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第5章……アルマン教国編
101話……聖女
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それからサーシャはリバーク迷宮最深部での出来事を詳細に語った。
アンドレイさんはサーシャが語り終わるまで黙って説明を聞いてサーシャが説明を終えると色々と質問してきた。
主にサーシャが答えるが俺やリン、時折ケイトやソフィアが補足したりもする。
そういえばアンナが一言も喋ってないな……
「なるほど……これは王と教会に報告が必要だな……」
アンドレイさんは顎に手を当ててふむと呟いた。
「私は緊急報告会の招集を掛けようと思うのだがこちらにはどれくらい滞在出来るんだい?」
「そうですね……状況にもよりますが数週間くらいかと」
「わかった。では早急に場を整えよう」
「よろしくお願いします。それとお父様、こちらの迷宮の状況を教えてください」
「迷宮? 特に変わったことは無いが……」
変わったことは無い? つまりこっちでは溢れ出しは起こってない?
「なにも……ですか?」
「あぁ、王国の迷宮では溢れ出しが起きたようだがこちらでは前兆のようなものも無いよ」
「そうなのですね、良かったです」
「他になにか聞きたいことはあるかい?」
「いえ、大丈夫です」
「よし、なら私はやることをやってくる。全員分部屋を用意させるからしばらくは家に滞在するといい」
そう言ってアンドレイさんはエレーナさんを伴って退室して行った。
「ではまだ日も高いですし聖都を案内しましょうか?」
サーシャの提案に乗り聖都を観光する。
昼食も聖都名物だという魚料理を食べることにして俺たちは外へ出た。
サーシャが居るからか俺たちはとても目立つ。
みんな尊敬の眼差しでサーシャを見て護衛の3人を見て最後になんで男が? という視線を俺に向けてくる。
大変に肩身が狭い。
まぁ気になったのは最初だけですぐに気にならなくなったけどな!
のんびりと街を観光してサーシャの家に戻る。
普通に全員着いてきてるけど実家に顔出さなくていいのかな?
庭を借りて軽めに訓練を行い夕食。
アンドレイさんたちも一緒に食べることとなり今までの旅の話を詳しく聞かれた。
「クリードくん、夜少し話せないかな?」
夕食も終わりに差し掛かったころアンドレイさんにそんなことを言われた。
「構いませんが……」
「そうか、なら私の執務が終わったら呼びに行かせるから頼むよ」
「分かりました」
大貴族の当主様でありサーシャの父が俺に話って……嫌な予感しかしない。
メイドに案内されて客室に案内してもらいとりあえず全身を浄化する。
それから……貴族と会う時ってどんな格好すればいいんだ?
とは言ってもそこまで服を持ってるわけでもない、とにかく一番小綺麗と言える服装に着替えて呼び出されるのを待った。
「夜分にすまないね」
「いえ……問題ありません」
「はは、緊張しているね。喋り方も普段通りでいいから楽にしてくれ」
それから数分は当たり障りの無い質問というか、夕食時に話し切れなかった冒険の話をして俺の緊張を和らげてくれた。
貴族っていうのは話も上手いもんだね。
「さて……そろそろ本題な入ろうと思うんだが」
来た、一体何を言われるんだろうか?
「クリードくん、君は聖女についてどれぐらい知ってるのかね?」
「聖女について……ですか?」
なんだったっけな……結構前にチラッと聞いた気はするんだけど。
「そうだ。君は聖女の役割を知っているかい?」
「役割……勇者を導き魔王を討伐することって聞いた気がします」
いつだったかな?
「ふむ、その手段は聞いているかい?」
「いえ……癒しの力と破邪の力でじゃないんですか?」
「間違いでは無い。かと言って正解でもない。代償の話は聞いているかい?」
「いえ……」
代償?
「聖女の役割は確かに君の言う通り勇者を導くことだ。それには二つの意味がある」
「二つですか?」
導くことに意味?
「そうだ。まずは【勇者をこの世界に導くこと】それと【勇者を勝利に導くこと】だ」
「この世界に……勝利に……」
つまり勇者召喚にも関わるってことか?
「そうだ。まず【勇者をこの世界に導くこと】だが、君は勇者召喚によって喚ばれただろう?」
「はい」
「勇者召喚なんて大掛かりな儀式に何が必要かわかるかい?」
儀式に必要なもの……膨大な魔力?
「魔力ですか?」
「違う」
アンドレイさんはキッパリと言い切った。
「勇者召喚に必要な代償、それは聖女の命だ」
「聖女の……命」
「そうだ。勇者召喚とは聖女がその命を捧げて行う儀式だ」
つまり勇者召喚を行えば聖女は死ぬ……
「なら【勇者を勝利に導く】と言うのは?」
「わかっているだろう? 何故サーシャがあのタイミングで王都に居たのか、それが答えだ」
王国の聖女がその命をもって俺たちを召喚した。
そこに現れる教国の聖女。
「つまりサーシャは【勇者を勝利に導く】ために王国へ?」
「その通りだ。そして【勇者を勝利に導く】と言うのは……」
アンドレイさんは再び言葉を切って大きく息を吐いた。
「魔王との戦いで必須とも言えるスキル【聖浄化結界】を張ること、そして勇者が負けそうになった際の切り札【聖女の祈り】を発動させることだ」
【聖浄化結界】と【聖女の祈り】確かにサーシャのステータスを見た時にスキルランキングにあったな。
【聖浄化結界】はマンモンとの修行で一度見た。
魔に属する者の力を浄化して力を削ぐ効果があるって言ってたはずだ。
あのマンモンがほとんど動けなくなるんだからすごい効果だと思った記憶がある。
【聖女の祈り】は見たことないし効果を聞いたことも無いな。
「【聖浄化結界】は見たことありますが【聖女の祈り】は分からないです」
「そうだろうな。【聖女の祈り】の効果は全ての味方の傷と魔力を回復させて例え瀕死の状態からでも万全の状態に戻すことが出来るスキルだ」
「全てを癒す……」
確かにそれは切り札足り得るな。
「だが全ての味方と言っても異世界から召喚された勇者に限るし、なによりも代償が大きい」
「もしかして……」
「想像した通りだろうな。【聖女の祈り】を発動するのに必要な代償は……」
――聖女の命……だ。
アンドレイさんはサーシャが語り終わるまで黙って説明を聞いてサーシャが説明を終えると色々と質問してきた。
主にサーシャが答えるが俺やリン、時折ケイトやソフィアが補足したりもする。
そういえばアンナが一言も喋ってないな……
「なるほど……これは王と教会に報告が必要だな……」
アンドレイさんは顎に手を当ててふむと呟いた。
「私は緊急報告会の招集を掛けようと思うのだがこちらにはどれくらい滞在出来るんだい?」
「そうですね……状況にもよりますが数週間くらいかと」
「わかった。では早急に場を整えよう」
「よろしくお願いします。それとお父様、こちらの迷宮の状況を教えてください」
「迷宮? 特に変わったことは無いが……」
変わったことは無い? つまりこっちでは溢れ出しは起こってない?
「なにも……ですか?」
「あぁ、王国の迷宮では溢れ出しが起きたようだがこちらでは前兆のようなものも無いよ」
「そうなのですね、良かったです」
「他になにか聞きたいことはあるかい?」
「いえ、大丈夫です」
「よし、なら私はやることをやってくる。全員分部屋を用意させるからしばらくは家に滞在するといい」
そう言ってアンドレイさんはエレーナさんを伴って退室して行った。
「ではまだ日も高いですし聖都を案内しましょうか?」
サーシャの提案に乗り聖都を観光する。
昼食も聖都名物だという魚料理を食べることにして俺たちは外へ出た。
サーシャが居るからか俺たちはとても目立つ。
みんな尊敬の眼差しでサーシャを見て護衛の3人を見て最後になんで男が? という視線を俺に向けてくる。
大変に肩身が狭い。
まぁ気になったのは最初だけですぐに気にならなくなったけどな!
のんびりと街を観光してサーシャの家に戻る。
普通に全員着いてきてるけど実家に顔出さなくていいのかな?
庭を借りて軽めに訓練を行い夕食。
アンドレイさんたちも一緒に食べることとなり今までの旅の話を詳しく聞かれた。
「クリードくん、夜少し話せないかな?」
夕食も終わりに差し掛かったころアンドレイさんにそんなことを言われた。
「構いませんが……」
「そうか、なら私の執務が終わったら呼びに行かせるから頼むよ」
「分かりました」
大貴族の当主様でありサーシャの父が俺に話って……嫌な予感しかしない。
メイドに案内されて客室に案内してもらいとりあえず全身を浄化する。
それから……貴族と会う時ってどんな格好すればいいんだ?
とは言ってもそこまで服を持ってるわけでもない、とにかく一番小綺麗と言える服装に着替えて呼び出されるのを待った。
「夜分にすまないね」
「いえ……問題ありません」
「はは、緊張しているね。喋り方も普段通りでいいから楽にしてくれ」
それから数分は当たり障りの無い質問というか、夕食時に話し切れなかった冒険の話をして俺の緊張を和らげてくれた。
貴族っていうのは話も上手いもんだね。
「さて……そろそろ本題な入ろうと思うんだが」
来た、一体何を言われるんだろうか?
「クリードくん、君は聖女についてどれぐらい知ってるのかね?」
「聖女について……ですか?」
なんだったっけな……結構前にチラッと聞いた気はするんだけど。
「そうだ。君は聖女の役割を知っているかい?」
「役割……勇者を導き魔王を討伐することって聞いた気がします」
いつだったかな?
「ふむ、その手段は聞いているかい?」
「いえ……癒しの力と破邪の力でじゃないんですか?」
「間違いでは無い。かと言って正解でもない。代償の話は聞いているかい?」
「いえ……」
代償?
「聖女の役割は確かに君の言う通り勇者を導くことだ。それには二つの意味がある」
「二つですか?」
導くことに意味?
「そうだ。まずは【勇者をこの世界に導くこと】それと【勇者を勝利に導くこと】だ」
「この世界に……勝利に……」
つまり勇者召喚にも関わるってことか?
「そうだ。まず【勇者をこの世界に導くこと】だが、君は勇者召喚によって喚ばれただろう?」
「はい」
「勇者召喚なんて大掛かりな儀式に何が必要かわかるかい?」
儀式に必要なもの……膨大な魔力?
「魔力ですか?」
「違う」
アンドレイさんはキッパリと言い切った。
「勇者召喚に必要な代償、それは聖女の命だ」
「聖女の……命」
「そうだ。勇者召喚とは聖女がその命を捧げて行う儀式だ」
つまり勇者召喚を行えば聖女は死ぬ……
「なら【勇者を勝利に導く】と言うのは?」
「わかっているだろう? 何故サーシャがあのタイミングで王都に居たのか、それが答えだ」
王国の聖女がその命をもって俺たちを召喚した。
そこに現れる教国の聖女。
「つまりサーシャは【勇者を勝利に導く】ために王国へ?」
「その通りだ。そして【勇者を勝利に導く】と言うのは……」
アンドレイさんは再び言葉を切って大きく息を吐いた。
「魔王との戦いで必須とも言えるスキル【聖浄化結界】を張ること、そして勇者が負けそうになった際の切り札【聖女の祈り】を発動させることだ」
【聖浄化結界】と【聖女の祈り】確かにサーシャのステータスを見た時にスキルランキングにあったな。
【聖浄化結界】はマンモンとの修行で一度見た。
魔に属する者の力を浄化して力を削ぐ効果があるって言ってたはずだ。
あのマンモンがほとんど動けなくなるんだからすごい効果だと思った記憶がある。
【聖女の祈り】は見たことないし効果を聞いたことも無いな。
「【聖浄化結界】は見たことありますが【聖女の祈り】は分からないです」
「そうだろうな。【聖女の祈り】の効果は全ての味方の傷と魔力を回復させて例え瀕死の状態からでも万全の状態に戻すことが出来るスキルだ」
「全てを癒す……」
確かにそれは切り札足り得るな。
「だが全ての味方と言っても異世界から召喚された勇者に限るし、なによりも代償が大きい」
「もしかして……」
「想像した通りだろうな。【聖女の祈り】を発動するのに必要な代償は……」
――聖女の命……だ。
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