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スサノの冒険

剣武の巻

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スサノ「冒険に出るのは良いがそう言えば行くところ見つけてなかったな ギルドとかダンジョンとかねぇかな」 
スサノはそう医師の人に貰った地図を見て言う
あまり地図にはめぼしいものは見当たらない
平和な方なのだろうかそれともダンジョンは地図に載っていないのか
建御雷之男神「経験を積むにはいきなり本戦かかるより機械人形とかで練習した方が良いんじゃないか?」
建御雷之男神はそう提案する
機械人形を扱えば死のリスクが減るためいい戦いが出来ると考えたのだ
スサノ「圧縮、膨張は俺でもスキルとして身につけているから後はそれを素早く変更できるかが鍵になってくる 機械人形の練習はあまりしたくないかな」
スサノはそう持論を話す
暴風ストームとスサノの持つウィンドの違いはそれに込めた質量と素早さだ
機械人形でどれだけの速さと力が出るのかはまだ分からないが強大な強さを強靱なスピードで越えないと俺はあいつに勝てない
そして相手は能力持ちなのだ 機械人形では実戦でのレパートリーが少ないので戦いに劣る 
そう思った
建御雷之男神「そうか なら本戦の方が合うか そう言えばその風の能力ってヒップ&アヴェイ可能じゃないのか?」
建御雷之男神はそう納得すると話を変えスサノにそう能力について尋ねた
ヒップ&アヴェイが可能なら間合い上で有利になれる
そして被弾が少なくなる
スサノ「あー無理 間合いは中距離~近距離だし遠距離は風が離散しちまう」
スサノはそう答えた
風を力にし斬る
それがこのスサノのイメージでありブリザードのような吹いてくる無数の風の斬撃はイメージにない(あったとしてもそんな使ったらクールタイムがクソ長い)
スサノ「とりま新技習得ぐらいしかあいつに勝つ方法は無いんだよな 風弾も風閃も斬撃を飛ばすだけじゃあ敵わない……」
建御雷之男神「確かにな……」
二人はとりあえずギルドにある課題をこなしながらその町で新技習得のために能力成長への研鑽を積みながら過ごすことにした


それから数週間後、事件は起きた
魔血マジットから特定されたのだ
キチキチ! キィーキィー!
スサノ「あれ 建御雷之男神、今って秋だっけ?」
スサノはモズの鳴き声を耳にするとそう訊ねる
モズは秋の鳥であるため秋ではないかと思ったのだ
建御雷之男神「今は秋じゃないが……確かにモズの声が聞こえるな」
建御雷之男神はそう答えると周りを見渡す
確かにそこにはモズがいた
モズは秋の鳥で今の時期は居ないはず……なのだがそこにモズは居た
スサノ「竜田姫がここら辺にいるのか?」
建御雷之男神「竜田姫なら神陣営だろ?何故こんなことを?」
建御雷之男神とスサノはそう混乱する
竜田姫ならモズを操れてもおかしくはない 
まぁただし竜田姫ならなんのためにって話だ

カイム「みーつけた」 
にこやかにカイムは嗤った

ドォーン!
スサノ「はっ!?風っ!」
鳥が激突してきたのをスサノは風で速度軽減する
不意の攻撃……数秒遅れたら致命傷だった
バサバサバサバサ
空中に舞う無数のモズ
建御雷之男神「はっ!今思い出した モズは!!!」
ドドドドドドド!
建御雷之男神「屠殺人の鳥だぁぁ!!!」
建御雷之男神はそう叫び十握剣の一刀を構える
ザザザザザザザ!
無数に襲いかかるモズ
斬っても斬ってもどこからかまた湧き出る
しかし二人の体力はどんどん削れる
スサノ「嘘だろこいつら!」
建御雷之男神「おいおいおいおい!」
襲いは止まず絶えず……
モズは攻撃を続かせる
地獄絵図だ
スサノ「くそっ!全方位に攻撃が出来たら良いのに!そしたら速く終わる!」
スサノはそう呟きながらもモズに斬撃を振るう
全方位から無数に襲いかかるモズに対抗する策はそれしか無かった
じゃなかったらジリ貧で負ける事は目に見えていた
建御雷之男神「やってみろ!ってかやるしかない!」
建御雷之男神は風を纏うスサノの周りで大きく刀を振るいまくる
スサノの技の邪魔にならないようモスらを切り刻む!
建御雷之男神「十握剣・二刀連撃!」
建御雷之男神は新たに十握剣を一刀取り出し二刀流で構えると無数に振るった
その剣の才を最大限に活用して
しかしその剣にモズは負けじと襲いかかる
スサノ「風斬・流!」
スサノの近くを流れる風が斬撃に変わり流れるまま斬撃を放つ
流れに沿うことで割く量をあげ効率を上げたのだ

流れに身を任せ斬る度に風への集中を上げより精密に練ることで風自体のボルテージは加速する
そして……
スサノ「ぶっ飛べ!!」
スサノに溜まった風が全方位に放たれモズはぶっ飛ばされた
求めていたの発現だっ!!
ボルテージが上がったスサノは紅潮して
スサノ「狩るぞ!」
と叫び
スサノは手に風を纏い空へ跳ぶ
建御雷之男神「おう!」
下に居る建御雷之男神も追撃を与えようと剣を振るい続ける
モズはだんだん減っていく
そんなときに
カイム「あれれ?モズ達やられちゃった?」
ある男が姿を現した
その姿は鳥人間のように見えた
スサノ「……カイム?」
スサノはそう特徴から相手を推測する
カイム「まぁいいや 建御雷之男神、僕は君を殺しに来たんだ」
カイムはそう建御雷之男神に告げる
不自然に掌を建御雷之男神に向けて
スサノ「俺を省く理由はなんだ?」
スサノはそうカイムに訊ねる
一番の敵は草薙の剣を取り返す可能性のある俺ではないのかとそう思い
カイム「メパト様は素戔嗚尊に勝って欲しいんだよ 今のままじゃ圧倒的力量もあって雑魚戦にもならないからね だから君は生かす でもね建御雷之男神は邪魔なんだ 理由は言えないけど だから死んで?」
カイムはそう言うと耳を澄ませ建御雷之男神へ伸ばしていた手を握った
その直後、建御雷之男神が苦しみ始める
建御雷之男神「……っ!?」
心臓を絞められるような激しい痛みが神経を巡って伝わる
心臓への攻撃……人の弱点への打撃
なんという卑怯 残虐で酷い
スサノ「建御雷之男神を離せっ!風斬!」
スサノは建御雷之男神が心臓を苦しめられてる事に気付くとそう怒りをあらわにして叫ぶ
そしてこの風を纏った手刀の風の刃でカイムを斬ろうと近づく
カイム「ぬるいね」
カイムは嘲笑う
これはメパト様も逃がすわと思うほどにぬるい
そして弱い
カイム「僕の能力は|有声|掌握《《ルビ》コエノカタチ》……耳を澄まし聞いた音を掴む それだけの能力」
この通りねと心臓を握ってる方と反対の拳を風に当て握ると風は離散した
聞いた音を立体的に掴むだけ
だけど強い
スサノ「ふざけるな……!!何を言っている?声を掴むだけで心臓を握りしめられるわけが!」
スサノは声の裏の意味を知らずそう発言する
知識的に音を声だと思えなかったのだ
カイム「君は何か勘違いをしているね 鳥のこの鳴き声をなんて表す?」
カイムは嘲笑いながらそう質問をする
鳥の声と言うだろう?と言わんばかりに嘲笑った
スサノ「……声……!!」
スサノがそう答えると気付いたように目を大きく見開いた
音を声と捉えることでこの能力は心音を感知、掴むことが出来たことにスサノは気付いたのだ
カイム「そう声」
スサノは震えた
こいつの感受性は異常
そしておかしい
文学には音を声と捉える人が複数人いる
それはこいつも同類だ
だがそれを立体として掴むという考えをするのはこいつが初めてだ
声を押し殺すをそのままで受け取り物理的な意味で声を押し殺している
声を掴む能力を音自体を掴めるように拡張したこいつは異端だ
抵抗すらも掴まれば無駄に返る
スサノがそれを理解するのはまだ早かったのかもしれない
建御雷之男神(嘘だろ……心臓音が声なんて……)
建御雷之男神は苦しむ心臓を抑えながらそう言う
カイムがスサノと受け答えしてる瞬間、心臓は緩めいたため助かったもののこの心臓の束縛からは逃げられないようで建御雷之男神は苦しそうな表情をまだしていた
スサノ(勝つ方法は無音の風を吹かせ斬るしかない だけれども今出せるかと言ったらそれは出せないだろう 先ほどのボルテージもここまで追い詰められちゃ精神的にハイにはなれない)
スサノはカイムに殺意の目を向けながら倒す方法を考える
建御雷之男神を助けるには俺があいつをやらなきゃいけない
例え勝てなくても相手は俺を殺さない
何故ならメパトのおもちゃだから
殺したとなればカイムにはメパトの制裁が加えられることは間違いないだろう
主君に殺されるほどの危険をこいつが起こすか?
メパト様と呼んでるあたり忠誠は誓ってるようだが
カイム「なんで殺す気なのさ?それは先日メパト様の襲撃で出会ったばっかの奴なんだしまだ信用できないでしょ?」
カイムはそう建御雷之男神をそれと物扱いで呼称しスサノに訊ねる
十握剣を持つ剣の神、建御雷之男神と八岐大蛇を殺した風の神、素戔嗚尊
この姿で出会ったのはあのパズズが起こした百鬼夜行の戦場のはずだ
なのに何故もう絆や信頼が生まれてやがる?
カイムはそう思った
スサノ「それとか言うな!建御雷之男神を!!」
スサノはそう叫ぶ
建御雷之男神を物扱いとは侮辱に値する
大事な仲間を道具みたいに言われたくはない
カイム「だってみてよ?こいつ弱いんだよ」
カイムは悪魔的にそう促すと建御雷之男神の心臓を握ってる拳を上へ動かす
そうすると
建御雷之男神「ぐあっ……内臓が……!!」
建御雷之男神の心臓が上に突き上がる
ブチブチと音を立て心臓周りの血管は悲鳴を上げる
カイム「ほら 素晴らしいおもちゃでしょ」
ほらねと言わんばかりにブチブチと音を立て血をところどころから流し悶絶している建御雷之男神をまるでおもちゃのように心臓を右往左往上下左右に動かして反応を楽しんでいる
流石悪魔と言ったところか
かなりグロいし鬼畜で酷い
スサノはその状況に言葉を無くしただただ睨みつけることしかできなかった
カイム「もう一回同じ事聞くけど何であんな出会って1週間2週間ぐらいの奴に執着するの?何で信頼と絆が作られてるの?」
カイムはそう再度訊いた
スサノ「見捨てられる訳ねぇだろうが!同じ神血ゴットバーで同じ剣使い それに神時代も交流があった なのに信頼と絆が出来ないと思ってるってそっちの方がおかしいだろうが!」
スサノはそう反論をする
カイム「それは馬鹿の思考だよ 前出会ったからってこいつは前とは違う 転生して生きながらえてる 人間として生まれた神 根本的なことは人間とさほど変わらないし そしてこれが君の交流していた過去の建御雷之男神とは限らないでしょ?それでも君は絆と信頼をそのまま置くの?本当にこいつを過去の建御雷之男神と信じるの?」
カイムはそう辛辣に訊く
人間でありながら神の能力を持つと神であり神の能力の持つ事は違う
スサノ「関係ない 例え建御雷之男神が偽物であろうがゼウスと共にお前らと戦ったことは変わりない!!」
スサノはそう叫び反論した
偽者?本物?
それが建御雷之男神を助ける、助けない選択肢に関係があるのか?
目の前で仲間が苦しんでれば俺は……抗いたい!!
スサノ「無風切断!!」
目をかっぴらきそうスサノは叫んだ
その直後、通常周りを漂う空気がそのまま切断特性を持ち敵を薙いだ
普通に周りを吹き抜ける無音の空気という存在が刃を放ったのだ
力の集中……怒り……神血ゴットバーの火照り
それによりその拡張された力は引き起こされた
カイム「無駄だよ!」
カイムはそう手を握ろうとするが掴めない
無音……声と認識できない!!
カイム「如何した!風は声だろ!?」
焦るカイム
襲う無音の風は無数の傷口をカイムに作り出していた
自然の風は悪に刃向いた
スサノ「ぐっ……あっ……」
スサノは必死にそれを維持する
息が切れたようにはぁはぁと呼吸しながらそれは続行された
キツい 辛い
高難度だ
今のはまぐれと思った方が良いだろう……
スサノ「建御雷之男神を殺るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
スサノは風が切れそうになると建御雷之男神から十握剣の1本を奪いその刃を振るうために近づく
剣道を思い出せ
相手より早く素早く振り下ろす!!
カイム「モスの全方位攻撃に次いで無音の風攻撃ね……ボルテージ上がってるとは言えやるね……僕にダメージを入れるなんて……!!」
いつの間にか建御雷之男神の心臓から手を離していた
それはスサノへの興味からだろうか 
負傷はそこまで行っておらずカイム並なら離さぬ事もまだ可能だった
だがしかし離した
ミスリードだ
スサノの殺害は目標ではない
問題は建御雷之男神の殺害だ
殺しておけば良かったものの離してしまった
カイム「来るなら来いよ スサノオ!!」
そう叫んで手を前に出すが掴むのが遅れ腕はぱっくり割れた
だが……
スサノ「はぁはぁっ……」
体力的にこれ以上の交戦は困難を要する
何せ純神血ゴットバーじゃないから
適当な人類へと受肉を遂げた今、元の神血ゴットバーほどの力が出にくい
それに新技開発にエネルギーを割きすぎた点もある
慣れてない事をすれば疲れるのと同じだ
神血ゴットバーは血が出ない限りなくならないが人間には動ける限界がある
それが招き疲れを生む
スサノ「おりゃぁぁ!」
先ほどよりも遅い刃
疲れが見えてきている
カイム「どうした?もう終わりなの?もう疲れ果てたの?」
カイムはそう向かってくる刃を避けた
初見殺しはもう通用しない
ヘイトが無音の風に向かってたから一撃当てただけで認識されてしまえば当たるものも当たらない
カイム「はぁっ!」
カイムはスサノを殺さない任務だった
だから穏便に終わらすはずだった
ダンッ!
拳がスサノの腹を突いた
スサノ「ぐっ……!?」
スサノの体は拳の衝撃で少し空を舞い荒々しく地面に落ちた
フィジカルも強いのかよとスサノはカイムを睨もうとする
当たり前だ
声を掴むのだからフィジカル面が強くなければいけない
握力があまりなかったら握りつぶせるものも握りつぶせないからだ
スサノ「素戔嗚尊をなめるな!」
スサノは剣を再度、強く握る
しかし先程の速さと現在の疲労は気力を出して頑張ってもあいつには到底追いつけそうもない
ならば如何すればいい?
如何にして相手を倒すか?
カイム「まだへばらないか その精神力、興味が出てきたよ」
カイムはそう嗤う
そして素早い動きでスサノへ近づき拳を振るった
スサノ「近づいていいのか?」
相手は近距離
しかし刀の分、こちらが間合い的有利だった
それが答えだった
俺には何故か無音の風を見てから有声掌握コエノカタチを使用してこない
それが即死能力だからか
それとも単なる気まぐれか
勿論、声を掴まれればこの剣はとっくに破壊されている
スサノは剣を振るう
残りの力を込めて
カイム「読まないとでも?」
カイムはそう跳んで避けた
体を横にし回転して拳を振るう
剣で裂いた後、すぐに上へ動かすのはこの疲労したスサノでは不可能だった……
ドスッ!
と顔面に拳は振るわれ
スタッ!
と綺麗に着地した
スサノ「ぐあっ……!?」
スサノはそれを理解できずもろに拳を食らい後ろへ飛ばされた
鼻から傷口から色々なところから血を流す
疲労で腕は少ししか上がらず起き上がることが困難だ
剣を再度振るうことも今は出来ない
しかし俺は死んでいない
断じて俺は死んではいない
生きてる
何故か生きてるのだ
それが何故か理解するのはそう遅くなかった
スサノ「舐めプすんなよ……!」
スサノはそう呟く
完全にあいつは舐めプしている
片腕を裂かれたというのにまだあいつは舐めプしている
俺は殺さないと命令されてるとは言え舐めプしていると知れば実力を出さないでも差がある奴も不愉快になるのは当然だろう
カイム「だって命令だもん 本当は戦うつもりなんて無かったんだよ?あいつの命を狩るだけで でもスサノ…お前が暴れるから気絶で済まそうとしたんだよ なのにここまでやっても気絶しない 流石、剣に選ばれし者だね」
カイムはそう嗤って答える
そう本来ならスサノに対して殺しもバトりもせず建御雷之男神を殺せば帰っていた
面倒を起こしたのはスサノだとカイムは主張する
そしてここまでやっても気絶しない、諦めない、死なないスサノをタフと呼称し褒めた
本来人間であればここまですれば流石に気絶するか死んでいた
それほどまでにスサノは傷ついていた
スサノ「命令がなんだ……!お前はメパトの操り人形マリオネットなのかよ!」
スサノはそう反論する
その反論もこの現状では虚しいのに
カイム「社会はこういうものだよ 強い者に弱き者が従う 知らないの?人間社会でも同じだよ 凄い技術や凄い実績を持ってるやつは上に行き持ってない奴や発揮してない奴は下に居る 人間社会過ごしてるなら知らなきゃダメでしょ」
カイムはそう回答する
当たり前だ
スサノはいじめられっ子で学校を嫌っていたし神判明してから失踪して不登校になった学生だし死亡届出されてるからもう学生でもないし
当然、学業は疎かになっていた
人間社会についてあまり知らないのも当然と言えば当然だ
まぁスサノの言いたいことはこういうことではない
メパトに全ての判断を委ねている
その状況に操り人形マリオネットみを感じたのだろう
スサノ「でもっ!」
勝てない……その一言が頭によぎる
だがスサノは必死に食いつこうと剣を握りしめていた
カイム「……何がしたいのさ 僕は殺す気は無いって言ってるのに自分から死にに来て……死生観バグってんの理解した方が良いよ そろそろ」
カイムはそれをみて呆れた顔でそうスサノに疑問をぶつけた
能力を使ったら確殺出来るからあれ以来能力使ってないのに本気を出せ?
ざけんな それは俺より格上が使うべき言葉だろ
格下のスサノが使っていい訳がない
スサノ「うるせぇ!!殺しに来た奴が死生観どうのこうの言う権利はねぇだろ!殺しの道歩んどいて死生観とか善人ぶるな!」
スサノはそう大声で主張しカイムを睨む
カイム「何処までも自分勝手だな!素戔嗚尊!!」
カイムはそう睨み返す
カイムとスサノはお互い睨み合い一触即発の空気に包まれた

バンッ!
触れ合う両者の手
カイムは握りスサノは風を放つ
スサノ「何度死んでもお前を殺してメパトを殺す!!」
スサノは大声でそう宣言した 
もう蘇生チャンスはないと言うのになろう主人公気取りだ
潰れる人差し指 切れる小指
カイム「殺せるもんなら殺してみろ!俺は!いや、俺らは!何度でもお前を殺しイザナギを殺して見せよう!!」
カイムは怒りを込め大声で反抗するように宣言する
まさに魔血マジッド軍最強を思わせるように
メパトは殺させない 
その一身で拳を振るい続ける!
小指が落ちようとも何があろうとも!
スサノ「殺させねぇ!!!」
スサノはその宣言に大声で反論の言葉を上げる
死力を尽くし放つ刹那の風……
スサノから放たれる厚い風!
力尽きるまで俺は振り続ける!

カイム「音もなく朽ちてしまえ!!」
風を前にしカイムは拳を力強く握る
風は揺らぐ
風の上下に拳の力がかかる
最初に握り潰した風より圧は大きい
だがカイムもまた怒りの限り力を強くさせた
スサノ「やらせぬ!!!」
拳に圧され硬くなっていた消滅寸前の風を土台にスサノは飛んだ
そしてスサノは一刀を再度全力を尽くし握る!!
カイム「はっ!?」
カイムはその行動を理解できなかった
あいつに空から何が出来るという?
カイムはそう思ったが一応握ったその拳を振るう!!
スサノ「下降気流!!うぉぉぉぉ!」
スサノはそう叫びカイム一直線に死力を尽くし刀を振り下ろした
スサノの周りの空気が下降気流になり剣と共にカイムを襲う
台風の発生源を間近に浴びてるわけだ
常人では生きれぬだろう
風の能力は空中でこそ真意を発揮する
全方向風だらけだからっ!!
カイム「うがぁぁぁぁっ!!」
ザンッ!
カイムの脳天に刺さる刃……
スサノの一刀だ!!
気付けばスサノはそこに立っていた
下降気流の圧で拳は当たらず腕が上がらない…!
カイムの体にはもう無数の風の斬撃の痕!
もう……抵抗できない…!!!
初めて感じた絶望感
弱者が強者を上回るなんてありやしないと思ってたカイムに味あわせてくれた初の絶望
スサノ「死…ね!!」
スサノは今までにない殺意の目でカイムを睨む
スサノはカイムの脳天から剣を抜き構える
次の一撃で殺すと告げるようにその刀は紅い血液と風とが混ざり合っていた

体を酷使し体中が赤く傷が幾つもあって瞳も充血して……
それでもスサノはカイムを狩るために体を動かしている
殺人鬼なのはどっちなんだ…!とカイムは体を震わせる
カイム「嘘…だろ……!負けるわけ……!お前に負けるわけ……!!!」
絶望に打ちひしがれてもカイムは睨む…睨む
諦めず抵抗するようにスサノの目を睨み続ける
絶望を味わっても尚!諦めずに刃向く!
スサノ「風流・逸風斬!」
下降気流の風を一太刀に集め風の流れ全てをこの太刀と共に振るう!
流れ出すスサノの神血ゴットバーは集められる風と共に光る!光る!!

ザシュッ!!!
一太刀はカイムに届いたのか……?
風は地面を抉り視界を邪魔している
スサノ「……よく見えないな カイムはどうなった……?」
スサノはそう小声で呟く
確認しようと立ちあがろうと考えるが体が動かない…
気圧のせいで自らまで終わらせたか?
スサノ「……やれててくれ……」
そう呟いた瞬間
ブハッ!
とスサノは吐血し目の前が真っ暗になった



「……ろ!…サノ!…きろ!」
何処かから声が聞こえる
何があったんだろ……必死そうだ
「起きろ!スサノ!!」

「はっ……?ここは?」
スサノは目を開き周りを見渡す
そこは先程まで居たカイムの姿は確認できなかった
それと入れ替わるように目の前で俺を覗くのは建御雷之男神本人だった
「やっと起きたか……!」
建御雷之男神の瞳から涙が垂れる
死闘の末、意識を失ったスサノが今、目覚め意識を取り戻したのだ
この前のような受肉という再生スタイルを取らず肉体のまま回復を遂げた
「何日……いや何カ月眠っていた?」
スサノはそう問う
あのレベルの損傷……人間ならもう死んでいただろう
まぁ流石にが発動条件のチート能力、カイムならあの威力を軽減しててもおかしくはないが
まぁ何にせよスサノは死ななかった
否、死なせなかった
それは事実としてあった……


習得した新技はあれ以来、感覚として体に刻まれたがカイムほどの死に瀕せぬダンジョンバトルでは発動が叶わなかった……
集中を溜めて感覚としてそれを撃ち出しても180度が普段の限界
風斬・流からでの繋ぎバフもあの一回きりになっていたのだ……

「お前なら…と期待していたのだぞ」
「はっ……しかしやはり天叢雲剣に選ばれし者 反抗されれば手出しのしようが無い」
「雲や気流すら操る《《本来に近しい神の力素戔嗚尊の神技》》私も見ていた ……やはり見込んだとおりあいつは成長のしがいがある 私はお前があれを前にし寸前で生き残れたことを褒めよう」
「ありがとうごさいます」
「だがあれに押されるようじゃお前もまだ追いつかん お前もあれのように研鑽を摘むべきだ」
「はっ!」

END

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