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私の親友の、素敵なお兄様。

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自分に浸りきった男性は微笑みながらルミナスに近づいてくる。
「ルミナス!! 僕は君を、

ガゴッ!!
男性は壁に蹴り飛ばされた。

「誰だい? 此奴は。」
現れたオスカーは思いっきり、男性に蹴りを入れていた。笑顔が怖い。

「変態よ!! 」
エリーゼがルミナスの代わりに応えた。ルミナスも頷いている。

「何をするんだ!? 僕の真実の愛を、

ガゴッ!!
オスカーの後から現れた男性が、みごとに腹に膝を入れ変態を気絶させた。

「大丈夫か? ルミナス。」
「お兄様!! 」
其所には茶色い髪の冷たい感じを思わせる青い瞳のルミナスに似た青年が変態を踏みつけて立っていた。 

(うそ、ルミナスそっくり。)
エリーゼは頬を染めた。

「お兄様、この方は? 」
「誰です、ハルク殿。」
オスカーはルミナスの腰に手を回して護るように引き寄せた。

「まあ、いちよう私の幼馴染みだ。ルミナスも幼い頃何度か会っているはずだが。」
溜息を付きながらハルクは応えた。
解らないとルミナスは首を傾げた。

「まあ、幼い頃の話だからな。覚えてないのも無理はない。」
ハルクは優しく妹に微笑んだ。

「此奴もここまで酷くはなかったんだが、ディザート国で変に開花されてしまって……。」
再びハルクは溜息を付いた。

「芸術や芸能には優れた国なんだが、どうも『愛』とかにはかなり緩いお国柄で……。」

王太子が『真実の愛』に芽生えて婚約破棄を言い渡したとか、第二王子が爵位の低い令嬢を婚約者に据えたとか。その令嬢達は何人かの親しい殿方かいるだとか。その為、家臣が愛想を尽かし領地共々隣のソムリエール国の傘下に入ったのはつい最近の事だ。

「そう言えば、オスカー。あの病弱な幼馴染みは一緒ではないのか? 」
「カノンは入院中です。」
オスカーは満面の笑みで応えた。手は既にルミナスと恋人繋ぎをしていた。ルミナスも頬を染めてオスカーに寄り添っている。

「そうか、頑張れ。」
「ありがとうございます、ハルク殿。」
二人を温かい目で見ていたハルクにエリーゼは声を掛けた。

「あ、あの……。」
「君は、メデーア伯爵家のご令嬢のエリーゼ嬢ですね。」
「え、ええ。」
先程の変態と違って、彼に知られていることが嬉しい。

「よくご存じで。」
「ルミナスの手紙によく書かれてあるからね、何故か始めて会った様な気がしないな。」
ルミナスに向けるように優しい微笑みを見せる。

(うそ、やだ、素敵。)

「いつもルミナスと仲良くしてくれて、ありがとう。」
「いえ、私の方こそルミナスに仲良くして貰ってます。」
もじもじと、しおらしくエリーゼは俯いた。
(こんな素敵な人だもの、恋人や婚約者がいるに決まっているわ。)

「そう言えばお義兄さん、恋人は出来ましたか? 」
「既にお義兄さん呼びか!! それになんだい、急に? 」
「いえ、自分が幸せなので。」
「オスカー様。」
二人はより近づく。

「はぁ、あの国で恋人をつくる気はしないよ。緩いからね。」
「そうですか。」
オスカーは自分とルミナスを応援してくれるエリーゼを見る。

(なにこいつ、いい奴。)
エリーゼはオスカーに感心した。そして彼に恋人がいないことに歓喜した、しかし。

「お兄様もそろそろ婚約者を決めなくては。」
「ああ、母上には急かされているよ。」

(うそ、婚約者もいないの? )
エリーゼは歓喜に震える。

「それではお義兄さん、俺はルミナスとデートに行きますので。」
オスカーはルミナスの肩を抱きながらエリーゼを見る。
「オスカー様? 」
ルミナスはそんなオスカーを見詰めた。

「婚約者もいないひとり寂しい、メーデア伯爵令嬢を宜しく御願いします。」
「なっ!! 」
「オスカー様? 」

(なにこいつ、酷い。)
エリーゼはオスカーに憤怒した。

「それではお義兄さん、失礼します。行こうルミナス。」
「オスカー様? 」
オスカーはルミナスの肩を抱いて二人を残してデートに向かった。

「なによ、自分が幸せだからって!! 」
「クスッ。」
憤怒するエリーゼにハルクは笑った。それに気付いてエリーゼは顔を赤らめる。

「独り者同士で、お茶でもどうですか? メーデア伯爵令嬢。」
優しく微笑んで手を差し出す。
「ええ、私で宜しかったら。宜しく御願いしますフレンダ様。」
「ハルクと呼んで下さい。」
「ハルク様、私もエリーゼと。」
顔を赤らめる。
「行きましょう、エリーゼ嬢。」
「はい。」
エリーゼは満面の笑みを見せた。二人は楽しそうにその場を離れた。


「はっ、ルミナス!? 僕の愛しのルミナスは何処に!? 」
独り残された変態が目覚めた時には既に誰もいなかった。















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