備してそこから出陣した方がコストも労力も安く済む。

 歩兵はウルトで戦地まで、騎兵は聖都までと分けてもいいのだが、別行動にするのもあれなのでまとめて聖都に降ろしてしまおう。

「物資に付いては俺が全部持ってるから心配はいらない。行軍の指揮に関してはゲルトに一任する」
「かしこまりました。お任せ下さい」

 基本的には俺も同行するが、ちょくちょく転移で離れたりもするだろうしな。
 それに、俺には指揮の知識も経験も無い。それらを持っているゲルトに任せるのが一番だ。

 マークたちとの打ち合わせも終わらせて帰宅、ようやくめんどくさい1日が終わりを告げた。
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