異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第4章……グリエル奪還編

79話……カブトムシ

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「そうだ、今のうちにステータスを確認しておこう」

 リバークの街を出発して数分、ずっとリンがソワソワしているので少しでも気を紛らわせるための提案をしてみた。
 とはいえ話題が思いつかなかっただけなのだが……

 ちなみに同行者はウルトの能力で隔離というか別室に乗ってもらっている。
 普段より長くなってもらって仕切りをしてもらったのだ。
 これでお互いの会話はお互いに聞こえない。
 まぁこっちは向こうの会話を聞こうと思えば聞けるけどそんなことはしない。

「そうね……焦っても仕方ないし……ステータスオープン」
「「ステータスオープン」」

 まずはリンが開きその後に全員がほぼ同時にステータスを開いて確認をする。


 ◇◆

 名前……レオ・クリイド  レベル65
 職業……トラック運転手
 年齢……21
 生命力……A  魔力……B  筋力………A  素早さ……B
 耐久力……A+  魔攻……C  魔防……B

 スキル
【トラック召喚】【トラック完全支配】【魔法適性(雷、氷、水、風、光、音)】【瞬間加速】【瞬間停止】【自己再生】【魔力吸収】【気配察知】【剣術(上)】【直感強化】【知覚強化】【剛腕】【魔力視】【魔力撃】【無限積載】【堅牢】【空歩】【弱点看破】

 ◇◆

 うん、変化なし!

 マンモンを倒したことでレベルアップしてるかなと思ったのだがしていない。
 マンモンの場合回復出来るのにそれをせず消えていってたから俺たちが倒したと言うより自殺扱いになったのだろうか?

「みんなはどう?」
「私は変わっていませんね」

 俺の質問にサーシャが答える。どうやら変わってないようだ。

「あたしも変化なし……ね」
「自分もッス」
「私もです」

 続いてリン、アンナ、ソフィアも答えるがケイトだけが自分のステータスを覗き込んだ姿勢で固まっている。

「ケイト?」
「クリードくん……これ……」

 ギギ……という擬音の付きそうな動きでこちらに振り返りステータスを指差すケイト。
 なにどうなってるんだ?


 ◇◆

 ケイト  レベル50
 職業……剣姫
 年齢……21
 生命力……B  魔力……C  筋力……A  素早さ……A  耐久力……B  魔攻……E  魔防……C

 スキル
【剣術(極)】【剛腕剛撃】【疾風加速】【堅牢】【見切り】【毒耐性】【アイテムボックス】【魔力撃】【弱点看破】【気配察知】【直感強化】【知覚強化】【身体強化(大)】【乾坤一擲】

 ◇◆

「おおぅ……」

 ケイトのステータスを見て変な声が漏れた。
 職業剣姫ってなに!?  これも上位職なの!?

「どうしたの?  ってこれ……」
「どうしたんですか?」


 リンとサーシャも気になったようで覗き込んでくるが、剣姫の文字を見て硬直する。

「剣姫って……聞いたことないけど上位職なの?」
「あたしも聞いたことないわね……」

 物知りなリンに聞いてみるが知らないようだ。つまり激レア?

「ステータスは……魔力が増えてるね。あとは【剛腕】が【剛腕剛撃】に、【身体強化】に大が追加されてる」

 とりあえずステータスの変化を確認する。
 一応全員のステータスはスマホのメモ帳にメモしているので変化があればすぐに分かる。

「ど、どどどうしよう?  職業が変わるってことは昇進だよね!?  僕が上位職!?」

 固まっていたケイトが再起動したが混乱の局地のようだ。
 リンが上位職である大魔道士になっているのを見つけた時は冷静だったのに真逆だな。

 剣姫ってなに?  とわいわい騒いでいるがまぁ予想はつくよね。

「多分女性剣士限定の職業だと思うけど……」

 姫だし。

「性別で限定される職業ですか、聞いたことありませんね」

 サーシャも聞いたことないのか……いやあるでしょ?

「サーシャ……きみの職業は?」
「え?  聖女ですけど……あっ!」

 気付いたね、そうだね聖女も女性限定だよね。

「まぁ多分上位職だと思うし……同じ上位職同士頑張りましょ?」
「うぅ……頑張るよ……」

 というかなんか困ってるみたいだけど嬉しくないのかな?
 ソフィアとアンナはすごく羨ましそうな目で見てるよ?


『マスター、魔物らしき反応が徐々に増えております』

 それから他愛もない話をしながら進むこと数時間、ウルトからそんな報告が入った。

「そっか、ならかなりグリエルに近付いたのかな?」
『詳しくはスマートフォンをご覧下さい。地図を表示します』

 スマホを取り出して画面を開くと周囲1キロほどの詳細な図形が表示される。
 中心には青い点、これは俺たちだろう。
 その前方におびただしいほどの赤い点が徐々に映るようになって来ていた。

『反応からサイズは40~60cmほどのカブトムシ型の魔物です』

 カブトムシか……硬いんだろうな……

「だから魔力のこもった武器が欲しかったんですね」
「そうだね。冒険者が買うのかギルドが一括購入して配布するのかはわからないけど」

 まぁギルドマスターが売ってくれって言ってたくらいだしギルド一括購入の方が有り得そうかな。

「クリード、ウルトの上に上がりたいんだけど」
「ん?  どうして?」

 リンがいきなり訳の分からないことを言い始めた。
 なんでウルトの上に?  景色みたいならここからでも十分見えるだろうし……

「魔物が近くにいるんでしょ?  ウルトの上から魔法で倒すのよ」
「あーなるほど……なら俺も行くよ」
「あ、僕も行くよ!  一応遠距離攻撃手段はあるし、2人の護衛も任せてよ」

 魔法で魔物を倒す算段をつけているとケイトも参加してくれると言う。
【飛翔閃】もあるし近付かれた時は最悪俺がリンの護衛に回ろうと思っていたけどケイトも来てくれるなら安心だ。

『階段を作ります』

 すぐにウルトが屋根に登る階段を作ってくれたのでリンとケイトと3人で屋根に上がる。

「……多いわね」
「だね……」

 前方に目をやると虫、虫、虫……

 大量のカブトムシが飛び回っているのが目に入った。

「じゃあやりましょうか……クリード、昆虫型の魔物は総じて火に弱いから火属性が有効なんだけど……」

 前方に火球を飛ばしながらアドバイスしてくれるが火属性は適性無いんだよなぁ……

「他は何が効果的?」
「そうね……水は甲殻に弾かれるし、風は余程魔力を込めないと斬れ無いわね。土は……土も適性無かったわね」

 なら雷か……

 とりあえず物は試しにとそれなりに近くに居たカブトムシに電撃を放つと一瞬で黒焦げになりその場に落ちた。

「うん、雷なら行けそうだな。ウルト、死体の回収はできる範囲だけで構わない」
『かしこまりました』

 こうして俺たちはグリエル奪還作戦の初戦を迎えるのであった。
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