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得意不得意
しおりを挟む三学期が始まって1ヶ月。期末テストがすぐそこまで迫っていた。僕と高島さんは勉強会を開いていた。
「国語も英語もめんどくさいなぁ」
「物理と化学と生物と社会がめんどくさい」
「ほんとなんでこんなに教科数多いのかな」
「高校だからかな」
「そうじゃなくて」
「宿命かなぁ」
「悲しい」
「うん」
提出物やノートのまとめを2人で黙々と進める。今日は土曜日。駅前の喫茶店に集まっていた。休日に制服を着て外出する人はいない。それでもなんとなく学生だろうと思われる人たちが喫茶店には集まっていた。11時に集まって、勉強会が始まって3時間。昼ごはんも食べ終わりひたすらテスト勉強をしている。教え合うということはほとんどない。高島さんは元々数学以外は赤点以外は回避できればいいらしいということで、僕から教えることはほとんどなかった。僕の数学は、日頃の特訓でかなりできるようになったのもあって、なんとか頑張れていた。
「毎日これくらい勉強しないといい大学にはいけないのかなぁ」
「うーん。高島さんくらい数学ができればそれだけで大学にいけそうだけどね」
「えー?そうかなぁ」
「僕から見たらすごいよ。数学がそれだけできるっていうのは」
「そうかなぁ。山口くんももっと数学をしようよ!」
「頑張りたい」
「やった!約束だよ!」
「うん」
曖昧な返事をしたつもりが、なんだかすごい約束をしてしまった気がするけれど、きっと大丈夫。根拠のない自信だけれど、今までも乗り越えてこられたんだから、なんとかなる。
「どうやったら数学以外が得意になるのかなぁ」
「地道に勉強するしかないんじゃない?高島さんも最初から数学が得意だったわけじゃないでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど。魔法みたいに一気にできるようになったら、もっと数学にのめり込めるようになるわけじゃん?」
「うん」
「そうなったら、もっと山口くんと無限について語れるじゃん?」
「僕もいろんな科目ができないとそれは無理じゃない?」
「私が教えるよ!」
「まぁ、それなら大丈夫だとは思うけど」
「でしょ?だから、もっとできるようになりたいなぁって」
「得意不得意っていうのは難しいよね」
「うん」
「でも、できるようになろうとするのはいいことだと思う」
「でしょ?だから頑張る!」
「僕も頑張るよ」
喫茶店で2人で勉強しながら、得意不得意の話。僕と高島さんでは得意な教科が確かに違う。勉強というより前に、普段の私生活で好きなものが変われば、得意な科目は変わるのだろうか。それは僕には分からないけど、いろんな科目を勉強しながら2人でこれからも前に進んでいけるのなら、それが一番だと思った。
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