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告白寸前の勇者。魔王対勇者?

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「やっぱ。魔王て、ツンデレ。」
薫は、首を傾げるてノアールを見る。
「違う。」
ノアールは、茶を飲む。
「鬱陶しいのが、いなくなって清々している。」
「ノアール様。」
セバスは、地に崩れ落ち むせび泣く。
「やっぱ、ツンデレ。」
「違う。」
二人は、見詰めあった。
「薫こそ、ツンデレだろ。」
「俺が? 」
薫は、首を傾げる。
瞬間、何かを薫は蹴り飛ばした。それは、地に項垂れるセバスに高速でぶっかった。鎖のミイラの下にセバスが、庭に転がる。セバスが気を失わなかったのは、やはり魔人だったからであろう。
「急に、出すなよ。」
薫は、嫌そうな顔でノアールを見る。
「薫こそ、ツンデレだろ。勇者を殺さず、封印とは。」
「犯罪者に、なりたく無いだけだ。」

薫は かなり犯罪を侵しているとは、気づいていない。
拓馬に対する暴行とか、暴行とか、暴行とか。

「やっぱり、ツンデレだね。鬱陶しいなら、殺してしまえば良いのに。」
ノアールは、目を細める。
その言葉に、
「なら魔王も、ツンデレだね。」
薫は、転がるセバスを見て
「彼は、生きているよ。」
「自分から出て行ったから、良いんだよ。」
「でも、まだ傍に居るよね。」
薫の口元が、上がる。
セバスは、自分の事で言い争う二人に戸惑う。何とか、自分上に乗る鎖のミイラを降ろそうと藻搔く。

「封印を解いても、良いんだけど。」
にっこり、微笑む。
「そんな事をする前に、魔王を討伐するよ。」
同じく、微笑む。
次の瞬間、薫の手には輝く伝説の聖剣が握られていた。
「封印を解く前に、魔王が亡くなれば。」
薫は、剣を魔王に見せる。
「封印は、そのままだ。」
ノアールは くすくす と、笑って。
「聖剣だけで、私を殺れると? 」
二人は、見詰めあった。
ただならぬ雰囲気が、魔力が辺りに渦巻く。
「お辞め下さい、二人とも!! 」
自分の為に、二人が争うなどあってはならない。セバスは、叫んだ。
ここら一帯、消し飛びかねない程の魔力が高まっていった。










「冗談は、さて置き。勇者を、どうする。」
「このままで。」
聖剣を脇に置き、二人は茶を飲んだ。
「急に居なくなって、大丈夫なのかい。」
「修行に出たと言えば、大丈夫。一文字家には、弟もいるし。」
「そうなのかい。」
「うん、そう。」
二人は、お茶を飲む。
先ほどの雰囲気は、無くなり。ほのぼのとした、雰囲気に包まれた。

「冗談? 」
冗談で、あそこまでの魔力を高めるのか。セバスは、背筋を凍らせた。
前魔王の魔力を、遥かに凌駕する二人の力にセバスは震え上がった。
(流石は、ノアール様と薫様。)

ガシャンガシャン
「ウガッ、ウガッ!! 」
薫の声に反応して、鎖のミイラがセバスの上で蠢く。
薫の冷たい目が、注がれる。
「勇者、うるさいね。」
「廃棄場所は、ないの。」
「近くは、私もやだな。」
「うーん。」
二人は、考えた。
「そうだ、この剣があった処は? 」
「オリコン山か、確かに良いな。聖剣と勇者、客寄せに持ってこいだ。」
「ノアール様、ロリアン殿に許可を貰わないと。」
なんとか鎖のミイラから、這いずり出て来たセバスが提言する。
「ん、そうか。」
「はい、あそこはグレイト帝国ですので。」
応えてくれるノアールに、歓喜する。
「なら、その様に。」
「はい、ノアール様。」
二人のやり取りを聞きながら、薫は
「やっぱ、魔王はツンデレ。」
言えば怒るので、聞こえない声で呟いた。



直ぐさまセバスは、グレイト帝国に向かいロリアンをオリコン山へ連れて来た。ワイバーンが半月かかる距離を僅か一時間で、飛んで運ばれて来たロリアンはボロボロであった。彼が人間であったら、死んでいただろう。ハーフエルフで良かった。だが、
「ここは、天国ですか。」
ロリアンは、ノアールと薫を見て感激する。
「ノアール様そっくりのあの方は? まさか、アルテナ様でしょうか? ですが髪の色が。」
ノアール様は微笑んで、
「彼は、薫。勇者だよ。」
「ゆ、勇者様ですか? 」
ロリアンは、感激に打ち震えた。子供の頃からの憧れの勇者が、目の前に。
しかも、麗しいノアールに瓜二つ感動しない訳がなかった。
「これ程似ておられると言う事は、血縁の方なのでしょうか? まさしく、勇者の血筋。」
感動するロリアンの目に、ふと 台に刺さった聖剣が見えた。
「勇者様、どうか聖剣を抜く処を見せては頂けないでしょうか? 」
「これ? 」
すぽっ と、聖剣を抜いて見せる。そして、再び元の場所に刺す。
「流石は、勇者様。」
ロリアンは感涙するのであった。
「薫、本題に。」
ノアールの言葉に、
「ああ、そう。これ。」
薫は、聖剣の後に置いた岩を叩いた。
「これを、ここに置いて欲しい。」
「これは? 」
「ん、まあ。勇者の封印。」
「勇者様の封印? 」
「駄目かな? 」
麗しい顔で、ロリアンを見上げる。途端、ロリアンは顔を押さえて血を吹き出す。鼻血であった。
「!? 」
薫は驚いて、
「魔王、彼も何処か悪いのか? 」
さらり と、重要な事を話した。
「まあ、セバスと同じ病気だよ。」
ノアールは、微笑んだ。
「ま、魔王!? 」
ロリアンは、セバスを見た。
「魔王様です。」
セバスは、ノアールの前で膝を折った。
「薫。」
「ごめん。」
微笑むノアールに てへぺろ と、薫は謝った。
ノアールの妖しい微笑みと薫の愛らしい謝罪に。再び、ロリアンとセバスは顔を押さえて血を吹き出した。


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