13 / 107
2章
次の一歩
しおりを挟む
2人は研究室で雑談していた。時計は12時を指していた。真夏の炎天下とは無縁のクーラー効いた研究室で、お互いの大学の話や趣味の話、その他色々な話をして、お互いがお互いのことを少しずつ理解していった。
賢の趣味は読書らしい。ミステリーから恋愛、はたまた実用書まで。なんでも読むらしい。そこに写っているのは上級生としての賢ではなく、男性としての賢がはっきりと映っていた。普段からあまり趣味をもっていない仁に、賢は読書を勧めてきてくれた。下宿先にも本はあるらしい。
少し悩んだが、レポートも一段落したし、賢と一緒に過ごせる時間は幸せな時間でもあった。それに加えて、こういうときのために服は用意する習慣がついていた。万が一に備える自分を褒める。
楽しい時間とは一瞬で過ぎていく。食堂のラッシュが終わったあたりで二人とも立ち上がり、ドアへと一目散で向かう。
「腹減ったな」
「お腹空きましたね」
お互い自然と笑みが溢れるほど、2人は仲良くなっていた。仁の敬語は相変わらず抜けなかったが、最初に比べればかなり普通に話ができるようになった。
ラッシュが終わった食堂は少しだけ空いていて、いつもと同じラーメンを頼んだ。
「仁はこの後3限があるんだっけ」
「ありますね」
「今日はそのあとなんかあるの?」
「いえ、今日は3限だけです」
「分かった。じゃあ3限終わったら帰るか。そのまま俺の家だな」
びっくりするほど滑らかに家に誘われた。しかし断る理由もない。
二人で少しだけ遅めの昼ごはんを食べたあと、仁は3限の講義に見送られた。賢は少しだけ図書館に用事があるらしく、仁を見送った後、逆方向に消えていった。
講義はのんびりと聴いていたらいつの間にか終わっていた。ここ最近は講義中もずっと賢のことばかり考えていた。全然底が見えない。しかし、その魅力にも惹かれていた。講義が終わり、荷物を持って図書館に行く。図書館の入り口に賢がいた。
「よっ」
「お疲れ様です」
「じゃあ、帰るか」
「分かりました」
図書館からバス停までのんびり歩く。その間に二人とも事務連絡を済ませる。仁は家に連絡。賢は研究室に連絡したのかもしれない。
「さて、連絡も済んだし」
「行きましょうか」
賢の家に行くことになった。2回目だが、緊張する。準備は万端だから、あとは気持ちだけ。分かっていても、緊張が解けるわけでは無かったが、自分の心に言い聞かせて目の前にいる好きな人と一緒にバスに乗った。これから、告白の返事を聞くことになる。心して行かなければ。その想いを胸に秘めて、バスに揺られていた。
賢の趣味は読書らしい。ミステリーから恋愛、はたまた実用書まで。なんでも読むらしい。そこに写っているのは上級生としての賢ではなく、男性としての賢がはっきりと映っていた。普段からあまり趣味をもっていない仁に、賢は読書を勧めてきてくれた。下宿先にも本はあるらしい。
少し悩んだが、レポートも一段落したし、賢と一緒に過ごせる時間は幸せな時間でもあった。それに加えて、こういうときのために服は用意する習慣がついていた。万が一に備える自分を褒める。
楽しい時間とは一瞬で過ぎていく。食堂のラッシュが終わったあたりで二人とも立ち上がり、ドアへと一目散で向かう。
「腹減ったな」
「お腹空きましたね」
お互い自然と笑みが溢れるほど、2人は仲良くなっていた。仁の敬語は相変わらず抜けなかったが、最初に比べればかなり普通に話ができるようになった。
ラッシュが終わった食堂は少しだけ空いていて、いつもと同じラーメンを頼んだ。
「仁はこの後3限があるんだっけ」
「ありますね」
「今日はそのあとなんかあるの?」
「いえ、今日は3限だけです」
「分かった。じゃあ3限終わったら帰るか。そのまま俺の家だな」
びっくりするほど滑らかに家に誘われた。しかし断る理由もない。
二人で少しだけ遅めの昼ごはんを食べたあと、仁は3限の講義に見送られた。賢は少しだけ図書館に用事があるらしく、仁を見送った後、逆方向に消えていった。
講義はのんびりと聴いていたらいつの間にか終わっていた。ここ最近は講義中もずっと賢のことばかり考えていた。全然底が見えない。しかし、その魅力にも惹かれていた。講義が終わり、荷物を持って図書館に行く。図書館の入り口に賢がいた。
「よっ」
「お疲れ様です」
「じゃあ、帰るか」
「分かりました」
図書館からバス停までのんびり歩く。その間に二人とも事務連絡を済ませる。仁は家に連絡。賢は研究室に連絡したのかもしれない。
「さて、連絡も済んだし」
「行きましょうか」
賢の家に行くことになった。2回目だが、緊張する。準備は万端だから、あとは気持ちだけ。分かっていても、緊張が解けるわけでは無かったが、自分の心に言い聞かせて目の前にいる好きな人と一緒にバスに乗った。これから、告白の返事を聞くことになる。心して行かなければ。その想いを胸に秘めて、バスに揺られていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》
クリム
BL
「婚約を破棄します」相手から望まれたから『婚約破棄』をし続けた王息のサリオンはわずか十歳で『婚約破棄王子』と呼ばれていた。サリオンは落実(らくじつ)故に王族の容姿をしていない。ガルド神に呪われていたからだ。
そんな中、大公の孫のアーロンと婚約をする。アーロンの明るさと自信に満ち溢れた姿に、サリオンは戸惑いつつ婚約をする。しかし、サリオンの呪いは容姿だけではなかった。離宮で晒す姿は夜になると魔獣に変幻するのである。
アーロンにはそれを告げられず、サリオンは兄に連れられ王領地の魔の森の入り口で金の獅子型の魔獣に出会う。変幻していたサリオンは魔獣に懐かれるが、二日の滞在で別れも告げられず離宮に戻る。
その後魔力の強いサリオンは兄の勧めで貴族学舎に行く前に、王領魔法学舎に行くように勧められて魔の森の中へ。そこには小さな先生を取り囲む平民の子どもたちがいた。
サリオンの魔法学舎から貴族学舎、兄セシルの王位継承問題へと向かい、サリオンの呪いと金の魔獣。そしてアーロンとの関係。そんなファンタジーな物語です。
一人称視点ですが、途中三人称視点に変化します。
R18は多分なるからつけました。
2020年10月18日、題名を変更しました。
『婚約破棄王子は魔獣に愛される』→『婚約破棄王子は魔獣の子を孕む』です。
前作『花嫁』とリンクしますが、前作を読まなくても大丈夫です。(前作から二十年ほど経過しています)
転生するにしても、これは無いだろ! ~死ぬ間際に読んでいた小説の悪役に転生しましたが、自分を殺すはずの最強主人公が逃がしてくれません~
槿 資紀
BL
駅のホームでネット小説を読んでいたところ、不慮の事故で電車に撥ねられ、死んでしまった平凡な男子高校生。しかし、二度と目覚めるはずのなかった彼は、死ぬ直前まで読んでいた小説に登場する悪役として再び目覚める。このままでは、自分のことを憎む最強主人公に殺されてしまうため、何とか逃げ出そうとするのだが、当の最強主人公の態度は、小説とはどこか違って――――。
最強スパダリ主人公×薄幸悪役転生者
R‐18展開は今のところ予定しておりません。ご了承ください。
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
転生悪役令息、雌落ちエンドを回避したら溺愛された?!~執着系義兄は特に重症です~悪役令息脱出奮闘記
めがねあざらし
BL
BLゲーム『ノエル』。
美麗なスチルと演技力抜群な声優陣で人気のゲームである。
そしてなんの因果かそんなゲームの中に悪役令息リアムとして転生してしまった、主人公の『俺』。
右を向いても左を向いても行き着く先は雌落ちエンド。
果たしてこの絶望的なエンドフラグを回避できるのか──……?!
※タイトル変更(2024/11/15)
転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
俺の死亡フラグは完全に回避された!
・・・と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ラブコメが描きたかったので書きました。
ココア ~僕の同居人はまさかのアイドルだった~
2wei
BL
【ANNADOL シリーズ1】
アイドル・加藤亮介と、一般人・日下比呂人との甘く切ないラブストーリー
間違って二つ出てきた自動販売機のココア
運命はそのココアが握っている──
。.ꕤ……………………………………ꕤ.。
合わせてお楽しみください。
『セカンドココア』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/76237087/435821408
『ココア 番外編』
The link is coming soon!
。.ꕤ……………………………………ꕤ.。
🚫無断転載、無断使用、無断加工、
トレス、イラスト自動作成サービス
での使用を禁止しています🚫
。.ꕤ……………………………………ꕤ.。
START:2023.7.11
END:2023.9.21
。.ꕤ……………………………………ꕤ.。
甥っ子と異世界に召喚された俺、元の世界へ戻るために奮闘してたら何故か王子に捕らわれました?
秋野 なずな
BL
ある日突然、甥っ子の蒼葉と異世界に召喚されてしまった冬斗。
蒼葉は精霊の愛し子であり、精霊を回復できる力があると告げられその力でこの国を助けて欲しいと頼まれる。しかし同時に役目を終えても元の世界には帰すことが出来ないと言われてしまう。
絶対に帰れる方法はあるはずだと協力を断り、せめて蒼葉だけでも元の世界に帰すための方法を探して孤軍奮闘するも、誰が敵で誰が味方かも分からない見知らぬ地で、1人の限界を感じていたときその手は差し出された
「僕と手を組まない?」
その手をとったことがすべての始まり。
気づいた頃にはもう、その手を離すことが出来なくなっていた。
王子×大学生
―――――――――
※男性も妊娠できる世界となっています
最終目標はのんびり暮らすことです。
海里
BL
学校帰りに暴走する車から義理の妹を庇った。
たぶん、オレは死んだのだろう。――死んだ、と思ったんだけど……ここどこ?
見慣れない場所で目覚めたオレは、ここがいわゆる『異世界』であることに気付いた。
だって、猫耳と尻尾がある女性がオレのことを覗き込んでいたから。
そしてここが義妹が遊んでいた乙女ゲームの世界だと理解するのに時間はかからなかった。
『どうか、シェリルを救って欲しい』
なんて言われたけれど、救うってどうすれば良いんだ?
悪役令嬢になる予定の姉を救い、いろいろな人たちと関わり愛し合されていく話……のつもり。
CPは従者×主人公です。
※『悪役令嬢の弟は辺境地でのんびり暮らしたい』を再構成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる