軌跡 Rev.1

ぽよ

文字の大きさ
上 下
61 / 107
5章

勉強

しおりを挟む
「ただいま」
「おじゃましまーす」
「賢、卒論は終わりそうなのか」
「もう書き始めてますね」
「そうか」

 現実逃避のようにこっちに話しかけてくる同じ研究室の学生。教授と話をしながら卒論について色々と決めているようだ。進捗があるようには見えないのだが、大丈夫なのだろうか。
 ここ最近は騒がしくなっているが、これまでが静かだった分、異質な感じがする。俺ともう1人の真面目なやつも卒論を書き始めているような雰囲気がある。
 もうすぐ3限が始まる。午前中の進捗は、まぁ悪くない。午後は仁が4限に行く。その間に教授に卒論の進捗報告会がしたい。卒論を書く上での方針も決めておきたい。

「4限めんどくさいな」
「しっかり行きなさい」
「はーい」

 ここまで真面目だと、急にサボると反動のようにサボり癖がつく。そんな同期を腐るほど見てきた。だからこそ、仁にはそうなって欲しくない。その想いを込めてみる。
 気がつけば3限開始の合図だった。昼休み中も大騒ぎの研究室。はたして心休まる瞬間は来るのだろうか。

「卒論書き始めてるの?」
「まぁ、少しずつだけどな」

 提出は何よりも早いほうがいい。添削はされるし、文章の書き方が正しくなければ差し戻しもあり得る。そのことを思えば、やはり早いに越したことはない。仁はもう少し休憩モードなのか、椅子に座ってのんびりしている。と思っていたら、こっちを向いた。

「分からなかったら質問とかしていい?」
「おう、いいぞ」

 どうやらこれが聞きたかったらしい。それが聞き終わると本を読み始めた。こんな喧騒の中よく読めたものだと感心する。さて自分も、ということでパソコンを立ち上げ、論文を書いていく。4限までには、少しでも進めておきたい。その想いを抱えて、文字を打ち込んでいく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

【完】BLゲームに転生したオレは鬼畜王子から逃げだしたい

たれぽんた
BL
高熱でうなされている王子殿下が、一瞬目を開いた。 オレを見るその顔を見て、この世界は前世で妹にやらされたBLゲームの世界だと気が付いてしまった。 初投稿です。 設定ゆるゆるです。 拙い作品ですが、楽しんでいただければ幸いです。 アルフォンスのスピンオフ『攻略対象から悪役令息にジョブチェンジしちゃう?』始めました。 殿下視点の『鬼畜・・・かもしれない王子の話』始めました。 恐ろしいことに! 第8回BL小説大賞の! 奨励賞をいただいてしまいました((((;゚Д゚))))))) 皆様への感謝といたしまして、 番外編を追加させていただきました。 ありがとうございましたm(_ _)m あれ? 完結しなかったっけ? 急に思いついたのでまた番外編をあげてみました(;^_^A

[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石
BL
   有能でも少しおバカなシェインは自分の城(ひきこもり先)をゲットするべく今日も全力で頑張ります!  応募した執事面接に即合格。  雇い主はこの国の第3王子ガラット。 人嫌いの曰く付き、長く続いた使用人もいないと言うが、今、目の前の主はニッコニコ。  あれ?聞いていたのと違わない?色々と違わない?  しかし!どんな主人であろうとも、シェインの望みを叶えるために、完璧な執事をこなして見せます!  勿論オフはキッチリいただきますね。あ、その際は絶対に呼ばないでください! *第9回BL小説大賞にエントリーしてみました。  

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 ハッピーエンド保証! 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります) 11月9日~毎日21時更新。ストックが溜まったら毎日2話更新していきたいと思います。 ※…このマークは少しでもエッチなシーンがあるときにつけます。 自衛お願いします。

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

転生するにしても、これは無いだろ! ~死ぬ間際に読んでいた小説の悪役に転生しましたが、自分を殺すはずの最強主人公が逃がしてくれません~

槿 資紀
BL
駅のホームでネット小説を読んでいたところ、不慮の事故で電車に撥ねられ、死んでしまった平凡な男子高校生。しかし、二度と目覚めるはずのなかった彼は、死ぬ直前まで読んでいた小説に登場する悪役として再び目覚める。このままでは、自分のことを憎む最強主人公に殺されてしまうため、何とか逃げ出そうとするのだが、当の最強主人公の態度は、小説とはどこか違って――――。 最強スパダリ主人公×薄幸悪役転生者 R‐18展開は今のところ予定しておりません。ご了承ください。

処理中です...