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2章
未来
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朝7時に起きて、適当に準備をして。それが終われば、家を出る時間までゴロゴロしながら暇つぶし。昨日は何事もない日曜日だった。賢がいればとは思ったが、いたところで何かができるわけではない。
スマートフォンで動画を見ながら、流れてくる広告を最速で消せるようにスキップボタンを連打する。月曜の一限に必修という設定した人を爆破したくなる気持ちを抑えながら大学へと向かう。
電車に乗っていてもバスに乗っていても、座席に座って眠気に限界を感じたときは立ち上がるのが一番早い眠気の覚まし方だった。バスの中で寝落ちして一限に遅刻したことからの教訓だった。いつもと変わらない電車に乗りながら、最寄り駅まで行く。その後もいつもと変わらないバスに乗り、大学へと向かう。眠気と戦いながらも賢を探すが、その姿は見当たらなかった。今日は既に研究室にいるのかもしれない。
バスが発車して15分が経過した頃、大学の最寄りの停留所へと到着する。5分も一限の部屋で待機すると、教授が教室へと入ってきて、講義が始まる。
今日からまた大学に通う一週間が始まる。また大量のレポートが課されるのかと思うと憂鬱な気持ちになった。
賢に連絡をとってみようかと悩んだが、今どこで何をしているかすら分からない。連絡を取るのを諦め、講義に集中する。
「今日は暇か?研究室に来たら話ができるぞ」
講義が終わり、移動しようとしたところでスマートフォンが振動した。賢からの連絡だった。バスに乗りかけだった足を止め、心も体も研究室へと向かう。急ぎ足で研究棟へと向かってる途中で、返信していないことに気づき、メッセージを返す。
「今から行きます」
研究棟に入り、エレベーターのボタンを押す。数十秒で目的の階まで真上に登れる技術の結晶に感謝をしながら研究室の前まで行くと、既に賢がいた。何かを言いたげな彼を見ながら立ち尽くす。ぼーっとしていると賢から話しかけてきた。
「連絡が来た瞬間にドアの前に立ってた」
どこか楽しそうに語る彼の顔は、太陽のように輝いて見えた。そして手招きをされたので賢に寄っていく。すると、扉を開けられたので入る。中に入ると、賢がついてくる形で研究室に入ってきた。閉ざされた研究室の中で賢と二人きりになる。しかし仁は話題を持っているわけではなかったので、黙り込んでしまう。そこに研究室の持ち主がやってきた。
「君が仁くんかな。賢から話を聞いているよ」
そこからはもうほとんど覚えていない。どうやら研究に関する話だった。どうやらノンバーバルコミュニケーションというのがあるらしい。それに関する研究だった。それ以外は仁にはさっぱりだった。まさか、賢は研究に呼び込むための刺客だったのか。なんて妄想を繰り広げていた。
賢はそのことを全く予想していなかったが、何を話すか何も決めていなかったので、とりあえず命拾いしたことになる。教授と仁が話をしている間にいろんな話題を考えていた。仁と教授が話し終わった後、満足げに帰っていく教授と何が起きたのか分からない仁の対照的な姿を見ながら仁に近寄っていく。
「なんかごめんね、うちのボスがテンション上がっちゃったみたいで」
「え、あぁ、はい。大丈夫です」
「それならよかった」
二人は苦笑いをこぼしながら、研究室の椅子に座って向かい合う。時間も16時に近くなりいよいよ西陽の強力な日差しを受けながら、それに反してクーラーで冷えた部屋でしっかりと涼んでいた。
「急に連絡来たから来たんですけど、話とかあったんですか」
「えーと、何も考えてなかったんだけど」
「えっあっはい」
「今考えてた。特に話すことはないけど研究の話でもしようかなぁって」
「なるほど」
賢の研究に関する話が始まった。今の研究ではどうやってもできないことがあるらしい。それで、仁の力を借りたいということだった。しかし仁に研究の話をしてもさっぱり分からないので、手伝いのしようがない。仁がその話をすると、賢は諦めてくれた。その後は二人で大学の話になった。話題らしい話題がなさすぎた。このあと帰る予定だった仁も、何も用意していなかった。二人で何気ない時間を過ごす。この後の予定が何もなければ仁は帰宅するのだが、何かあるのだろうか。
「明日は暇?」
「明日は3限からですね」
「じゃあ、明日図書館行こうか」
「分かりました」
明日の予定を聞かれたということは、今日はもう解散ということだろう。図書館に誘った理由がわからない。良い資料でも紹介してくれるのだろうか。なんて呑気に考えていたら、また賢が話しかけてきた。
「まぁその話はまた後でしよう、今日は帰ろうかな」
「分かりました」
一辺倒な返答しかできないと思いつつも、賢が解散を申し出てきたので素直に受け取っておく。気の利いた答えのできない自分を恨む。
明日も大学。明後日も大学。でも、賢がいる。当面はそれだけで頑張れる。しかし最近はレポート漬けだったから、疲労が溜まっている。大人しく家に帰ることにしよう。
スマートフォンで動画を見ながら、流れてくる広告を最速で消せるようにスキップボタンを連打する。月曜の一限に必修という設定した人を爆破したくなる気持ちを抑えながら大学へと向かう。
電車に乗っていてもバスに乗っていても、座席に座って眠気に限界を感じたときは立ち上がるのが一番早い眠気の覚まし方だった。バスの中で寝落ちして一限に遅刻したことからの教訓だった。いつもと変わらない電車に乗りながら、最寄り駅まで行く。その後もいつもと変わらないバスに乗り、大学へと向かう。眠気と戦いながらも賢を探すが、その姿は見当たらなかった。今日は既に研究室にいるのかもしれない。
バスが発車して15分が経過した頃、大学の最寄りの停留所へと到着する。5分も一限の部屋で待機すると、教授が教室へと入ってきて、講義が始まる。
今日からまた大学に通う一週間が始まる。また大量のレポートが課されるのかと思うと憂鬱な気持ちになった。
賢に連絡をとってみようかと悩んだが、今どこで何をしているかすら分からない。連絡を取るのを諦め、講義に集中する。
「今日は暇か?研究室に来たら話ができるぞ」
講義が終わり、移動しようとしたところでスマートフォンが振動した。賢からの連絡だった。バスに乗りかけだった足を止め、心も体も研究室へと向かう。急ぎ足で研究棟へと向かってる途中で、返信していないことに気づき、メッセージを返す。
「今から行きます」
研究棟に入り、エレベーターのボタンを押す。数十秒で目的の階まで真上に登れる技術の結晶に感謝をしながら研究室の前まで行くと、既に賢がいた。何かを言いたげな彼を見ながら立ち尽くす。ぼーっとしていると賢から話しかけてきた。
「連絡が来た瞬間にドアの前に立ってた」
どこか楽しそうに語る彼の顔は、太陽のように輝いて見えた。そして手招きをされたので賢に寄っていく。すると、扉を開けられたので入る。中に入ると、賢がついてくる形で研究室に入ってきた。閉ざされた研究室の中で賢と二人きりになる。しかし仁は話題を持っているわけではなかったので、黙り込んでしまう。そこに研究室の持ち主がやってきた。
「君が仁くんかな。賢から話を聞いているよ」
そこからはもうほとんど覚えていない。どうやら研究に関する話だった。どうやらノンバーバルコミュニケーションというのがあるらしい。それに関する研究だった。それ以外は仁にはさっぱりだった。まさか、賢は研究に呼び込むための刺客だったのか。なんて妄想を繰り広げていた。
賢はそのことを全く予想していなかったが、何を話すか何も決めていなかったので、とりあえず命拾いしたことになる。教授と仁が話をしている間にいろんな話題を考えていた。仁と教授が話し終わった後、満足げに帰っていく教授と何が起きたのか分からない仁の対照的な姿を見ながら仁に近寄っていく。
「なんかごめんね、うちのボスがテンション上がっちゃったみたいで」
「え、あぁ、はい。大丈夫です」
「それならよかった」
二人は苦笑いをこぼしながら、研究室の椅子に座って向かい合う。時間も16時に近くなりいよいよ西陽の強力な日差しを受けながら、それに反してクーラーで冷えた部屋でしっかりと涼んでいた。
「急に連絡来たから来たんですけど、話とかあったんですか」
「えーと、何も考えてなかったんだけど」
「えっあっはい」
「今考えてた。特に話すことはないけど研究の話でもしようかなぁって」
「なるほど」
賢の研究に関する話が始まった。今の研究ではどうやってもできないことがあるらしい。それで、仁の力を借りたいということだった。しかし仁に研究の話をしてもさっぱり分からないので、手伝いのしようがない。仁がその話をすると、賢は諦めてくれた。その後は二人で大学の話になった。話題らしい話題がなさすぎた。このあと帰る予定だった仁も、何も用意していなかった。二人で何気ない時間を過ごす。この後の予定が何もなければ仁は帰宅するのだが、何かあるのだろうか。
「明日は暇?」
「明日は3限からですね」
「じゃあ、明日図書館行こうか」
「分かりました」
明日の予定を聞かれたということは、今日はもう解散ということだろう。図書館に誘った理由がわからない。良い資料でも紹介してくれるのだろうか。なんて呑気に考えていたら、また賢が話しかけてきた。
「まぁその話はまた後でしよう、今日は帰ろうかな」
「分かりました」
一辺倒な返答しかできないと思いつつも、賢が解散を申し出てきたので素直に受け取っておく。気の利いた答えのできない自分を恨む。
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