35 / 39
封印されし勇者は、封印されたまま。
しおりを挟む
黒髪の神々しい女性はノアールの肩を揺さぶる。
「お願い、この世界の管理者になって。」
「やだ。」
ノアールは嫌そうに顔を反らした。
「他の国の神に頼めば。」
「それは駄目よ。他の国の神は人間至上主義ですもの。」
女性は腰に手をあててぷんすか怒っている。
「特に黒髪の人間を邪なる者だと決めつける傾向があるの。この国の神もそうだったけど、そこのハーフエルフのお陰で黒髪勇者を邪険に扱わなかったから。」
ちらりとロリアンを見る。
「勇者様を邪険に扱う? 」
「そうよ、呼び出して置いて髪が黒いからと言って邪険に扱ったり、搾取したり。邪の者だと殺したり。」
「そんな!? 勇者様を!! 」
ロリアンは怒りが爆発した。
「そんな国滅ぼしてしまいましょう。我が憧れの勇者様を邪の者と決めつける国など。」
ロリアンの目が恐ろしいほど冷たくなっていた。
「それはいいわ。神を統一してノアールがこの世界の管理者に。」
女性はノアールを見詰めた。
「えーっ、やだ。」
嫌そうに応えた。
「お願い、ノアール。他にも管理者のいない世界を任されてるの、限界なの。お肌の危機なの。」
女性は肩を揺さぶった。
「分かった。」
「分かってくれたの!? 」
ノアールの言葉に女性は喜んだ。
「そこのセバスを管理者として、推薦しよう。」
「「えっ!! 」」
女性とセバスの声が重なった。
他国を滅ばず事案にくれるロリアンの横で、ノアールと女性の会話を聞いていたセバスは自分に振られて驚いた。
「彼? 」
「そう、次代の魔王と呼ばれていたセバスを。」
女性はまじまじとセバスを見る。
「彼、魔族よね。」
「そうだ。」
「いいわ、人間じゃなければ。それに魔力も申し分ないわ。ノアールには劣るけど。」
「えっ!? 」
女性はセバスの手を捕まえた。
「さあ、行きましょう。管理者になる手続きを。」
「ま、待って下さい。ノアール様!! 」
セバスはノアールを見る。ノアールは微笑み手を振ってた。
「嫌です!! 」
「大丈夫、直ぐ終わるから。」
「嫌です!! 」
「痛くないから。」
鳥居が現れその中にセバスを誘う、抵抗するセバスを引きずる女性。
「嫌です!! ノアール様の傍を離れたくありません!! ノアール様!! ノアール様!! 」
ノアールは優しく微笑み手を振るだけ。セバスは涙ながらに叫んでいた。その叫びに気づいたロリアンが何とかセバスの手を引っ張る事で、鳥居の中に入るのを留めている。
「兄さん!! 助けて!! 」
急降下してきた何かが、セバスと女性の手を放した。
「兄さん、兄さん、助けて!! 俺は胸なんか見ていない、見ていないんだ!! 」
弟のアモンがセバスに縋り付いた。
「アモン!! 」
「兄さん!! 」
二人はもうもうと立ち上がる砂煙の中で、兄弟愛を確かめるように抱き合った。そして、
「アモンを管理者として、推薦します。」
すすすと、アモンを女性の前に差し出した。女性は目を見張った。
「彼も魔族ね。」
「私の弟です、私と同じ魔人です。」
「そう、彼でもいいわ。」
女性はアモンの手を取った。
「さあ、行きましょう。」
「えっ? えっ? 」
アモンは訳がわからず女性に引きずられる。
「ちょっと、私のアモンを何処に連れて行くの!? 」
ララに抱えられながらアモンを追ってきたアルテナが叫んだ。
「何、浮気? 浮気なのアモン!? 」
「いや、違うこれは!! 俺にも分からなくって!! 」
アモンは女性の手を離そうとするが女性は放さない。
「そこのあなたも一緒に来て。」
女性はアルテナに声をかけ、アモンを連れて鳥居の中に入っていった。
アルテナはそれを宣戦布告と取った。
「いいわ、話をつけましょう。」
アルテナも鳥居の中に入って行った。その後をララも続く。
そして、鳥居は跡形も無く消えた。
静まりかえった瓦礫の世界に、金属音のぶつかる音が響く。総てを無視して薫はノアールの封印の鎖をずっと魔剣で叩いていた。
「やっと静になったか。」
ノアールは黒い髪を掻き上げた。
「ノアール様!! 私を、私を、見捨てないで下さい!! 」
セバスをはノアールにしがみ付いて泣きじゃくった。
ノアールは空を見て、溜息を付いた。
「お願い、この世界の管理者になって。」
「やだ。」
ノアールは嫌そうに顔を反らした。
「他の国の神に頼めば。」
「それは駄目よ。他の国の神は人間至上主義ですもの。」
女性は腰に手をあててぷんすか怒っている。
「特に黒髪の人間を邪なる者だと決めつける傾向があるの。この国の神もそうだったけど、そこのハーフエルフのお陰で黒髪勇者を邪険に扱わなかったから。」
ちらりとロリアンを見る。
「勇者様を邪険に扱う? 」
「そうよ、呼び出して置いて髪が黒いからと言って邪険に扱ったり、搾取したり。邪の者だと殺したり。」
「そんな!? 勇者様を!! 」
ロリアンは怒りが爆発した。
「そんな国滅ぼしてしまいましょう。我が憧れの勇者様を邪の者と決めつける国など。」
ロリアンの目が恐ろしいほど冷たくなっていた。
「それはいいわ。神を統一してノアールがこの世界の管理者に。」
女性はノアールを見詰めた。
「えーっ、やだ。」
嫌そうに応えた。
「お願い、ノアール。他にも管理者のいない世界を任されてるの、限界なの。お肌の危機なの。」
女性は肩を揺さぶった。
「分かった。」
「分かってくれたの!? 」
ノアールの言葉に女性は喜んだ。
「そこのセバスを管理者として、推薦しよう。」
「「えっ!! 」」
女性とセバスの声が重なった。
他国を滅ばず事案にくれるロリアンの横で、ノアールと女性の会話を聞いていたセバスは自分に振られて驚いた。
「彼? 」
「そう、次代の魔王と呼ばれていたセバスを。」
女性はまじまじとセバスを見る。
「彼、魔族よね。」
「そうだ。」
「いいわ、人間じゃなければ。それに魔力も申し分ないわ。ノアールには劣るけど。」
「えっ!? 」
女性はセバスの手を捕まえた。
「さあ、行きましょう。管理者になる手続きを。」
「ま、待って下さい。ノアール様!! 」
セバスはノアールを見る。ノアールは微笑み手を振ってた。
「嫌です!! 」
「大丈夫、直ぐ終わるから。」
「嫌です!! 」
「痛くないから。」
鳥居が現れその中にセバスを誘う、抵抗するセバスを引きずる女性。
「嫌です!! ノアール様の傍を離れたくありません!! ノアール様!! ノアール様!! 」
ノアールは優しく微笑み手を振るだけ。セバスは涙ながらに叫んでいた。その叫びに気づいたロリアンが何とかセバスの手を引っ張る事で、鳥居の中に入るのを留めている。
「兄さん!! 助けて!! 」
急降下してきた何かが、セバスと女性の手を放した。
「兄さん、兄さん、助けて!! 俺は胸なんか見ていない、見ていないんだ!! 」
弟のアモンがセバスに縋り付いた。
「アモン!! 」
「兄さん!! 」
二人はもうもうと立ち上がる砂煙の中で、兄弟愛を確かめるように抱き合った。そして、
「アモンを管理者として、推薦します。」
すすすと、アモンを女性の前に差し出した。女性は目を見張った。
「彼も魔族ね。」
「私の弟です、私と同じ魔人です。」
「そう、彼でもいいわ。」
女性はアモンの手を取った。
「さあ、行きましょう。」
「えっ? えっ? 」
アモンは訳がわからず女性に引きずられる。
「ちょっと、私のアモンを何処に連れて行くの!? 」
ララに抱えられながらアモンを追ってきたアルテナが叫んだ。
「何、浮気? 浮気なのアモン!? 」
「いや、違うこれは!! 俺にも分からなくって!! 」
アモンは女性の手を離そうとするが女性は放さない。
「そこのあなたも一緒に来て。」
女性はアルテナに声をかけ、アモンを連れて鳥居の中に入っていった。
アルテナはそれを宣戦布告と取った。
「いいわ、話をつけましょう。」
アルテナも鳥居の中に入って行った。その後をララも続く。
そして、鳥居は跡形も無く消えた。
静まりかえった瓦礫の世界に、金属音のぶつかる音が響く。総てを無視して薫はノアールの封印の鎖をずっと魔剣で叩いていた。
「やっと静になったか。」
ノアールは黒い髪を掻き上げた。
「ノアール様!! 私を、私を、見捨てないで下さい!! 」
セバスをはノアールにしがみ付いて泣きじゃくった。
ノアールは空を見て、溜息を付いた。
1
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
梯子の街のニーナ ~婚約破棄から始まる底辺貴族のダンジョン成り上がり冒険譚~
冴吹稔
ファンタジー
三代前の武勲によって貴族の末席に加えられ、今も声望あるドゥ・シュヴァリエ家。
現当主の三男であるテオドールは、自分を婿にと声をかけてくれた子爵家の令嬢アナスタシアを、日々甲斐甲斐しくエスコートしていた。
だがある日、些細なことが原因で彼は婚約を破棄されてしまう。王立学院での学業も沙汰やみ、実家にもどったものの、子爵家からの支援が打ち切られたため居場所はないに等しい。意気消沈するテオドールのもとに、幼馴染で二つ年上の旧友から手紙が届く。
それはかつて王国を救った勇者でさえ攻略を完遂出来なかった巨大な地下迷宮、『梯子(ラダー)』の探索への誘いであった。
『梯子』を擁するのは王国の北方、ユーレジエン州の古都エスティナ。
テオドールはその街で、高級娼婦を名のる知的で奔放な美女・ニーナと出会う――
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる