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序章:三人の救世主候補
案件15.救世記念祭100周年
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【バズレイダ】とは、数年前【セイブレス】に滅ぼされた小さな国である。
そこでは、様々な問題を抱えた子どもを預かる異救者のチーム【激熱家】が活動していた。
カネリと旧知の仲である、温屋《ゆたかや》ホタビは、激熱家にいた頃の暮らしを思い出していた。
「最初来た時のカネリは大変だったよ、物を壊すし他の子達とケンカしたりするから」
「あん時は黒理家に捨てられたばっかだから、ヤケになっていっぱい迷惑かけちまったな」
「でもそんなオレの根性を叩き直してくれたのが、【激熱レッカ】さんだった」
「カネリとレッカさん、よく殴り合ってたけど、今思えば結構アウトだよね・・・」
ホタビは、二人の当時の様子を思い浮かべながら苦笑いしていた。
「よく言われたな。負けるなカネリ、ゲキアツに燃え上がれ!って」
「レッカさんや激熱家のみんなのおかげで、カネリも馴染んできたよね」
「みんながオレを認めて、大切にしてくれた。激熱家こそがオレの本当の家族だ」
「だからホタビが出ると決まった時は、スゲー寂しかったんだぞ!恋バナとか色々教えてくれたんだから」
「ごめんね。親の事情が解決して、また一緒に暮らせるようになったから」
「それでわたしが外国へ移住して半年後に、セイブレスのバズレイダ侵攻が始まった。その時一般人の入国が禁じられ、何も出来なかった・・・」
「カネリ、嫌じゃなかったら教えてほしい。あの戦いで何が起こったの?レッカさんや激熱家のみんなは、どんな最期を迎えたの?」
「・・・それは―」
その時、カネリのスマホから着信が入った。
「誰から?」
「緊急案件だ!聖地ルニジールにたくさんの闇異が出たから応援に来てくれって!」
「ホタビ悪い、話はまた今度だ!」
「だったらわたしのバイクに乗って!」
10時29分、カネリはホタビのバイクの後ろに乗せてもらい、目的地へ向かった。
少し戻って9時55分、聖地ルニジールには早くも会場を埋め尽くすほどの参加者が集まり、ボンゴラは少し驚きながらも人々を誘導していた。
「すごい人だかりだ、やっぱり去年の倍は来てるかも」
「既に1千万人を超えたらしいぞ」
「1千万!?」
ちょうど10時、派手なパフォーマンスと共に救世記念祭の開会式が始まり、会場のメインステージに聖女マナキが現れた。
「聖女様だ!」
「聖女様ー!」
マナキの登場で人々は大きな歓声を上げた。会場の各場所に大型モニターが設置され、そこだけでなくテレビやネットでも、マナキの姿が『世界中で』生中継されている。
「マナキちゃん!」
「気を抜くなよ」
そして開会式の挨拶が始まった。
『あなたに救いがありますように、聖女マナキです』
『今日は救世記念祭100周年、会場にいるみんなと遠くにいるみんな、見に聞きに来てくれてありがとう!』
『開会式のあいさつは、わたしが担当します!』
『みんなはもう知ってると思うけど、救世記念祭とは救世主ルニディムが自分を犠牲にして人類滅亡を阻止した日であり、彼を追悼し感謝を捧げるためのお祭りです』
『平和の祭典と呼ぶ人もいますが、残念ながら世界は未だ平和とは言えません』
『救世主ルニディムの死をもってしても、世界から闇を消し去ることは出来ず、世界中にくすぶり人々を蝕んでいます』
『彼が亡くなった後も、闇による人類滅亡の危機が何度も訪れましたが、歴代の異救者たちと彼らを応援する人々の、救いたいという想いでそれらを乗り越えてきました』
『今苦しみ悲しんでいるみなさん、どうか闇に負けず希望をもってください!必ずわたしたちが、救いの手を差し伸べに行きます!』
『そしてこのお祭りで得た利益の半分以上は、恵まれない人々のために使われます』
『つまり、みんながお祭りに参加し視聴するだけで、人助けができるんです!』
『というわけでみんな、100回目の救世記念祭楽しんでいっちゃいましょう!以上!』
10時20分、聖女の挨拶が終わると同時に、人々がワアアアアアと歓声を上げ記念祭が幕を開けた。
と思った矢先、全ての生中継が突然別の映像に切り替わった。そこに映っていたのは、会場の襲撃予告をした闇淵サエラだ。
突然の出来事に全世界の人々が戸惑い、サエラの出現で異救者たちは身構えた。
「あれ?どうしたんだ?」
「これも記念祭の演出?」
「いやコイツって確か・・・」
『あーあーテステス・・・よし、OKだな』
『ごきげんよう諸君、闇淵サエラだ』
『救世記念祭100周年を祝って、おれからのスペシャルサプライズをプレゼントしよう』
その瞬間、聖地を取り囲むように多数の空間の歪みが現れた。
『総勢10万以上の闇異軍団だ!空前絶後の闇深イベントを楽しんでいってくれ!!!』
空間の歪みから多数の闇異が現れ参加者たちはパニックに陥った。
「みなさん落ち着いて下さい!」
「一般市民を避難場所へ!闇異の進撃を食い止めるんだ!!」
「予告より10倍多いぞ!」
「応援は!?」
「ダメだ、向こうはセイブレスが攻めてきて人手を割けないらしい!」
「セイブレスとテロリストが結託したのか!?」
「アゼル、おれ達も行こう!」
「黒に決めるぞ!」
「「変異!!」」
聖地ルニジールで開催された平和の祭典は一転し、異救者と闇異の戦場となった。
10時44分、カネリはホタビのバイクの後ろに乗り街を疾走していた。
「ホタビ、ここで止めてくれ!」
「ここでいいの!?」
カネリがバイクから降りた場所には、電話ボックスのようなものが設置されていた。
これは、異救者専用のワープゾーンである。
「コイツを使えば、ひとっ飛びだ!」
「カネリ、気をつけてね!」
「サンキューホタビ、また遊びに来いよ!」
カネリはホタビに別れを告げると、ワープゾーンに入り聖地ルニジールへ向かった。
「待ってろみんな!ゲキアツに助けてやるぜ!!」
急げカネリ!頼りになるのはお前だけだ!!
To be next case
そこでは、様々な問題を抱えた子どもを預かる異救者のチーム【激熱家】が活動していた。
カネリと旧知の仲である、温屋《ゆたかや》ホタビは、激熱家にいた頃の暮らしを思い出していた。
「最初来た時のカネリは大変だったよ、物を壊すし他の子達とケンカしたりするから」
「あん時は黒理家に捨てられたばっかだから、ヤケになっていっぱい迷惑かけちまったな」
「でもそんなオレの根性を叩き直してくれたのが、【激熱レッカ】さんだった」
「カネリとレッカさん、よく殴り合ってたけど、今思えば結構アウトだよね・・・」
ホタビは、二人の当時の様子を思い浮かべながら苦笑いしていた。
「よく言われたな。負けるなカネリ、ゲキアツに燃え上がれ!って」
「レッカさんや激熱家のみんなのおかげで、カネリも馴染んできたよね」
「みんながオレを認めて、大切にしてくれた。激熱家こそがオレの本当の家族だ」
「だからホタビが出ると決まった時は、スゲー寂しかったんだぞ!恋バナとか色々教えてくれたんだから」
「ごめんね。親の事情が解決して、また一緒に暮らせるようになったから」
「それでわたしが外国へ移住して半年後に、セイブレスのバズレイダ侵攻が始まった。その時一般人の入国が禁じられ、何も出来なかった・・・」
「カネリ、嫌じゃなかったら教えてほしい。あの戦いで何が起こったの?レッカさんや激熱家のみんなは、どんな最期を迎えたの?」
「・・・それは―」
その時、カネリのスマホから着信が入った。
「誰から?」
「緊急案件だ!聖地ルニジールにたくさんの闇異が出たから応援に来てくれって!」
「ホタビ悪い、話はまた今度だ!」
「だったらわたしのバイクに乗って!」
10時29分、カネリはホタビのバイクの後ろに乗せてもらい、目的地へ向かった。
少し戻って9時55分、聖地ルニジールには早くも会場を埋め尽くすほどの参加者が集まり、ボンゴラは少し驚きながらも人々を誘導していた。
「すごい人だかりだ、やっぱり去年の倍は来てるかも」
「既に1千万人を超えたらしいぞ」
「1千万!?」
ちょうど10時、派手なパフォーマンスと共に救世記念祭の開会式が始まり、会場のメインステージに聖女マナキが現れた。
「聖女様だ!」
「聖女様ー!」
マナキの登場で人々は大きな歓声を上げた。会場の各場所に大型モニターが設置され、そこだけでなくテレビやネットでも、マナキの姿が『世界中で』生中継されている。
「マナキちゃん!」
「気を抜くなよ」
そして開会式の挨拶が始まった。
『あなたに救いがありますように、聖女マナキです』
『今日は救世記念祭100周年、会場にいるみんなと遠くにいるみんな、見に聞きに来てくれてありがとう!』
『開会式のあいさつは、わたしが担当します!』
『みんなはもう知ってると思うけど、救世記念祭とは救世主ルニディムが自分を犠牲にして人類滅亡を阻止した日であり、彼を追悼し感謝を捧げるためのお祭りです』
『平和の祭典と呼ぶ人もいますが、残念ながら世界は未だ平和とは言えません』
『救世主ルニディムの死をもってしても、世界から闇を消し去ることは出来ず、世界中にくすぶり人々を蝕んでいます』
『彼が亡くなった後も、闇による人類滅亡の危機が何度も訪れましたが、歴代の異救者たちと彼らを応援する人々の、救いたいという想いでそれらを乗り越えてきました』
『今苦しみ悲しんでいるみなさん、どうか闇に負けず希望をもってください!必ずわたしたちが、救いの手を差し伸べに行きます!』
『そしてこのお祭りで得た利益の半分以上は、恵まれない人々のために使われます』
『つまり、みんながお祭りに参加し視聴するだけで、人助けができるんです!』
『というわけでみんな、100回目の救世記念祭楽しんでいっちゃいましょう!以上!』
10時20分、聖女の挨拶が終わると同時に、人々がワアアアアアと歓声を上げ記念祭が幕を開けた。
と思った矢先、全ての生中継が突然別の映像に切り替わった。そこに映っていたのは、会場の襲撃予告をした闇淵サエラだ。
突然の出来事に全世界の人々が戸惑い、サエラの出現で異救者たちは身構えた。
「あれ?どうしたんだ?」
「これも記念祭の演出?」
「いやコイツって確か・・・」
『あーあーテステス・・・よし、OKだな』
『ごきげんよう諸君、闇淵サエラだ』
『救世記念祭100周年を祝って、おれからのスペシャルサプライズをプレゼントしよう』
その瞬間、聖地を取り囲むように多数の空間の歪みが現れた。
『総勢10万以上の闇異軍団だ!空前絶後の闇深イベントを楽しんでいってくれ!!!』
空間の歪みから多数の闇異が現れ参加者たちはパニックに陥った。
「みなさん落ち着いて下さい!」
「一般市民を避難場所へ!闇異の進撃を食い止めるんだ!!」
「予告より10倍多いぞ!」
「応援は!?」
「ダメだ、向こうはセイブレスが攻めてきて人手を割けないらしい!」
「セイブレスとテロリストが結託したのか!?」
「アゼル、おれ達も行こう!」
「黒に決めるぞ!」
「「変異!!」」
聖地ルニジールで開催された平和の祭典は一転し、異救者と闇異の戦場となった。
10時44分、カネリはホタビのバイクの後ろに乗り街を疾走していた。
「ホタビ、ここで止めてくれ!」
「ここでいいの!?」
カネリがバイクから降りた場所には、電話ボックスのようなものが設置されていた。
これは、異救者専用のワープゾーンである。
「コイツを使えば、ひとっ飛びだ!」
「カネリ、気をつけてね!」
「サンキューホタビ、また遊びに来いよ!」
カネリはホタビに別れを告げると、ワープゾーンに入り聖地ルニジールへ向かった。
「待ってろみんな!ゲキアツに助けてやるぜ!!」
急げカネリ!頼りになるのはお前だけだ!!
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