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告白寸前の勇者。謁見の間(仮)から、愛の逃避行。
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「王家に、魔物の血を入れる訳にはいかぬ。」
皇帝グロリアの言葉に、王妃ヒルダは哀しそうに目を閉じた。そして、
「グランド、ロリアン。」
息子達の名前を、呼んだ。
「おう。」
「はい。」
グランド皇太子は、席を立ちロリアン共々 王妃の元に集った。王妃ヒルダは、言った。
「皇帝陛下。いえ、グロリア。私達は、これでお暇させて頂きます。」
王妃共々、息子達も静かに頭を下げた。
その態度に、皇帝 『きょうかい』長の二人 貴族達は不思議そうな顔をして三人見る。
「三人共、気分が優れないのか? 部屋へ戻るのか? 」
皇帝陛下が、問う。
「いえ、この国からお暇させて頂きます。」
王妃ヒルダが、応えた。
「なっ、何を言っておる。ヒルダよ。」
「国から、出ると言っています。皇帝陛下。」
「簡単に言えば、離縁だな。」
皇帝の問いに、ロリアンとグランドは応えた。
「わ、わしを捨てるのか? 」
「捨てたくは、在りませんが、 」
王妃ヒルダは目を閉じ、言った。
「王家に人間以外の血を入れたくは無いのなら、私達はこの国を去らねばなりません。」
「何を、言っておる? 」
「私は、エルフです。」
閲覧の間にいる総ての貴族達が、王妃ヒルダを見る。
驚愕の事実が、曝された。
王妃ヒルダは『エルフ』。貴族達は、王妃ヒルダの胸を見て、『なるほど。』と確信した。
エルフとは、美形が多い。エルフの女性は貧乳、もといスレンダー体型である。
次に貴族達は、ロリアンを見る。すらりとした体型で、美形だ。そして厳つい難いの皇太子グランドを見て、首を傾げた。
「まぁ、ハーフだから。」
誰が、ぼそっと呟いた。
「何か、とても頭にくるモノがあるのですが。」
「母上もか、俺もだ。」
「私は、別に。」
ヒルダ、グランド、ロリアンの順に、言葉をはいた。
「聴いて、いな 」
「言いました。」
皇帝が言えば、王妃が被せ気味に言った。
「あなたに、婚姻を迫られた時。あなたは、其れ処ではなかったかも知れませんが。」
若き頃のグロリアは、
「結婚してくれないと、此処から飛び込んで死んでやる!! 」
崖の先端に立って、ヒルダに婚姻を迫った。
「しかし、私はエルフで。」
「死んで、君の背後霊になって近寄る男達を呪ってやる!! 」
最低である。
「まっ、そう言うことで出て行くわ。父上。」
「そうですね。国の財務はお任せします、神殿長。」
「えっ!? 」
「前々から、良く口出しをして頂きましたから。上手く、やれるでしょう。」
ロリアンは、神殿長に
にっこりと、笑う。
「そうだ、軍事の事は頼んだぜ魔法協会長。」
「はぁ!? 」
「良く進言してくれてただろ。頑張れ。」
グランドは、ニヵッと笑った。
つまり、財務と軍事の要の二人が一斉に居なくなる事になる。其れは他国、属国がどう出るか。ついでに皇太子が居なくなれば、お家騒動が勃発して国が危うい。グレイト帝国の力があるから、貴族達は威張っていられる。其れが無くなったらと、貴族達は身を震わせた。
静かに、王妃達は出て行こうとする。
「待て、何処に行くつもりだ? 」
皇帝は、慌てて聴いた。
「ノウブル国へ。」
「ほぇ!? 」
突然自分の国の名前が出た、ノウブル国の王ノアールは変な声を上げた。謁見の間(仮)の隅に立食用のお菓子を食べながら、後に控えるセバスを見る。
「申し訳ございません。ノアール様、我が友の行く末を案じる余り断りもなく。」
「まあ、良いけど。」
ノアールは、お菓子の方へ意識を戻した。
「待て、ヒルダ。グリッドの嫁は、胸は有るがなかなかの美人ではないか。」
「あなた。」
皇帝グロリアは、人間以外の血が入る事を容認する発言を発した。
「「何を、言われる。皇帝陛下!! 」」
『きょうかい』長、二人と貴族達は驚いた。
「うるさい!! ヒルダを失う位なら、何が混ざっても良い。」
「神の罰が降りますよ。」
神殿長は、言った。
「神より、ヒルダを失う方が恐ろしい。」
「王家に、人間以外の血を入れるのは許されません。」
魔法協会長が、言った。
「なら、わしは皇帝を辞める。ヒルダと共に、この国を出る。」
皇帝まで、この国を出ると聴いて貴族達は慌てた。
カリスマの皇帝が居なくなれば、この国は終わりである。属国は離れ、他国が攻めて来るかも知れない。
「確かに、胸もあって美しいですな。」
「グリッド皇子に、お似合いで。」
次々と、貴族達は皇子の婚姻を認め始める。
「おお、皆も認めてくれるか。」
皇帝は、腕を広げ王妃に言った。
「ヒルダよ、何処にも行くな。わしの傍に、一生 居てくれ。」
「グロリア。」
ヒルダはグロリアの腕に、飛び込んだ。
「あなたは、私の為に国を捨てようとなさってくれたのですね。」
「違う、わしの為だ。ヒルダさえ居れば、わしは幸せなのだ。」
皇帝は王妃を抱き締めながら、言った。
「ヒルダと違い、爺になったわしでも良いか? 」
「馬鹿ね。あなたは、今でも魅力的よ。」
ラブラブで、あった。
息子達は、見てられないと目を反らした。
「グランドよ。」
皇帝は、息子に声を掛けた。そして、貴族達に向かい言い放った。
「皆の者、聞け。わしは皇帝の座を今此処で、皇太子グランドに譲る。」
貴族達は、驚いた。急転直下で、皇帝が代わった。
「父上。」
「わしらは、愛の逃避行じゃ。」
元皇帝は、ヒルダと手を繋いで出て行こうとする。
「父上、アルテナ様は? 」
ロリアンが、グロリアに問うた。
「誰だ、それ? 」
グロリアの頭の中は、ヒルダでいっぱいだった。
「いえ、別に。」
グロリアとヒルダは、手を繋いでスキップしながら謁見の間(仮)を出て行った。二人は、愛の逃避行に出かけるのであった。
皇帝グロリアの言葉に、王妃ヒルダは哀しそうに目を閉じた。そして、
「グランド、ロリアン。」
息子達の名前を、呼んだ。
「おう。」
「はい。」
グランド皇太子は、席を立ちロリアン共々 王妃の元に集った。王妃ヒルダは、言った。
「皇帝陛下。いえ、グロリア。私達は、これでお暇させて頂きます。」
王妃共々、息子達も静かに頭を下げた。
その態度に、皇帝 『きょうかい』長の二人 貴族達は不思議そうな顔をして三人見る。
「三人共、気分が優れないのか? 部屋へ戻るのか? 」
皇帝陛下が、問う。
「いえ、この国からお暇させて頂きます。」
王妃ヒルダが、応えた。
「なっ、何を言っておる。ヒルダよ。」
「国から、出ると言っています。皇帝陛下。」
「簡単に言えば、離縁だな。」
皇帝の問いに、ロリアンとグランドは応えた。
「わ、わしを捨てるのか? 」
「捨てたくは、在りませんが、 」
王妃ヒルダは目を閉じ、言った。
「王家に人間以外の血を入れたくは無いのなら、私達はこの国を去らねばなりません。」
「何を、言っておる? 」
「私は、エルフです。」
閲覧の間にいる総ての貴族達が、王妃ヒルダを見る。
驚愕の事実が、曝された。
王妃ヒルダは『エルフ』。貴族達は、王妃ヒルダの胸を見て、『なるほど。』と確信した。
エルフとは、美形が多い。エルフの女性は貧乳、もといスレンダー体型である。
次に貴族達は、ロリアンを見る。すらりとした体型で、美形だ。そして厳つい難いの皇太子グランドを見て、首を傾げた。
「まぁ、ハーフだから。」
誰が、ぼそっと呟いた。
「何か、とても頭にくるモノがあるのですが。」
「母上もか、俺もだ。」
「私は、別に。」
ヒルダ、グランド、ロリアンの順に、言葉をはいた。
「聴いて、いな 」
「言いました。」
皇帝が言えば、王妃が被せ気味に言った。
「あなたに、婚姻を迫られた時。あなたは、其れ処ではなかったかも知れませんが。」
若き頃のグロリアは、
「結婚してくれないと、此処から飛び込んで死んでやる!! 」
崖の先端に立って、ヒルダに婚姻を迫った。
「しかし、私はエルフで。」
「死んで、君の背後霊になって近寄る男達を呪ってやる!! 」
最低である。
「まっ、そう言うことで出て行くわ。父上。」
「そうですね。国の財務はお任せします、神殿長。」
「えっ!? 」
「前々から、良く口出しをして頂きましたから。上手く、やれるでしょう。」
ロリアンは、神殿長に
にっこりと、笑う。
「そうだ、軍事の事は頼んだぜ魔法協会長。」
「はぁ!? 」
「良く進言してくれてただろ。頑張れ。」
グランドは、ニヵッと笑った。
つまり、財務と軍事の要の二人が一斉に居なくなる事になる。其れは他国、属国がどう出るか。ついでに皇太子が居なくなれば、お家騒動が勃発して国が危うい。グレイト帝国の力があるから、貴族達は威張っていられる。其れが無くなったらと、貴族達は身を震わせた。
静かに、王妃達は出て行こうとする。
「待て、何処に行くつもりだ? 」
皇帝は、慌てて聴いた。
「ノウブル国へ。」
「ほぇ!? 」
突然自分の国の名前が出た、ノウブル国の王ノアールは変な声を上げた。謁見の間(仮)の隅に立食用のお菓子を食べながら、後に控えるセバスを見る。
「申し訳ございません。ノアール様、我が友の行く末を案じる余り断りもなく。」
「まあ、良いけど。」
ノアールは、お菓子の方へ意識を戻した。
「待て、ヒルダ。グリッドの嫁は、胸は有るがなかなかの美人ではないか。」
「あなた。」
皇帝グロリアは、人間以外の血が入る事を容認する発言を発した。
「「何を、言われる。皇帝陛下!! 」」
『きょうかい』長、二人と貴族達は驚いた。
「うるさい!! ヒルダを失う位なら、何が混ざっても良い。」
「神の罰が降りますよ。」
神殿長は、言った。
「神より、ヒルダを失う方が恐ろしい。」
「王家に、人間以外の血を入れるのは許されません。」
魔法協会長が、言った。
「なら、わしは皇帝を辞める。ヒルダと共に、この国を出る。」
皇帝まで、この国を出ると聴いて貴族達は慌てた。
カリスマの皇帝が居なくなれば、この国は終わりである。属国は離れ、他国が攻めて来るかも知れない。
「確かに、胸もあって美しいですな。」
「グリッド皇子に、お似合いで。」
次々と、貴族達は皇子の婚姻を認め始める。
「おお、皆も認めてくれるか。」
皇帝は、腕を広げ王妃に言った。
「ヒルダよ、何処にも行くな。わしの傍に、一生 居てくれ。」
「グロリア。」
ヒルダはグロリアの腕に、飛び込んだ。
「あなたは、私の為に国を捨てようとなさってくれたのですね。」
「違う、わしの為だ。ヒルダさえ居れば、わしは幸せなのだ。」
皇帝は王妃を抱き締めながら、言った。
「ヒルダと違い、爺になったわしでも良いか? 」
「馬鹿ね。あなたは、今でも魅力的よ。」
ラブラブで、あった。
息子達は、見てられないと目を反らした。
「グランドよ。」
皇帝は、息子に声を掛けた。そして、貴族達に向かい言い放った。
「皆の者、聞け。わしは皇帝の座を今此処で、皇太子グランドに譲る。」
貴族達は、驚いた。急転直下で、皇帝が代わった。
「父上。」
「わしらは、愛の逃避行じゃ。」
元皇帝は、ヒルダと手を繋いで出て行こうとする。
「父上、アルテナ様は? 」
ロリアンが、グロリアに問うた。
「誰だ、それ? 」
グロリアの頭の中は、ヒルダでいっぱいだった。
「いえ、別に。」
グロリアとヒルダは、手を繋いでスキップしながら謁見の間(仮)を出て行った。二人は、愛の逃避行に出かけるのであった。
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