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封印されし勇者は、愛を求める。
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オリコン山に飾られていた岩が動き、薫の怒りと殺気の籠もった斬擊を避けた。
その岩はかつて薫と魔王が百年の封印を掛けた岩であった。だが、その封印は数ヵ月で解けかけていた。封印されし者の力が予想以上だったからだ。その力は愛の力。勇者一文字 拓馬の薫に対する愛は凄まじい力と成って、封印を数ヵ月で解こうとしていた。
そして、今。斬擊に薫の殺気を感じて勇者拓馬は目を開いた。
「薫!! 」
薫への愛と、封印の弱体化に寄って勇者拓馬は封印の岩から手と足を出した。ガラガラと、岩が崩れ落ちる。だが、まだ封印は解けない。
体の部分は岩を纏っている。まるでゆるキャラの如く、ぽっかり空いた穴から顔を出し手足を出していた。
「薫!! 」
拓馬は殺気を放った方角へ走り出した、魔王城への方向へ。拓馬の魔力で崩れかけていた神殿の柱や壁にぶっかり、完全に神殿を粉砕し走る。
「薫!! 好きだ!! 」
山と山の先端に足を掛け飛び越え、沈まぬよう海を渡り、灼熱の砂漠を駆け抜け、魔王門をぶち壊し進む。愛しき薫の元へと、拓馬は走り抜けた。行き過ぎ戻って来て、魔王城の真下で魔法を繰り出し戯れていた二人を脅し魔王城へと辿り着く。
扉をぶち壊し、薫の元へ。
「ゲッ!! 」
山を越え谷を越え、薫のいる魔王城やって来た勇者拓馬がやって来た。
「ハーーッ。薫、ハーーッ。好きだ、ハーーッ。大好きだ、ハーーッ。」
僅か、数分の事であった。
「薫!! 」
拓馬は薫へ飛びついた、薫は思いっきり蹴り飛ばした。壁と共に拓馬は魔王城の外へと弾き飛ばされた。拓馬は瓦礫を足場に飛び魔王城へと帰還する。
「薫!! 」
「煩い、死ね!! 」
薫は聖剣を横に振るった。拓馬はギリギリに躱す。崩れ落ちてない反対側の魔王城が斬られ崩れ落ちる。
「薫、結婚してくれ!! 」
「するか!! 」
ゆるキャラ拓馬が叫び、速攻に薫が応える。ついでに聖剣の斬擊が襲う。
「なら、キスをしよう。先程付き合いを、OKしてくれたよな。」
「するか!! 」
斬擊が飛ぶ。ゆるキャラが避ける。魔王城が壊れる。
「何故だ!? 付き合えるとキスが出来る筈だ!! 」
「ふざけるな!! お前と付き合いを許可した憶えは無い!! 」
薫の斬擊がゆるキャラの首を捕らえた。拓馬は避ける事が出来なかった。スパンと、岩の上の部分が斬れ飛び放れた。
手と足が生えた岩の上の顔が出ていた穴が切り飛ばされている。
「殺ったか? 」
薫は息を呑んだ。
「まだだ、薫。」
ノアールの声が聞こえる。
切り飛ばされた岩の上の部分から拓馬が頭を出した。頭を引っ込めて、薫の斬擊を避けていた。今はゆるキャラではなく、亀のような勇者拓馬であった。
「なら薫、俺達の結婚生活は? あのめくるめく幸せの日々は? 」
「あるわけ、ねぇだろ。」
薫はギリギリと、歯を食いしば。
「この変態!! 死ね!! 」
薫は今度は聖剣を立てに振り下ろした。見事に薫は魔王城を建て真っ二つに切り裂いた。ガラガラと、魔王城が崩れて落ちる。
ノアールはシールドを張り、崩れ行く城を見る。
「まったく、薫も手加減を知らない。」
ロレンスはセバスに助け出され、空を飛んでいる。
「凄い、これが勇者の力……。」
ロレンスは憧れの勇者の戦いを目の前で見れて感激をしていた。
「しかし、あの魔物も恐ろしい。」
(いや、魔物ではないのですが。)
セバスはロレンスにアレも勇者ですとは言いにくかった。貴方達が呼んだ勇者ですとは、友の憧れを壊すことは憚られた。
「そうです……ね。」
(うん。アレは魔物です。変態という名の。)
拓馬が聞いたらお前達に言われたくないと、思ったかも知れない。彼等二人もノアールに対してかなりの変態であったから。
「トドメだ。」
瓦礫に埋まる亀勇者の処へと薫は向かう。此処と当たりを付けて聖剣を突き立てた。
その岩はかつて薫と魔王が百年の封印を掛けた岩であった。だが、その封印は数ヵ月で解けかけていた。封印されし者の力が予想以上だったからだ。その力は愛の力。勇者一文字 拓馬の薫に対する愛は凄まじい力と成って、封印を数ヵ月で解こうとしていた。
そして、今。斬擊に薫の殺気を感じて勇者拓馬は目を開いた。
「薫!! 」
薫への愛と、封印の弱体化に寄って勇者拓馬は封印の岩から手と足を出した。ガラガラと、岩が崩れ落ちる。だが、まだ封印は解けない。
体の部分は岩を纏っている。まるでゆるキャラの如く、ぽっかり空いた穴から顔を出し手足を出していた。
「薫!! 」
拓馬は殺気を放った方角へ走り出した、魔王城への方向へ。拓馬の魔力で崩れかけていた神殿の柱や壁にぶっかり、完全に神殿を粉砕し走る。
「薫!! 好きだ!! 」
山と山の先端に足を掛け飛び越え、沈まぬよう海を渡り、灼熱の砂漠を駆け抜け、魔王門をぶち壊し進む。愛しき薫の元へと、拓馬は走り抜けた。行き過ぎ戻って来て、魔王城の真下で魔法を繰り出し戯れていた二人を脅し魔王城へと辿り着く。
扉をぶち壊し、薫の元へ。
「ゲッ!! 」
山を越え谷を越え、薫のいる魔王城やって来た勇者拓馬がやって来た。
「ハーーッ。薫、ハーーッ。好きだ、ハーーッ。大好きだ、ハーーッ。」
僅か、数分の事であった。
「薫!! 」
拓馬は薫へ飛びついた、薫は思いっきり蹴り飛ばした。壁と共に拓馬は魔王城の外へと弾き飛ばされた。拓馬は瓦礫を足場に飛び魔王城へと帰還する。
「薫!! 」
「煩い、死ね!! 」
薫は聖剣を横に振るった。拓馬はギリギリに躱す。崩れ落ちてない反対側の魔王城が斬られ崩れ落ちる。
「薫、結婚してくれ!! 」
「するか!! 」
ゆるキャラ拓馬が叫び、速攻に薫が応える。ついでに聖剣の斬擊が襲う。
「なら、キスをしよう。先程付き合いを、OKしてくれたよな。」
「するか!! 」
斬擊が飛ぶ。ゆるキャラが避ける。魔王城が壊れる。
「何故だ!? 付き合えるとキスが出来る筈だ!! 」
「ふざけるな!! お前と付き合いを許可した憶えは無い!! 」
薫の斬擊がゆるキャラの首を捕らえた。拓馬は避ける事が出来なかった。スパンと、岩の上の部分が斬れ飛び放れた。
手と足が生えた岩の上の顔が出ていた穴が切り飛ばされている。
「殺ったか? 」
薫は息を呑んだ。
「まだだ、薫。」
ノアールの声が聞こえる。
切り飛ばされた岩の上の部分から拓馬が頭を出した。頭を引っ込めて、薫の斬擊を避けていた。今はゆるキャラではなく、亀のような勇者拓馬であった。
「なら薫、俺達の結婚生活は? あのめくるめく幸せの日々は? 」
「あるわけ、ねぇだろ。」
薫はギリギリと、歯を食いしば。
「この変態!! 死ね!! 」
薫は今度は聖剣を立てに振り下ろした。見事に薫は魔王城を建て真っ二つに切り裂いた。ガラガラと、魔王城が崩れて落ちる。
ノアールはシールドを張り、崩れ行く城を見る。
「まったく、薫も手加減を知らない。」
ロレンスはセバスに助け出され、空を飛んでいる。
「凄い、これが勇者の力……。」
ロレンスは憧れの勇者の戦いを目の前で見れて感激をしていた。
「しかし、あの魔物も恐ろしい。」
(いや、魔物ではないのですが。)
セバスはロレンスにアレも勇者ですとは言いにくかった。貴方達が呼んだ勇者ですとは、友の憧れを壊すことは憚られた。
「そうです……ね。」
(うん。アレは魔物です。変態という名の。)
拓馬が聞いたらお前達に言われたくないと、思ったかも知れない。彼等二人もノアールに対してかなりの変態であったから。
「トドメだ。」
瓦礫に埋まる亀勇者の処へと薫は向かう。此処と当たりを付けて聖剣を突き立てた。
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