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何事
しおりを挟む2学期も瞬く間に過ぎていく。結局、体育祭も文化祭も登校日扱いだった。高島さんが立候補した二人三脚に巻き込まれる形で体育祭には出場し、文化祭はクラスの出し物がなかったから結局校舎内をうろうろしただけで終わった。ここ最近は毎日が激動だったけれど、少しずつ落ち着きを取り戻しつつある。今日も6時間目の授業が終わり、担任が淡々と終礼を終わらせる。みんなが帰る雰囲気になったところで、それは唐突にやってくる。
「そろそろ席替えをするぞ」
今まで通り、淡々と言う担任。落ち着いていた教室の空気がどよめく。その状況下でも担任の説明が淡々と続く。席を決めるのはどうやらくじ引きらしい。席替え。めんどくさいなぁという人もいれば喜んでいる人もいる。高島さんは僕にラインをしていた。
『席替えきた!』
『きたね』
『根回し頑張る』
『根回しって』
『実際そうだからね』
『そっか』
文面からもわかるテンションの高さ。そんな高島さんとやりとりしているうちに担任の先生は教室から出ていってしまった。クラスはざわざわしていたが、興味がない人は早々に教室から出ていった。高島さんは終礼が終わった後、女子の友達と話をしていたようだ。作戦会議だろうか。ぼんやり眺めていると高島さんがこっちに来た。
「作戦会議してきたよ!」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「くじ引きでいい番号をひいたら交換して!って話してきた!」
とてもいい笑顔でそんな話をする。日に日に輝きを増していく高島さんを見る。何事かが起きてもなんとかしたいということなのだろう。すごい熱量だが、それがなんとかなるとは到底思えなかった。しかし、その満足そうな顔を見ていたらなんだかできそうな気もしてくる。そんな気持ちの昂りを保ったまま高島さんは次の行動へと移る。
「今日も数学やるよ!」
「あ、うん」
「席替えの時は2人で頑張ろう」
「うん」
そういうと高島さんは数学の教科書を取り出す。何事が起きても今日も数学。その変わらなさにも、僕は惹かれているのかもしれないと思った。
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