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しおりを挟む不思議な夢を見た。
この国では見たことがない黒い髪に黒い瞳の女の人が小さな建物を嬉しそうに見つめている夢。
(これは夢?…って私?え、私だ!ってあれ?今の私って銀の髪に黄色の瞳だったよね!?でもこの黒い髪の女性も私だ。…確か夢だったお店を開く直前に車がいきなり突っ込んできて…っ!も、もしかして私…)
「て、転生しちゃったの!?」
◇◇◇
王城で意識を失い気がついた時には自分の部屋のベッドの上だった。
あの後お父様が私を連れて帰ってくれたがなかなか目を覚まさずに生きた心地がしなかったそうだ。さすがにそれは心配しすぎだと思ったが、聞けばなんと私は三日も眠っていたそうだ。それは確かに心配するわと反省しているとお父様からこれからのことを教えられた。
どうやら私が第一王子の婚約者というのは決定事項で覆ることはないとのこと。
王妃教育は少しでも早い時期から始めた方がいいので、一月後から始めることになってしまったこと。
王城の一室を与えられるのでそこでこれから生活をしなければならないそうだ。だから家族や使用人、オーガスト領の人たちとお別れをしなければいけないと父が苦しそうな表情で教えてくれた。
これが前世の記憶を思い出す前の私だったら間違いなく泣いていただろう。だけど前世を思い出した私は泣くことはなかったがその代わりに決意した。
(このまま今世と前世の夢を諦めるなんてできない!まだ結婚するまでには時間があるんだからどうにかして王妃にならない方法を見つけてやるわ!)
方法を見つけたら家族にも協力してもらおうと考えた。両親も私が王妃になることなど望んでいないはずだ。
私は一人決意し、大好きなオーガスト領を後にするのだった。
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