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26 イシス視点
しおりを挟む「とうとう言ってしまった…」
私は団長室で今日の出来事を思い返していた。
今日は突然のドラゴン騒動から始まり、ドラゴンを追いかけていった先で彼女と会い、そして告白をしてしまった。
これは今日の出来事と言っても朝から昼前までの出来事である。あまりの展開に自分自身が追いついていない。
ドラゴン騒動自体はとりあえずいいとして、まさか魔物の中でも最強種と言われるドラゴンを彼女が一人で倒してしまうなんて驚いた。特に苦戦したわけでもなくあっという間に倒してしまったのだろう。あの場所の痕跡がそう物語っていた。彼女は相当な実力者だ。
しかし彼女はその力をひけらかすわけでもなく困っている人を助けるために力を振るっている。そして美味しい料理でたくさんの人を笑顔にしているのだ。
だからそんな彼女に私が惹かれてしまうのは当然のことで。
彼女は守られるだけのか弱い女性ではない。自分の足で立つことのできる強い女性なのだ。だからそんな彼女を守りたいと思うのは烏滸がましいだろう。だけどもできることなら私が彼女を守りたいと思うのだ。
その気持ちが溢れ出した勢いで告白をしてしまったが、彼女を困らせてしまっただろうか。しかし今さらどれだけ悩んでも告白してしまったという事実は変わらない。それならうじうじ悩んでいるより、これを機に彼女に自分を男として意識してもらえるように頑張ればいいだけのことではないか。
「とりあえず今の私にできることは変わらず店に通うことだけか」
お店に行っても毎日彼女に会えるわけではない。だから会えた日には私の気持ちを言葉にして伝えよう。そして少しずつでもいいから私を意識してくれたら嬉しい。
そうと心に決めればあとは目標に向かって突き進むだけだ。
「よし、早速今日からだ。今日はもしかしたらドラゴンの肉があるから店が開いているかもしれないしな」
今日はドラゴン騒動でいつもより仕事が多いはずだ。だからさっさと仕事を片付けてまた彼女に会いに行こう。
そう決めて私は急ぎ手元にある仕事に取りかかるのだった。
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