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22:婚約者が一緒でなければいけないなんて、どうして思ったのかしら?
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その後、ライルお義兄様がカリル様が無理矢理ついてきて私を誘った事に対して謝罪をしてくれた。
カリル様はどこ吹く風だったけど……。
「ライルがデートに行くと聞いたら、ルイーズ嬢に会いたくなったんだ。まあ……手順をすっ飛ばしたことは悪かったと思っている」
「国元じゃどうか知らんが、ここはお前の母国じゃないんだ。好き勝手が通ると思うなよ」
「肝に銘じる」
軽口を戦いながらもどこか真面目に注意するライルお義兄様も、それを受けて視線を逸らしながらも神妙な表情を時折覗かせるカリル様は本当に仲が良いのでしょう。
でも、おかしいことがあるんですよね。
「……お姉様」
「なあに? どしたの、ルイーズたん」
「何故私たちは手を繋いで歩いているのでしょう……?」
「えー? あーし、ルイーズたんとこうして歩きたぁい」
そう、私とお姉様が手を繋いで前を歩き、その後ろに男性陣がついてくるっていうね!
なんだろう、引き連れて歩いているみたいで気が引けてしまうんですが……!!
お姉様が楽しそうで何よりですけど、これってなんか違わないのかしら。
だってそもそもはライルお義兄様とのデートじゃなかったんだっけ?
私とカリル様はそのついででデートをすることにして、別行動じゃなかったんだっけ?
思わず宇宙猫みたいにあらぬところを見てしまいましたがどうやらこのままダブルデートをすることになったようです。
私が支度している間に一体どんな話し合いがあったのやら。
困惑する私に気付いたらしいライルお義兄様が呆れたように笑いながら、カリル様とお姉様を順に指さしました。
お行儀悪い仕草と言われればそうですが、なんだかそれが気安い関係を表しているようでなんだか少し羨ましくなりました。
「こいつら、流行の舞台とやらを見て茶を飲んで王都を観光してみたいんだそうだ」
「えー! だってあーし、そーいうの縁なかったし! ご令嬢らしくすんのって堅ッ苦しくてマジ勘弁って感じだけどライル様とルイーズたんが一緒ならあーし、気にしなくていーっしょ?」
「……言葉遣いと態度はそこそこ気をつけてくれ」
「ま?」
「お姉様、どこに知り合いがいるかわかりませんから……私たちに話す分には構いませんが、人の多いところでは少し気をつけるのがよろしいかと」
「そっかあ~、りょ!」
りょって何かしら……と思いつつそういえばカリル様はお姉様の言葉がわかるのだろうかとそちらに視線をやれば、楽しそうに笑っていた。
「申し訳ありません、カリル様」
「いいや。本当に姉妹仲がいいんだねえ、見ていて微笑ましいよ。……まあ、言っていることの半分くらいしか理解できないんだけどね」
まあそれは私もそうなんですけど。
それは秘密にしておこう。
(しかし観劇だなんて、そういえばいつぶりだったかしら)
エッカルト様はそういう芸術方面は鬱陶しがって嫌がるから、かといって一人で行くと婚約者に蔑ろにされているって言われてしまいそうで敬遠していた。
今となってはそうしておけば良かったんだよなあと思わなくもないんだけど……。
「……ルイーズ……!!」
そうか、お姉様とくれば良かったんだなあ。
私がそんなことを思いながらお姉様と繋いだ手に少しだけ力を込めたところで、私たちの目の前に花束を持ったエッカルト様が現れたのだった。
カリル様はどこ吹く風だったけど……。
「ライルがデートに行くと聞いたら、ルイーズ嬢に会いたくなったんだ。まあ……手順をすっ飛ばしたことは悪かったと思っている」
「国元じゃどうか知らんが、ここはお前の母国じゃないんだ。好き勝手が通ると思うなよ」
「肝に銘じる」
軽口を戦いながらもどこか真面目に注意するライルお義兄様も、それを受けて視線を逸らしながらも神妙な表情を時折覗かせるカリル様は本当に仲が良いのでしょう。
でも、おかしいことがあるんですよね。
「……お姉様」
「なあに? どしたの、ルイーズたん」
「何故私たちは手を繋いで歩いているのでしょう……?」
「えー? あーし、ルイーズたんとこうして歩きたぁい」
そう、私とお姉様が手を繋いで前を歩き、その後ろに男性陣がついてくるっていうね!
なんだろう、引き連れて歩いているみたいで気が引けてしまうんですが……!!
お姉様が楽しそうで何よりですけど、これってなんか違わないのかしら。
だってそもそもはライルお義兄様とのデートじゃなかったんだっけ?
私とカリル様はそのついででデートをすることにして、別行動じゃなかったんだっけ?
思わず宇宙猫みたいにあらぬところを見てしまいましたがどうやらこのままダブルデートをすることになったようです。
私が支度している間に一体どんな話し合いがあったのやら。
困惑する私に気付いたらしいライルお義兄様が呆れたように笑いながら、カリル様とお姉様を順に指さしました。
お行儀悪い仕草と言われればそうですが、なんだかそれが気安い関係を表しているようでなんだか少し羨ましくなりました。
「こいつら、流行の舞台とやらを見て茶を飲んで王都を観光してみたいんだそうだ」
「えー! だってあーし、そーいうの縁なかったし! ご令嬢らしくすんのって堅ッ苦しくてマジ勘弁って感じだけどライル様とルイーズたんが一緒ならあーし、気にしなくていーっしょ?」
「……言葉遣いと態度はそこそこ気をつけてくれ」
「ま?」
「お姉様、どこに知り合いがいるかわかりませんから……私たちに話す分には構いませんが、人の多いところでは少し気をつけるのがよろしいかと」
「そっかあ~、りょ!」
りょって何かしら……と思いつつそういえばカリル様はお姉様の言葉がわかるのだろうかとそちらに視線をやれば、楽しそうに笑っていた。
「申し訳ありません、カリル様」
「いいや。本当に姉妹仲がいいんだねえ、見ていて微笑ましいよ。……まあ、言っていることの半分くらいしか理解できないんだけどね」
まあそれは私もそうなんですけど。
それは秘密にしておこう。
(しかし観劇だなんて、そういえばいつぶりだったかしら)
エッカルト様はそういう芸術方面は鬱陶しがって嫌がるから、かといって一人で行くと婚約者に蔑ろにされているって言われてしまいそうで敬遠していた。
今となってはそうしておけば良かったんだよなあと思わなくもないんだけど……。
「……ルイーズ……!!」
そうか、お姉様とくれば良かったんだなあ。
私がそんなことを思いながらお姉様と繋いだ手に少しだけ力を込めたところで、私たちの目の前に花束を持ったエッカルト様が現れたのだった。
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