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第6章……復讐の勇者編

128話……魔王領

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 ソイソス防衛戦の翌日、俺たちは魔王領へと足を踏み込んだ。

 辺境伯やギルドマスター、多くの兵士や冒険者に見送られての出発、なんだかくすぐったい気持ちだ。

 噂によると勇者たちが出発した際は誰も見送りには出ずようやく行ったよ……という雰囲気だったそうだ。

「それで魔王領のどこら辺に向かえばいいんだ?」
「この大陸の北の果て……って伝説が残ってるからこのまままっすぐ北でいいと思うわよ」

 一口に魔王領と言っても広大だ。

 エルヴニエス王国やルブム帝国と同じかそれ以上の土地の広さがあるらしい。

 魔王の存在しない時代に人間が侵攻しないのは魔王領の土地の大半は荒野であること、川などの水辺がほとんど存在しないかららしい。

 そんな土地を進む俺たちは……普段通りだ。

 荒野だろうが草原だろうが砂漠だろうが関係なく走破できるウルトという存在がどれほど大きいか実感するね。

「魔物はアンデッドばかりだな」
「水も食べ物もほとんど無い土地だからね」

 ソイソスを出発して数時間、まだ日も高い時間なのにアンデッドモンスターがその辺を闊歩しているのを見ると不思議な感じがする。
 暗いところで見たら怖いけど明るいところでスケルトンとか見てもそこまで怖くないな……

 明るかろうが暗かろうがウルトが粉砕して終わりなのだが気分の問題だ。

 やがて日が落ちて夜となる。
 別に夜でも移動可能ではあるのだがゆっくり休めとリンに怒られるので夜は移動せず休むことにする。

 夕食を済ませて軽く運動、今までに手に入れたスキルや使えそうな魔法を色々と練習している。

 特に力を入れているのは転移魔法だ。
 これに関しては一応賢者が目の前で使っていたのでイメージは掴みやすいのだが未だに上手くいっていない。

 リンも練習はしているようだがまだ成功はしてないようだ。

「クリード、先に寝てていいわよ。もう少しで何か掴めそうなの」
「そう?  分かった、リンも無理しないようにね」

 一通りの訓練を終えてウルトに戻ろうとしているとそう声をかけられた。
 珍しい……

 最近は毎晩のようにリンに抱かれていたのだが今夜は無しの日か……
 って何考えてるんだ俺、しかも抱かれてるって……

 コップを取りだして冷たい水を注いで一息で飲み干して火照った体とイケナイ……いらないことを考えそうな頭を冷やす。

「ふぅ……」

 冷たい水が体の中に染み渡るような気がして少し落ち着いた。

 全身に浄化魔法を掛けて綺麗にしてからラフな格好に着替える。

「ウルト、寝室よろしく」
『かしこまりました。ごゆっくりお休み下さい』

 寝室に入って布団を取りだして横になる。
 いよいよ魔王領、この先に奴らが居るはず……

 勇者たちとは俺1人で戦う。
 これはリンにもウルトにも告げてある。

 最初は反対された、せめて一度ウルトで撥ねて弱らせてからにしろとも言われたがどうしても譲れなかった。

 最終的には折れて貰えたが俺がピンチだと判断すれば2人は乱入すると……これだけは譲って貰えなかった。

 そうならない為には力がいる。
 俺1人で勇者たち全員を相手に危なげなく勝てるだけの力が……

「ステータスオープン」


 ◇◆

 名前……レオ・クリイド  レベル88
 職業……(本業)トラック運転手(副業)剣鬼
 年齢……21
 生命力……A+  魔力……A  筋力………S  素早さ……A  耐久力……S  魔攻……B  魔防……A

 スキル

(身体能力系)
【身体強化(特)】【タイタン】【疾風迅雷】【要塞】【瞬間加速・停止】【絶倫(強)】【生命力強化(大)】【俊敏】

(魔法系)
【魔法適正(聖属性を除く全て)】【魔力吸収】【トリプルマジック】【魔法威力上昇(極)】【合成魔法】【魔力極大ブースト】

(感覚系)
【気配察知(極)】【直感強化(特)】【知覚強化(大)】【魔力視】【弱点看破(特)】【見切り(特)】

(耐性)
【痛覚鈍化】【物理攻撃耐性】【魔法攻撃耐性】【状態異常耐性(強)】【毒無効】

(特殊)
【トラック召喚】【トラック完全支配】【無限積載】
【剣術(神)】【斧術(特)】【槍術(上)】
【魔力撃(極)】【天駆(上)】【アイテムボックス】【精神攻撃】【状態異常攻撃】【腐食攻撃】【闘気剣】【自己再生】【騎士の矜恃】【テイム(極)】【隠密】【衝撃緩和】【挑発】【攻撃反射】

 ◇◆

「88か……結構上がったな」

 まずはカンストさせないとな。

 教国で勉強していた時に各国の迷宮の事も教わった。

 王国に2つ、これはリバークとグリエルで両方とも攻略済みだ。

 次に教国に1つ。
 これも出発前に攻略した。

 そして帝国にも2つ……
 教国から王国へ向かう際反対方向だからと足を伸ばさなかった。
 結果的にはソイソス防衛戦に間に合わなくなる可能性が高くなるので行かなくて正解だった。

 今からでもと思わなくもないが帝国領のどの辺にあるのかまでは分からないのでどれだけ時間が掛かるか想像出来ない。

 もちろん村や街、帝都などで情報を仕入れれば探す時間は短縮出来るがここから往復するとなると何日かかるか分からない。

 以上の観点から帝国での迷宮攻略は諦める。

 だが王国、教国、帝国合わせて迷宮5つ、ということは魔王領に2つあると予想できる。

 これは単純に今まで攻略した3つの迷宮の最奥に居た悪魔が七つの大罪の中の3つだったから。

 強欲、憤怒、色欲……あとは傲慢、暴食、嫉妬、怠惰か。
 このうち2つが魔王領にあるはず……出来れば攻略してしまいたいと思っている。

「うーん……」
「何唸ってるの?」

 色々と考えていると寝室のドアが開かれた。

「眠れないの?」
「いや、寝る前にちょっと考え事してただけだよ」
「ちょっとって……クリードが寝室に入ってもう2時間は経ってるわよ?」
「……え?」

 2時間?  マジ?。

「その顔自覚も無かったのね……しょうがないわね、今夜も一緒に寝てあげるからちょっと端に避けなさい」
「あ……うん、お願いします」

 俺が避けると隣にリンが滑り込んできた。

「枕貰うわね……はい、これで眠れそう?」
「大丈夫、ありがとう」

 腕枕をしてもらいリンの胸の中で俺はあっさりと眠りに落ちた。
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