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積み残し編……もうちょっと続くんじゃよ
懸念事項
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屋敷へと戻ってきた俺はよめーずへの挨拶もそこそこに、リンの部屋へと直行した。
親しき仲にも礼儀あり。ノックをして中で控えているメイドに入室の許可を取り部屋に入る。
「リン、ただいま」
「あら、レオ。おかえりなさい」
部屋に入ると、リンはベッドに腰掛けて読んでいた本を脇に置いた。
扉を閉めてベッドの横に置かれている椅子に腰を降ろしてリンの右手を両手で握った。
「ありがとう」
「なにが……ってそういうことね」
リンは困ったような、それでいて嬉しそうな顔をする。
「サーシャちゃんやソフィアの時にも言ったけど、よくやった! でいいのよ?」
「こっちじゃそれが常識かもしれないけど、俺はこっち出身じゃないから」
そんなの知らん。
俺の子供を宿してくれてありがとうでしょうが。
「まぁ、悪い気分ではないわね。それよりも、あたしの方こそありがとう」
「どういたしまして」
なにが?
「なにが? って顔してるわよ……」
バレてたか。最近のよめーずは俺の内心を読むのが上手すぎると思う。
「あたしみたいな大年増に子供を産ませてくれてありがとうってことよ」
「言うほどでもないでしょうに」
28だろ? 日本じゃ普通だよ?
「レオの居た世界なら普通なのかもしれないけど、ここの貴族じゃ普通じゃないのよ。平民ならそんなことは無いのだけれど、貴族の妻が30近くなって旦那と夜を共にするのははしたないって言われても仕方ないのよ?」
そんなのはしたないって言うやつがはしたないんです。
「よそはよそ、うちはうちです。俺はみんなが50になっても同じベッドで寝ます」
「もう……外で言ったらダメよ?」
「はーい」
本音と建前ね。それくらいは分かるよ。
「でもありがとう。嬉しいわよ」
チュッと頬にキスされた。不意打ちやめて、ドキドキするから。
「ちょ! まだ日が高いのにはしたないよ!」
「あら? 嫌だったかしら? 男性はこういうのが好きだって読んだのだけど」
「好きです。大好きです」
あ、はしたないって言っちゃったな。
はしたないって言ったやつがはしたない方式で行くと俺がはしたないってことになっちゃうな。
でもいいんです。俺ははしたないんです。
「ふふ……今度は変なこと考えてるでしょ」
「そんな事ないよ」
変な事じゃないよ。
「はいはい。それで、要件はこれだけかしら?」
一応リンにも話しておいた方がいいか。
でも妊娠初期だし、あまり不安にさせないように上手く言わないとな……
「戦争するっぽい」
「どことどこが?」
「アルマン教国とエルヴニエス王国」
「なんで?」
「これ以上は子供に障るといけないなら……」
それじゃあ、と立ち上がろうとした俺の腕を今度はリンが掴んで引き止めた。
「待ちなさい」
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ……そこまで話したのなら全部話しなさい」
「でもリンとお腹の子供に負担が……」
「ここまで聞いたなら一緒よ。いいなら話しなさい」
「分かりました」
浮かせた腰を降ろして他のみんなにしたのと同じような説明をする。
「――って感じ」
「なにそれ……」
リンは言葉も出ないようだ。
そりゃそうだ。完全に言いがかりだもの。
「でも、この時期にこんな内容の布告を送ってきたってことは……油断しない方がいいわね」
「リンもそう思う? 俺も俺を倒せる可能性のある切り札を手に入れたからこその行動だと思うんだよね」
「ええ。その切り札は多分……」
「勇者、だろうね」
俺の言葉にリンは首肯で返してくる。
やはり同じ考えに行き着いたようだ。
もちろん、ただの王国の暴走の線も有り得るのだが、さすがに誰かが止めるでしょ?
それとも王が暴走したら誰も止められないのかな?
普通に考えたら、多くの貴族を納得させる策があるからこその宣戦布告だと思うんだよね。
「レオとベラがそういう関係になって1年以上、タイミング的にはおかしくないわ」
「確か聖女が職を失って新たな聖女が現れるまで数ヶ月、それから聖女のレベルが10に達しないと勇者召喚は出来ないだったよね?」
「そうよ。新たな聖女が現れて急いでレベル上げ。レベルが10に到達したから勇者召喚を実行……それから今まで勇者たちのレベルを上げていたと考えられるわね」
あーやだやだ……また日本人と戦わないといけないのか。
これは本格的に俺勝てない気がするからウルトに活躍してもらうしかないかもな……
「レオ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。好き好んで同郷の人間と戦いたくはないけど、向かってくるなら戦うよ」
「お願い、絶対に負けないで……あたしは一緒には戦えないけど、絶対に戻ってきて」
「もちろん。ヤバくなったらさっさと転移で逃げるし、本当に勇者が居るならウルトに任せるから」
俺と、俺が身内判定してる人は連れて逃げるよ。
「約束よ?」
「ああ。産まれてくる子供の顔も見ずには死ねないさ」
初代クリード侯爵在任期間1年ちょっととか笑えないし。
なんだか死亡フラグビンビンな気がするけど……俺の死亡フラグならウルトがへし折ってくれるさ。
「分かったわ。この話はサーシャちゃんたちには?」
「前半は話してるよ。後半、勇者が居るかもしれないって話はこれから」
「そう……ちょっと疲れちゃったわね、あたしは休むからみんなともしっかり話し合ってきなさい」
「分かった。ゆっくり休んで」
リンの部屋を後にしてみんなに話をするためにリビングへと向かう。
あ……ウルトがなにやら企んでる話するの忘れてた……
親しき仲にも礼儀あり。ノックをして中で控えているメイドに入室の許可を取り部屋に入る。
「リン、ただいま」
「あら、レオ。おかえりなさい」
部屋に入ると、リンはベッドに腰掛けて読んでいた本を脇に置いた。
扉を閉めてベッドの横に置かれている椅子に腰を降ろしてリンの右手を両手で握った。
「ありがとう」
「なにが……ってそういうことね」
リンは困ったような、それでいて嬉しそうな顔をする。
「サーシャちゃんやソフィアの時にも言ったけど、よくやった! でいいのよ?」
「こっちじゃそれが常識かもしれないけど、俺はこっち出身じゃないから」
そんなの知らん。
俺の子供を宿してくれてありがとうでしょうが。
「まぁ、悪い気分ではないわね。それよりも、あたしの方こそありがとう」
「どういたしまして」
なにが?
「なにが? って顔してるわよ……」
バレてたか。最近のよめーずは俺の内心を読むのが上手すぎると思う。
「あたしみたいな大年増に子供を産ませてくれてありがとうってことよ」
「言うほどでもないでしょうに」
28だろ? 日本じゃ普通だよ?
「レオの居た世界なら普通なのかもしれないけど、ここの貴族じゃ普通じゃないのよ。平民ならそんなことは無いのだけれど、貴族の妻が30近くなって旦那と夜を共にするのははしたないって言われても仕方ないのよ?」
そんなのはしたないって言うやつがはしたないんです。
「よそはよそ、うちはうちです。俺はみんなが50になっても同じベッドで寝ます」
「もう……外で言ったらダメよ?」
「はーい」
本音と建前ね。それくらいは分かるよ。
「でもありがとう。嬉しいわよ」
チュッと頬にキスされた。不意打ちやめて、ドキドキするから。
「ちょ! まだ日が高いのにはしたないよ!」
「あら? 嫌だったかしら? 男性はこういうのが好きだって読んだのだけど」
「好きです。大好きです」
あ、はしたないって言っちゃったな。
はしたないって言ったやつがはしたない方式で行くと俺がはしたないってことになっちゃうな。
でもいいんです。俺ははしたないんです。
「ふふ……今度は変なこと考えてるでしょ」
「そんな事ないよ」
変な事じゃないよ。
「はいはい。それで、要件はこれだけかしら?」
一応リンにも話しておいた方がいいか。
でも妊娠初期だし、あまり不安にさせないように上手く言わないとな……
「戦争するっぽい」
「どことどこが?」
「アルマン教国とエルヴニエス王国」
「なんで?」
「これ以上は子供に障るといけないなら……」
それじゃあ、と立ち上がろうとした俺の腕を今度はリンが掴んで引き止めた。
「待ちなさい」
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ……そこまで話したのなら全部話しなさい」
「でもリンとお腹の子供に負担が……」
「ここまで聞いたなら一緒よ。いいなら話しなさい」
「分かりました」
浮かせた腰を降ろして他のみんなにしたのと同じような説明をする。
「――って感じ」
「なにそれ……」
リンは言葉も出ないようだ。
そりゃそうだ。完全に言いがかりだもの。
「でも、この時期にこんな内容の布告を送ってきたってことは……油断しない方がいいわね」
「リンもそう思う? 俺も俺を倒せる可能性のある切り札を手に入れたからこその行動だと思うんだよね」
「ええ。その切り札は多分……」
「勇者、だろうね」
俺の言葉にリンは首肯で返してくる。
やはり同じ考えに行き着いたようだ。
もちろん、ただの王国の暴走の線も有り得るのだが、さすがに誰かが止めるでしょ?
それとも王が暴走したら誰も止められないのかな?
普通に考えたら、多くの貴族を納得させる策があるからこその宣戦布告だと思うんだよね。
「レオとベラがそういう関係になって1年以上、タイミング的にはおかしくないわ」
「確か聖女が職を失って新たな聖女が現れるまで数ヶ月、それから聖女のレベルが10に達しないと勇者召喚は出来ないだったよね?」
「そうよ。新たな聖女が現れて急いでレベル上げ。レベルが10に到達したから勇者召喚を実行……それから今まで勇者たちのレベルを上げていたと考えられるわね」
あーやだやだ……また日本人と戦わないといけないのか。
これは本格的に俺勝てない気がするからウルトに活躍してもらうしかないかもな……
「レオ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。好き好んで同郷の人間と戦いたくはないけど、向かってくるなら戦うよ」
「お願い、絶対に負けないで……あたしは一緒には戦えないけど、絶対に戻ってきて」
「もちろん。ヤバくなったらさっさと転移で逃げるし、本当に勇者が居るならウルトに任せるから」
俺と、俺が身内判定してる人は連れて逃げるよ。
「約束よ?」
「ああ。産まれてくる子供の顔も見ずには死ねないさ」
初代クリード侯爵在任期間1年ちょっととか笑えないし。
なんだか死亡フラグビンビンな気がするけど……俺の死亡フラグならウルトがへし折ってくれるさ。
「分かったわ。この話はサーシャちゃんたちには?」
「前半は話してるよ。後半、勇者が居るかもしれないって話はこれから」
「そう……ちょっと疲れちゃったわね、あたしは休むからみんなともしっかり話し合ってきなさい」
「分かった。ゆっくり休んで」
リンの部屋を後にしてみんなに話をするためにリビングへと向かう。
あ……ウルトがなにやら企んでる話するの忘れてた……
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