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口寄せ口紅、古賀玲奈編
日本に帰省
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空は快晴。久しぶりに見た、この世界のアスファルト大地には相変わらず、謎の白線が引かれていました。あの白線は一体何のために存在しているのでしょうか? 魔法界に戻ったら幹久さんに聞いてみるとしましょう。
マダナイさんが言うには、ここは「福岡」という、東京とは途方もなく距離が離れた新天地との事。周りを見渡すと辺り一面、人間達の買い物客でごった返していました。
私はミントさんの指示に従い、いざと言う時にこの世界の神様から逃げられるよう、転移系式術が組み込まれたカーペットを広げ、その上に魔道具達を並べました。商品が売れるかどうか不安が胸に募りますが、慣れない出店の準備をなんとか済せ、私達は一日限定の魔法雑貨屋をオープンさせたのでした。
初めまして読者様。私、擬人化パンサーカメレオンこと、七色と申します。幹久さんが言うにはこの日本では苗字を名乗る習慣があると言う事で、おこがましいですが、ここ日本にいる時だけは鈴木七色と名乗らせて下さい。だって離婚届けと言う物を役場に届けない限り、夫の姓を名乗っていい物と伺いましたので。
「いらっしゃいませー!」
幹久さんから教わった日本で使える客引きの呪文。どうやら効果は絶大のようです。大きな声でこの言葉を発すれば魔法屋を見て下さる人達。時々お年を召した方や大人の人達は笑顔で手を振って下さいます。
反応は上々のようです。
何としても成果を上げたい私にとって、この呪文はとても便利な魔法のようでした。
スケベで変態でクズ野郎の幹久さんでも案外、役に立つものですね。
今回初の三人での日本遠征ですが、マダナイさんは連日立て続けに異世界間を往復しており、魔力の残量が乏しいようです。しかもあの巨体の熊姿で居て貰っては商売にならないと言う事で、今は私達の後ろで身を隠してもらっています。透明マント、有効活用して頂けて光栄です。
少しでも長い時間、販売に時間を費やしたい為、私達は魔力消費の少ない小柄な体を作って頂き、現地入りをしました。
魔法界の在住時は人族で言う十五歳程度の体に擬人化されて貰っているのですが、今回は必要最小限の機能を備えた六歳児程度の人間の体。せっかくなので、色んなお洒落なファッションをしてみたかったのですが、ワガママ言ってられません。とりあえず、いつも通りの洋服をそのまま小さく作って頂きました。
魔法界ではお色気お姉さんのミントさんも、この時ばかりは小さい女の子姿。元々性格が子供っぽいので、なんだか年相応って感じがして妙にしっくり来ています。相変わらず欲に素直と言いますか、異世界に来てまで、お気に入りの魔術書を読みふけっています。
商品を売る気があるのかないのか。正直私にはわかりません。
ですが慣れない体と言うのは不思議が一杯です。
まず、分かり切った事ですが、身長が縮んで、目線が低い事で遠くが見渡せません。
後、十五歳の体ではスプーンの裏面くらいの曲線で膨らんでた胸の膨らみが、この体ではナイフの側面の用にフラットです。いつも付けているブラジャーと呼ばれる下着ですが、何故かこの体には備わっていませんでした。
魔法界ではミントさんから「必要でしょ?」とブラを頂いて、見様見真似で装着していたのですが、翌々考えればあのブラジャーが何の為に必要かも理解していませんでした。
私はミントさんから魔法で人間にしてもらったカメレオンである為、訳も分からず、ミントさんに言われるがまま、人間の生活習慣を素直に受け入れてきました。
ですが、最近人間と言う生物に興味が尽きません。
一昨日食べた、試作品の和菓子もしかり、初めは生の方が絶対美味しいと思っていたコオロギも、「素揚げするときっと美味しくなるよ」と言う幹久さんの手料理を己の舌で味わった事で、私の人間に対する知的好奇心はどんどん増していったのです。
人間はただ単に食べればいいと言う、今までの私の動物的概念を超え、食材を魔法のよう美味しい物へと変化させてしまうのです。最初はなんでそんなめんどくさい事するのかと思ってしまいしたが、食べてあの満足感を味わってしまったら納得してしまいます。間違いなく人間とは凄い生き物です。
ですが、だからこそ、気付いてしまったのです。
私がカメレオンだった時に何気なく食べていた葉野菜。温かく、しなっとして柔らかかったのも、哲郎さんなりの優しさで調理して下さっていたから味わえていたものだと悟りました。
私は人間になってから哲郎さんの優しさに気付き、哲郎さんを失ってから、深く空いた心の穴に気付かされました。
人間に興味を持つのも、きっと私が哲郎さんの事をもっと知りたいと言う現れなのでしょう。
大きい面影。温かい腕。何を言っていたか分からなかったけど、ひたすら飲み物を片手に親身に語りかけてくれていた日々。今では私にとって大切な思い出です。
はぁ……会いたい、会いたいよ……哲郎さん。
日本に戻ってくると、客引きも兼ねてですが、私は通行人の顔を確認します。そして、哲郎さんの後ろ姿に似ている人を発見する度に、彼じゃないかとソワソワして浮足立ってしまいます。
ですが、ここは新天地福岡。哲郎さんがこのフリマにいる確率なんて、ゼロに等しいはずです。それでも、それでも、私は再び哲朗さんの面影を探してしまう、未練タラタラの情けないメスのカメレオンです。
哲郎さんにとって私は、ただのペットとしての存在だったのかも知れない。
でも私にとっては哲郎さんと過ごす時間が全てだったんです。
哲郎さんを振り向かせれる自信がある訳じゃない。哲郎さんが私をまだ好きでいてくれる保証がある訳でもない。でも、ここで哲郎さんを見付ける事を諦めたら……あの楽しかった時間も哲郎さんの笑顔も、もう取り戻せない過去になってしまう。
そんなの絶対に嫌なんです。
私は夢見るカメレオン。未練タラタラな私でもいい。たとえ哲郎さんの気持ちが取り戻せないとしても、なんで私を捨てたのか、答えを聞きたい。そして私は哲郎さんにこの気持ちをぶつけたい。
あなたの事を心の底から愛していたこと。
この想いを伝えれるのなら、人間でも、魔法使いにでも、何にでもなってやります。
どんな厳しい仕事でも、哲郎さんとの時間を取り戻せるなら、辛いとは血反吐を吐いても言いません。
私は魔法界に来てから必死に働き、魔法の習得にも全力で取り組みました。
マダナイさんとミントさんが言うに私には魔法使いとしての才能があるそうです。
文字の読み書きが出来ない為、まだ式術は組めませんが、いずれは必ず習得してみせます。早く魔法を覚えれば販売促進にも繋がってお給料を上げてもらえる。ミントさんの話ではこのまま頑張ればニ~三年程度で異世界転移の魔道具を買える額まで貯まるらしいです。
正直ニ~三年なんて待てません。
哲郎さんの気持ちが変わる前に、少しでも売上を上げて、ボーナスで稼いで一刻も早く、この世界に戻りたい。
「いらっしゃいませー!」
私は周りの人達に訴えかけるように声を張りました。
「七ちゃん、今日は妙に気合が入ってるわね~」
ミントさんが私の様子に気付いたのか、嬉しそうに声を掛けて下さいました。
「わかりますか?」
「そのオレンジ色の髪の毛を見ればね。さあ、その調子よ! 頑張りましょう!」
「はい! 私、頑張ります!」
〇
すると早速、目付きの悪い小柄なおばぁさんが私達の一畳半の魔法屋に近付き、無言で私達の商品に目を向けてました。一つ一つ左から右へと並べた商品を手に取り確認するおばぁさん。まだ、人族の年齢平均が分からないので幾つぐらいかは一概には言えませんが、このおばあさん。皮膚の皺が多く、腰が凄く曲がっています。ですが、見た目とは裏腹に手と足はキビキビ動いて商品を次々と見ていました。
「どれか気になる商品はありますか?」
おもむろに私は尋ねました。ですが、おばあさんは私の接客言葉を無視して、無言で黙々と商品を手に取り見続けています。
私は諦めず、再び声を掛けます。今度はちょっと大きめに声を張りました。
「どれか気になる商品はありますか?」
おばぁさんは無視をして商品を見続けています。
二度も無視され続けて少し不快に感じますが、関係ありません。元気に声掛けをすれば笑顔で手を振って下さる人達だっていました。私は声を張ります。今度は幹久さんから、教わった呪文の言葉のように大きな声でおばあさんに尋ねました。
「どれか! 気になる! 商品が! ありますか!?」
すると、やっと私の声が届いたのか、おばあさんは反応して下さいました。
「そうじゃのう~この口紅なんかよかね、最近色気付いてきた孫にええんじゃないかな? と思ってねぇ。ばってん、すいてくれるか、わからんけーの」
?
おばぁさんの言葉が半分理解できません。ですが「口寄せ口紅」を手に持って私に見せてくるおばぁさん。この口紅の購入を検討しているように思えます。
その光景を読んでいる魔術書の隙間から覗いていたミントさん。おばあさんが魔道具の購入意思があると悟ったのか、すかさず助け舟を出して下さいました。
「おばぁさん! お目が高い! それは口寄せ口紅と言って。口紅を塗るとあなたが今一番思っている亡くなった人の魂を呼び戻せる口紅なの!」
客引き並みの大声で無ければ会話する事さえ許してもらえないのか、おばあさんはミントさんを無視します。
「聞いておばあさん! これ私が作った自信作の魔道具なんだから! 凄いのよ? 冥界に逝った人の魂でさせ呼び戻せれるんだから!」
「はぁい?」
おばあさんはミントさんをあしらうように聞き返しました。
「だ・か・ら! 聞いて!」
「はぁい?」
ミントさんとおばあさんのやり取りが三回くらい繰り返えされて、ようやく私は気付きました。どうやら、おばあさんは耳があまり良くないようです。
「ああーー。もう無理、消してしまいましょうか? このおばあさん。あたしは茶番に付き合っていられるほど、暇でもお人好しでもないの。別に誰かを冥界から呼ぶんじゃなくて、あなたを冥界に連れてってもいいんだから」
イライラが爆発したミントさん。冷酷な目付きでおばぁさんを睨み付けると、右手が徐々に魔法の力により赤く光だしていました。どうやら、火球を放っておばあさんを丸焦げにするようです。
「このアホが!」
透明マントを使って私達の後ろで隠れていたマダナイさん。ミントさんの頭頂部目掛けて、鋭いチョップを炸裂させました。
強烈な一撃だったのでしょう。ミントさんは「ブベ!」っと鈍い声と共にその場で倒れ、意識を失ってしまいました。
「だ、大丈夫ですか?」
「気にするな。この程度。ミントは吾輩がなんとかする。頼んだぞ七殿。なんとても契約を結んでくれ」
ミントさんを抱き抱え、透明マントで隠れるマダナイさんに私はサムズアップを返し、すぐさまおばあさんに対話を試みました。
耳が聞こえずらいのなら、テレパシーなら通じるのかな? 私の魔法じゃまだ距離が離れたら通信できないけど、この距離なら届けられるし。試してみよう。
すいません。マダナイさん。少しだけ魔力を拝借します。
私は体内に流れるマダナイさんの魔力を媒体に、覚えたての通信魔法を使い。おばぁさんにテレパシーを送りました。ミントさんとマダナイさんを除いてテレパシーを送るのは今日が初めてです。
【おばぁさんは亡くなった方でお会いしたい方はいらっしゃいますか?】
おばぁちゃんは耳に聞こえてるか脳に直接話しかけているか、区別が出来ていないのでしょうか? 全く動揺することなく私に返事を返して下さいました。
「ほぉー。そうじゃのう~三十年前に先立たれた、爺さんに会いたいの~。もう一度会えたらわしゃ~心臓止まってしまうばい。懐かしいの~爺さんは明太子のプチプチが嫌いじゃったってな~。いつもおにぎりは高菜で~………」
おばあさんは嬉しくなったのか、お爺さんの思い出話を独り言の用に延々と喋りだしました。私はおばあさんの機嫌を損なわないように、適度に相槌を入れ、区切りの良さそうなタイミングで尋ねました。
【この口紅を塗ってお爺さんとお話しませんか?】
「え?」
【この口寄せ口紅を着けている間だけあなたのお慕いする人の魂が身体に宿ります。二重人格のような状態になり、身体の主導権は冥界の方に移りますが、お互い対話する事が可能です。三十年分の募る思いを話せる機会ですので、是非この口寄せ口紅を買い求め下さい】
「なんだかわからんばってん、爺さんの話しが久しぶりに出来てあたしゃ嬉しいよ。よか!かっちゃるかっちゃる。孫の土産に丁度よさそうやけんね」
おばあさんは年季の入ったがま口財布を取り出し、私の手の平に小銭を散りばめました。
お代はアルフィーノメタル一枚でいいのですが、おばあさんは機嫌がいいのか、「全部やる」と言ってくださいました。
こんな大金もらえません。私は怖くなり、お断りを入れようとしたのですが、マダナイさんが、私にテレパシーを送り、【それで契約を結べ!】と訴えたので言われるがまま従いました。
契約式術は使用者の名前が必要との事を以前から聞いていたので、私はおばあさんと契約を進める為、おばあさんのお名前を伺いました。名前は溝口梅さん。実に良いお名前です。
「ちなみに梅さん。お孫さんに譲ると言っていましたが、一応その方のお名前を聞いてもよろしいですか?」
「玲奈。もし玲奈が要らんって言ったら、娘の明子に上げるから気にせんでよかよ」
私は三人の名前をしかと覚え、おばあさんに口紅にを差し出しました。
すると、気付けば私の横にミントさんが立っていました。マダナイさんに無理やり起こされたのか、機嫌悪そうに眉間に皺が寄っています。そして頬は真っ赤に腫れ上がっていました。
私はすぐさま三人の名前をミントさんに伝えると、ミントさんは羊皮紙を取り出し契約式術を書き上げていきます。
そして両手を合掌しミントさんが契約式術を発動さえると、羊皮紙は緑色に燃え上がり、梅さんを一周して消えてしまいました。
「よしこれでオーケー。でも、私は売り逃げるつもりは一切ないわ。これから口寄せ口紅についてしっかり説明するから、ちゃんと聞いてよ、おばあさん」
〇
ミントさんは梅さんに口寄せ口紅の商品説明をし始めました。
紅を引く際に呼び戻したい冥界の人物を強く思い描く事。
効果は紅を引いている時間だけ、自身の体に口寄せされる事。
体の主導権を奪われる為、危険人物を口寄せする際は環境を整えて紅を引く事など、ミントさんのアドバイスも丁寧に教えていました。
ですが、梅さんは耳が遠いので殆ど聞こえてないのでしょう。ミントさんの魔道具の説明を知らん顔で隣のブースの家族連れが売っているアクセサリー商品を見ていました。
良いのかな……? これで。
「最後に、おばぁさんに魔法の加護があらんこと」
「ありがとね~。嬢ちゃん二人とも頑張ってな~」
梅さんは口寄せ口紅を受け取ると魔法雑貨屋を後にしました。
「ありがとうございました!」
私とミントさんは共に頭を下げます。
買って頂いたお客様には必ずこの言葉と深いお辞儀をする事と幹久さんから教わっています。ですが、頭を上げるタイミングを聞いていませんでした。
私とミントさんはとりあえず、ゆっくり歩く梅さんが見えなくなるまで、頭を深く下げ続けました。
ですが、去ったと思ったら次は横のテナントも見る梅さん。
これでは頭が上げれません。ちなみに見えなくなるまで五分は掛かったと思います。
〇
「ばぁさん、もう見えなくなったぞ」
マダナイさんの言葉を聞いたミントさんは体を起こし、私の手をギュッと握りました。鼻息はとても荒く、興奮と喜びが隠しきれていません。
「お手柄よ! ナナちゃん! よくやったわ!」
「流石七殿! ミントとは月とすっぽんくらいの接客の差じゃ!」
マダナイさんに痛い所を付かれ、不貞腐れるミントさん。少し怪訝な顔でマダナイを一瞬睨みました。
「ふん! いいわよ! 人やカメレオンにだって、向き不向きってのがあるのよ! あたしは式術が専門なの! 私がいないと商品は出来ないんだから!」
「そうですね! ミントさんのお陰です!」
私は本心からミントさんに感謝の言葉を入れると、「分かってるじゃない!」っと言わんばかりの顔をして私の頭をヨシヨシして下さります。お互い幼女の体ですが、頭をヨシヨシされると哲郎さんが過去に撫でてくれた時を思い出してなんだか嬉しくなります。
「さあ、遂に手に入れたわ、アルフィーノメタル! しかも大量! ナナちゃんにも帰ったら約束通りボーナスを用意してあげる! 期待しててね!」
「ありがとうございます!」
幸先の良い新天地福岡。私達は魔法界へと帰る荷自宅を済ませ、魔法界を目指しました。
空は快晴。久しぶりに見た、この世界のアスファルト大地には相変わらず、謎の白線が引かれていました。あの白線は一体何のために存在しているのでしょうか? 魔法界に戻ったら幹久さんに聞いてみるとしましょう。
マダナイさんが言うには、ここは「福岡」という、東京とは途方もなく距離が離れた新天地との事。周りを見渡すと辺り一面、人間達の買い物客でごった返していました。
私はミントさんの指示に従い、いざと言う時にこの世界の神様から逃げられるよう、転移系式術が組み込まれたカーペットを広げ、その上に魔道具達を並べました。商品が売れるかどうか不安が胸に募りますが、慣れない出店の準備をなんとか済せ、私達は一日限定の魔法雑貨屋をオープンさせたのでした。
初めまして読者様。私、擬人化パンサーカメレオンこと、七色と申します。幹久さんが言うにはこの日本では苗字を名乗る習慣があると言う事で、おこがましいですが、ここ日本にいる時だけは鈴木七色と名乗らせて下さい。だって離婚届けと言う物を役場に届けない限り、夫の姓を名乗っていい物と伺いましたので。
「いらっしゃいませー!」
幹久さんから教わった日本で使える客引きの呪文。どうやら効果は絶大のようです。大きな声でこの言葉を発すれば魔法屋を見て下さる人達。時々お年を召した方や大人の人達は笑顔で手を振って下さいます。
反応は上々のようです。
何としても成果を上げたい私にとって、この呪文はとても便利な魔法のようでした。
スケベで変態でクズ野郎の幹久さんでも案外、役に立つものですね。
今回初の三人での日本遠征ですが、マダナイさんは連日立て続けに異世界間を往復しており、魔力の残量が乏しいようです。しかもあの巨体の熊姿で居て貰っては商売にならないと言う事で、今は私達の後ろで身を隠してもらっています。透明マント、有効活用して頂けて光栄です。
少しでも長い時間、販売に時間を費やしたい為、私達は魔力消費の少ない小柄な体を作って頂き、現地入りをしました。
魔法界の在住時は人族で言う十五歳程度の体に擬人化されて貰っているのですが、今回は必要最小限の機能を備えた六歳児程度の人間の体。せっかくなので、色んなお洒落なファッションをしてみたかったのですが、ワガママ言ってられません。とりあえず、いつも通りの洋服をそのまま小さく作って頂きました。
魔法界ではお色気お姉さんのミントさんも、この時ばかりは小さい女の子姿。元々性格が子供っぽいので、なんだか年相応って感じがして妙にしっくり来ています。相変わらず欲に素直と言いますか、異世界に来てまで、お気に入りの魔術書を読みふけっています。
商品を売る気があるのかないのか。正直私にはわかりません。
ですが慣れない体と言うのは不思議が一杯です。
まず、分かり切った事ですが、身長が縮んで、目線が低い事で遠くが見渡せません。
後、十五歳の体ではスプーンの裏面くらいの曲線で膨らんでた胸の膨らみが、この体ではナイフの側面の用にフラットです。いつも付けているブラジャーと呼ばれる下着ですが、何故かこの体には備わっていませんでした。
魔法界ではミントさんから「必要でしょ?」とブラを頂いて、見様見真似で装着していたのですが、翌々考えればあのブラジャーが何の為に必要かも理解していませんでした。
私はミントさんから魔法で人間にしてもらったカメレオンである為、訳も分からず、ミントさんに言われるがまま、人間の生活習慣を素直に受け入れてきました。
ですが、最近人間と言う生物に興味が尽きません。
一昨日食べた、試作品の和菓子もしかり、初めは生の方が絶対美味しいと思っていたコオロギも、「素揚げするときっと美味しくなるよ」と言う幹久さんの手料理を己の舌で味わった事で、私の人間に対する知的好奇心はどんどん増していったのです。
人間はただ単に食べればいいと言う、今までの私の動物的概念を超え、食材を魔法のよう美味しい物へと変化させてしまうのです。最初はなんでそんなめんどくさい事するのかと思ってしまいしたが、食べてあの満足感を味わってしまったら納得してしまいます。間違いなく人間とは凄い生き物です。
ですが、だからこそ、気付いてしまったのです。
私がカメレオンだった時に何気なく食べていた葉野菜。温かく、しなっとして柔らかかったのも、哲郎さんなりの優しさで調理して下さっていたから味わえていたものだと悟りました。
私は人間になってから哲郎さんの優しさに気付き、哲郎さんを失ってから、深く空いた心の穴に気付かされました。
人間に興味を持つのも、きっと私が哲郎さんの事をもっと知りたいと言う現れなのでしょう。
大きい面影。温かい腕。何を言っていたか分からなかったけど、ひたすら飲み物を片手に親身に語りかけてくれていた日々。今では私にとって大切な思い出です。
はぁ……会いたい、会いたいよ……哲郎さん。
日本に戻ってくると、客引きも兼ねてですが、私は通行人の顔を確認します。そして、哲郎さんの後ろ姿に似ている人を発見する度に、彼じゃないかとソワソワして浮足立ってしまいます。
ですが、ここは新天地福岡。哲郎さんがこのフリマにいる確率なんて、ゼロに等しいはずです。それでも、それでも、私は再び哲朗さんの面影を探してしまう、未練タラタラの情けないメスのカメレオンです。
哲郎さんにとって私は、ただのペットとしての存在だったのかも知れない。
でも私にとっては哲郎さんと過ごす時間が全てだったんです。
哲郎さんを振り向かせれる自信がある訳じゃない。哲郎さんが私をまだ好きでいてくれる保証がある訳でもない。でも、ここで哲郎さんを見付ける事を諦めたら……あの楽しかった時間も哲郎さんの笑顔も、もう取り戻せない過去になってしまう。
そんなの絶対に嫌なんです。
私は夢見るカメレオン。未練タラタラな私でもいい。たとえ哲郎さんの気持ちが取り戻せないとしても、なんで私を捨てたのか、答えを聞きたい。そして私は哲郎さんにこの気持ちをぶつけたい。
あなたの事を心の底から愛していたこと。
この想いを伝えれるのなら、人間でも、魔法使いにでも、何にでもなってやります。
どんな厳しい仕事でも、哲郎さんとの時間を取り戻せるなら、辛いとは血反吐を吐いても言いません。
私は魔法界に来てから必死に働き、魔法の習得にも全力で取り組みました。
マダナイさんとミントさんが言うに私には魔法使いとしての才能があるそうです。
文字の読み書きが出来ない為、まだ式術は組めませんが、いずれは必ず習得してみせます。早く魔法を覚えれば販売促進にも繋がってお給料を上げてもらえる。ミントさんの話ではこのまま頑張ればニ~三年程度で異世界転移の魔道具を買える額まで貯まるらしいです。
正直ニ~三年なんて待てません。
哲郎さんの気持ちが変わる前に、少しでも売上を上げて、ボーナスで稼いで一刻も早く、この世界に戻りたい。
「いらっしゃいませー!」
私は周りの人達に訴えかけるように声を張りました。
「七ちゃん、今日は妙に気合が入ってるわね~」
ミントさんが私の様子に気付いたのか、嬉しそうに声を掛けて下さいました。
「わかりますか?」
「そのオレンジ色の髪の毛を見ればね。さあ、その調子よ! 頑張りましょう!」
「はい! 私、頑張ります!」
〇
すると早速、目付きの悪い小柄なおばぁさんが私達の一畳半の魔法屋に近付き、無言で私達の商品に目を向けてました。一つ一つ左から右へと並べた商品を手に取り確認するおばぁさん。まだ、人族の年齢平均が分からないので幾つぐらいかは一概には言えませんが、このおばあさん。皮膚の皺が多く、腰が凄く曲がっています。ですが、見た目とは裏腹に手と足はキビキビ動いて商品を次々と見ていました。
「どれか気になる商品はありますか?」
おもむろに私は尋ねました。ですが、おばあさんは私の接客言葉を無視して、無言で黙々と商品を手に取り見続けています。
私は諦めず、再び声を掛けます。今度はちょっと大きめに声を張りました。
「どれか気になる商品はありますか?」
おばぁさんは無視をして商品を見続けています。
二度も無視され続けて少し不快に感じますが、関係ありません。元気に声掛けをすれば笑顔で手を振って下さる人達だっていました。私は声を張ります。今度は幹久さんから、教わった呪文の言葉のように大きな声でおばあさんに尋ねました。
「どれか! 気になる! 商品が! ありますか!?」
すると、やっと私の声が届いたのか、おばあさんは反応して下さいました。
「そうじゃのう~この口紅なんかよかね、最近色気付いてきた孫にええんじゃないかな? と思ってねぇ。ばってん、すいてくれるか、わからんけーの」
?
おばぁさんの言葉が半分理解できません。ですが「口寄せ口紅」を手に持って私に見せてくるおばぁさん。この口紅の購入を検討しているように思えます。
その光景を読んでいる魔術書の隙間から覗いていたミントさん。おばあさんが魔道具の購入意思があると悟ったのか、すかさず助け舟を出して下さいました。
「おばぁさん! お目が高い! それは口寄せ口紅と言って。口紅を塗るとあなたが今一番思っている亡くなった人の魂を呼び戻せる口紅なの!」
客引き並みの大声で無ければ会話する事さえ許してもらえないのか、おばあさんはミントさんを無視します。
「聞いておばあさん! これ私が作った自信作の魔道具なんだから! 凄いのよ? 冥界に逝った人の魂でさせ呼び戻せれるんだから!」
「はぁい?」
おばあさんはミントさんをあしらうように聞き返しました。
「だ・か・ら! 聞いて!」
「はぁい?」
ミントさんとおばあさんのやり取りが三回くらい繰り返えされて、ようやく私は気付きました。どうやら、おばあさんは耳があまり良くないようです。
「ああーー。もう無理、消してしまいましょうか? このおばあさん。あたしは茶番に付き合っていられるほど、暇でもお人好しでもないの。別に誰かを冥界から呼ぶんじゃなくて、あなたを冥界に連れてってもいいんだから」
イライラが爆発したミントさん。冷酷な目付きでおばぁさんを睨み付けると、右手が徐々に魔法の力により赤く光だしていました。どうやら、火球を放っておばあさんを丸焦げにするようです。
「このアホが!」
透明マントを使って私達の後ろで隠れていたマダナイさん。ミントさんの頭頂部目掛けて、鋭いチョップを炸裂させました。
強烈な一撃だったのでしょう。ミントさんは「ブベ!」っと鈍い声と共にその場で倒れ、意識を失ってしまいました。
「だ、大丈夫ですか?」
「気にするな。この程度。ミントは吾輩がなんとかする。頼んだぞ七殿。なんとても契約を結んでくれ」
ミントさんを抱き抱え、透明マントで隠れるマダナイさんに私はサムズアップを返し、すぐさまおばあさんに対話を試みました。
耳が聞こえずらいのなら、テレパシーなら通じるのかな? 私の魔法じゃまだ距離が離れたら通信できないけど、この距離なら届けられるし。試してみよう。
すいません。マダナイさん。少しだけ魔力を拝借します。
私は体内に流れるマダナイさんの魔力を媒体に、覚えたての通信魔法を使い。おばぁさんにテレパシーを送りました。ミントさんとマダナイさんを除いてテレパシーを送るのは今日が初めてです。
【おばぁさんは亡くなった方でお会いしたい方はいらっしゃいますか?】
おばぁちゃんは耳に聞こえてるか脳に直接話しかけているか、区別が出来ていないのでしょうか? 全く動揺することなく私に返事を返して下さいました。
「ほぉー。そうじゃのう~三十年前に先立たれた、爺さんに会いたいの~。もう一度会えたらわしゃ~心臓止まってしまうばい。懐かしいの~爺さんは明太子のプチプチが嫌いじゃったってな~。いつもおにぎりは高菜で~………」
おばあさんは嬉しくなったのか、お爺さんの思い出話を独り言の用に延々と喋りだしました。私はおばあさんの機嫌を損なわないように、適度に相槌を入れ、区切りの良さそうなタイミングで尋ねました。
【この口紅を塗ってお爺さんとお話しませんか?】
「え?」
【この口寄せ口紅を着けている間だけあなたのお慕いする人の魂が身体に宿ります。二重人格のような状態になり、身体の主導権は冥界の方に移りますが、お互い対話する事が可能です。三十年分の募る思いを話せる機会ですので、是非この口寄せ口紅を買い求め下さい】
「なんだかわからんばってん、爺さんの話しが久しぶりに出来てあたしゃ嬉しいよ。よか!かっちゃるかっちゃる。孫の土産に丁度よさそうやけんね」
おばあさんは年季の入ったがま口財布を取り出し、私の手の平に小銭を散りばめました。
お代はアルフィーノメタル一枚でいいのですが、おばあさんは機嫌がいいのか、「全部やる」と言ってくださいました。
こんな大金もらえません。私は怖くなり、お断りを入れようとしたのですが、マダナイさんが、私にテレパシーを送り、【それで契約を結べ!】と訴えたので言われるがまま従いました。
契約式術は使用者の名前が必要との事を以前から聞いていたので、私はおばあさんと契約を進める為、おばあさんのお名前を伺いました。名前は溝口梅さん。実に良いお名前です。
「ちなみに梅さん。お孫さんに譲ると言っていましたが、一応その方のお名前を聞いてもよろしいですか?」
「玲奈。もし玲奈が要らんって言ったら、娘の明子に上げるから気にせんでよかよ」
私は三人の名前をしかと覚え、おばあさんに口紅にを差し出しました。
すると、気付けば私の横にミントさんが立っていました。マダナイさんに無理やり起こされたのか、機嫌悪そうに眉間に皺が寄っています。そして頬は真っ赤に腫れ上がっていました。
私はすぐさま三人の名前をミントさんに伝えると、ミントさんは羊皮紙を取り出し契約式術を書き上げていきます。
そして両手を合掌しミントさんが契約式術を発動さえると、羊皮紙は緑色に燃え上がり、梅さんを一周して消えてしまいました。
「よしこれでオーケー。でも、私は売り逃げるつもりは一切ないわ。これから口寄せ口紅についてしっかり説明するから、ちゃんと聞いてよ、おばあさん」
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ミントさんは梅さんに口寄せ口紅の商品説明をし始めました。
紅を引く際に呼び戻したい冥界の人物を強く思い描く事。
効果は紅を引いている時間だけ、自身の体に口寄せされる事。
体の主導権を奪われる為、危険人物を口寄せする際は環境を整えて紅を引く事など、ミントさんのアドバイスも丁寧に教えていました。
ですが、梅さんは耳が遠いので殆ど聞こえてないのでしょう。ミントさんの魔道具の説明を知らん顔で隣のブースの家族連れが売っているアクセサリー商品を見ていました。
良いのかな……? これで。
「最後に、おばぁさんに魔法の加護があらんこと」
「ありがとね~。嬢ちゃん二人とも頑張ってな~」
梅さんは口寄せ口紅を受け取ると魔法雑貨屋を後にしました。
「ありがとうございました!」
私とミントさんは共に頭を下げます。
買って頂いたお客様には必ずこの言葉と深いお辞儀をする事と幹久さんから教わっています。ですが、頭を上げるタイミングを聞いていませんでした。
私とミントさんはとりあえず、ゆっくり歩く梅さんが見えなくなるまで、頭を深く下げ続けました。
ですが、去ったと思ったら次は横のテナントも見る梅さん。
これでは頭が上げれません。ちなみに見えなくなるまで五分は掛かったと思います。
〇
「ばぁさん、もう見えなくなったぞ」
マダナイさんの言葉を聞いたミントさんは体を起こし、私の手をギュッと握りました。鼻息はとても荒く、興奮と喜びが隠しきれていません。
「お手柄よ! ナナちゃん! よくやったわ!」
「流石七殿! ミントとは月とすっぽんくらいの接客の差じゃ!」
マダナイさんに痛い所を付かれ、不貞腐れるミントさん。少し怪訝な顔でマダナイを一瞬睨みました。
「ふん! いいわよ! 人やカメレオンにだって、向き不向きってのがあるのよ! あたしは式術が専門なの! 私がいないと商品は出来ないんだから!」
「そうですね! ミントさんのお陰です!」
私は本心からミントさんに感謝の言葉を入れると、「分かってるじゃない!」っと言わんばかりの顔をして私の頭をヨシヨシして下さります。お互い幼女の体ですが、頭をヨシヨシされると哲郎さんが過去に撫でてくれた時を思い出してなんだか嬉しくなります。
「さあ、遂に手に入れたわ、アルフィーノメタル! しかも大量! ナナちゃんにも帰ったら約束通りボーナスを用意してあげる! 期待しててね!」
「ありがとうございます!」
幸先の良い新天地福岡。私達は魔法界へと帰る荷自宅を済ませ、魔法界を目指しました。
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