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5章
通学路
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結局少しだけゴロゴロしてから家を出た。時刻は8時30分。9時ごろのバスに乗れば2限は間に合う。
まだまだ暑さの残る外気。それでも大学に行かなければならない。それが大学生の宿命。二人で歩きながら、適当にそんなことを考える。バス停まで歩く。視界に見えバスが何故か発車しないまま、しばらく待ちがあった。
「延着?」
「道が混んでるのか」
「かもね」
「しかしバスが少ねえのに、人は山のようにいるな」
いつもならもう少ししてからバスが出て、そこから1限に向けてバスがピストン輸送する形になっているのだが、それ以前の時間からのバスがどうも遅れているらしい。
長蛇の列となった学生の最後尾に並び、バスを待つ。しばらく歩いたところでアナウンスがあった。どうやら事故で片側通行か迂回をすることになっているようだ。
そりゃこうなると思いながら、ノロノロとしか進まない列に並ぶ。少しずつバスは掃き出されているが一般の乗客との兼ね合いもあって、学生が乗れる人数に限界がある。大学が独自で出しているチャーター便は、もう少ししたら出るはずだ。そこから一気に捌けてくれるだろう。
「もう少しで乗れると思うんだが」
「乗ろうとしてたバスには乗れそうだよ」
「そうだな。なんとか一安心だ」
少しずつ前に進み、やっと乗れるところまで来た。なんとか二人とも座り、熱い外気から解放され、ひと休みの時間。相変わらずの暑さの中並んでいたため、クーラーの効いたバスは汗が冷えて少しだけ寒く感じるほどだった。乗り込んだバスは定員になったらすぐに出発した。時刻は8時50分だった。
延着のおかげで少しだけ早いバスに乗れるという不思議な現象だったが、ありがたい話でもある。しばらく揺られて10分ほど経った頃、大学に到着した。学生がぞろぞろと降りていき、二人も降りる。
「さぁ、今日も頑張るか」
「そうだね」
「2限のあとなんかあるのか?」
「今日は2限だけだよー」
「なるほどね」
「頑張って終わったらそのあとは研究室行こうかな」
「おう、こい。どうせ今日も騒がしいだろうけど」
「今から2限までも行くけどね」
「おう、こいよ。俺はパソコンと格闘してるだろうけど」
「分かった」
研究棟へと向かいながら、二人で歩く。こんな日常が、つまでも続くわけじゃない。それを噛みしめていこう。同棲の話も、今日家に帰ったら親にする。どうなるか分からないけど、先手を打っておいた方がいい気がしている。
気がつけば研究棟のエレベーターの中だった。今日という日もここから始まる。賢が入っていく後ろについて、仁も入っていく。
「おはようございます」
「おじゃましまーす」
頑張ろう。そう思えるのは、賢のおかげ。これからも、賢と一緒に色んなことが出来たら嬉しいな。そんな思いが届かないと知りつつ、いつかは届けたいとも思いつつ、椅子に座る。さぁ、今日も頑張る。
まだまだ暑さの残る外気。それでも大学に行かなければならない。それが大学生の宿命。二人で歩きながら、適当にそんなことを考える。バス停まで歩く。視界に見えバスが何故か発車しないまま、しばらく待ちがあった。
「延着?」
「道が混んでるのか」
「かもね」
「しかしバスが少ねえのに、人は山のようにいるな」
いつもならもう少ししてからバスが出て、そこから1限に向けてバスがピストン輸送する形になっているのだが、それ以前の時間からのバスがどうも遅れているらしい。
長蛇の列となった学生の最後尾に並び、バスを待つ。しばらく歩いたところでアナウンスがあった。どうやら事故で片側通行か迂回をすることになっているようだ。
そりゃこうなると思いながら、ノロノロとしか進まない列に並ぶ。少しずつバスは掃き出されているが一般の乗客との兼ね合いもあって、学生が乗れる人数に限界がある。大学が独自で出しているチャーター便は、もう少ししたら出るはずだ。そこから一気に捌けてくれるだろう。
「もう少しで乗れると思うんだが」
「乗ろうとしてたバスには乗れそうだよ」
「そうだな。なんとか一安心だ」
少しずつ前に進み、やっと乗れるところまで来た。なんとか二人とも座り、熱い外気から解放され、ひと休みの時間。相変わらずの暑さの中並んでいたため、クーラーの効いたバスは汗が冷えて少しだけ寒く感じるほどだった。乗り込んだバスは定員になったらすぐに出発した。時刻は8時50分だった。
延着のおかげで少しだけ早いバスに乗れるという不思議な現象だったが、ありがたい話でもある。しばらく揺られて10分ほど経った頃、大学に到着した。学生がぞろぞろと降りていき、二人も降りる。
「さぁ、今日も頑張るか」
「そうだね」
「2限のあとなんかあるのか?」
「今日は2限だけだよー」
「なるほどね」
「頑張って終わったらそのあとは研究室行こうかな」
「おう、こい。どうせ今日も騒がしいだろうけど」
「今から2限までも行くけどね」
「おう、こいよ。俺はパソコンと格闘してるだろうけど」
「分かった」
研究棟へと向かいながら、二人で歩く。こんな日常が、つまでも続くわけじゃない。それを噛みしめていこう。同棲の話も、今日家に帰ったら親にする。どうなるか分からないけど、先手を打っておいた方がいい気がしている。
気がつけば研究棟のエレベーターの中だった。今日という日もここから始まる。賢が入っていく後ろについて、仁も入っていく。
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「おじゃましまーす」
頑張ろう。そう思えるのは、賢のおかげ。これからも、賢と一緒に色んなことが出来たら嬉しいな。そんな思いが届かないと知りつつ、いつかは届けたいとも思いつつ、椅子に座る。さぁ、今日も頑張る。
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