ある女教師の憂鬱

翠乃古鹿

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露出の日まで①

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 二時間目の授業が終わり、職員室に戻ってきた知子に、同僚の池尻先生が声をかけてきた。
「知子先生に彼氏がいたって、生徒たちの噂になってますよ」
 彼女は、去年採用されたばかりの新任の英語教師だ。知子とは同世代なので、同僚というよりも友達感覚でお互いに接している。
「スーツをバッチリ決めた、背の高いカッコいい男性だって評判ですよ」
 声をひそめて話す彼女だが、興味津々の表情は隠そうともしてない。
 今朝、渋谷と一緒に改札口を出た所を、生徒たちに見られていたらしい。
「彼氏だなんて……やめてください、亜里沙先生。そんなんじゃないですから」
「隠さなくたっていいじゃないですか。別れ際にキスしている所を見たって、そう言ってる生徒もいましたよ」
「いや、それは……」
 言いよどむ知子を見て納得したのか、彼女は満面の笑みを浮かべた。
「やっぱり……でも良かった。知子先生ほどの美人が、彼氏の一人や二人くらい居たっておかしくないのに、って思っていたのよ。うちの主人に、誰かいい人を紹介してもらおかなって思ったけど、それもお節介だし。もしかして、男性に興味がないのかしらって、ちょっと心配してたけど、安心したわ」
 彼女の夫も高校教師らしいが、どこの学校で働いているのかまでは知らない。
「いや、本当にそんなんじゃないのよ。まだお友達で……額にキスされたものだから、私もびっくりして……あ、これは内緒ね」
 彼女はニッコリとうなずくと、
「いけない。支度があるから、またね」
 と言って自分の机に戻っていった。
(本当にそうだったら、良かったのに……)
 変に勘ぐられても困るので彼女に調子を合わせたが、今更ながら結婚を匂わせる渋谷の本心や意図を測りかねていた。
 知子が文字通り肉便器と呼ばれる女であることも、渋谷は知っているはずだ。
 大倉たちから受けていた凌辱の記録が、彼の手にも渡っているからだ。
(今朝だって、あんな……)
 電車の中での痴漢プレイを思い出し、そっとスカートの中に手を伸ばすと、朝から男たちに探ぐられた割れ目を、下着の上からなぞった。
 休み時間の終わりを知らせるチャイムが鳴り、三時限目の授業を受け持つ先生たちが慌ただしく席を離れていく。
 池尻先生も、知子に小さく手を振って職員室を出ていった。
 職員室に残った先生も、今のうちに次の授業の用意や、小テストの採点など色々とやることがあり結構忙しいのだ。
 知子も次の授業の用意をする振りをして、パンティをずらすと指を潜り込ませた。
 小さく勃起した肉の芽に触れた。
 電車内で散々嬲られた、女の最も敏感な器官だ。溢れる淫液で下着が濡れていた。
 火照った体は指だけでは物足りない……。
 ふと見ると、隣の先生のゴミ箱にペットボトルが捨ててあった。
 小さなお茶のペットボトルだ。
 知子が受けた凌辱の経験は、それが男根の代わりになることを体が覚えていた。
 今、知子の周りには誰もいない。
 職員室に残る先生もそれぞれに忙しく、授業が終わるまでは誰も近づくことはない。
 いけないことだと思いつつも、知子はスカートを捲り上げて下着を脱いだ。
(いっその事、スカートも……)
 スカートも脱いで下半身を丸出しにしようかと、不遜な考えが浮かんだが、そこまでする勇気はなかった。
 カバンの中からそっと避妊具を取り出す。
 大倉たちが、
『いつどこで、誰に抱かれるか分からないから、いつでも使えるように用意をしておけ』
 と言って渡されたものだ。
 ゴミ箱から拾ったペットボトルは、容量が200ミリリットルの小さなものだが、男根の代わりとなると話が違う。
(こんな太いのに、コンドームがかぶさるかしら……)
 だが心配は杞憂だった。
 頭の片隅で、自分は何をやっているのだという思いはあったが、止められない。
 少し腰を上げ、ペットボトルの飲み口を秘穴に当てがった。
 押し込むようにして体重をかけると、直径が5センチもある異物は、産道を押し広げて収まった。 
「あっ……う」
 思わず声を発してしまった知子に、机に向かっていた先生たちが振り向いた。
 絶妙のタイミングで、鳴りを潜めていた胎内の淫具が動き出し、子宮を震わしたのだ。
「どうかしましたか、綱島先生?」
「いえ、あの、何でもないです。テストの間違いに気づいたものですから……大丈夫ですから……」
 立ち上がって知子の元に来かけた先生を制して、慌てて言葉を繕った。
 危ない所だった……。
 理性では止めろと言っているが、ドキドキとした背徳のスリル感が止まらない。
 知子の中で、自慰と全裸露出をカミングアウトする欲求と妄想とが渦巻いていたのだ。
 このままでは、自分が何をしでかすか分からない恐怖が頭をよぎった。
 トイレに駆け込んだ知子は、個室の中で全裸になると、職員室を徘徊する妄想の中で果てた。
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