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街の中のとみぃ
23話、結成、デーモンバスターズ
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「……ん?」
「トミー! 目が覚めましたのね!?」
気が付くと俺はベッドの上で横になっていた。
隣にはアイリスさんが座っていて、心配そうに俺の顔を見つめている。
あ、おてて握られてる……
「これは……なんでもありませんの!」
握られている手を見ていると、それに気付いたアイリスさんが顔を赤くして慌てて手を離した。
残念、気付かなければよかった……
「それよりトミー、何がありましたの? 急に倒れるなんて……心配しましたわ」
「すみません……」
さて、どう説明しようか悩む間も無さそうだ。
ありのままを話すしかないか。
「……という事がありまして……誠に申し訳ありませんが、アイリスさんも巻き込んでしまいました……」
「そんなことがありましたのね。わかりましたわ」
悩んでも仕方ないとありのままを話すと、アイリスさんはあっけらかんと話を受け入れた。
悩んだり疑ったりしないのだろうか?
「なにを不思議そうな顔をしていますの?」
「いや……あっさり信じるなぁと」
「信じますわよ? トミーは嘘をついていませんもの」
そうだった、アイリスさんは嘘を見破れるんだった。
結局、言葉を選んだりせずありのまま伝えて正解だったようだね。
大切なのは正直な心。下手に言葉を飾らずにそのままぶつけるからこそ伝わるものもあるのだ。
「それで……」
「もちろん協力しますわ!」
よかった。アイリスさんのことだからなんだかんだ言って協力してくれるだろうとは思っていたけど、ここまで快諾して貰えると気が楽になるね。
「ふふ……光属性と聖属性が使えるようになるなんて……まるで物語に出てくる英雄のようですわ」
「英雄みたいというか、これから英雄そのものになると思いますけどね」
「そうでしたわ」
かなり前向きに受け止めてくれているようで安心する。
「ファミマト王国は将来の英雄を国外追放したわけですわね! 見返してやりますわ!」
「追放されてなかったら英雄になる機会そのものが無かったわけですけども」
俺の呟きは聞こえなかったようで、アイリスさんは「やってやりますわ!」と拳を握りしめていた。
「トミー!」
「なんですか?」
ようやく妄想の世界から帰還したようで、アイリスさんは俺の方に向き直り大きな声で俺の名前を呼んだ。
ちょっとびっくりしたのは内緒である。
「チーム名を決めますわよ!」
「なんで?」
必要?
「なんでって……名乗るためですわよ?」
「そりゃそうでしょうけど、いります?」
「いりますわ! トミーも考えてくださいまし!」
「うっす」
まぁ……うん。アイリスさんが必要だと言うのなら必要なのだろう。
アイリスさんと俺……トミーとアイリス……
「トミリスとか?」
「ふざけてますの?」
ダメか……
トミスの方が良かったかな? いや、俺の名前が先に来てるからダメなのか?
アイリスさんの名前を先に……
アイミ?
ダメだ、高校時代の元カノの顔がチラつくやつだからこれはダメだ。
「決めましたわ!」
俺が頭を悩ませているうちに、アイリスさんの中でチーム名が決定してしまったようだ。
考えるのめんどいし、それでいいよ。
「『デーモンバスターズ』ですわ!」
「それはダサい」
ごめん、やっぱなしで。
候補捻り出すからちょっと待って。
「なにか言いましたかしら?」
「いえ、何も」
「文句は?」
「ございません」
これは無理だ。
「それダサいからやめません?」とは言えない雰囲気だ。
「なら『デーモンバスターズ』で決定ですわ!」
「了解っす」
極力名乗らないでおこう……
「リーダーはトミーですわ!」
「なんで!?」
いやいや、アイリスさんでいいよ? 俺は副リーダーで十分満足だよ?
「女神様から頼まれたのはトミーですわよね?」
「はい」
それはそうだ。
「わたくしはトミーの仲間、いわばサポートですわよね?」
「まぁ……はい」
確かにメインは俺だよなぁ……
「ならリーダーはトミーですわ」
「ソウデスネ」
ダメだ、反論の余地がない……!
「チーム名も決まりましたし、冒険者登録もしましょう!」
「……はい」
諦めよう。
この流れに逆らうことは俺には出来そうにない。
「そういうことですのでトミー、今この瞬間からわたくしに対して敬語も敬称も禁止ですわ!」
「なんでですか?」
「禁止!」
うーむ……これは敬語やさん付けで話し掛けたら無視されかねないやつっぽいな。
「なぜ?」
「トミーがリーダーだからですわ。リーダーがチームメイトに敬語敬称を使うなんて組織の規律が乱れますわ」
規律って……
「二人なんだからそこまで気にしなくても……それに、それならアイリスさんがリーダーでも……」
「禁止!」
これは手厳しい。
「……アイリスがリーダーでもいいと思うんだけど?」
ほら、今めっちゃ取り仕切ってるし、確実に俺よりもリーダーの器だよ?
「リーダーはトミー、決定事項ですの」
「わかりまし……わかったよ」
凄い目で見られたので慌てて言い直した。
これは……慣れるまで大変そうだな。
しかしまぁ、アイリスさん……アイリスがとても楽しそうにしているし、これはこれでいいのかもしれない。
「トミー! 目が覚めましたのね!?」
気が付くと俺はベッドの上で横になっていた。
隣にはアイリスさんが座っていて、心配そうに俺の顔を見つめている。
あ、おてて握られてる……
「これは……なんでもありませんの!」
握られている手を見ていると、それに気付いたアイリスさんが顔を赤くして慌てて手を離した。
残念、気付かなければよかった……
「それよりトミー、何がありましたの? 急に倒れるなんて……心配しましたわ」
「すみません……」
さて、どう説明しようか悩む間も無さそうだ。
ありのままを話すしかないか。
「……という事がありまして……誠に申し訳ありませんが、アイリスさんも巻き込んでしまいました……」
「そんなことがありましたのね。わかりましたわ」
悩んでも仕方ないとありのままを話すと、アイリスさんはあっけらかんと話を受け入れた。
悩んだり疑ったりしないのだろうか?
「なにを不思議そうな顔をしていますの?」
「いや……あっさり信じるなぁと」
「信じますわよ? トミーは嘘をついていませんもの」
そうだった、アイリスさんは嘘を見破れるんだった。
結局、言葉を選んだりせずありのまま伝えて正解だったようだね。
大切なのは正直な心。下手に言葉を飾らずにそのままぶつけるからこそ伝わるものもあるのだ。
「それで……」
「もちろん協力しますわ!」
よかった。アイリスさんのことだからなんだかんだ言って協力してくれるだろうとは思っていたけど、ここまで快諾して貰えると気が楽になるね。
「ふふ……光属性と聖属性が使えるようになるなんて……まるで物語に出てくる英雄のようですわ」
「英雄みたいというか、これから英雄そのものになると思いますけどね」
「そうでしたわ」
かなり前向きに受け止めてくれているようで安心する。
「ファミマト王国は将来の英雄を国外追放したわけですわね! 見返してやりますわ!」
「追放されてなかったら英雄になる機会そのものが無かったわけですけども」
俺の呟きは聞こえなかったようで、アイリスさんは「やってやりますわ!」と拳を握りしめていた。
「トミー!」
「なんですか?」
ようやく妄想の世界から帰還したようで、アイリスさんは俺の方に向き直り大きな声で俺の名前を呼んだ。
ちょっとびっくりしたのは内緒である。
「チーム名を決めますわよ!」
「なんで?」
必要?
「なんでって……名乗るためですわよ?」
「そりゃそうでしょうけど、いります?」
「いりますわ! トミーも考えてくださいまし!」
「うっす」
まぁ……うん。アイリスさんが必要だと言うのなら必要なのだろう。
アイリスさんと俺……トミーとアイリス……
「トミリスとか?」
「ふざけてますの?」
ダメか……
トミスの方が良かったかな? いや、俺の名前が先に来てるからダメなのか?
アイリスさんの名前を先に……
アイミ?
ダメだ、高校時代の元カノの顔がチラつくやつだからこれはダメだ。
「決めましたわ!」
俺が頭を悩ませているうちに、アイリスさんの中でチーム名が決定してしまったようだ。
考えるのめんどいし、それでいいよ。
「『デーモンバスターズ』ですわ!」
「それはダサい」
ごめん、やっぱなしで。
候補捻り出すからちょっと待って。
「なにか言いましたかしら?」
「いえ、何も」
「文句は?」
「ございません」
これは無理だ。
「それダサいからやめません?」とは言えない雰囲気だ。
「なら『デーモンバスターズ』で決定ですわ!」
「了解っす」
極力名乗らないでおこう……
「リーダーはトミーですわ!」
「なんで!?」
いやいや、アイリスさんでいいよ? 俺は副リーダーで十分満足だよ?
「女神様から頼まれたのはトミーですわよね?」
「はい」
それはそうだ。
「わたくしはトミーの仲間、いわばサポートですわよね?」
「まぁ……はい」
確かにメインは俺だよなぁ……
「ならリーダーはトミーですわ」
「ソウデスネ」
ダメだ、反論の余地がない……!
「チーム名も決まりましたし、冒険者登録もしましょう!」
「……はい」
諦めよう。
この流れに逆らうことは俺には出来そうにない。
「そういうことですのでトミー、今この瞬間からわたくしに対して敬語も敬称も禁止ですわ!」
「なんでですか?」
「禁止!」
うーむ……これは敬語やさん付けで話し掛けたら無視されかねないやつっぽいな。
「なぜ?」
「トミーがリーダーだからですわ。リーダーがチームメイトに敬語敬称を使うなんて組織の規律が乱れますわ」
規律って……
「二人なんだからそこまで気にしなくても……それに、それならアイリスさんがリーダーでも……」
「禁止!」
これは手厳しい。
「……アイリスがリーダーでもいいと思うんだけど?」
ほら、今めっちゃ取り仕切ってるし、確実に俺よりもリーダーの器だよ?
「リーダーはトミー、決定事項ですの」
「わかりまし……わかったよ」
凄い目で見られたので慌てて言い直した。
これは……慣れるまで大変そうだな。
しかしまぁ、アイリスさん……アイリスがとても楽しそうにしているし、これはこれでいいのかもしれない。
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