11 / 30
私の親友の、素敵なお兄様。
しおりを挟む
自分に浸りきった男性は微笑みながらルミナスに近づいてくる。
「ルミナス!! 僕は君を、
ガゴッ!!
男性は壁に蹴り飛ばされた。
「誰だい? 此奴は。」
現れたオスカーは思いっきり、男性に蹴りを入れていた。笑顔が怖い。
「変態よ!! 」
エリーゼがルミナスの代わりに応えた。ルミナスも頷いている。
「何をするんだ!? 僕の真実の愛を、
ガゴッ!!
オスカーの後から現れた男性が、みごとに腹に膝を入れ変態を気絶させた。
「大丈夫か? ルミナス。」
「お兄様!! 」
其所には茶色い髪の冷たい感じを思わせる青い瞳のルミナスに似た青年が変態を踏みつけて立っていた。
(うそ、ルミナスそっくり。)
エリーゼは頬を染めた。
「お兄様、この方は? 」
「誰です、ハルク殿。」
オスカーはルミナスの腰に手を回して護るように引き寄せた。
「まあ、いちよう私の幼馴染みだ。ルミナスも幼い頃何度か会っているはずだが。」
溜息を付きながらハルクは応えた。
解らないとルミナスは首を傾げた。
「まあ、幼い頃の話だからな。覚えてないのも無理はない。」
ハルクは優しく妹に微笑んだ。
「此奴もここまで酷くはなかったんだが、ディザート国で変に開花されてしまって……。」
再びハルクは溜息を付いた。
「芸術や芸能には優れた国なんだが、どうも『愛』とかにはかなり緩いお国柄で……。」
王太子が『真実の愛』に芽生えて婚約破棄を言い渡したとか、第二王子が爵位の低い令嬢を婚約者に据えたとか。その令嬢達は何人かの親しい殿方かいるだとか。その為、家臣が愛想を尽かし領地共々隣のソムリエール国の傘下に入ったのはつい最近の事だ。
「そう言えば、オスカー。あの病弱な幼馴染みは一緒ではないのか? 」
「カノンは入院中です。」
オスカーは満面の笑みで応えた。手は既にルミナスと恋人繋ぎをしていた。ルミナスも頬を染めてオスカーに寄り添っている。
「そうか、頑張れ。」
「ありがとうございます、ハルク殿。」
二人を温かい目で見ていたハルクにエリーゼは声を掛けた。
「あ、あの……。」
「君は、メデーア伯爵家のご令嬢のエリーゼ嬢ですね。」
「え、ええ。」
先程の変態と違って、彼に知られていることが嬉しい。
「よくご存じで。」
「ルミナスの手紙によく書かれてあるからね、何故か始めて会った様な気がしないな。」
ルミナスに向けるように優しい微笑みを見せる。
(うそ、やだ、素敵。)
「いつもルミナスと仲良くしてくれて、ありがとう。」
「いえ、私の方こそルミナスに仲良くして貰ってます。」
もじもじと、しおらしくエリーゼは俯いた。
(こんな素敵な人だもの、恋人や婚約者がいるに決まっているわ。)
「そう言えばお義兄さん、恋人は出来ましたか? 」
「既にお義兄さん呼びか!! それになんだい、急に? 」
「いえ、自分が幸せなので。」
「オスカー様。」
二人はより近づく。
「はぁ、あの国で恋人をつくる気はしないよ。緩いからね。」
「そうですか。」
オスカーは自分とルミナスを応援してくれるエリーゼを見る。
(なにこいつ、いい奴。)
エリーゼはオスカーに感心した。そして彼に恋人がいないことに歓喜した、しかし。
「お兄様もそろそろ婚約者を決めなくては。」
「ああ、母上には急かされているよ。」
(うそ、婚約者もいないの? )
エリーゼは歓喜に震える。
「それではお義兄さん、俺はルミナスとデートに行きますので。」
オスカーはルミナスの肩を抱きながらエリーゼを見る。
「オスカー様? 」
ルミナスはそんなオスカーを見詰めた。
「婚約者もいないひとり寂しい、メーデア伯爵令嬢を宜しく御願いします。」
「なっ!! 」
「オスカー様? 」
(なにこいつ、酷い。)
エリーゼはオスカーに憤怒した。
「それではお義兄さん、失礼します。行こうルミナス。」
「オスカー様? 」
オスカーはルミナスの肩を抱いて二人を残してデートに向かった。
「なによ、自分が幸せだからって!! 」
「クスッ。」
憤怒するエリーゼにハルクは笑った。それに気付いてエリーゼは顔を赤らめる。
「独り者同士で、お茶でもどうですか? メーデア伯爵令嬢。」
優しく微笑んで手を差し出す。
「ええ、私で宜しかったら。宜しく御願いしますフレンダ様。」
「ハルクと呼んで下さい。」
「ハルク様、私もエリーゼと。」
顔を赤らめる。
「行きましょう、エリーゼ嬢。」
「はい。」
エリーゼは満面の笑みを見せた。二人は楽しそうにその場を離れた。
「はっ、ルミナス!? 僕の愛しのルミナスは何処に!? 」
独り残された変態が目覚めた時には既に誰もいなかった。
「ルミナス!! 僕は君を、
ガゴッ!!
男性は壁に蹴り飛ばされた。
「誰だい? 此奴は。」
現れたオスカーは思いっきり、男性に蹴りを入れていた。笑顔が怖い。
「変態よ!! 」
エリーゼがルミナスの代わりに応えた。ルミナスも頷いている。
「何をするんだ!? 僕の真実の愛を、
ガゴッ!!
オスカーの後から現れた男性が、みごとに腹に膝を入れ変態を気絶させた。
「大丈夫か? ルミナス。」
「お兄様!! 」
其所には茶色い髪の冷たい感じを思わせる青い瞳のルミナスに似た青年が変態を踏みつけて立っていた。
(うそ、ルミナスそっくり。)
エリーゼは頬を染めた。
「お兄様、この方は? 」
「誰です、ハルク殿。」
オスカーはルミナスの腰に手を回して護るように引き寄せた。
「まあ、いちよう私の幼馴染みだ。ルミナスも幼い頃何度か会っているはずだが。」
溜息を付きながらハルクは応えた。
解らないとルミナスは首を傾げた。
「まあ、幼い頃の話だからな。覚えてないのも無理はない。」
ハルクは優しく妹に微笑んだ。
「此奴もここまで酷くはなかったんだが、ディザート国で変に開花されてしまって……。」
再びハルクは溜息を付いた。
「芸術や芸能には優れた国なんだが、どうも『愛』とかにはかなり緩いお国柄で……。」
王太子が『真実の愛』に芽生えて婚約破棄を言い渡したとか、第二王子が爵位の低い令嬢を婚約者に据えたとか。その令嬢達は何人かの親しい殿方かいるだとか。その為、家臣が愛想を尽かし領地共々隣のソムリエール国の傘下に入ったのはつい最近の事だ。
「そう言えば、オスカー。あの病弱な幼馴染みは一緒ではないのか? 」
「カノンは入院中です。」
オスカーは満面の笑みで応えた。手は既にルミナスと恋人繋ぎをしていた。ルミナスも頬を染めてオスカーに寄り添っている。
「そうか、頑張れ。」
「ありがとうございます、ハルク殿。」
二人を温かい目で見ていたハルクにエリーゼは声を掛けた。
「あ、あの……。」
「君は、メデーア伯爵家のご令嬢のエリーゼ嬢ですね。」
「え、ええ。」
先程の変態と違って、彼に知られていることが嬉しい。
「よくご存じで。」
「ルミナスの手紙によく書かれてあるからね、何故か始めて会った様な気がしないな。」
ルミナスに向けるように優しい微笑みを見せる。
(うそ、やだ、素敵。)
「いつもルミナスと仲良くしてくれて、ありがとう。」
「いえ、私の方こそルミナスに仲良くして貰ってます。」
もじもじと、しおらしくエリーゼは俯いた。
(こんな素敵な人だもの、恋人や婚約者がいるに決まっているわ。)
「そう言えばお義兄さん、恋人は出来ましたか? 」
「既にお義兄さん呼びか!! それになんだい、急に? 」
「いえ、自分が幸せなので。」
「オスカー様。」
二人はより近づく。
「はぁ、あの国で恋人をつくる気はしないよ。緩いからね。」
「そうですか。」
オスカーは自分とルミナスを応援してくれるエリーゼを見る。
(なにこいつ、いい奴。)
エリーゼはオスカーに感心した。そして彼に恋人がいないことに歓喜した、しかし。
「お兄様もそろそろ婚約者を決めなくては。」
「ああ、母上には急かされているよ。」
(うそ、婚約者もいないの? )
エリーゼは歓喜に震える。
「それではお義兄さん、俺はルミナスとデートに行きますので。」
オスカーはルミナスの肩を抱きながらエリーゼを見る。
「オスカー様? 」
ルミナスはそんなオスカーを見詰めた。
「婚約者もいないひとり寂しい、メーデア伯爵令嬢を宜しく御願いします。」
「なっ!! 」
「オスカー様? 」
(なにこいつ、酷い。)
エリーゼはオスカーに憤怒した。
「それではお義兄さん、失礼します。行こうルミナス。」
「オスカー様? 」
オスカーはルミナスの肩を抱いて二人を残してデートに向かった。
「なによ、自分が幸せだからって!! 」
「クスッ。」
憤怒するエリーゼにハルクは笑った。それに気付いてエリーゼは顔を赤らめる。
「独り者同士で、お茶でもどうですか? メーデア伯爵令嬢。」
優しく微笑んで手を差し出す。
「ええ、私で宜しかったら。宜しく御願いしますフレンダ様。」
「ハルクと呼んで下さい。」
「ハルク様、私もエリーゼと。」
顔を赤らめる。
「行きましょう、エリーゼ嬢。」
「はい。」
エリーゼは満面の笑みを見せた。二人は楽しそうにその場を離れた。
「はっ、ルミナス!? 僕の愛しのルミナスは何処に!? 」
独り残された変態が目覚めた時には既に誰もいなかった。
1
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
【完結】彼と私と幼なじみ
Ringo
恋愛
私には婚約者がいて、十八歳を迎えたら結婚する。
ある意味で政略ともとれる婚約者とはうまくやっているし、夫婦として始まる生活も楽しみ…なのだが、周囲はそう思っていない。
私を憐れむか馬鹿にする。
愛されていないお飾りなのだと言って。
その理由は私にも分かっていた。
だって彼には大切な幼なじみがいて、その子を屋敷に住まわせているんだもの。
そんなの、誰が見たってそう思うわよね。
※本編三話+番外編四話
(執筆&公開予約設定済みです)
※シリアスも好物ですが、たまには頭を空っぽにしたくなる。
※タグで大筋のネタバレ三昧。
※R18命の作者にしては珍しく抑え気味♡
※念のためにR15はしておきます。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
騎士の元に届いた最愛の貴族令嬢からの最後の手紙
刻芦葉
恋愛
ミュルンハルト王国騎士団長であるアルヴィスには忘れられない女性がいる。
それはまだ若い頃に付き合っていた貴族令嬢のことだ。
政略結婚で隣国へと嫁いでしまった彼女のことを忘れられなくて今も独り身でいる。
そんな中で彼女から最後に送られた手紙を読み返した。
その手紙の意味をアルヴィスは今も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる