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日常
しおりを挟む二学期も1ヶ月が過ぎ、体育祭と文化祭がいよいよ迫っていた。その後には中間テストも控えている。1学期には何もなかったのに2学期はどうしてこんなに忙しいのか、さっぱり分からない。授業を受けながら板書を取る。高島さんがラインをしてくる授業もある。返せる時もあれば返せない時もある。それは分かってもらえているようで、特に何かを言われたことはない。二学期の授業の風景は、ほとんど一学期と変わらない。でも、クラス全体が1学期ほど真面目に授業を受けているようには見えなかった。
「今日もあとはこれで終わりだー」
「今日も長かったような気がする」
「毎日ずっと数学だったらもっと楽しいのになぁ」
「その時は高島さんにいっぱい教えてもらわなきゃ」
「そりゃそうだよ!」
「そっか」
「うん」
高島さんからラインが来る。授業も気がつけば6時間目で、たった今チャイムが鳴った。今日の授業はこれで終わりだ。物理基礎の担当の先生と入れ替わるように担任の先生が入ってきた。終礼をして、下校になる。
「お疲れ!」
「おつかれー」
「体育祭も文化祭もめんどくさいなぁ」
「過密スケジュールだよね」
「その後にテストもあるんだよー?私の数学の時間はどこにいくんだよー!」
「隙間の時間でやるとか?」
「それはそうなんだけどさぁ。私は山口くんとやりたい時もあるわけ!」
「うん」
「そうなると放課後とかになるじゃん?」
「うん」
「そこができないと楽しくならないのよ」
「なるほど」
「ちゃんと話聞いてるー?」
「聞いてるよ、大丈夫」
「だからねー、私は数学がやりたいの!」
「今からやる?」
「もちろんやるよ!授業にも追いついたし、これからは私たちの数学の時間よ!」
「僕たちの数学」
「そう!授業なんかに縛られない!自由な数学!」
僕と高島さんの数学会は少しずつ変化していた。今までは中学校でやった数学の復習や高校の授業の復習だったものが、少しずつ変わりつつある。そして、高島さんの言葉を反芻してみる。自由な数学。聞いたことのない言葉だった。高島さんがやっている自由な数学を僕もするようになって、それが日常になった時、今見えている景色からまた違うものが見えるようになるのだろうか。
「どうしたの?」
「あ、なんでもないよ」
「そう?じゃあ今からやろっか!」
「うん」
日常が少しずつ変化する。高島さんとの毎日も、少しずつ変わる。ずっとこのままでいいのに、なんてことは言っていられないのかもしれない。
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