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無知ゆえのしくじり。
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まさかそこまで酷い不良物件とは知らずアルテミスは王命として婚約を受けてしまった。
(だって、普通王からの打診て王命だと思うじゃない。)
しかし王は年頃の令嬢を持つ貴族総てに打診をして断られていた。
(ずっと辺境にいたからそんなことを知らなかったわ。)
アルテミスは都会の噂に疎かった。
(だって、お兄様は何時もため息をつきながら王の命令を聞いていたじゃない。)
王は信用おける辺境侯に色んなことを最終的に泣き落としで縋っていた、アポロも仕方がないとその仕事をため息ながらしていた。
(王命の婚姻を断ると、辺境に益々嫌がらせを受けると思ったのよ。)
王家、王はギリシャ侯爵家を信用しまくっていた。寧ろ護りの要の侯爵家に離れていかないでと、立てまくっていた。それはこの国の殆の貴族も国民も分かっていた。
(私達、野蛮な田舎者だと馬鹿にされてないの? )
『野蛮な田舎者』と辺境をそう思い言う者はいない。もしいようなら貴族社会では馬鹿にされ蔑まれる存在になる。
つまり『なにこの人、無知ね』になる。自身の馬鹿を象徴したいのならうってつけだ。
先程王子達の田舎者発言と野蛮人発言に笑った貴族は、そう発言したクピド王子とプシュケー公爵令嬢。そう思って笑っている王妃に向けて、嗤笑していたのだ。
クピドは馬鹿だがプシュケーは本来頭が良かった。馬鹿なピクドを支えるために彼女は猛勉強に励んだ。総て令嬢に婚姻を断られ、最終的に王の泣き落とし(十八番)で自分にクピドとの婚姻が回って来ると思っていた。
しかしそこでアルテミスの登場だ、国の護りの要の侯爵家の御令嬢の願いを国が断るわけはない。
プシュケーもまた追い詰められていた。
愛するクピドと結ばれるには総べてを捨てるしかないと、この茶番を演じるしかなかったのだ。
ギリシャ侯爵令嬢を怒らせ、周りから嘲りを受けようとも、自らクピドと共に国から追放をせしめようとしていた。
方や無知ゆえに婚約を承諾したアルテミス、方や国を捨ててまでクピドに思いを貫こうとするプシュケー。
アルテミスに勝てる見込みはなかった。
(いえ、勝ちたくないんですけど!! )
貴族社会を鬱陶しがり、辺境で自由気儘に生きてきたアルテミスは己の迂闊さに頭を悩ませていた。
(少しでも社交界に出ていれば、こんなことにはならなかったのね。)
己の無知ゆえのしくじりを恥じた。
(どうすればいいの? このままではクピド王子が好きだとみんなに思われるかも知れない。本当に王命だと思っていたと言えば、自分が無知の馬鹿だと知られてしまう。)
その場の貴族達は思った。
まさかアルテミス令嬢がクピド王子を好いていたとは。相手が相手、あのクピドゆえに。
国の為に、辺境と王都の貴族の橋渡しのために自ら犠牲になられたのではと彼等は思っていたのだ。
だが先程のギリシャ辺境候の言葉の『花よりだんご虫が好き』ならば、それもあり得ると。
まさかギリシャ侯爵の令嬢が無知の為、あのクピドと婚約を望むとは思ってもいなかった。
「や、やめろ!! 喧嘩はやめてくれ!! 」
ふらふらと、頭にたん瘤をこしらえたクピド王子がアルテミスとプシュケーの二人の間に入り込む。
「頼む、私の為に争わないでくれ!! 」
片頬を膨らませ鼻血を垂らしながらクピド王子はアルテミスの前で膝を折った。
「許してくれ、アルテミス。どうか、私と婚約を破棄してくれ!! 」
土下座する。
(いえ、もう婚約破棄してるんですけど!! )
頭を床にこすりつけて、元婚約者アルテミスに懇願した。
「君の気持ちは分かっている、だが私にはプシュケーがいるのだ!! 」
「クピド様!! 」
(私の気持ちて、なに!? )
プシュケーは土下座をするクピド王子に縋り付いた。
「君と話したことも会ったこともない私を、君が何処で見初めたかは分からない。」
(会ったこともないのに見初めるはずないじゃない。王都に来たのも今回が初めてよ!! )
「君がプシュケーを嫉妬のあまり虐めていたのも分かっている!! 」
(辺境からどうやって虐めるのよ!! )
「総てはカッコいい、私が悪いのだ!! 」
(いえ、普通ですわ。)
「カッコよすぎて、すまない!! 」
(普通ですわよ!! )
自称イケメンのクピド王子は自分をカッコいいと卑下する。
(ちょっとやめて!! これ以上騒ぎを大きくしないで!! )
「君の気持ちを弄んでしまった。」
(弄ばれてないから!! )
「ほら、歌にもあるだろ。違うタイプの人を好きになってしまうと。」
(そんな歌あったかしら!? )
「揺れる男心~ よくあるだろう~♪ 」
なぜか歌い出すクピド。
(知らないわよ!! )
「こめんなさいね、私の所為よ♪
二人の心~ 弄んで、ちょっぴり楽しんでたの~ 思わせぶりな態度で~♪ だから… けんかはやめて~ 二人を止めて~ 私の為に、争わないで~ もう、こ・れ・い・じょう~ ♪ て。」
【けんかはやめて・by河合奈保子】
(なに気持ちよさそうに歌いきっているのよ!! )
みんなの前で、クピドは歌いきった。
「許してくれ!! 二人に好かれちょっぴり優越感に慕っていた!! 思わせぶりな態度を取って悪かった!! 」
「いつ、思わせぶりな態度を取ったのよ!! 」
アルテミスは王子の言葉に切れ、心の声を表に吹き出した。
(だって、普通王からの打診て王命だと思うじゃない。)
しかし王は年頃の令嬢を持つ貴族総てに打診をして断られていた。
(ずっと辺境にいたからそんなことを知らなかったわ。)
アルテミスは都会の噂に疎かった。
(だって、お兄様は何時もため息をつきながら王の命令を聞いていたじゃない。)
王は信用おける辺境侯に色んなことを最終的に泣き落としで縋っていた、アポロも仕方がないとその仕事をため息ながらしていた。
(王命の婚姻を断ると、辺境に益々嫌がらせを受けると思ったのよ。)
王家、王はギリシャ侯爵家を信用しまくっていた。寧ろ護りの要の侯爵家に離れていかないでと、立てまくっていた。それはこの国の殆の貴族も国民も分かっていた。
(私達、野蛮な田舎者だと馬鹿にされてないの? )
『野蛮な田舎者』と辺境をそう思い言う者はいない。もしいようなら貴族社会では馬鹿にされ蔑まれる存在になる。
つまり『なにこの人、無知ね』になる。自身の馬鹿を象徴したいのならうってつけだ。
先程王子達の田舎者発言と野蛮人発言に笑った貴族は、そう発言したクピド王子とプシュケー公爵令嬢。そう思って笑っている王妃に向けて、嗤笑していたのだ。
クピドは馬鹿だがプシュケーは本来頭が良かった。馬鹿なピクドを支えるために彼女は猛勉強に励んだ。総て令嬢に婚姻を断られ、最終的に王の泣き落とし(十八番)で自分にクピドとの婚姻が回って来ると思っていた。
しかしそこでアルテミスの登場だ、国の護りの要の侯爵家の御令嬢の願いを国が断るわけはない。
プシュケーもまた追い詰められていた。
愛するクピドと結ばれるには総べてを捨てるしかないと、この茶番を演じるしかなかったのだ。
ギリシャ侯爵令嬢を怒らせ、周りから嘲りを受けようとも、自らクピドと共に国から追放をせしめようとしていた。
方や無知ゆえに婚約を承諾したアルテミス、方や国を捨ててまでクピドに思いを貫こうとするプシュケー。
アルテミスに勝てる見込みはなかった。
(いえ、勝ちたくないんですけど!! )
貴族社会を鬱陶しがり、辺境で自由気儘に生きてきたアルテミスは己の迂闊さに頭を悩ませていた。
(少しでも社交界に出ていれば、こんなことにはならなかったのね。)
己の無知ゆえのしくじりを恥じた。
(どうすればいいの? このままではクピド王子が好きだとみんなに思われるかも知れない。本当に王命だと思っていたと言えば、自分が無知の馬鹿だと知られてしまう。)
その場の貴族達は思った。
まさかアルテミス令嬢がクピド王子を好いていたとは。相手が相手、あのクピドゆえに。
国の為に、辺境と王都の貴族の橋渡しのために自ら犠牲になられたのではと彼等は思っていたのだ。
だが先程のギリシャ辺境候の言葉の『花よりだんご虫が好き』ならば、それもあり得ると。
まさかギリシャ侯爵の令嬢が無知の為、あのクピドと婚約を望むとは思ってもいなかった。
「や、やめろ!! 喧嘩はやめてくれ!! 」
ふらふらと、頭にたん瘤をこしらえたクピド王子がアルテミスとプシュケーの二人の間に入り込む。
「頼む、私の為に争わないでくれ!! 」
片頬を膨らませ鼻血を垂らしながらクピド王子はアルテミスの前で膝を折った。
「許してくれ、アルテミス。どうか、私と婚約を破棄してくれ!! 」
土下座する。
(いえ、もう婚約破棄してるんですけど!! )
頭を床にこすりつけて、元婚約者アルテミスに懇願した。
「君の気持ちは分かっている、だが私にはプシュケーがいるのだ!! 」
「クピド様!! 」
(私の気持ちて、なに!? )
プシュケーは土下座をするクピド王子に縋り付いた。
「君と話したことも会ったこともない私を、君が何処で見初めたかは分からない。」
(会ったこともないのに見初めるはずないじゃない。王都に来たのも今回が初めてよ!! )
「君がプシュケーを嫉妬のあまり虐めていたのも分かっている!! 」
(辺境からどうやって虐めるのよ!! )
「総てはカッコいい、私が悪いのだ!! 」
(いえ、普通ですわ。)
「カッコよすぎて、すまない!! 」
(普通ですわよ!! )
自称イケメンのクピド王子は自分をカッコいいと卑下する。
(ちょっとやめて!! これ以上騒ぎを大きくしないで!! )
「君の気持ちを弄んでしまった。」
(弄ばれてないから!! )
「ほら、歌にもあるだろ。違うタイプの人を好きになってしまうと。」
(そんな歌あったかしら!? )
「揺れる男心~ よくあるだろう~♪ 」
なぜか歌い出すクピド。
(知らないわよ!! )
「こめんなさいね、私の所為よ♪
二人の心~ 弄んで、ちょっぴり楽しんでたの~ 思わせぶりな態度で~♪ だから… けんかはやめて~ 二人を止めて~ 私の為に、争わないで~ もう、こ・れ・い・じょう~ ♪ て。」
【けんかはやめて・by河合奈保子】
(なに気持ちよさそうに歌いきっているのよ!! )
みんなの前で、クピドは歌いきった。
「許してくれ!! 二人に好かれちょっぴり優越感に慕っていた!! 思わせぶりな態度を取って悪かった!! 」
「いつ、思わせぶりな態度を取ったのよ!! 」
アルテミスは王子の言葉に切れ、心の声を表に吹き出した。
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