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氷の王子、クラウス。運命の出会い。
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アルバートは、ジェームズに総てを話した。
クラウスの過去? 未来を。逆行して来て、今に至る事を。そして、その未来を変える為に奮闘? している事を。
勿論、二人切りになってからだ。
「そんな、私が。国王陛下達を・・・」
ジェームズは悲痛な声を、上げた。
「信じられません。」
「まあ、そうだわな。」
「其れは、予言ですか。」
縋る様に、アルバートを見る。彼は、真面目な顔で。
「いや、起こった 未来だ。」
「クラウス様は、中二病で。」
其れでも、ジェームズは話しを反らす。
「俺は、真実だと 思う。」
「何故です!? 」
ジェームズは、声を荒げた。アルバートは、目を伏せ。
「初めて彼奴に、会った時。『信じないと、いけない』と思った。」
目を開け、ジェームズを見る。
「この手を『放しては駄目だ』と、思った。」
アルバートは、自分の手を見て グッ と握り締める。
「俺は、クラウスに殺されている。その意味は、俺が。クラウスを『信じなかった。』と、言う事だ。」
ハッ と、ジェームズは息を吞む。寂しそうに、アルバートは笑って話しを続けた。
「もしかしたら、彼奴の心が戻って来たように。俺の心の一部が戻って来たのかも知れない。」
アルバートは、胸を押さえながら言った。
「今度は『信じろ。』『見捨てるな。』そう、俺の心が叫んでいる。」
アルバートは、真面目な顔でジェームズを見た。
「頼む、協力してくれ。俺、一人じゃ 彼奴を護れない。」
アルバートは、ジェームズに頭を下げる。
「冗談じゃありません。そんな、未来。私だって、お断りです。」
ジェームズは、はっきりとアルバートに言った。
「ジェームズ。」
アルバートは微笑んで、手を差し出した。其れをジェームズは、しっかりと握り返す。
「お前がいると、心強い。頼りにしている。」
「はい、二人でクラウス様を護りましょう。」
二人は、硬い絆で結ばれた。熱い、握手を交わす。
「聞きましたか? エリーさん。」
「聞きましたとも、マリーさん。」
生徒会室の外で聞き耳を立てていた女生徒が、二人。
アルバートとジェームズの深刻な雰囲気に、興味を刺激され聞き耳を立てていたのである。生徒会役員、マリアンヌにエリザベスであった。最初の処は、聞き取れなかったが。最後の言葉は、耳に入った。
「ジェームズ様が、二人でクラウス様を愛し合いましょうと。」
(いえ、『護りましょう。』です。)
「アルバート様が、一人じゃ クラウス様を愛せないって。」
(いえ、『護れない。』です。)
彼女ら、二人は腐女子であった。彼女達は、自分に都合の良い様に言葉を変換していた。
「一人じゃ、物足りないって。クラウス様は、絶倫。」
マリーが、頰を手で挟んで言った。
「ジェームズ様とアルバート様が、二人でクラウス様を。」
「「キャーーッ!! 」」
二人は、声無き悲鳴を上げた。
「でもでも、アルファ様は どうなるの? 」
マリーは、首を傾げた。
「もちろん、三人の愛し合う姿を見て。」
エリーは、アルファの口調を真似て。
「『僕も、僕も。兄上を愛しています。僕も、僕も、兄上を愛したい。』そう言って、クラウス様を。」
「と、言う事は。三人で、クラウス様を。」
「「キャーーッ!! 」」
二人は、声無き悲鳴を上げて走り去る。
「「皆に、皆に、知らせないと。」」
マリー エリーは、鼻を押さえながら言った。
「「我等、『M(男性)L(愛)W(見守る)同好会』の皆に。」」
アルバートの、精神を蝕む伏兵は 近くにいた。この噂(妄想)が、学園内に広がったのは言うまでもない。
アルバートと別れて、ジェームズは学園の中庭のベンチに腰を降ろした。
「とは、いったモノの。どうすれば。」
ジェームズは、頭を抱えため息を付いた。
「どうすれば、クラウス様の言う未来を回避できる。」
「あの、大丈夫 ですか? 」
その心配そうな声に、ジェームズは顔を上げた。
時刻は、夕暮れ優しい橙色の光りを背に一人の女生徒が彼を心配そうに立っていた。はらはら と、枯れ葉が舞っている。
「御気分でも、悪いんですか? 」
その、ジェームズを気遣う声は聖女の様に優しかった。
「大丈夫です。少し、考え事を していて。」
ジェームズは、目を細めて彼女を見る。
「本当に? とても、苦しそうですよ。」
女生徒は、ジェームズの前で膝を折りジェームズの膝に手を添える。
彼女は、優しく微笑んだ。栗毛色の髪が、ふわりと風を受けて流れる。可愛らしい、顔で彼女はジェームズを下から見上げる。
「無理、しないで。」
ジェームズは、目を見開いた。そして、彼女の手にそっと手を置いた。
「ありがとう。私は、ジェームズ。貴方は? 」
彼女は、首を傾げた。
「私 私は、キャロット。キャロット・マリエール。」
優しく微笑む。
「キャロットさん。」
ジェームズも、微笑んだ。
さあっ と、風が吹き荒れ枯れ葉を舞い散らす。
これが、ジェームズとキャロットの出会いであった。
このキャロットが、クラウスの言う『女』で 在ることをジェームズは まだ知らない。
この出会いが、クラウスの言う未来に近付いて行くのか。其れは まだ 解らない。
クラウスの過去? 未来を。逆行して来て、今に至る事を。そして、その未来を変える為に奮闘? している事を。
勿論、二人切りになってからだ。
「そんな、私が。国王陛下達を・・・」
ジェームズは悲痛な声を、上げた。
「信じられません。」
「まあ、そうだわな。」
「其れは、予言ですか。」
縋る様に、アルバートを見る。彼は、真面目な顔で。
「いや、起こった 未来だ。」
「クラウス様は、中二病で。」
其れでも、ジェームズは話しを反らす。
「俺は、真実だと 思う。」
「何故です!? 」
ジェームズは、声を荒げた。アルバートは、目を伏せ。
「初めて彼奴に、会った時。『信じないと、いけない』と思った。」
目を開け、ジェームズを見る。
「この手を『放しては駄目だ』と、思った。」
アルバートは、自分の手を見て グッ と握り締める。
「俺は、クラウスに殺されている。その意味は、俺が。クラウスを『信じなかった。』と、言う事だ。」
ハッ と、ジェームズは息を吞む。寂しそうに、アルバートは笑って話しを続けた。
「もしかしたら、彼奴の心が戻って来たように。俺の心の一部が戻って来たのかも知れない。」
アルバートは、胸を押さえながら言った。
「今度は『信じろ。』『見捨てるな。』そう、俺の心が叫んでいる。」
アルバートは、真面目な顔でジェームズを見た。
「頼む、協力してくれ。俺、一人じゃ 彼奴を護れない。」
アルバートは、ジェームズに頭を下げる。
「冗談じゃありません。そんな、未来。私だって、お断りです。」
ジェームズは、はっきりとアルバートに言った。
「ジェームズ。」
アルバートは微笑んで、手を差し出した。其れをジェームズは、しっかりと握り返す。
「お前がいると、心強い。頼りにしている。」
「はい、二人でクラウス様を護りましょう。」
二人は、硬い絆で結ばれた。熱い、握手を交わす。
「聞きましたか? エリーさん。」
「聞きましたとも、マリーさん。」
生徒会室の外で聞き耳を立てていた女生徒が、二人。
アルバートとジェームズの深刻な雰囲気に、興味を刺激され聞き耳を立てていたのである。生徒会役員、マリアンヌにエリザベスであった。最初の処は、聞き取れなかったが。最後の言葉は、耳に入った。
「ジェームズ様が、二人でクラウス様を愛し合いましょうと。」
(いえ、『護りましょう。』です。)
「アルバート様が、一人じゃ クラウス様を愛せないって。」
(いえ、『護れない。』です。)
彼女ら、二人は腐女子であった。彼女達は、自分に都合の良い様に言葉を変換していた。
「一人じゃ、物足りないって。クラウス様は、絶倫。」
マリーが、頰を手で挟んで言った。
「ジェームズ様とアルバート様が、二人でクラウス様を。」
「「キャーーッ!! 」」
二人は、声無き悲鳴を上げた。
「でもでも、アルファ様は どうなるの? 」
マリーは、首を傾げた。
「もちろん、三人の愛し合う姿を見て。」
エリーは、アルファの口調を真似て。
「『僕も、僕も。兄上を愛しています。僕も、僕も、兄上を愛したい。』そう言って、クラウス様を。」
「と、言う事は。三人で、クラウス様を。」
「「キャーーッ!! 」」
二人は、声無き悲鳴を上げて走り去る。
「「皆に、皆に、知らせないと。」」
マリー エリーは、鼻を押さえながら言った。
「「我等、『M(男性)L(愛)W(見守る)同好会』の皆に。」」
アルバートの、精神を蝕む伏兵は 近くにいた。この噂(妄想)が、学園内に広がったのは言うまでもない。
アルバートと別れて、ジェームズは学園の中庭のベンチに腰を降ろした。
「とは、いったモノの。どうすれば。」
ジェームズは、頭を抱えため息を付いた。
「どうすれば、クラウス様の言う未来を回避できる。」
「あの、大丈夫 ですか? 」
その心配そうな声に、ジェームズは顔を上げた。
時刻は、夕暮れ優しい橙色の光りを背に一人の女生徒が彼を心配そうに立っていた。はらはら と、枯れ葉が舞っている。
「御気分でも、悪いんですか? 」
その、ジェームズを気遣う声は聖女の様に優しかった。
「大丈夫です。少し、考え事を していて。」
ジェームズは、目を細めて彼女を見る。
「本当に? とても、苦しそうですよ。」
女生徒は、ジェームズの前で膝を折りジェームズの膝に手を添える。
彼女は、優しく微笑んだ。栗毛色の髪が、ふわりと風を受けて流れる。可愛らしい、顔で彼女はジェームズを下から見上げる。
「無理、しないで。」
ジェームズは、目を見開いた。そして、彼女の手にそっと手を置いた。
「ありがとう。私は、ジェームズ。貴方は? 」
彼女は、首を傾げた。
「私 私は、キャロット。キャロット・マリエール。」
優しく微笑む。
「キャロットさん。」
ジェームズも、微笑んだ。
さあっ と、風が吹き荒れ枯れ葉を舞い散らす。
これが、ジェームズとキャロットの出会いであった。
このキャロットが、クラウスの言う『女』で 在ることをジェームズは まだ知らない。
この出会いが、クラウスの言う未来に近付いて行くのか。其れは まだ 解らない。
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