異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

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第2章……迷宮都市編

39話……迷宮からの帰還

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  ~リバーク迷宮第6階層~

『マスター、ミスリルの鉱脈を発見しました』

 6階層に降りてすぐ、ウルトからそんな報告が入った。

「どれくらいありそう?」
『10キロは超えそうです』

 10キロか、多いな。

「ここならいいか、全部回収で」
『かしこまりました』

 これだけあれば……

「10キロ……とんでもない量ね」
「なぁリン、ちょっと相談なんだけどさ」
「なにかしら?」
「このミスリルを工房?  鍛冶屋?  に持ち込んだら安く一式作って貰えないかな?」

 俺は思ったことを口にする。
 一定数納品でゴールドランクに昇格との話だが5階層突破でも昇格要件は満たすので納品する必要も無いだろ。

「一式?  剣だけじゃなくて?」
「うん、ミスリルってめちゃくちゃ硬くて魔に対して耐性あるんだろ?  なら俺は剣と動きを阻害しない鎧、ソフィアにも槍と鎧、アンナの全身鎧と盾を作って貰えたら相当の戦力アップだろ?」

 そう言うとリンは少し考え込んだ。

「確かにそれならギルドに納品するより安く揃えられそうね……それにゴールド昇格は決まってるし無理に納品する必要も無いし……」

 ブツブツと計算しているようだ。

「うん、その方が得ね、戻ったらギルドでミスリル加工のできる工房を紹介して貰いましょう」
「憧れのミスリル製の槍が……」
「ミスリルのフルプレート……みんなに見せたらなんて言うッスかね……」

 騎士2人がトリップし始めた。
 剣であれだけの値段がしたのだ、フルプレートなんて買ったらいくらするのか想像するのも恐ろしい。

「やっぱりミスリルの装備って憧れるの?」
「当然ッスよ!  ここが迷宮都市でケイトさんたちが実際ミスリルを納品してるからあの値段で売ってますけどほかの街ならいくらお金を積んでも買えないんスよ!」
「そうです!  教国では近衛騎士の中でもひと握りしか持つことを許されないミスリル製の武具です!  あぁ……あの槍を振るえる日が来ようとは……」

 2人は熱く語りだし最後にはうっとりとした表情になっていた。
 2人のこんな顔見るの初めてだぞ?

 あ、サーシャとリンもなんとも言えない顔してる……

「まぁとりあえずこの階層の魔物を確認して――」
『オーガの生命反応を確認。数は2です』

 早速お出ましだ。
 5階層ではたまにしか出てこなかったオーガだがこの階層では普通に出てくるのかな?

「【身体強化】!【剛腕】!」

 ソフィアは普段は身体への負担が大きいからとあまり使わない【身体強化】を使い凄まじい速さでオーガに向けて突進、その勢いのまま1匹のオーガを貫いて撃破。
 すぐに引き抜きもう1匹のオーガに対しても鋭い突きを連続でお見舞する。

 結局ソフィアはオーガ2匹に何もさせないままに討伐、済ました顔で戻ってきた。

「片付きました。さぁ進みましょう」
「え、えぇ……そうね……」

 ソフィアのあまりのやる気にリンは若干引いている。

 それからしばらく率先して魔物を狩りまくるソフィアを先頭に6階層を歩き回ったがハイオークとオーガ以外の魔物に出会うことは無かった。
 ミスリルも最初大量に見つかったので期待していたがそこまでの量は発見出来なかったので回収は自重しておいた。

 そこで探索を打ち切って5階層の安全地帯に戻り少し早めの昼休憩を取り再出発。

 4階層の安全地帯で今日は終わりにしようかと思っていたがソフィアとアンナの無言の圧力により進軍、3階層の安全地帯まで戻ってから終了となった。

 明日朝から出発するとして地上に出るのは夕方かな?

「ふぅ……疲れたわね。明日の夕方には地上に出れると思うわよ。表の出張所で魔石とある程度の魔物だけ買取して貰ったら街に戻ってギルドである程度納品、それから工房を聞いて明後日の朝工房、その予定で行くわよ」
「了解しました」
「待ち遠しいッスね」

 ずっとイケイケだった2人も落ち着いたようで一安心だ。

「それより全員集まって。オークキングを倒してレベルも上がっただろうから全員のステータス確認するわよ」

 夕食を終えたタイミングでリンから集合がかかった。
 確かに全員大幅にレベルアップしているだろうし確認は必要だな。

 全員で車座に集まり各々ステータスチェックをする。

 みんな自分のステータスを確認して目を見開いてるけどそんなにレベルアップしてるのかね?


 ◇◆

 名前……レオ・クリイド  レベル40
 職業……トラック運転手
 年齢……21
 生命力……B 魔力……C 筋力………B  素早さ……B
 耐久力……A 魔攻……D 魔防……C

 スキル
【トラック召喚】【トラック完全支配】【魔法適性(雷、氷、水、風、光、音)】【瞬間加速】【瞬間停止】【自己再生】【魔力吸収】【気配察知】【剣術】【直感強化】【知覚強化】【剛腕】【魔力視】【魔力壁】

 ◇◆


「おおぅ……」

 レベル40到達……まさかこの世界に来て1週間やそこらでここまで上がるとは……
 やっぱり勇者補正とか異世界人補正とかあるのかな……

「クリード様レベル40ですか!  すごいです!」

 サーシャが俺のステータスを覗き込んで声を上げる。
 みんな顔を上げて俺のステータスに注目する。

「レベルアップの早さが尋常じゃないわね……」
「異世界人だからッスかね?  まぁ自分はタンク職なんでどうしてもレベルは上がりづらいッスけど」
「私もかなり倒しましたしその分レベルアップはしていますがクリード殿ほどの速度では上がりませんね。やはりクリード殿も勇者の1人ということでしょう」

 みんな俺のステータスを見て思い思い感想を述べる。
 でもみんな俺ほど驚いてないな、やっぱり勇者は特別だということが常識になってるのかね?

「まぁ勇者って言うのも関係あるでしょうね。勇者パーティのレベルアップが遅ければそれだけ魔王を倒すまで時間がかかると言うことでもあるしね」
「確かにそうか、勇者が早く成長しないと世界中の人が困るもんな」

 リンの話で納得した。
 そりゃはやく強くならないといけない理由あるもんな。

「じゃあ次はサーシャちゃんのステータス見てみましょう」

 自然な流れでスっと自分のステータス表示を消してサーシャのステータスを覗き込むリン。
 気にはなったが先にサーシャのステータスを確認しよう。


 ◇◆

 サーシャ・ライノス  レベル30
 職業……聖女
 年齢……17
 生命力……C  魔力……A  筋力……D  素早さ……D  耐久力……D  魔攻……B  魔防……B

 スキル

【魔法適性(聖、光、空間)】【聖なる護り】【聖女の祈り】【魔法効果上昇】【浄化の光】【聖浄化結界】

 ◇◆


 サーシャのステータスは全体的に伸びていて魔力がAになっている。
 新しいスキルも増えて順調に成長してる感じがあるな。


 ◇◆

 ソフィア  レベル38
 職業……戦士(槍)
 年齢……22
 生命力……C  魔力……E  筋力……C  素早さ……B  耐久力……D  魔攻……E  魔防……D

 スキル
【槍術】【身体強化】【気配察知】【騎士の矜恃】【剛腕】【疾風】【弱点看破】

 ◇◆

 ソフィアは素早さと魔防が上がっている。
 スキルも2つ増えていて【疾風】は【剛腕】と同じように素早さを上げるスキルで【弱点看破】は敵の弱い部分が分かるようになるスキルだそうだ。


 ◇◆

 アンナ  レベル35
 職業……戦士(剣、盾)
 年齢……19
 生命力……C  魔力……E  筋力……C  素早さ……D  耐久力……B  魔攻……E  魔防……D

 スキル
【剣術】【盾術】【堅牢】【衝撃緩和】【不動】【攻撃反射】【挑発】

 ◇◆


 アンナも筋力と耐久力が上がっていてタンクっぽさがかなり上がったステータスになっている。
 アンナも2つのスキルを取得しており、【攻撃反射】は盾で攻撃を受けた際ほんの少しだが相手にダメージを反射するスキル。
【挑発】は敵の注意を引きつけるスキルだそうだ。


 そして最後にリンだが……


 ◇◆

 リン・ヒメカワ  レベル41
 職業……大魔道士
 年齢……27
 生命力……C  魔力……A  筋力……D  素早さ……C耐久力……C  魔攻……A  魔防……A

 スキル
【魔法適性(聖属性除く全て)】【魔力ブースト】【ツインマジック】【魔力吸収】【魔力感知】【魔法威力上昇】

 ◇◆


「え?」
「大魔道士?」
「リンさん、これって……」

 俺たちはリンの職業【大魔道士】に釘付けである。

「なんか……中位職飛ばして上位職に昇進しちゃったみたいなのよね……」
「そんなことって有り得るの?」

 みんなびっくりしてるってことは無いのかな?

「聞いたことありませんね……中位職から上位職に至ったケースは何件か記録が残っていたはずですが、一般職から上位職への昇進となると……」
「そもそも上位職が現れること自体数十年に1度とかッス。確かに竜騎士ジェイドが現れてからかなり時間は経ってるんで無いとは言いきれないッスけど……」

 現実的に有り得ないってことか。今起こってるけど。

「でもリンさんの場合血筋も特別ですし、元々一般職としてありえないくらいの魔力もありましたし……」

 確かに上位職と思われる、かつウルトと同期してる俺は耐久力1つしかないのに一般職のはずのリンは魔力と魔攻の2つがAだったもんな……

「まぁ考えても仕方ないでしょ。これからのことを考えるとあたしの大魔道士昇進にいい事はあっても悪いことは無いわ」

 まぁ確かに。

「それも踏まえてクリードとサーシャちゃんには言っておくことがあるのだけど……」

 それから話し始めたリンの話に俺とサーシャは納得。
 ウルトにも確認すると問題ないとの事だったので今日の話し合いは終了となった。

 それからこの階層には人がチラホラ居るのでテントを用意して就寝。
 俺だけ外で疲れを癒した。
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