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ハズレ領主月野木天音と異世界の民

第33話「決闘」

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クロム・ハンク子爵主催の舞踏会が催される。
旧エルドルド支配地域の平定がかなったことを祝い、貴族や豪族たちが招待され
その招待状はリグリット村領主の私のところにも届いた。

まさに我が世の春を謳歌するハンク子爵ーー

私はハンク子爵の招きに応じて、あかねとミザードさんを伴って、会場となるルース城へとやってきた。
ルース城は、かつてジャン・リコルス卿が治めたていた領地にある。
リコルス卿といえば、エルムの森で生活していたころ私たちを襲ってきた苦い思い出のある人物。
その時の恐怖が頭をかすめる。だけど城下へ入った途端にその恐怖はどこかへ消え去ったてしまった。
それは市場(いちば)の賑わいぶりが、戦争が終わって平和が訪れたことを実感させてくれたからだ。
「ねぇ天音、見て!アクセサリー売ってるよ」
さっそく観光気分のあかねに手を引かれて市場を進む。
「ほわぁ! すごい」
露店に陳列されたアクセサリーに、私たちは顔を寄せて食い入るように眺めた。
きらめく宝石が散りばめられたイヤリングやネックレスたちが目を楽しませてくれるのだ。
「領主様、あかね様、急ぎましょう。ハンク子爵の思惑が見えない以上、早くルース城に入って状況を探らなくては⋯⋯」
話しかけてきたミザードさんが私たちの目を見て「うっ」と、たじろぐ。
おっと、いけない。思わず眉間に力が入って女子高生がする顔ではなくなってしまった。
ミザードさんは何に気圧されたのかわからないけど
「仕方ないですね⋯⋯しばらく城下を楽しみましょう」
と、ため息交じりに了承してくれた。
こうして私たちは束の間のショッピングを楽しむことになった。


***
ハンク子爵は、平定後すぐに子爵の爵位に相応しい拠点としてリコルス卿が居城としていたルース城に移り住んで執務をはじめた。
ルース城へ到着すると、ファンタジー世界のお城を彷彿とさせる見た目に思わずに心が高鳴った。
高揚する気持ちを抑えながら中へ入っていくと、ホールにはすでに豪華なロングドレスとタキシードに身を包んだ貴族達が集まって華やかな空間が生まれていた。
こんな華やかな場だと、着ているウィギレスの制服は似つかわしくなく、
周囲の貴族達が“何? あの格好と言わんばかりに”チラチラと私たちを見てくる。
完全にドレスコードを間違えたようだ⋯⋯浮いてしまっている。

気負っていると、突然貴族達がざわつきはじめた。

「エイドリッヒ公爵だ!」

「なんとエイドリッヒ公が⁉︎」

「これはハンク様も伯爵になられる日は近いな」

一箇所にかたまっていた貴族達が次々に左右に分かれて道をつくる。
その間を立派な白ひげを尖らせて、勲章を胸に輝かせた紳士が従者を引き連れてやってくる。
私とあかねが「誰?」と、首を傾げていると
『ウェルス王国の重鎮だ⋯』
と、葉賀雲君が私の影の中から姿を現して説明する。
「エルドルド支配地域より遥かに広い領土を治めている人物。鷲御門たちが最後まで苦戦していた相手だ。
そんな人物が知事じゃなくて、ハンク子爵に会いに来た。稲葉もうかうかしていられない。この兆候は危険だ」
エイドリッヒ公爵の列が私たちの目の前を通り過ぎてゆく。
すると長い金髪をなびかせた女性が私たちのところにやってくる。
「アレぇ? もしかしてあなた達がリグリット村から来たって子たち?」
歳はひとつかふたつ上だろうか。彼女は目をカッと開いて八重歯をのぞかせながらグッと私に顔を近づけてくる。
「やっぱクサイわ」
「は?」
そう言い放つと彼女は鼻をクンクンとさせる。
「クサイ、クサイわぁ。ヘドロのようなニオイがする。土をいじることしか知らない田舎者のニオイよ」
「ちょっと何よ。あんたいきなり!」
食ってかかるあかねを、意にも介さず女性はケタケタと笑う。
「わかんない? ここは辺鄙な村の田舎領主が来る場所じゃないってこと。田んぼの中で泥と戯れているのがお似合いなのよ」
彼女だけじゃない、周囲の貴族たちも私たちに侮蔑の眼差しを向けている。
「私は、男爵家令嬢ミレネラ・ドートスっていうの」
「⋯⋯月野木天音よ」
「東堂あかね」
「フッ あなたたちには給仕がお似合いよ。下がって」
周囲の貴族たちからドッと笑い声が広がる。

***
私たちは用意された控え室に籠った。
「あかね⋯⋯私って臭いの?」
「ちがう!ちがう!そうじゃないよ天音」
「わかってる⋯⋯」
私は珍しく頭にきているーー
悔しさを堪えて鏡に映る私をジッと見据える。
「よしッ」
負けない!
この部屋には私たちのためにドレスや化粧品が用意されている。
“女子高生の女子力見くびらないで!”

***
舞踏会は貴族にとって格好の出会いの場。
男女が気に入った相手と会話をし、社交ダンスを踊る。
ミレネラは取皿を手に、男を物色して歩いている。
好みの男が目に止まったのか、「フッ」と、唇の片端を吊り上げ舌を舐めずり、
テーブル席の方で談笑している軍服を着た青年に近寄っていく。
「あ、ごめんなさい!」
と、さっそくハプニングを装い、取皿を青年の肘に当てて会話のきっかけをつくると
「あら、立派な勲章ですね」と、青年の腕に体を密着させて上目遣いをする。
「あ、ありがとうございます」
と、青年は頬を紅くして答える。
「エイドリッヒ公爵家嫡男のパトリックです⋯⋯」
「あらまぁ⁉︎ 公爵様のご子息なんですか?」
心の中で“しめた”と言わんばかりのゲスな表情をしたミレネラは、
「今回の戦争でもご活躍なされたんでしょう?」
と、前屈みになって胸の谷間を魅せつけて迫る。
「え、まぁ⋯⋯」
パトリックが目のやり場に困りつつ当惑していると、周囲からどよめく声が広がってくる。
周囲が驚いたのは赤いドレスに身を包み、ジッと前を見据えて歩いてくる天音の姿。
市場で買ったイヤリングを耳に光らせ、口紅で強調した紅い唇が普段よりも大人ぽく見せる。
放たれる凛としたオーラが周囲の男たちの目を惹きつける。
その姿にパトリックはミレネラを押しのけて天音に駆け寄っていく。
「アナタほど麗しい女性に出会うのははじめてです。ぜひ一緒に踊ってください」
パトリックは、天音の目の前で片膝をついてかしずく。
「はい」と、天音も応えて、差し出された手を取った。
目の当たりにしていたミレネラは表情をひどく歪ませて、血が流れてくるほど強く唇を噛み締める。

「ヘドロ女がッーー」

楽団の演奏とともにステップを踏むパトリックと天音。
はじめこそぎこちなかった天音の動きも徐々に感覚を掴んでリズムに乗る。
「さっすが天音、持ち前の運動神経でカバーできることはなんでもこなす。いいぞ」
ホールの中心でドレスの裾を翻しクルクル廻る天音とパトリック。
天音の華麗なダンスにギャラリーたちは息を呑んだ。
一曲が終わり、天音が裾を広げて深々とお辞儀をすると大きな拍手が沸き起こる。
「ありがとうございます。私がエスコートするつもりが、アナタについていくのが精一杯でした」
「いいえ。こちらこそ」
「よろしかったらもう一曲」
「ええ」
拍手が鳴り止まない中、天音に白い手袋が投げつけられる。
周囲がピタリと静まる。

「決闘よ! 」

声が響せてミレネラが乱入してくる。
ミレネラの形相にパトリックは「ひっ!」と、悲鳴を上げてその場から逃げ出す。
天音は怯むことなく強い眼差しをミレネラに向けて見据える。


***
サーベルを投げ渡された私はミレネラ・ドートスと名乗るご令嬢と対峙する。
取り囲んできているギャラリーからは“いいぞ、殺し合え”とエスカレートした声援が飛び交う。
「いくよ」
ご令嬢が八重歯を覗かせた瞬間、肩部分の布地に切れ込みが走る。

“速い⁉︎“

一瞬だった。布地の裂け目から露出した肌にはスッと筋が入って血が流れはじめている。
ご令嬢の剣先を視界で捕らえることができなかった。


「おい、ドートス家の令嬢って言ったら剣の腕前は天才的だと聞いたぞ」
「ああ。男児であったならばと、男爵が嘆いたとか」

ご令嬢は刀身を左手で添えて切っ先を私に向けた状態で構える。
そしてケタケタと笑いながら突き連撃を繰り出してきた。

肩⋯⋯腕⋯⋯頬⋯⋯ドレスの裾⋯⋯的確に捉えて切りつけてくる。
私は防戦一方⋯⋯切傷が増えていっているだけで、さっきからサーベルを握って身構えたまま一歩も動けていない。
「どしたの? 反撃して来ないの?」
ご令嬢は一撃で私を仕留めることができるはずなのに、こうして弄びながらじわじわと痛ぶってくる。
攻撃の手が緩む気配が全くない。このままだと持ち堪えらない⋯⋯

グサッ!

ッーー
ご令嬢の剣が私の二の腕を貫いた。

「天音ーーッ!」

あかねの叫び声がホールに響き渡る。
「ほら刺さちゃったじゃない」

痛いーー
体験したことのない激痛が襲う。
「ただ突っ立っているだけだと串刺しになって死んじゃうよ」
そう言って今度は深く突き刺そうと狙っているからか、ご令嬢は右肘を大きくうしろに引いた。
”!“
できたこの一瞬の隙を見逃さなかった。姿勢を低く屈ませて一気にご令嬢の間合いに飛び込む。
下方から右斜めにサーベルを薙げば、ご令嬢の手からサーベルを落とせる。

「フフッ」
ご令嬢が含み笑いを零した。
読まれていた⋯⋯いや、罠だ!
切っ先が弾き返され、気づいたときには刀身の半分が折れて宙を舞っていた。
あのときできた隙はコレを狙ってーー
「あらら」
「!」
ご令嬢はヒールを私の腹部に減り込ませながら強く蹴り飛ばす。
「ぐはっ⋯⋯」
「言っておくけど。私に辱しめを与えたあんたは簡単には殺さないから。
いっぱい痛めつけて、イヤッて泣きついても死ぬまで刺し続けてあげるから」
なぜ決闘をはじめる前に気づかなかったんだろう⋯⋯
ほとんどの女性がロングドレスを着ている中、彼女は裾が膝上までしかないドレスを着ている。
はじめから私を見せしめにして殺すために、ご令嬢は絡んできたんだ。
それを仕組んだのはーー
吹き抜けのデッキの方に視線を向けると、ハンク子爵が唇の片端を吊り上げ薄笑いを浮かべながらこの決闘を鑑賞している。
「次はどこに刺っしゃおうかなぁ~ 」
肩、鎖骨、腕、顔とご令嬢の眼球がターゲットを定めようとギョロギョロ動く。
「どこを刺したら気持ちいい悲鳴が聞こえるかなぁ。腕? 肩? うーん、いきなりはあれだから、そうだ太ももにしよ」
ご令嬢は私の太もも目掛けて、切っ先を飛ばしてくる。
その瞬間、黒い物体が私とご令嬢の間に落ちてきた。

バッシャーン!

シャンデリア⁉︎ーー
煙とガラスの破片が舞い上がる。
「何よコレ⁉︎」

“!”

ハッとした表情を見せたご令嬢が「まさか⁉︎」と、天井を見上げる。
おそらく高く宙に飛んだサーベルの刀身がシャンデリアの吊り紐を切ったんだ。

「チッ、運のいい女!」

指先に冷気を感じてサーベルを見やると折れたはずの刀身が氷の刃となって進化している。
「その剣で戦って! 天音ッ」
あかねが目許を赤くしながら作ってくれた剣ーー

「ありがとう。あかね」

なんとしても勝たなくては。
ご令嬢より早く動ければチャンスがある。
それには長いドレスの裾が煩わしい。
ためらっていられない。ドレスの裾を掴んで一気に引き千切る。

”しまった! ”

短かくし過ぎた。あらわになった太ももに周りの男性たちが鼻の下を伸ばす。
今は恥じらっている場合じゃない。

「どこに行ったあの女!」
私を見失って焦るご令嬢に
「こっちよ!」と声をかける。

私は壊れたシャンデリアの上に立ってご令嬢を見下ろす。
声につられて見上げたご令嬢は目を眩ませて怯んだ。
そしてご令嬢が私の狙いに気づいてハッとした頃には、彼女の喉もとへ剣先を突きつけていた。
「どうして⋯⋯折れたはずなのに⋯⋯」
「あなたの負けよ。それとも続けるかしら? だとしたらこのままあなたの喉を突き刺す
そのくらいの覚悟はできてる!」
「⋯⋯」
戦意を喪失したご令嬢はサーベルを落としてはその場にへたり込みうなだれる。
「ハンク子爵! 次はあなたの番かしら」
私は切っ先をハンク子爵に向けて宣戦布告する。


つづく

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