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第1章:VS悪堕者(シニステッド)
案件31.悪堕者の事情
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時は遡り4月28日17時25分、アゼルはカネリとボンゴラの前で悪堕者に寝返ったと告白した後、彼らのアジトの中でサエラと行動を共にしていた。
「やれやれ、こいつらはまだ俺を信用してないのか」
「お前のようにブラックになれないのさ」
悪堕者の多くはアゼルを警戒していた。1万人以上の同胞を撃破したカネリファイヤの仲間が、いきなり味方になるなんて信じられない話だからだ。
「ここに浅刺コズドはいないのか?」
「アイツは他のアジトにいる、闇深案件ってのは多忙なもんさ」
「ここまで色々説明したけど、理解できたかな?」
「当然だ」
「貴様等の目的は世界を悪の底に堕とす事。その具体的な手段は各地で悪事を働き、人々に恐怖と悪意を与え闇異への変異を促進する」
「ヒトリバコで人々を捕らえるのも、その一環に過ぎない」
「そして聖女の浄化が追いつかない程に闇を増長させ、疲弊した隙を突いて殺害し世界を闇で覆い尽くすで間違いないな?」
「素晴らしい、流石は元黒理家の天才!」
その時アゼルは、殺気立った目でサエラを睨みつけた。
「そう怖い顔するなよ、もう未練なんてないだろ?」
「黒な発言は控えろ、それより悪堕標をよこせ」
「焦んなって」
サエラはポケットから、チェーンが突いた銅色の札のような物を取り出しアゼルに渡した。
「これでお前は晴れて悪堕者の一員だ、さっきも説明したが悪堕標は各アジトの通行証でもあるから絶対になくすなよ」
「そして悪事を重ねる度にポイントが貯まり、それに応じて階級がブロンズ、シルバー、ゴールドと昇格し相応の待遇が約束されるという訳か」
「その通り!ちなみにコズドは現在シルバー、ゴールドまで上がり首領と直接対面できるかはお前次第、期待してるぜ」
「貴様はゴールドなのか?」
「もちろん、各国に潜伏するスパイを指揮したり色んな連中と関係を持って悪事を働いているのさ」
そしてサエラは、アゼルが寝泊まりするための部屋へ案内した。
「ブロンズは一部屋8人の相部屋だ、シルバー以上になれば個室が与えられる。まあゆっくりしていきな」
アゼルが相部屋を開けると、そこには7人の悪堕者が待ち構えており、いい意味での歓迎ムードではなかった。
「よお黒皇」
「先輩としてたっぷり可愛がってやるぜ」
「ほう・・・」
相部屋から複数人が暴れ回る激しい音が聞こえたが、やがて音は小さくなり静まり返った。
アゼルが黒皇に変異し、悪堕者7人を返り討ちにしたからだ。
「黒が足りない奴らめ」
その後黒皇は、倒れた悪堕者たちを追い出し相部屋を独占した。
「さて、ゆっくりさせてもらうか―」
29日0時3分、アジトの入口の近くで不審な動きをする人物がいた。
「・・・そろそろ行くか」
マッシュルーム頭で表情と口調に抑揚がない彼の名は、成須磨ムックス。矛貫隊の隊員の一人であり、変装と潜入のエキスパートだ。
(ボクの任務は一足早くアジトに潜入し情報を集め、可能ならさらわれた人たちを一人でも多く救出すること・・・)
ムックスは昨日の昼頃に捕らえた悪堕者に姿を変え、彼から奪った悪堕標を手にアジトへ入った。
アジトの中では悪堕者の多くが就寝し、警備が手薄になっていた。
「なあ、サエラって男か女どっちだと思う?」
「さあ?見た目は男だけど、声は女っぽいよなあ」
「いわゆるトランスジェンダーじゃねえの?」
ムックスは雑談している見張りの悪堕者たちの目を盗み、数十分毎に定時報告しながらアジトの中を調べ回った。
2時49分、ムックスはオスタの返事を確認しもうすぐ突入作戦を開始することを知った。
(指示された合流ポイントへ行くか)
その直後何かが飛んできたことに気づき、ギリギリでかわした。
壁にはクナイが刺さっており、手下げバッグを持ったアゼルが投げたのだ。
「黒理アゼル!?」
(ボクの正体を見抜かれた!?すぐに脱出せねば!!)
「そこまでだ!」
なんとこのタイミングで、サエラをはじめ悪堕者たちに囲まれてしまった。
ムックス、絶体絶命のピンチである!
To be next case
「やれやれ、こいつらはまだ俺を信用してないのか」
「お前のようにブラックになれないのさ」
悪堕者の多くはアゼルを警戒していた。1万人以上の同胞を撃破したカネリファイヤの仲間が、いきなり味方になるなんて信じられない話だからだ。
「ここに浅刺コズドはいないのか?」
「アイツは他のアジトにいる、闇深案件ってのは多忙なもんさ」
「ここまで色々説明したけど、理解できたかな?」
「当然だ」
「貴様等の目的は世界を悪の底に堕とす事。その具体的な手段は各地で悪事を働き、人々に恐怖と悪意を与え闇異への変異を促進する」
「ヒトリバコで人々を捕らえるのも、その一環に過ぎない」
「そして聖女の浄化が追いつかない程に闇を増長させ、疲弊した隙を突いて殺害し世界を闇で覆い尽くすで間違いないな?」
「素晴らしい、流石は元黒理家の天才!」
その時アゼルは、殺気立った目でサエラを睨みつけた。
「そう怖い顔するなよ、もう未練なんてないだろ?」
「黒な発言は控えろ、それより悪堕標をよこせ」
「焦んなって」
サエラはポケットから、チェーンが突いた銅色の札のような物を取り出しアゼルに渡した。
「これでお前は晴れて悪堕者の一員だ、さっきも説明したが悪堕標は各アジトの通行証でもあるから絶対になくすなよ」
「そして悪事を重ねる度にポイントが貯まり、それに応じて階級がブロンズ、シルバー、ゴールドと昇格し相応の待遇が約束されるという訳か」
「その通り!ちなみにコズドは現在シルバー、ゴールドまで上がり首領と直接対面できるかはお前次第、期待してるぜ」
「貴様はゴールドなのか?」
「もちろん、各国に潜伏するスパイを指揮したり色んな連中と関係を持って悪事を働いているのさ」
そしてサエラは、アゼルが寝泊まりするための部屋へ案内した。
「ブロンズは一部屋8人の相部屋だ、シルバー以上になれば個室が与えられる。まあゆっくりしていきな」
アゼルが相部屋を開けると、そこには7人の悪堕者が待ち構えており、いい意味での歓迎ムードではなかった。
「よお黒皇」
「先輩としてたっぷり可愛がってやるぜ」
「ほう・・・」
相部屋から複数人が暴れ回る激しい音が聞こえたが、やがて音は小さくなり静まり返った。
アゼルが黒皇に変異し、悪堕者7人を返り討ちにしたからだ。
「黒が足りない奴らめ」
その後黒皇は、倒れた悪堕者たちを追い出し相部屋を独占した。
「さて、ゆっくりさせてもらうか―」
29日0時3分、アジトの入口の近くで不審な動きをする人物がいた。
「・・・そろそろ行くか」
マッシュルーム頭で表情と口調に抑揚がない彼の名は、成須磨ムックス。矛貫隊の隊員の一人であり、変装と潜入のエキスパートだ。
(ボクの任務は一足早くアジトに潜入し情報を集め、可能ならさらわれた人たちを一人でも多く救出すること・・・)
ムックスは昨日の昼頃に捕らえた悪堕者に姿を変え、彼から奪った悪堕標を手にアジトへ入った。
アジトの中では悪堕者の多くが就寝し、警備が手薄になっていた。
「なあ、サエラって男か女どっちだと思う?」
「さあ?見た目は男だけど、声は女っぽいよなあ」
「いわゆるトランスジェンダーじゃねえの?」
ムックスは雑談している見張りの悪堕者たちの目を盗み、数十分毎に定時報告しながらアジトの中を調べ回った。
2時49分、ムックスはオスタの返事を確認しもうすぐ突入作戦を開始することを知った。
(指示された合流ポイントへ行くか)
その直後何かが飛んできたことに気づき、ギリギリでかわした。
壁にはクナイが刺さっており、手下げバッグを持ったアゼルが投げたのだ。
「黒理アゼル!?」
(ボクの正体を見抜かれた!?すぐに脱出せねば!!)
「そこまでだ!」
なんとこのタイミングで、サエラをはじめ悪堕者たちに囲まれてしまった。
ムックス、絶体絶命のピンチである!
To be next case
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